ようこそ享楽至上主義の教室へ【特殊タグ無し版】 作:アネモネ
大きな星条旗と日本の国旗が部屋の中央に。それよりもサイズは小さいもののきちんと布でできた国旗があたり一面に数え切れないほど飾られている、部屋。そこで私は元気よく声を上げた。
「ニューヨークに行きたいかー!?」
「おー!!」
わりと部屋に人は居るのに反応してくれたのはひよりんだけだった。クスン、悲しい。アメリカ大陸を横断するクイズ、今の若い子たちは知らないんだろうか。まあ私も漫画のパロディで見たことあるだけなんだけど。
バーティの部屋って国旗がいっぱいあるから、こう、何かワクワクしちゃうんだよねえ。後は種目でクイズのことを考えてるせいもあるのかも。
そういえば中学の修学旅行はニューヨークだったな。それ以前にも何回か行ったことはあるけど……むー、この学校の修学旅行はどこ行くんだろ。ま、まだ先の話か。
放課後になるとたっつーは司令塔として坂上先生と特別棟に向かった。そんで私たちは彼の帰りをこうして待ってるわけだ。バーティの部屋なのはみんな何か気兼ねなく使えるからと、優しい彼は喜んで自室を提供してくれるからだね。女子の部屋だと男子が緊張するし、かといってたっつーの部屋もアレだし、他の男子の部屋は片付いてなくて人を招ける状況にないらしい。
私とひよりんと金田君はみんなから送られてきた得意分野を精査して、バーティと澪と石崎君は何やら資料を読んでるみたいだ。他の2人はともかく石崎君が真剣に文字を追ってる姿はちょっと珍しい。たっつーの指示なのかな。
金田君がまとめてくれたノートをパラパラとめくる。クラス皆の成績も赤裸々に綴ってあるのですごく参考になるっちゃなるのだけど。やっぱ怖いなあ、このノート。個人情報満載。
「リリアンにあやとり。釣り、水上バイク、独吟、ラップ、早食い、マジック、ダンス、トロンボーン、弓道……」
そんな特技があったのかとびっくりするものもあれば、順当に部活に関してのことを書いている人も多い。世界で累計480万本以上売れてるとかいう『ハンター・ウォッチ』を挙げてる人はたしかコンピュータ部だったはずだしなあ。eスポーツが普及してきている以上、こういうゲームも種目として認められる可能性はありそうですな。
「どれがいいんだろうねえ」
うーむ、と私は悩みつつコーヒーを口にした。中身自体はバーティが淹れてくれたものだけど、人数が多いのでマグカップは持参品である。寮生活ってこういうとこ便利。
「ククリちゃんはクイズと生け花、ですか」
「うん。ひよりんは茶道か速読とか?」
「はい。ですが、ククリちゃんの言った通り相手が一之瀬さんたちのクラスになるとすると、筆記試験のほうに回されるかと」
「あー、そかそか。一之瀬さんたちなら正々堂々と学力系の種目多めで勝負してきそうだもんね……って、だとすると私も筆記要員になるのかな」
こちらが準備する種目だけでなく、相手の種目に対応する人員も考えなくてはいけない。もちろん捨て勝負も必要になってくるだろうけど。
私は典型的な文系タイプ。理系科目はいまひとつなものの文系科目なら戦力として数えられるはず。まあ設定された人数にもよるか。相手の出方次第な以上、そこらへんはまだ不透明だな。
