魔法少女名“アイロニック”   作:黒犬

2 / 2
 流石に残酷な描写がないと言い切れないので、タグに追加いたしました。申し訳ありませんです。


俺ってまさか最強……?

 裏路地にて、死体の山を作る。

 少年は紫煙につられ、逃げた先は袋小路。そこに悪魔がいた。

 脳髄を啜るように人の頭を抱えている少女がいる。

 

 自分と歳の変わらないような少女を見つけ、急いで逃げるようにと声をかけて、それは間違いと気がついた。

 

 

 この惨状を起こしたのは彼女だと、まだ14に満たぬ歳で理解してしまった。

 

「あぁ……あ………」

 

 どさりと地面に倒れる。その少女は、少年を見たのち、手をあげ、紫煙を操る。その少年の命を刈り取ろうとして

 風に阻まれた。

 

 

「風の音に導かれ参上した!迷える少年よ。もう大丈夫だぞ。なんたって、この風の使徒ウィドウセイバーが来たからね!」

 

 少年と少女の間に割って入ってきたのは魔法少女であった。

 周囲一体の紫煙を飛ばし、少年が逃げる道を作る。

 

 

「聞こう。汝は何者だ?」

「何者か答えるのはナンセンスはたまた答えを求めぬ唯の問い。私に求めるのは問いというより人類の敵かどうかを見分ける話?なら私は人類の敵と答えよう。否、私は人類の敵ですらない。求めるは虹色の目玉、嘗て求めた神話なる物の時間を求め、人を狩り続けて姉を探している。私は汚れてしまった今さっきから頭痛がする皮肉だ。痛みから逃げているのに痛むとは嫌々嫌、姉が欲しい。姉の脳髄が、姉の瞳が、狂う狂ううううううううう愛、愛愛愛愛愛あいあいあああああいいいいいい!」

 

 少女から出てくるトチ狂った言葉の羅列。ウィドウセイバーはその言葉を意味のないと切り捨て、不可視の剣───風の魔法で少女に斬りかかる。

 たった1撃。それだけで少女の身体は崩れると確信して。

 

 しかし、彼女の予想に反して、少女は軽い身のこなしでそれを躱す。

 ウィドウセイバーは少し驚くも、冷静に周囲を見渡す。おそらくはあの紫煙にやられた物達。

 そして、彼女は煙を吸わぬよう、周囲への風を強める。

 

 彼女自身の経験……紫煙に触れても問題なかったと。吸わなければ大丈夫だと。

 

 誤解したまま。

 

 

「僕はね。怒っているのだよ。子供を傷つけたこと。人を殺めたこと。」

「やっぱり汚れた?私以上に汚れた人はいるのかしら。あるいはどうでもいい?人より貴方は何を取るの?」

 

 辺り一面に嵐が巻き起こる。

 少女は紫煙を出そうとして、それがすぐ掻き消されるのをみて首を傾ける。

 そして……

 

「僕の怒りを……受けろ、発狂者」

 

 その風はまず、周囲の壁を削った。次の瞬間、少女の全身を切り裂いた。少女は抵抗することもなく、ただただ切り刻まれていく。そして、最後に立っていたのは

 

 

 少女だけであった。

 

「吹き飛んだ槍は正義。しかしウィドウ?ウィンドウ?なんちゃらセイバーとやらの“力を得る”こともできなかった失敗失敗。ハートの場所も知ってそうだったから消し飛ばしたのは間違い?私失敗てへぺろ。愛どこ?脳髄を啜れない。」

 

 その少女は言うなれば悪魔であった。

 しかして、彼女の後ろから矢が放たれた。

 

「……?ああ。君たちはだぁれ?」

 

 魔法少女が何十人と居た。

 

 

 

 

 

 俺はそんな夢を見た。

 

 

 

 

 魔法少女には魔法庁という、魔法少女達を統べる組織がある。

 俺はそこで魔法少女の登録を行った。

 

