ようこそ享楽至上主義の教室へ【特殊タグ無し版】   作:アネモネ

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世間普通の人たちは、難しい問題の解決にあたって、熱意と性急のあまり、権威ある言葉を引用したがる。

「これはこれは、パワフルガールか。いい朝だね」

 

 マジかよ。

 

 朝、バーでゆったりと朝食を食べてたらオーデコロンの香りが漂い。ロックが出現した。この辺りの施設は立ち入り禁止じゃあないけど、居酒屋やバーとかばかりだから生徒はほぼほぼ寄り付かないのに。何でや。

 

 マスター、こいつ追い出してくれよ。目で訴える。

 

 ゆるゆると首を横に振られた。ダメらしい。ますたぁ……。

 

 むー、しゃーなし。ついでに昨日のことでも聞くか。

 

「おはよう、いい天気だよね。ところで昨夜のお猿さんメールって高円寺君?」

 

「オフコース。面白くもない試験を続けても意味がないだろう? 嘘つきを見つける簡単なクイズだからねぇ」

 

 ふむふむ。こいつ、2回話しただけで優待者見抜いたのか。いや、無理でしょ。スペック無駄に高っ。あと試験つまんないってだけで投げたんですか、そうですか。そこは試験を楽しもうとしようぜ。おしゃべり楽しいやろ! 

 

 紙にお猿さんグループの優待者であろうBクラスの人の名前を書いて、コソコソと彼のほうへ近寄る。他に人はいないけど用心するに越したことはない。マスターが腕利きの諜報員とか情報屋の可能性もあるもんな。バーのマスターは強者、これが世界の法則なのだ。

 

「すごい、流石だね、高円寺君。でさ、この人だったりする?」

 

「なるほど、せせこましく法則を解いたというわけか。それはそれで一つの道だね」

 

 ほう。んー、演技の可能性もあるけどこの様子だとたぶん正解、かな。よし、法則が合ってる確率がまた上がったね!

 

 しっかし優待者の法則すら悟ってたのか……うわ、試験にやる気出してたらマジでやばい奴じゃん。なぜ君はDクラスなんだ。そうか、性格がすべての長所を打ち消してるのか。自明の理ですな。クラスのためなんか考えず自分のために行動する性格で幸いだったよ。敵対したら厄介極まりないぞ。

 

 ま、御曹司なら卒業生のプライベートポイントを現金で買い取るよーって契約なりしてAクラスに上がれるだろうしなあ。2000万ポイントだから50万ポイントを40人から、とか考えるとまあまあ現実的な数字なのかな。それで試験で必死になる必要はないってか。もしくは将来が約束されている以上Aクラスに上がれなくても問題はない……でもだとすると何でこの学校来たんだか。はっ、まさかデスゲーム開催を期待して? いや、自分で開けそうだな、普通に。

 

Merci beaucoup(メルシーボク). それで、高円寺君ってさ。よくこういうの見慣れてそうだからご意見お聞きしたいんだけど。これとこれ、どっちのがいいと思う?」

 

 書いた名前の上にぐしゃぐしゃと線を引き、紙をしっかりとしまってから今度はカタログを取り出す。指をさして聞いてみるとあっさりとロックは答えた。

 

「もちろんこちらだよ、ガール。エレガントなレディーを私は好むのさ」

 

 君の好みは聞いてない。とはいえ、そかそか、こっちね。ふんふん。

 

「ありがと。参考にさせてもらうね。それじゃ、良いバカンスを!」

 

「アデュー、パワフルガール」

 

 その呼び方は何なんじゃ。こう、アメコミとかに出てきそうな名前なんだよな……パワフルガールって。

 

 

 

 

 12時ちょい前。再びバーに来た私を、Aクラスの橋本君が出迎えた。やはり他には生徒はいない。ロックとの遭遇は完全にイレギュラーだろう、うん。

 

 チャラ男っぽい彼にはバーがわりかし似合う。ロックほどの貫禄はないが、そのへんは人生経験の差というやつだろうか。無人島試験で葛城派からリーダー情報をゲットし、たっつーにきっちり教えてくれたという点では橋本君も本当に優秀なんだけどね。