あとは球技とか、普通にスポーツ系の種目もあり得るなあ。一之瀬さんたちは体育祭で1位だったし、運動神経抜群の柴田君がいる。でもうちのクラスの持ち味?はラフプレー。そこを考えると事故の起きやすい団体競技じゃなくて個人競技の可能性が高いのかな。どうだろう。
自分たちの選んだ種目は絶対に勝って、それから相手の選んだ種目でも勝てるかが重要なこの試験。一之瀬さんクラスとうちのクラスの対決はいわば王道vs覇道といったところか。あっちが出しそうにない、ひねくれた種目を考えなきゃだけど……むー、お笑いとか? 石崎君とひよりんがボケて金田君と澪がツッコミするといい感じになりそう。いや、いっそクラス全員が持ちネタを披露するとかも面白そうかも。
ぽやぽや考えつつみんなのほうを見ていると、金田君とばっちり目が合った。
「金田君も筆記試験要員? あ、でも絵とかでもいけるかな」
「絵、ですか……あちらには白波氏がいますし、短時間でのスケッチ勝負は分が悪いかと」
「美術を種目にするのでしたら、むしろククリちゃんの絵のほうが芸術性を評価されるかもしれませんね」
ひよりんは私を褒めてるのか、おしとやかにからかってきてるのか。どっちなんだ……まあ褒められてることにしよう、うん。
ふふ、とちょっといたずらっぽく笑うひよりんはとても可愛い。
しかし種目、種目なあ。たっつーからようやく返されたマニュアルをじっと眺める。
「はぁ……マイナーな種目はアウトって言われても線引きがいまいちわかんないよねえ」
「そこは学校側の認可が下りるかで判別するしかないと思われます」
金田君の言うとおりなのだが、こうも曖昧な基準だとやきもきさせられちゃうのだ。
「ちなみにククリちゃんはどんなものが『マイナーな種目』に当たると考えますか?」
「んー、コンバット・ジャグリングとかかなあ」
3つのクラブをジャグリングしながら相手のクラブを攻撃し、相手がジャグリングを失敗させれば勝ち、というすごく難しいスポーツである。なんせまずジャグリングを持続させねば話にならない。この短期間で習得するのはまず無理だろう。……『京楽』はナイフジャグリングまでできるんだよな。サーカスで働いてでもいたんだろうか。
はてなマークを頭上に浮かべる2人に説明すると、まあそれはチェック通らないだろうなという反応をされた。せやな。私もそう思う。
でも当たり前の種目で当たり前に戦ってはうちのクラスが勝てる可能性は雀の涙ほど。たっつーがニヤニヤとして言うには「どこと戦っても勝てる可能性は数パーセント前後ってところ」らしい。相変わらず消費税より低い勝算だ。まあ自分の退学を懸けている以上、奴ならなんとかするだろう。
「でも意外だったな。金田君は龍園君の司令塔就任にもっと反対するかと思ったのに」
「いえ。あの場での発言は控えましたが、昼休みに直接龍園氏と話させていただきました」
昼休み、かあ。私は急いで寮に薄い本をしまいに戻ったな……何で鞄に入ってたんだろう。すごくびっくりした。あとその道中、昼食の買い出しに行く桔梗ちゃんと遭遇して偶然にも知ってしまったんだよね。今日がKちゃんの誕生日ということを! 何でも放課後Dクラス女子は教室でパーティー的なことをするんだとか。
うーん、彼女の連絡先知らないんだよなあ。会いに行くほどの仲でもなければわざわざ誰かに聞いてまで連絡するほどの仲でもない、というか私のことそんなに好んではいないだろうしなあ。心の中で祝っとくか。Kちゃん、お誕生日おめでとう!!
