ハムちゃんと行く実力至上主義の教室へようこそ。   作:マチルダ鈴木

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事件についての内容、そして坂柳と仲良くなるお話です。


5月1日(後編)

エレベーターが私達の部屋がある階に到着した。

私と坂柳もエレベーターから降りる。

 

 

「…あの、藍宝さん。」

 

 

「ん?なあに?」

 

 

部屋に向かう途中、廊下を歩きながら彼女は話す。

坂柳が少し恥ずかしそうにしながら私にこんな提案をした。

 

 

「その、大福さんにお会いさせて頂く事は出来ませんか?」

 

 

随分可愛らしいお願いだが返事はこれしかない。

 

 

「大福さんに?良いよ。なるべく静かにお願いね。」

 

 

私は坂柳を連れて自室に向かった。

洗面所に案内し、ハンドソープとうがい用のコップを手渡す。

 

 

「手洗いうがいはしっかり頼むよ。」

 

 

その後私も同じように感染症対策を行い、大福さんの住まう寝室へ向かった。

 

 

「適当に掛けて。慣れるまで接触はさせられないけど、好きなだけ見て行って。良かったら、これ食べない?」

 

 

そう言い私は棚に置かれていたシーフード味のカップラーメンを手に取り、彼女に見えるように高く掲げる。

このラーメンが1番安価で、この学校の中ではかなり人気な商品だ。

 

 

「そ、それはカップラーメンですよね?」

 

 

坂柳は信じられないといった様子でカップラーメンをまじまじと見つめ、興味津々のようだ。

 

 

「この学校に来て初めて食べたんだけど、すっごく美味しかったんだよね。今日は疲れたから、これで済ませようかなって思ってたの。どう?食べていかない?」

 

 

「本当に宜しいのですか?」

 

 

彼女がおずおずと尋ねてくるが、その瞳は子供のようにキラキラと輝いていた。

 

 

「勿論!ちょっと待ってて、お湯沸かしてくるね。」

 

 

お湯を沸かし、カップに注ぐ。

二人分の飲み物と割り箸を持って坂柳のいる寝室へ戻る。

 

 

部屋に着くと坂柳は興味津々といった様子で大福さんを観察していた。

彼女の表情はいつもより柔らかくなっており、心無しかどこか楽しそうに見える。

大福さんはいつもの日課の回し車の中で走っており、カランカランと音が鳴る。

 

 

「坂柳さん、好みが分からなかったから、お水を持ってきたけど、一応麦茶とパックの紅茶、レモネードもあるよ。」

 

 

背後から声をかけると坂柳はハッとして振り返る。

 

 

「ありがとうございます、お水で大丈夫ですよ。」

 

 

私達はカップラーメンが出来上がるまで少し雑談をする事にした。

 

 

「藍宝さん、大福さんは普段何を食べられるのですか?」

 

 

「ペレットや野菜が主なご飯かな。たまにミックスフードを混ぜたり、フルーツを買ってプレゼントする事もあるよ。おやつにはチーズとかハムスター用のクッキーやウエハースなんかをプレゼントする事が多いかな。」

 

 

「おやつはどのくらいの頻度で与えているのですか?」

 

 

「2日に1度のペースでプレゼントしてるよ。体重を3日に1回測ってるから、それを見ながらって感じだね。」

 

 

「なるほど。勉強になります。ゲージ安箱のお掃除はどのくらいの頻度で行っているのですか?」

 

 

「巣箱とトイレは毎日、床材は3日に1度。ゲージは本来は1ヶ月くらい掃除しなくても良いんだけど、私は細菌とかカビとか気になっちゃって、週一でやってるよ。ゲージのお掃除中は、大福さんにあそこにある1階建てのゲージに移動して貰ってるよ。」

 

 

そう言い私は棚の上にあるいちごをモチーフにしたゲージを指さした。

これは少し小さめのゲージだが、回し車があり、トイレがおけて大福さんが潜るスペースも十分に確保されており、日常的に住んでも問題ない物だ。

しかし、今使っている大きめの二階建てのゲージの方が冷却グッズを中に入れる事が出来る為、このゲージを使用している。

 

 

「とても可愛らしいゲージですね。」

 

 

「だよね!この見た目に惚れて買ってしまったんだよね。」

 

 

「…そろそろ3分経ちましたか?」

 

 

「あ、本当だ!麺が伸びちゃうね!早く食べないと。」

 

 