 

「ごめんなさい、お待たせした?」

 

「大丈夫、俺も今来たとこ。にしても……何でそんな格好なのか聞いてもいい?」

 

「変、かな?」

 

 自分の格好を見る。燕尾服風のバニーガール衣装。バーの雰囲気にはマッチしてる。

 

「そういうことじゃないけどさ、普通に気になって」

 

「これには聞くも涙、語るも涙の事件があったんですよ」

 

 そう、あれは────

 

「はは、短めで頼むわ」

 

「龍園君に騙された」

 

「短っ」

 

 ロックと話した後、たっつーと会う約束してたから行った。いつも通りのカラオケルームで、全員何か仮装してこいって言われてたからバニーガールを選択した。でもみんな仮装してなかった。私だけだった。悲しい。そして話し込んでたら着替える時間がなかった。完。

 

「仲良いんだね、やっぱり。ぶっちゃけ付き合ってんの?」

 

「ない」

 

 首をブンブン振った。ウサ耳がぴょこぴょこ揺れる。

 

「そうか、ならさ。京楽ちゃん、俺と付き合ってくれない?」

 

「買い物に?」

 

「違う違う。色恋でだよ。京楽ちゃんのこと、前から良いと思ってたんだよね」

 

 ダウト。んー、どうしよっかな。

 

「ごめんなさい、今は誰とも付き合う気がないから」

 

「今は、か。じゃあいつになったら?」

 

「そうだな。橋本君がCクラスの味方になってくれたら、とか?」

 

 ちょっと揺さぶりをかけてみるも、苦笑されるだけで終わる。うむむ、面の皮が厚い。

 

「それで本題は? てっきりAクラスの優待者の情報でも教えてくれに来たと思ってたんだけど」

 

「まあまあ、そう急かさず。俺さ、京楽ちゃんの中学ン時の話ちょっと知ってんだよね」

 

 へえ。よく知ってるなあ。

 

「『神様』を崇める特殊なクラスで次々に事件が発生して。最終的に京楽ちゃんのクラスメイトの一人がその正体を暴いて解決したらしいけどさ。何で君だけその後も転校しなかったの?」

 

「考え方の相違。それだけだよ」

 

 にっこりと笑う。

 

 懐かしい。あれは楽しかった。なのに何でみんな忘れたがるんだか。

 

「…………お姫さんの下にいれば、退屈することはないって」

 

 姫。坂柳派のトップ、キャロルのことか。

 

「他クラスに協力するメリットがあるとでも?」

 

「楽しい、それだけでいいんだろ京楽ちゃんは」

 

 よくぞご存知で。でもなあ。キャロルなあ。ポイ捨て好きそうだよね、あの子。見てるぶんには面白いんだけどさ。

 

「ごめんね橋本君。私はそう、お誘いを受けるほどの人間じゃないから。とってもありがたいけど遠慮しておくよ」

 

「分かった。まぁ、気が変わったらいつでも言ってよ。ところでさ、このメールについて何か知ってる?」

 

 画面をちらっと見せられる。それは、つい数時間ほど前に届いたメールだった。

 

【牛グループの試験が終了いたしました。牛グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。全グループの試験終了アナウンスまでは自由時間となりますので、他の生徒の邪魔をしないよう気をつけて行動してください。】

 

「ごめん、よくは知らないなあ」

 

「あー、こっちこそ急にごめんな。いや、俺たち全然優待者についてわかんなくてさ。もしここがAクラスだったらやべえなって感じなんだよな」

 

 フェイクなのかどうなのか、わからない。でも、Aクラスの優待者の情報が得られずとも問題ない。

 

 たっつーに私がお猿さんグループの話をした後。彼は言った。桔梗ちゃんと会って話してDクラスの優待者の情報を得た、と。というか昨日の夜中のデッキのあれは二人で待ち合わせしてたらしい。そこで会えなかったので改めて今日話したそうな。

 