よし、満足したので特別試験の話に戻ろうか。
金田君は言うべきことはいつでもどこでも誰にでもはっきり言うタイプだ。なのに皆の前で発言を控えたということは相応の理由があるはず。むむむと脳内を検索するもヒットは0件。首を傾げていると彼のほうから説明してくれた。
「Aクラスとの契約についてクラスメイトたちは知りませんから。議論するには2人きりのほうが都合が良かったのです」
「あー、確かに」
たっつーにAクラスは1人月2万ポイント渡さなきゃいけないという、無人島で結んだ契約。この存在はうちのクラスでも私たち一部の人間しか知らない。よくわからんけどたっつーが隠してる可能性があるなら皆の前では言えないか。
そんで奴の退学とともに契約書はただの紙切れと化すのだから、それを理由に説得したい金田君の気持ちはよくわかる。
「ですが逆に、こちらが圧倒されてしまいました。完敗です」
そうはいうものの金田君はちょっと誇らしげだ。何だかんだでたっつーのことを信じているんだろうな。金田君が奴に騙されることがないよう祈っておこう。石崎君とバーティはたぶんもう手遅れだ。
さてさてそのたっつーは今頃何をしているのやら、と呟くと「坂柳氏と話しているのでしょう」という返答が。
「前回の試験で、Aクラスとやり取りがあったのです」
私が知らない間にたっつーは動いていたらしい。前回のクラス内投票のとき葛城君をうちのクラスに勧誘しようとしていた、と言われ「ほへ?」と素っ頓狂な声を出してしまった。クラスで退学させられそうになってるならこっちのクラスに逃げてこいよ、と悪魔の囁きをするわけですね。よくそんな抜け道思いつくなあ。
ん、でもでも。
「2000万ポイント、龍園君は持ってたと?」
「おそらく勧誘に成功した際にはクラスメイトから……1人10万ポイントずつほどを、回収するつもりだったのでしょう」
10万かける40人で400万ポイント。もちろんポイントをちゃんと貯金してる人と使っちゃう人とで所持ポイントに開きもあるから一人ひとりの額は変わってるかもしれないけど、そのくらい吸い上げれば2000万ポイントには余裕で届いただろう。ただ、金田君の口ぶりを見るにこれが本題ではないようだ。
「龍園氏の狙いを看破した坂柳氏はある提案を持ちかけました」
無人島でAクラスが結んだ契約を破棄しないか、という話だったらしい。まあキャロルとしてもいつまでも放置しておきたい契約ではないのでしょうな。
600万プライベートポイントに、賞賛票40票とその証拠、そして今回の特別試験での手助けと引き換えということでたっつーは納得したそうな。ただし、契約破棄するかどうかはたっつーの一存で──より正確に言えば葛城君の勧誘が成功するかで決めていいのだという。こうなると私への賞賛票40票は先払いだからキャロルが損することになるかもだけど、まあそのくらいの譲歩は、って感じか。
……プロテクトポイントの導入もあったことだし、この先の特別試験は退学者が増えるような厳しいものになっていくだろう。たっつーが絶対に退学しないという保証はない。そのあとのことを思ってキャロルの言葉に応じたのかもなあ。
「Aクラスと合同での勉強会。それを今回の『手助け』として要求するそうです」
「なるほど。妥当かつ有効なやつだね」
Aクラスは対戦相手ではない(予定)以上、そこそこ協力しあえる。情報漏洩についても今回はお互い心配する必要はないだろう。というかぶっちゃけ誰々が勉強できるとか、得意科目は何かなんてのはペーパーシャッフルの時とかの情報収集で学年全員あらかた判明してる。一緒に勉強するだけなら特に損はない、か。Aクラスには学業成績優秀な人が多いし、短期間とはいえ十分に効果が期待できるに違いない。
「んーと、でも今葛城君勧誘しちゃったら2000万ポイント消えるよね。退学回避の手段を自ら潰すのか……いや、そんくらいやりそうだなたっつーなら」
追い込まれたほうが強そうだもんな、あやつは。逆境で燃えるタイプだ。入学当初とかクラスからめっちゃ白い目で見られてニヤニヤしてたしね。
「はい。今回の試験は高い学力を持つ葛城氏の能力の確認にはいい機会ですし……それでも敗北ということになれば龍園氏は潔くこの学校から去るつもりのようです」
「変なところで思い切りいいもんね」
ハイリスク・ハイリターンのギャンブル好きだからなあ。それで悪運が強いんだからなんとも言えない。こんなことになるんだったらたっつーがプロテクトポイント獲得しときゃよかったのに、とは思うけど……奴は退学されない保証とか自分が持つの嫌いなんだろうな、きっと。
「そうですね。肉体を酷使する種目で10種目ほぼ全てを埋めると聞かされたときには驚かされました」
「……え?」
「え?」
なにそれ聞いてないんだが。え、じゃあこのみんなの得意分野の収集は何だったの? 無駄な作業?