「おい、ロス。お前のことなんて書いたらいい?」

『適当に書いとけ。』

「じゃあ犬って書くわ。」

『りょ。』

 

 そんな会話があったとかなかったとか……

 さて、それは置いておき、

 

「これが精霊と接続できる特別なスマホ……か。」

 

 魔法少女がどうやって怪人達の情報を掴むのか。

 それがこのスマホだ。

 このスマホは精霊達のネットワークに繋がっており、周囲にいる怪人のある程度の情報、魔法少女のランキング等が見れる。

 なんでとかどうしてとかはロスは教えてくれなかったが、まぁ、どうでもいいんだろう(多分)

 

 まぁ、俺がこのスマホを手に入れたかった理由は1つ。

 それは、これがないと魔法少女として正規に活躍できないからである。

 

 活動できないわけではない。ただ、野良の魔法少女は警戒対象になる。それがロスにとっては都合が悪いようだ。

 そうして受付も終わり、魔法庁の役員に1つの部屋に案内される。

 

 

 曰く、俺は異常であると。

 曰く、俺は怪人と繋がっている可能性があると。

 曰く……他の魔法少女のランキング上位が会いたがっていると。

 

 

「え、嫌なんですけど。」

「ですよね〜。」

 

 役員さんも俺が嫌そうなのを察してか、「何か理由つけて断っとくね」と、俺を返してくれた。

 この世も捨てたもんじゃないな。

 “昔”はこんな穏やかじゃなかったし。

 

 

 

「で、俺の魔法はなんだ。ロス?」

 

 魔法庁からの帰り、俺はロスに尋ねた。

 前に怪人としては最高峰の強さである竜王。

 それを一撃で消し去ったあの魔法を。

 

 ロスは笑いながら答える。

 

『己のより魔力総量が低いものを即死させる魔法だよ。大切に使いたまえ。』

 

 それはなんともまぁ……

 

「頭おかしいんちゃうか?」

『それな』

 

 ロスは案外ノリがいい。そう覚えた。

 

 

 

 

 

 目の前に堕ちる怪人。

 それは魔法のテストを兼ねたものだった。

 

「おいロス。こいつ耐えてんぞ?」

『おお、珍しい。即死耐性とは……貴重だぞ。』

 

 目の前の怪人には目もくれず、1人の魔法少女と精霊は嘲笑う。

 嘲られる。それは怪人……最近昇格したばかりだが、怪人達の幹部に名を連ねる者として許せることではなかった。

 

 口を開こうにも身体が動かない。

 四肢は痛みでもがくことしか許されない。

 

『そうそう。お前の本来の魔法の方も試してみるか?』

「あん?本来の魔法?」

 

 怪人の耳に聞こえないほどの声量で話しはじめられてはどうしようもない。

 逃げようと四肢を動かすも、たいして効果は現れない。

 

 

 

 ジタバタともがき、苦しむ怪人の前に魔法少女が立った。

 その姿はまるで…………捕食者。

 

「イタダキマス。」

 

 突如として脚の痛みがなくなる。

 それが、もう既に脚がないと気がつくのに10秒程経った。

 

 

 そして、己の運命を理解した。

 

 

「イタダキマス。」

 

 

 

 

 

 

《魔法少女シリーズ Wiki》

 

・発狂者

 魔法少女シリーズにおける、大罪人。

 魔法少女は他の魔法少女を、怪人サイドでは怪人を多く殺したものが得るナニカ。その精神は発狂し尽くしており、治療の前例は1つだけである。(それも本人の能力によるもの)

 

・魔法

 簡単に言えば、RPGの魔法。MPを払い、その分の魔力をぶつける。技量、魔力、魔力総量全てが大事である。

 

・ロス

 精霊(?)

 元ネタはティンダロスの猟犬である。黒犬 姫の契約精霊であり、姫をデウス・エクス・マキナにした張本人。

 その目的は、禁則事項である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。