 大天使ホナミエルと並ぶ大天使クシダエルがなぜそんな堕天をしたのか。たっつーに脅されでもしたのか。その辺りは話してくれなかったが、ともかくそれでBクラス一人、Cクラス三人、Dクラス三人の計七人ぶんの優待者情報を得れたのだ。過半数以上である。ここまで来ると確証もあるというものなのでまずは時任君のいる牛さんグループから終わらせるべく、気弱な野村(のむら)君を呼び寄せて優待者メールを送信させてた。可哀想に。

 

 一斉に送信しないのは何か理由があるらしい。パイを切り分けるのは一番美味しいタイミングだ、とか何か言ってた。ようわからんが頑張れ。

 

「ま、お互い頑張ろうね。えーっと、13時から試験だし着替えたいし、もうお(いとま)していいかな?」

 

「ああ。来てくれてサンキュな」

 

 値踏みするような視線。ニヤリと笑う橋本君の顔からは、何を考えてんだかさっぱり読めない。彼も彼で学校生活楽しんでるんだろうな。何か尾行が趣味らしいし。たっつーもやられたそうだ。うーん、努力の人ですな。でも私の尾行はしないでいただきたい。やめてくれよ、面倒事になる前にストーカーとして通報するからな。

 

 

 

 13時からの兎さんグループの話し合いは、今回は完全に遊ぶだけになった。やったぜ楽しい。一之瀬さんの持ってきたトランプで大富豪やババ抜きなど5つほどのゲームをやって、あっという間に1時間が経過する。

 

 カピバラ麻呂がトランプの天才だったりしないのかな、と見ていたものの残念ながらよくいる凡百のタイプだった。強くもなく弱くもなくザ・普通。頭いい人ってこういう心理戦も上手いって聞くんだけどなあ。

 

 Aクラスの3人がさっさと立ち去ると、今回は一之瀬さんの行動にも変化があった。すぐに席を立ってBクラス男子に声をかける。

 

「さてとー。じゃあ私は葛城くんのとこ行こうかな」

 

 ほほう。一之瀬さんはAクラスの説得をまだまだ諦めてなかったっぽい。偉いなあ。でもいくら彼女でも葛城君を動かすのは難しいと思うんだけどな。見るからに頑固そうじゃん、あの人。

 

「よければオレも一緒にいいか?」

 

 突然発言したカピバラ麻呂にびっくりした。お、おまえ……そんな積極的な行動ができたのか……。え、何か気になるな。じゃあ私も行きたい。

 

「なら私もお(とも)していいかな、一之瀬さん」

 

「ん? 全然大丈夫だけど、二人も葛城くんと話したいのかな?」

 

「いや、堀北もそのグループなんだ」

 

「私は竜グループの様子を見てみたくて。ごめん、大した理由じゃなくて」

 

「そっかそっか、了解。じゃあ出発しようか」

 

 外に出ると、まだ試験終了から数分しか経過してないからだろう、廊下にいる生徒はかなり少なかった。各グループの部屋は全て同じフロアにあるため移動距離は短い。やや早歩きで急ぐ私たちは、あっさりと竜グループのプレートが飾られた一室の前に辿り着いた。

 

 中から声は聞こえないものの、まだ室内には人の気配がある。

 

「ノックして突入する?」

 

「やめとこう。話し合い中なら待ったほうがいいと思う」

 

「んー、大丈夫じゃない? 試験時間って決まってるのは1時間、それ以外であれば入退室を禁じるルールもないし。中でみんな仲良くトランプとかしてたらむしろ参加したいし」

 

 口にはしないけど、どう考えても一之瀬さんはこのグループの話し合いにも参加する資格があるだろうしね。あと待つのが嫌なのだ、私は。

 

 コンコンコンとノックして返事を待たずに入る。当たり前だけど部屋には全メンバーが残っていた。私を見てたっつーが(いぶか)しげに声をかける。

 

「何の用だ、京楽」

 

「どちらかというと私じゃなくて一之瀬さんに付いてきた感じ」

 

 話し合いを止め、全員がこちらへと注目する。一之瀬さんは苦笑いで、カピバラ麻呂はだいぶ居心地悪そうに入って来た。

 

「少しだけ葛城くんに話があってね。申し訳ないけど今大丈夫?」

 

「ああ。問題ない」

 

 そう言って葛城君だけ輪から離れる。

 