ひよりんのほうを見ると彼女も目を丸くしていた。ふむ。たっつーから聞いていたのは金田君だけらしい。
金田君のほうも私が知らなかったのが意外なのか、眼鏡がちょっとずり下がっている。いやあのな、たっつーからの信用度とか絶対金田君のほうが上だから。というかあいつ秘密主義すぎるんだよ。
吐けー、吐くんじゃーという私の圧力に屈した金田君は「これ言って大丈夫ですよね……」という感じの不安げな雰囲気を漂わせつつも話し始めた。
「龍園氏が言うには────」
うちのクラスには戦闘系が多い。そこを活かすべくレスリングだの柔道だのを種目にしよう、と。
種目に必要な人数は10種全てで異なってなきゃ駄目ってルールはあるけど、何人対何人の種目であろうと勝ち抜きルールを採用すれば1人で済む。仮に10対10で柔道をやってもバーティ1人が勝てばいいだけになるのだ。筆記試験や球技のような種目では無理だろうが、空手や柔道のような競技では勝抜き戦形式は普通だから問題ないだろうとのこと。
腕相撲とかウェイトリフティングとかも……と言ってこちらを見ていた気がするけど気の所為でしょうな。ククリちゃんは茶道とか華道とかを嗜む淑女だから、起用するならそういうのにしてほしい。わりと勝てる自信はあるぜよ。
澪と石崎君とバーティが今熱心に読んでるのは柔道とかのルールが書かれたものらしい。なるほど、ルール違反で負けちゃ洒落にならないもんね。
1対1とか2対2くらいなら何か他のクラスメイトの得意なものを採用する可能性はあるから、こうして検討しているのだと。よかった、無駄な努力にはならないようだ。
「しかしクラスメイトの情報はある程度頭に入っていましたが……やはり見たところ種目として望ましいものは無さそうですね」
と思ったら即否定された。むー、まあ確かにバチバチに戦う系かつ勝ち抜きルールで5種目埋めたら勝率はかなり高いと思うけどさ。
「金田君、私の生け花とかは駄目なの?」
「いえククリさんはどちらかというと……」
金田君の視線が澪たちの方へと移動する。ほほう、私はあの武闘派面子に仲間入りすべきだとでもいいたいのかな?
にこにこと笑いかけると金田君は「何でもないです……」と前言撤回した。よろしい。
いや、真面目に私は格闘技系に向いてないと思うのだ。自分から喧嘩なんて全然したことない一般ピーポーだし、真剣勝負となると加減を間違える恐れもある。相手がカピバラ麻呂とかだったら安心できるんだけどなあ。ま、だからこそたっつーも何も言ってきてないんだろう。
「私的には独吟とラップバトルを一推ししたい」
「ラップはともかく独吟の採用は可能だと思いますが……実際、
種目についてあーでもないこーでもないと金田君とひよりんと話していく。お笑いも提案してはみたものの学校側のOKがもらえないだろうとすげなく却下された。ま、だよねー。
途中から読むのに飽きたらしい澪と石崎君も加わってきたが、いい種目のアイデアは挙がらない。むー、完全に奴の思惑通りなのは癪だが身体を動かす系で勝負すべきなのかねえ。
おかわりのコーヒーを飲みつつ、遅いなあとちらちらドアのほうに目を向けていると、バタンという音。そしていつも通りえらっそうに歩いてくる姿がある。どうやら部屋の鍵は開けっぱだったらしい。
一応、司令塔の仕事お疲れ様、とでも言おうかと考えてたのにそんな気は失せてしまった。
冷蔵庫から勝手に水を取り出したたっつーは立ったままグビグビと飲んでいく。うーん、お行儀が悪い。あと無料とはいえ略奪すな。ここバーティの部屋やぞ。
