ようこそ享楽至上主義の教室へ【特殊タグ無し版】   作:アネモネ

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No cross, no crown(苦難なくして栄光はなし).

〈葛城とのチャット〉

 

【もしかして、シャンパンタワーお気に召さなかったのかな? 何か葛城君の表情が暗かった気がして……】

 

【そんなことはない。ただミラーボールが眩しかっただけだ。あの後のテーブルクロス引きも消失マジックも見事なものだった】

 

【ね、すごかったよね✨ さすが奇術部って感じだったな〜。彼、前にトランプタワーも作ってたけど圧巻されたよ本当に】

 

【だがシャンパンと呼ぶのはよくないな。中身は水だろう、あれは】

 

【うん、この学校お酒の提供には厳しいかんね】

 

【学生の割合が多いからな。それでもコンビニ等、生徒の手が届く範囲に酒類を置いているのはどうかと思うが】

 

【酒屋さんとか別で作るのは高コストなのかな。うーん、お酒好きな大人が多いのかもね。ほら、星之宮先生とかさ】

 

【……真嶋先生がよく困っていた】

 

【同期だもんねえ。そういえば坂上先生ってお酒飲める人かな】

 

【下戸ではなさそうだが】

 

【むー。謎だなあ】

 

 

 

 

〈一之瀬とのチャット〉

 

 

【南雲先輩からご連絡が来たんだけど、春休み最終日は生徒会室集合!だって】

 

【了解! 教えてくれてありがとう。にしても連絡不便だよね。生徒会のグルチャくらい作ればいいのに】

 

【 あはは……重要な連絡は学校を通して出来るし。今までもグループは無かったみたいだからね】

 

【まあ役員も100%仲間ってわけじゃないかんな。しかし南雲会長も自分で連絡すりゃいいのに】

 

【ううん、私からやるって言ったの。ククリちゃんは同学年だしね】

 

【そ、そうだったのか……それはなんかこう、申し訳なかったな。改めて、ありがとう!】

 

【いえいえ。どういたしましてっ】

 

【んー、でも何話すんだろ。やっぱOAAのこととかかなあ】

 

【そうかも! あとは特別試験関連の可能性もある、かな】

 

【どっちにしろ楽しみですな。んじゃ、またね。お互い、春休みを満喫しよう! ☆ァディオス☆(`・ω・´)ノ】

 

【うん、バイバイ(≧▽≦)ノシ))】

 

 

 

 

〈伊吹と椎名とのチャット〉

 

【ぶー、澪も図書館来ればよかったのにぃ】

 

【あんたらと違ってそんな読書に興味ないから】

 

【澪のいけずー。あ、そんでひよりんはカピバラ麻呂に本、又貸し出来たの?】

 

【はい。あのあと、綾小路くんのお部屋にお邪魔して気に入っていただけた本をお渡ししました】

 

【ふむ。ならよかったよかった】

 

【珍しいわね。あんたがそんなことするなんて】

 

【本当はあまりよくないことですが期日内返却を厳守するなら、と先生にご許可をもらえましたので】

 

【ひよりんは司書さんと仲良しだもんね】

 

【んー、でさでさ。遊びの話どうする?】

 

【一日のことでしょ。椎名がカラオケとか言ってなかった?】

 

【そうですね。あとはボウリングなんてどうでしょう】

 

【え? 穴掘るの】

 

【ええ、前々から地質調査をしたかったのです】

 

【ふむふむ。この学校の地下水位はどんくらいだろうねえ】

 

【それはボーリングでしょうが! 真面目に話せ】

 

【ごめんて、つい。うん、いいんじゃないかなボウリング。澪はどう?】

 

【いいよ、それで】

 

【では、ボウリングとカラオケに決定ですね】

 

【わーい!えへへ、待ち遠しいな☺】

 

【……そうね】

 

 

 

 

 

 

〈神室とのチャット〉

 

 

【坂柳が「28日は2階のカフェで」って】

 

【はいほーい。およ、神室さんから連絡とは珍しいね】

 

【別に。命令されただけ 】

 

【そかそか。んー、その日は神室さんたちも一緒?】

 

【そうみたいね。何か都合悪い?】

 

【いやいや。むしろ楽しみだよ。あんまちゃんと話す機会ないからね】

 

【あら。そう言われてしまうと少し寂しいです。ククリさん真澄さんに仲間外れにされたようで】

 

【………………あのう、キャロルさん。ご自分のアカウントで打ってくださいな。すごくびっくりしましたよ】

 

【ふふふ…… 】

 

【Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)】

 

 

 

 

 

 

〈綾小路とのチャット〉

 

 

【突然申し訳ない。春休み中で空いてる日はあるか? 出来るだけはやいほうがいいんだが】

 

【んーっとね、直近だと明日の午後とか? そこを逃すとまとまった時間取れるの後のほうになっちゃうな。お別れ会やら予定が詰まっててね。ごめんよ】

 