シーフード味のカップラーメンを音を立てて啜る。

口の中で程よい塩味麺に舌鼓を打つ。

 

 

「美味しいね。こういう物は食べさせて貰えなかったから、この学校に来て初めて食べた時、あまりの美味しさに泣いちゃったんだよね。」

 

 

「私も今日初めてカップラーメンを食べました。とても美味しいですが、やはり健康面が不安ですね。しかし、やみつきになってしまいそうです。」

 

 

 

カップラーメンを嬉しそうにすする坂柳に釣られ、私も嬉しくなって頬が緩んでしまいそうになる。

 

 

「坂柳さんのお家も厳しいんだね。まあ、たまにはこうして罪の味を楽しむのも有りなのかな?」

 

 

「ふふふ、そうですね。たまにはこういう食事も良いかもしれません。私の父はこの学校の理事長を務めているのですが、私が幼い頃から教育熱心な人でした。そして、人の数倍体が弱い私の健康にも気を遣っており、バランスの良い食事しか食べた事がありません。」

 

 

まさか理事長の御息女だったとは。

確かに理事長とは苗字が同じだが、気付くのは難しいだろう。

何故なら理事長と会う機会が無いから、容姿を見る機会がなく、同姓の他人と考えるのが一般的ではないだろうか。

だから確信を持つ事は難しい。

理事長の御息女という事は、裕福な暮らしをしてきたのだろう。

羨ましい限りだ。

 

 

「わあ、そうだったんだ。私の家は一般家庭だから教育に厳しい訳では無かったけど、母が健康に厳しくてさ。市販のスナック菓子は禁止で、母の手作りかフルーツがおやつだったよ。」

 

 

「手作りですか。お母様はお料理が得意なのですか?」

 

 

「得意って訳じゃないけど、料理を作るのが好きな人だからね。色々作ってくれたよ。」

 

 

「とても優しいお母様なのですね。」

 

 

その後学校生活や好きな本について話し、ラーメンを食べ終えた。

後片付けをしていると、坂柳がこんな事を言い出した。

 

 

「軽井沢事件」

 

 

私はその言葉を聞いた瞬間、手に持っていた布巾を床に落としてしまった。

これが布で良かったと安心しながらも、心拍数が上がり、体温が上昇していくのを感じた。

 

 

「…やはり、藍宝茉莉花さんは軽井沢事件の唯一の生還者だったのですね。」

 

 

「…事件の事、知ってたんだ。私達が小学3年生の頃の話なのに、同年代の子が覚えているなんてちょっと意外だなあ。」

 

 

軽井沢事件。

7年前の夏休み、私は同級の友人や幼稚園時代の友人と共に軽井沢の別荘へ出掛けた。

保護者同伴で、バーベキューをしたりボートに乗ったり、キャンプをしたり、自然の中で夏を満喫していた。

キャンプ最終日の日から私の記憶は抜け落ちている。

 

 

聞いた話では、子供達が大人から離れて、近くでサマーキャンプをしていた子達と一緒になって遊び始め、その後私と私の双子の姉、友人の兄、サマーキャンプに参加していた女の子が行方不明となってしまった。

大人達が慌てて捜索を開始し、一日経っても見つからず、現地の警察にも連絡をしたそうだが、結局それから二週間後に私が森の中で鹿や鳥、リスに囲まれてた状態で発見された。

発見された時、私は倒れていたらしいが外傷はなく、栄養失調を起こし衰弱している事を除いて問題は無かった。

 

 

救出された時私は友達が誘拐されたと泣き叫んでいたそうだが、事件のショックからか記憶を失ってしまったらしい。

その後腐敗した5人の子供の死体が発見され、これを誘拐殺人事件として捜査が行われたが、手がかりはほとんどなく犯人は見つからなかった。

5人の子供の死体の中には、サマーキャンプをしていた相坂空という少女と私の双子の姉である香澄、私の幼馴染の兄である司のものもあり、私や友人達に大きなトラウマを植え付けた事件だった。

 

 

残り2人の子供は近くの別荘に遊びに来ていたらしく、キャンプ場で誘拐された訳では無いようで、共通点も見つからない。

だから無差別誘拐殺人だと断定されていたが、真相は闇の中だ。

 

 

「実は事件が起きた夏、私も軽井沢の別荘に来ていたのものですから。私が東京に戻ったタイミングで事件が発覚し、とても驚きました。身近で起きていた、という事実から恐怖心は私の中に残り続け、今も忘れる事は出来ません。」