飲みきったそれをポイと床に転がしたたっつーは私たちのことをこれまた偉そうに見下ろした。ゴミはゴミ箱へ。そしてせっかく石崎君が「俺の座ってた席にどうぞ!」って感じで譲ろうとしてんだから座ったれや。
仕方なく立ち上がり金田君制作のクラスメイト情報ノートを渡す。「いい種目は見つけられんかったよ」と伝えると「そうか」とあっさり返された。どうやら奴は私たちに特に期待していなかったらしい。くそう、何か悔しい。
結局腰をおろすも、腕も足も組んで見事なまでにふてぶてしい態度のたっつーが話すには司令塔のくじ引きで無事当たりを引いたため、予定通り一之瀬さんたちのクラスを指名したらしい。これでキャロルvsカピバラ麻呂、たっつーvs一之瀬さんの構図になったわけだ。
その場で真嶋先生から受けた説明によると司令塔は試験当日に多目的室のパソコンを操作して種目に出る人を選んだり、モニターで試合の様子を見たりできるんだとか。ハイテクですな。操作方法の再確認とかをすることも試験1週間前までなら可能だから、たっつーは明日にでも坂上先生に立会ってもらって行うとのこと。隠されたシステム等がないか疑ってるようだ。学校側を全然信用してないなこいつ。
ただ、残念なことに司令塔以外の生徒は基本的に教室で待機。種目に参加する以外で試合を見る方法がないんだとか。悲しい。どうせなら教室にもモニターの1台や2台くらい置いといてほしかった。
しょんぼりしていると、パンと手を叩く音が響いてちょっとビビった。不意打ちはやめろし。音の発生源をじっと見るも何処吹く風だ。
「作戦は概ね出来上がった。俺たちがやるのは────」
ニヤリ、と。たっつーはいつも通りのわるーい笑みを浮かべながら宣言する。
「勝つための悪逆だ」
悪逆とは:人道に外れたひどい悪事や悪行。
……それ、いつも通りのことではなかろうか。私たちはそっと顔を見合わせる。うん。悪逆の意味がわかってなさそうな石崎君とバーティ以外の心は一つになった。
(フリマアプリによる収入でも金額によっては確定申告が必要らしい)
「うーん」
もやもやと困りマークでも浮かんでそうな、いかにも悩んでいるという素振りで唸りながら歩くククリの背中に、綾小路はついつい声を投げかけた。
「どうかしたのか」
振り向いた彼女の手には男物のハンカチ。落し物ということだろうか。
「おお。いや、実はですね」
話を聞くに、大方予想通り──落し物でなく忘れ物らしいが、ともかく南雲のハンカチを拾ってしまったようだ。
「確かに届けるのも面倒くさそうだな」
「いや、そうじゃなく。こう、誘惑に負けちゃうそうなのですよ」
だってさ、南雲会長の私物だよ、とククリは続ける。
「いい感じに売れそうじゃない?」
「いくらで売るつもりなんだ」
たまらず綾小路は突っ込んだ。
「こういう私物って恋のおまじないをかけるにも、呪いをかけるにも使えるしさ」
「物騒すぎる。というかまず犯罪だからな」
不法領得の意思がバリバリあるので、遺失物横領に当たるだろう。
「ぶー、冗談だよ〜。でも……一緒に十字架を背負ってくれると言うなら、私はこの背中を喜んで預けるぜ?」
にこりと微笑みながらの宣言。綾小路は、誰かに背中を預けた経験というものがない。 ただ、そんな機会が訪れようとも警戒を怠ることはない以上、いつもとなんら変わらないと断言出来る。 だがそれ以前に。
「いや、ただ共犯にしたいだけだろお前」
「バレたか」
てへっと彼女が笑う。まあ本当に冗談だったようで、結局この後ククリは普通に南雲へハンカチは返したらしい。