年齢詐欺じゃなくて本当に子供なエルフが魔法を極めるのは間違っているだろうか   作:ぺんたこん

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少し遅くなりましたが四話です





4話 試練

 

「はぁぁっ!」

 

パーティーの前衛の四人の中で唯一のLv2である大剣使いの男が、口を開けて炎を放とうとしていたヘルハウンドを袈裟斬りで屠る

 

その隙に、他の前衛三人はなるべく消耗しないように、連携しながらモンスターの数を減らしていく

 

「────集え 星華の星々」

「〈アルブ・ルミナ〉」

 

前衛が戦線を維持するのを、高速詠唱を駆使して唱えられたルフィリアの第二階位魔法が癒しを与え援護する

 

「───穿て、必中の矢 〈アルクス・レイ〉」

 

そして、全員が少しでも時間を稼いでいる間にレフィーヤが、魔法を詠唱をし、敵を殲滅する

 

この流れを何十、何百と繰り返し続けたところで、とうとう前衛の中でも、一人で多くの敵を倒し続けていたLv2の大剣使いの男の体力が、限界を迎え、周囲への注意が散漫になる

 

「ウォーーーーー」

「うっ・・・」

 

その致命的な隙をモンスター達が見逃す訳もなく、男はミノタウロスが持つ天然武器(ネイチャーウエポン)での攻撃を剣で受けることも間に合わず、まともに受け、頭から血を流し倒れ伏す

 

そこからは早かった

 

その次に他の前衛三人が、大剣使いの男が倒れたことにより、モンスターの集中攻撃を受ける

 

一人がヘルハウンドの炎を受けて重症を負い、残りの二人は、ミノタウロスの群れに腕や足の骨を折られ、アルミラージの追撃を受け、気を失う

 

全員死んではいないものの、ルフィリアの「アルブ・ルミナ」で治せる領域を超えている

 

ルフィリアの魔法である【アルコイリス】の第二階位魔法アルブ・ルミナはとても使い勝手の良い魔法である

 

詠唱を唱えると、青く輝く星を生み出すことができ、その星は、自身や他者に付与することで、その者を癒し続ける。そして、まるで星座を描くかのように複数の星どうしを繋ぎ、障壁を作り出すことも可能だ

 

しかし、万能故に、一つに特化していない魔法であるが故にLv1の現状では効果が少なく、多大な精神力を消費しても骨折程の傷を癒すことはできない

 

残り二人となった後衛には、あまたのモンスターの相手など出来ず、為す術なく吹き飛ばされる

 

レフィーヤが震える手をつき、顔を上げるとそこには、何百体も倒したはずのモンスターが戦う前と同じか、むしろ増えてさえいる

 

そして気を抜けば意識を持っていかれそうになるほどの気だるさに遅れて気づく

 

怪物の宴が始まってから一人で後衛の攻撃役を担い続けた身体が精神疲労を訴えていた

 

おもい頭を働かせるも、この状況を打開する策を何も思い付けず、レフィーヤが絶望に染まっていると、焦りを感じさせない落ち着いた声音がレフィーヤの耳に届く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レフィーヤ、使()()()()

 

レフィーヤが「何を」と聞く間もなく、ルフィリアはそれだけ伝えると、自身の持つ、代償を払うことによって発動する反則級のスキルを発動する

 

自分の背中が熱を持ち、溢れんばかりの魔力の手網を握りながら自身の剣を鞘から引き抜きながらモンスターの跋扈する戦場を駆け抜ける

 

「焼き尽くせ 撃滅の星」

 

そして「スターレイン」と、超短文詠唱で生み出された、数を数えるのも馬鹿らしくなるほどの無数の魔法の星の雨によってモンスターを蹴散らし始めた

 

レフィーヤは呆気に取られながらその光景を見つめ、ダンジョンに潜る前にリヴェリアから伝えられた「本当に危なくなったら、ルフィリアに()()を出せ。ルフィリアにもそう伝えておく」という言葉の本当の意味を理解していた

 

 

 

 

─────「悲鳴」、数百対一という圧倒的有利な状況下でモンスター達は、目の前で星と踊っているかのような自由な動きでモンスターの攻撃をかわしつつ、自分たちをまるでゴミを掃除するかのように屠っていく一人の子供に言い表せぬ恐怖を抱いていた

 

ミノタウロスが強靭な肉体をもって、一撃を叩き込もうと近づくも胸を複数の星で狙い撃たれ、魔石を穿たれる

 

アルミラージの速度を生かした背後からの攻撃も、まるで死角など無いかのように見切られ剣で両断される

 