【いや、大丈夫だ。それなら明日の午後に会わないか】

 

【OK!】

 

【場所は……そうだなケヤキモールのカフェでどうだろう】

 

【うん、麻呂君の好きなとこでいいよー。時間もお任せするよ】

 

【わかった。じゃあ明日、26日の14時、ケヤキモール内カフェ集合で問題ないか】

 

【りょーかいっ】

 

 

 

 

 

〈綾小路から軽井沢へのチャット〉

 

【頼みがある。明日の午後4時、ケヤキモールのカフェに来てほしい】

 

【暇なあんたと違って、あたし忙しいんだけど】

 

無理なのか?】

 

【 行けるけどさ。今度からもうちょいはやく言ってよね。あたしにも予定ってもんがあるんだから】

 

【悪かった。気をつけるよ、恵】

 

【ん、よろしい】

 

 

 

 

 

〈橋本から龍園へのチャット〉

 

【3月30日、午前11時に会っちゃくれないか。場所はケヤキモール2階男子トイレ。勿論おまえなら知ってるだろうが、人気も監視カメラもない場所だ。用件は会ってから話させてもらう。録音や録画の心配はないぜ。こっちとしてもおまえとの繋がりを切られちゃまずいからな】

 

 

 

〈橋本から神崎へのチャット〉

 

【連絡しておいたぜ。返信はないが既読はある。3月30日の11時、ケヤキモール2階男子トイレ。龍園のことだ、遅刻はしても顔は出すだろう】

 

【一応、礼を言う】

 

【良いってことよ。だが忘れないでくれよ。この橋渡しの見返りは、おまえたちのクラスとのコネクションだ】

 

【ああ、俺はおまえを信用はしていないが利用価値はあると思っている】

 

【俺にとっちゃ褒め言葉だな。当日、龍園が来たら電話しておまえを呼ぶ。近くで待機していてくれ】

 

 

 

 

 

 

 

▦▩(SS:3倍返しの日)▦▩

 

「ジンギスカン、ジンギスカン」

 

 ククリは自室で何となく口ずさんでいた。

 

 妙に耳に残るその言葉を胸に、ふと思う。ジンギスカンキャラメルは賛否両論を巻き起こした──「意外とイケる」「口が地獄だった」「キャラメルだと思わなければいい」「食への冒涜(ぼうとく)。というか羊肉成分入ってないのに何故ジンギスカン」──が、そういえば自分はどういった経緯でこれを入手したのかと。

 

 ケヤキモールで北海道フェアをやるなんてことはない。となると通販で取り寄せたということになるが……。

 

「ああ、そっか」

 

 ポンと手を叩く。ピコーンと頭上で豆電球を(ひらめ)かせたような気分だった。

 

「桐山副会長。桐山生叶(いくと)先輩が発端だ」

 

 ククリは生徒会メンバー全員にバレンタインチョコを配っていた。男子勢からはホワイトデーにお返しをもらっており、桐山よりキャラメルを贈られたのである。

 

 美味しかったので他の味も、と色々とキャラメルを調べているうちに「まずい」をモットーに作ったという非常に攻めた商品のジンギスカンキャラメルまで行き着いたのだ。

 

 つまり桐山副会長のせいだな、とククリは適当に責任転嫁した。どう考えても冤罪である。

 

「しっかしホワイトデーかあ。すごかったよな」

 

 一般的にホワイトデーは3倍返しが基本とされる。由来はよくわかっていないこの言葉は非常に達成が難しいものだ。なんせバレンタインには手作りのお菓子をプレゼントされることも多い。原材料費や手間賃を正確に計算するのは不可能だろう。

 

 上手い返し方としては何か高そうなやつを贈るか、自分も手作りのものを贈るか。生徒会役員は前者であり、後者の典型例はアルベルトだった。

 

「バーティの女子力には勝てない自信があるよ……」

 

 可愛らしい、色とりどりのマカロンはその見た目通りとても美味しくて、もらってすぐペロリと平らげてしまったくらいだ。

 

「今度マカロンタワーでも作ってくれないかな。いや、お菓子の家も捨てがたい」

 

 お菓子作りの時間がなかったのか、経験がないのかはわからないが、他の人々からの贈り物は既製品だった。綾小路はポストにクッキーを投函してくれていたし、金田は紅茶をくれた。

 

 坂上先生からはノートを、石崎からは赤ペンと消しゴムをもらっている。しばらくククリは文具には困らなそうだった。

 

 龍園は何も寄越さなかったものの、まあ別にはじめから期待などしていない。葛城の歓迎会等の費用を出してくれただけで十分だろう。

 

「来年のバレンタインはもっとパーッと派手にやりたいなあ」

 

 ポイントの徴収さえなければ、と呟くククリの浮かべる怪しい笑みを見れば、龍園がまたバレンタイン付近でポイントの没収を図りそうなことは想像に難くなかった。

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