 

 

まさか坂柳も事件の起きた軽井沢に居たとは驚いた。

だが、たしかに幼い子供にとって身近で殺人事件が起きたなんて話を聞けば、トラウマになってしまってもおかしくはない。

 

 

「…あの事件が起きた時、私の傍には動物がいたんだって。周りには木の実が沢山落ちていて、私を助けようとしてくれたんじゃないかって思ってるよ。そばに居た動物達に心優しい友達を重ねて、私は気を失った。唯一私が持っている記憶がこれ。」

 

 

何があって、あんな残忍な事件が起きたのか。

あの場所で一体何を見たのか。

私は知らなければいけないのかもしれない。

だけど知る事は恐ろしい事だ。

事件について思い出そうとすると、激しい頭痛に襲われ、何も考えられなくなる。

だから私は何も知らないまま生きてきた。

でも、これ以上は──

 

 

「なにやら思い詰めているようですね。無理をしても良い事はありませんよ。それに大福さんも心配そうに貴方を見つめています。」

 

 

坂柳の声により私の意識は現実に戻され、ゲージの中にいる大福を見た。

大福はゲージの格子を掴んで私を見つめている。

私はゲージを開け、棚からハムスター用のチーズが入った袋を取り、チーズを1つ取り出した。

そして大福さんの口元へチーズを持っていき、そっと頭を撫でる。

 

 

「…心配してくれた、のかな?ありがとう、大福さん。坂柳さん、それでも私は思い出さなきゃいけない気がするの。何か、大切な事を忘れている気がするの。」

 

 

大福さんはチーズを食べながらも私の方を見ており、絆を感じる。

 

 

「…こんなに小さな大福さんも頑張ってるんだから、私も頑張って思い出さなきゃ。犯人は絶対に許さないよ。」

 

 

犯人への憎悪を糧に、私は前へ進む事にした。

もう二度と、こんな事が起きないようにする為に。

 

 

「藍宝さん…私は貴方が何故名桜大の附属からこの学校へわざわざ進学したのか、疑問に思っていました。貴方は秀才と呼ぶには十分な学力をお持ちですし、高等部へ進学する基準を満たしていないとは考えにくい。なら何故か?…貴方の身に危険が迫っているから、ではありませんか?」

 

 

まさか、私の入学する目的を完璧に当てられるなんて思いもよらなかった。

しかし、彼女の言う通りだ。

私の周りをうろちょろしている不審者から逃れる為に、この学校へ入学した。

 

 

「よく分かったね。そう、その通り。私の周りをうろつく不審者が現れたんだ。マスクにフード、サングラスをかけた不審者。監視カメラの死角を熟知しているのか、うん管轄の警備会社に連絡したけど、足取りは掴めなかった。実害はまだ無いし、警察にも頼れない。だからセキュリティの質が高いこの学校に来たんだ。」

 

 

ヒントはあった。

以前、葛城や坂柳とこの学校の監視カメラの多さについて話した事がある。

そしてあの日、私は防犯設備が整っているからこの学校を受験したと話した。

だから軽井沢事件の生還者だと知っていれば、この学校に入学した目的を推測出来る可能性はある。

だが実際に全てを見透せるなんて、誰が思うだろうか。

坂柳有栖、分かっていた事だが彼女は只者ではない。

 

 

「もし、あなたの周りをうろつく不審者が、唯一の目撃者である貴方を消しに来た犯人だとすれば一大事ですからね。我が校に入学するのも頷けます。」

 

 

「まあ、その可能性は低いと思うけどね。後、私は別に成績上位者ではないよ。名桜の中では中位に位置してたしね。」

 

 

「ふふふ、ご謙遜を。もし何かあれば力になりましょう。」

 

 

坂柳は私に手を差し伸べてきた。

私達は友好の証である握手を交わす。

 

 

「ありがとう、坂柳さん。良かったら、下の名前で読んでも良いかな?」

 

 

「構いませんよ。私も茉莉花さんとお呼びしても宜しいですか?」

 

 

「勿論だよ。これから宜しくね、有栖ちゃん。」

 

 

「ええ、こちらこそ。仲良くしてください。」

 

 

私達はもう少し雑談を続け、一時間ほど一緒の時間を過ごした。

 

 

「今日はありがとうございました。茉莉花さん、良かったら今度一緒に出かけませんか?その、モールに入っているペットショップに行って見たい思っているのですが…」

 