ならば遠距離からならばと、ヘルハウンドが一斉に口を開けて炎を放とうとするも、その前に口の中を星の光で焼かれて、自身の炎で爆散する

 

魔法の物量、剣の腕、立ち回り、様々な点でルフィリアは、モンスターを圧倒していたが特筆すべきはその精密性だ

 

同時に生み出し続ける、数十はくだらない星の砲撃を、味方には一切当てずに変幻自在に操るその正確性は、都市最強の『魔法剣士』と呼ばれるヘディン・セルランドと同等かそれ以上であった

 

レフィーヤは、自分では未だ届かない平行詠唱を操り、前衛についてもなんの違和感もない技術、むしろLvを考えたら並ぶものの居ないほど洗練された技と駆け引きに目を奪われる

 

そして、僅か数分でモンスターは、その圧倒的な数を半分以下にまで減らしていた

 

しかし、ルフィリアにも決して余裕があるわけではなかった

 

 

 

 

 

 

「(スキルを使用し始めてからちょうど3分、時間が無い!)」

ルフィリアには時間がなかった。過去に 才禍追憶(スキル)を使った中で最長は5()()、それもその時は使用後にマインドダウンに陥っている

 

ルフィリアのもつスキル、才禍追憶には時間制限は存在しない。使用者が解除しない限り、永遠に使用し続けることが可能である。

 

 

しかし────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ・・・」

「ルフィリアさんっ!?」

 

ルフィリアが()を吐く姿に、レフィーヤが悲鳴をあげる

 

強大な力には代償が伴う────ルフィリアはスキル発動中、『毒』『麻痺』『機能障害』を初めとした複数の『状態異常』を併発する

 

かつて才禍の怪物と呼ばれた神時代で最も才能に愛された眷属とその妹を苦しめた病がルフィリアの身を焼き続ける

 

その苦しみは想像を絶し、さらに時間と共に苦しみは増加する

 

ルフィリアが歯を食いしばり、それらの苦痛を一旦意識の外へ追いやり、残るモンスターを殲滅すべく、再び詠唱を始める

 

「焼き尽くせ 撃滅の星───」

 

時間が足りないと理解したルフィリアは生み出した星々をモンスターではなく迷宮そのものに向けて撃ち出す

 

狙い違わず、迷宮の通路の天井を撃ち抜いた星々により、自分たちが脱出するための通路を一本残し残りの通路が崩落する

 

それにより数を減らしたモンスターの魔石のみを狙い魔法を撃ち、激声を上げながら最速で殲滅していく

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

星の砲撃と自らの剣でもってモンスターを倒し、スターレインの制限時間である30秒が経過したら、詠唱を瞬く間に終わらせ再び砲撃の嵐を見舞う

 

魔法が途切れる僅かな間に襲ってくるモンスターも剣の技で受け流し、時には逆に切り伏せる

 

スキルの効果により精神疲労を気にしなくていいことと、レフィーヤが倒れている仲間を一箇所に集め、戦い安くしたおかげで先程よりも早くモンスターの数が減っていき───

 

 

 

 

 

 

 

スキル発動からちょうど5分、ルフィリアは怪物の宴により発生したモンスター千体近くを狩り尽くしていた

 

「はぁはぁ」

 

疲労で息を切らし、片足を地に着けながらも、スキルを解除する前に倒れている者に回復魔法(アルブ・ルミナ)を使おうとし、立ち上がろうとした時、突如崩落させていなかった通路からモンスターが凄まじい勢いで吹っ飛んできた

 

「ルフィリアさんっ!」

 

レフィーヤの声が届くと同時に、ルフィリアはなりふり構わず前方に転がり何とかモンスタをやり過ごす

 

ドスンッ、ドスンッという地響きにモンスターが吹き飛んできた方向に目を向けるも、近づいてくる今までのモンスターとは違う、強大な気配にルフィリアの頬に自然と冷や汗が流れる

 

そして────

 

 

 

 

「グゥオォォーーーッ!!!」

 

 

 

 

これまで第二級冒険者を含む、冒険者21人を殺したライガーファングの強化種、ギルドによりLv3と判定された『緋色のライガーファング』が今、ルフィリア達の前に姿を現した

 

 

 

 

 

 





ルフィリアは元々魔法特化の才能ですが、剣など武器の扱いも才能が無いわけではないです

魔法に比べればほぼないようなものですが、他の冒険者達と比べるとむしろ才能はある方です

剣の才能(超ざっくり)
ベル<<ルフィリア<<<アイズ
みたいな感じです
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