 全てのグループのA生徒に話し合いの拒絶を指示したことを、とりやめてもらうよう頼む一之瀬さんに葛城君は考えを変えることはないと平然と答えた。無理っぽいっすね。

 

 結局Aクラス4名はツンツンした感じのまま退出し、BCDの生徒のみが残った。

 

「席も空いたことだ、まずは座れよ」

 

 たっつーの言葉に、Aクラスがいた席へと着く。神崎君の表情は変わらないが、B女子2人は一之瀬さんの登場に安堵した表情。リンリンは私を見て、園田(そのだ)君たちはカピバラ麻呂を見て何故ここにいるんだろうと不思議な顔をしていた。私は野次馬です。カピバラ麻呂の目的は知〜らない。

 

「しかし一之瀬。てっきりおまえは神崎とここに振り分けられるものと思っていたが……箸にも棒にも掛からないチンケなチーム行きとはな。不満も無さそうなあたり、おまえはその程度と判断されて正解ってことか?」

 

 おいコラたっつー。

 

 私もいるんだぞ、その箸にも棒にも掛からない(何のとりえもない)チンケな(程度の低い)チームに。あと澪とカピバラ麻呂も。

 

「他のグループを(おとし)める言い方は良くないと思うよ、龍園くん。もしかしてだけど、分けられたグループには何か意味があると思ってるってことでいいのかな?」

 

「考えるまでもねえ。この試験における全グループの構成は、教師連中が意図的に定めたものであるのは明白。おまえが外された理由もちゃんと存在するってことさ」

 

 うん。実際どういう理由なんだろうね。謎い。

 

 しかし今この話し合いの中心になってるのはたっつーと一之瀬さんだけ、か。神崎君は一之瀬さんが「場をとりまとめるタイプじゃない」と言っていた通り静観の姿勢。うーん、大勢と話したり集団で何かするのがあんまり得意じゃないタイプなのかな。リンリンたちDクラスも今のところは情報収集に努めている感じだ。

 

「へえ、グループ決めはランダムじゃなかったんだね。この龍園くんたちのグループには優秀な人たちが名を連ねているのは分かっていたけど、他のグループもそうだったのかぁ。助言をありがとう。でもそんな重要そうな情報を私にくれていいのかな?」

 

 たっつーの顔色がちょっと変わった。おいおい大丈夫か。うーん、一之瀬さんたちは優待者の法則に気づいてるのか否か。どっちだろうね。

 

「いい女には多少なりとも優しくしてやるさ。しかし……」

 

 気を取り直すようにたっつーはカピバラ麻呂へ目を向けた。

 

「俺も女のケツを追いかけるのは好きだが、おまえには呆れるぜ。鈴音といい一之瀬といい京楽といい、いつもケツに張り付いてやがる。ま、尻に敷かれるのがお似合いな男ではあるが」

 

「龍園君、セクハラだよ」

 

 男友達があんましいないカピバラ麻呂の気持ちも考えてやれ。ん、いや、平田君がすごい気遣わしげな視線を送ってくれてる。優しい。よかったねカピバラ麻呂。

 

「うるせえ。ともかく、一之瀬も来たことだ。俺から提案がある」

 

「提案?」

 

 こいつ何いってんだ? そんな非歓迎ムードを無視してたっつーは口を開いた。

 

「俺ら3クラスでAクラスを潰す」

 

「……どうやって?」

 

「鈴音には少し前に話したが、俺はCクラスの優待者3人を把握している」

 

 この人、また朝にリンリンのとこに行ってたらしい。おまえがストーカーか。

 

「BCDで優待者9人分の情報を共有し、試験を解析すんだよ。なに、ちょろっと頭をひねって学校側の決めた法則性を暴けばいいだけの話だ」

 

 およ、たっつーはもう知ってるでしょそれ。どした? 

 

「俺は反対する。必ずルールを看破できる保証もない以上、あまりにリスクが高い」

 

 いの一番に異議を唱えたのは神崎君。他のBクラス女子も頷いて賛同を示していた。

 

「そうだね。それに、龍園くんみたく優待者の把握が出来るのが前提だよね、その提案」

 

(しら)を切るな一之瀬。クラスの情報は粗方(あらかた)おまえに献上されてるだろ」

 

 たっつーと一之瀬さんが笑い合う。大天使ホナミエルの笑顔が今は怖い感じになっている。駄目だよ、君まで堕天しないで。 

 

「Dクラスについてもそこの2人なら優待者の把握は不可能ではない。どうだ、少しは考えを改めたか?」

 

 Dクラスのまとめ役・平田君も、このグループの優待者かつクラスの裏切り者・桔梗ちゃんも、何も言わずにこにこと微笑んでいた。うーん、桔梗ちゃんの演技力が高すぎる……!

 

「まだまだかな。そもそも龍園くんが話すCクラスの優待者の情報は本当のものか、とか」

 

「そう簡単に信用されるとは思っちゃいねえよ。契約書を作る準備はある。Aクラスの優待者を1人ずつ指名して、あとは互いに送信し合うなりするって内容あたりか?」

 

「契約書なんて無意味ね。この試験では優待者や解答者の名前は公表されない。誰が何をしたかも明かされないことを悪用したCクラスが裏切って終わりになるのは予想がつくもの」

 

 やれやれ、と呆れを全面に出した大仰な身振りとともに、たっつーはリンリンを鼻で笑った。

 

「俺に噛み付きたいのも分かるぜ。鈴音はいくら賛同したくとも出来ねぇからな」

 

「……何が言いたいのかしら」

 

「クラスメイトの裏切りを恐れてビビってんだろ? 統率されてないクラスこそ裏切りが起きる確率は高い。加えて、おまえらに他クラスと足並みを揃えるなんてことが可能か? ま、つまりこの作戦はチームワークの欠片もないDクラス、それにクラスが二分されているAクラスにも実行は困難ってことだ」

 

 すごいDクラスをバカにしきってる。しかしリンリンたちも何も言えない様子だった。真実なのね。他人事だけど大丈夫か、Dクラス。

 

「だが、俺に支配されているCクラスと一之瀬に従うBクラスであれば容易な話さ。別に3クラスでなく、2クラスの共闘で十分だ。ルールを炙り出す難易度は上がるだろうが、俺からすれば些細なこと。あとはAもDもぶっ潰せばいい」

 

「すごく物騒な言い方するね……でもなるほど、龍園くんの主張は理解できたよ」

 

 たっつーの無駄に上手い営業トークによって一之瀬さんの気持ちはわりと傾いているようだ。そんな彼女の様子を見てなのか口を開く人物がいた。

 

「悪いが、やっぱりそれも難しいんじゃないか?」

 

「どういうこと、麻呂君」

 

 私だけでなく周囲のみんなも、突然話に割って入ったカピバラ麻呂に疑問の視線を送っている。

 

「BクラスとCクラスが協力関係を結ぶと知ったら、おそらくこっちも黙ってはいられない。AクラスとDクラスだって手を組むと思うんだ。オレたちDクラスのまとまりの悪さは否定できないが、負けが決まると聞けば意見も一致するはず。Aクラスも同様じゃないか?」

 

「ならやっぱBCDで共闘するのは? Dクラスも無人島試験での団結力は凄かったみたいだし、頑張れば────」

「無理よ。その男は信用できない。それに尽きるわ」

 

 バッサリ切られた。徹底的に戦う姿勢を見せるリンリンに、一之瀬さんもCとの共闘は今後のことも考えると難しいと判断したらしい。

 

「ごめんね龍園くん。君の行動で傷つけられたクラスメイトのことを想うと、ポイントを得られるかもって理由だけでその手を取るわけにはいかないかな」

 

「そりゃ残念だ」

 

 たっつーは軽く肩を(すく)めた。全っ然、微塵も残念そうじゃないなこいつ。

 

「ならもう用はねえ。行くぞ」

 

 立ち上がるたっつーにCクラス男子3名が舎弟のように付き従う。一緒にされるの嫌だなあと思って座ってたらそのうちの1人、園田君が戻ってきて「ほら、京楽も」と襟首を引っ張り。結局、3人がかりでグイグイ押されて行く。私は荷物か何かなのかしら。ひどい。でも歩くのちょっと楽。

 

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