 

「ペットショップ?勿論!私もそろそろ大福さん用のひんやりハウス買いたいなって思ってたんだ。」

 

 

ひんやりハウスとは、ハムスターが夏場も涼しく過ごせるように作られた巣箱の事だ。

ひんやりハウスは2段階構造になっており、上の段に氷や冷たい水を入れる事で下に入ったハムスターが夏場も涼しく過ごせるというものだ。

日中はエアコンをつけっぱなしにして、快適な温度を保っているが、課金をする為に夕方は窓を開ける事も多い。

だから、その時間はひんやりハウスを使って涼しく過ごして貰いたいと考えている。

だから7月までには買っておきたい。

 

 

「そうですか!ありがとうございます。実は、少し動物に興味がありまして。まだ飼いたいとは思っていませんが、可愛らしい姿を見れればと思っています。」

 

 

ペットショップにいる動物達を見たいという事らしいが、実際大福さんにあって動物を飼いたくなってしまったのだろう。

 

 

「日時についてはまた今度決めよ。また明日ね、有栖ちゃん。」

 

 

「ええ、分かりました。また明日お会いしましょう。」

 

 

坂柳が部屋から出て行ったのを見届けて、シャワールームに向かった。

頭と体を洗い、部屋に戻って保湿クリームを体に塗りたくって行く。

 

 

「あ、大福さんもう寝てる…」

 

 

大福さんは回し車の上で気持ち良さそうに眠っていた。

 

 

「珍しいな。日中起きてたのかな?」

 

 

まあそんな事もあるか、と思いながら中間テストの勉強を始める。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜???side〜〜〜〜〜

 

 

 

「…やっぱり藍宝茉莉花って7年前の軽井沢事件の生き残りだ。」

 

 

ウェブサイトで軽井沢事件について調べれば、藍宝を小さくしたような姿の少女の画像が出て来た。

あの事件の生き残り、奇跡の少女、悲劇のヒロインとテレビに持ち上げられていたが、事件の記憶を失い犯人に関する手がかりはゼロ。

犯人が見つけられる訳もなく、今も尚殺人鬼は夜に放たれたままだ。

 

 

「藍宝さんが悪い訳じゃないって分かってるけど、記憶を失うなんて無責任にも程がある。」

 

 

被害者の家族達は唯一生還した彼女の証言を待ち望んでいた。

しかし、彼女は何も覚えていなかった。

記憶は数ヶ月経っても戻らず、警察は厳しい捜査を強いられた。

 

 

「藍宝さんが覚えていれば、犯人を見つけられたかもしれないのに。」

 

 

やり場のない怒りふつふつと湧き上がってくる。

この感情を吐露してしまえれば楽になれるのだろうが、そんな事をしたらこの学校で築いた地位が脅かされてしまう。

 

 

あの事件が起きた後、母親は私に強く当たるようになり、父親に助けを求めても何もしてくれなかった。

優秀で、優しくて、可愛らしいあの子はいつも両親に愛されていた。

私はそんなあの子が嫌いだった。

だから、私はこう言った。

 

 

『湖の近くにぬいぐるみを落としてきちゃったの。』

 

 

あの子とお揃いのぬいぐるみ。

可愛らしいピンクのリボンが着いたクマのぬいぐるみ。

きっと優しいあの子はぬいぐるみを探す為に湖へ行ってくれるはず。

 

 

『ええ、本当?せっかくお揃いで買って貰ったのに。』

 

 

お揃いなんていらない。

アンタと比べられてばかりの人生なんてもうゴメンなのよ。

 

 

『分かったわ、私湖の方を見てくる。』

 

 

しかし実際ぬいぐるみはテントの中に置いてある。

私は少し意地悪をしたかった。

いつも家族の愛を受けるあの子が妬ましかったから。

 

 

あの子が出て行ってから、夜になっても帰ってこなかった。

サマーキャンプは一時中止になり、キャンプ場のスタッフや参加者の大人達が必死に探したが、見つからなかった。

私はあの時、湖に向かったという情報を伝えるべきだった。

だけど、両親やあの子に嫌われたくなくて何も言い出せなかった。

 

 

その後、近くでキャンプをしていた子供も2人居なくなっており、その家族の子供の証言では、あの子が湖に向かう途中、子供達と出会い、少し一緒に遊んだらしい。

他にもサマーキャンプをしていた子供達がその家族の子供達と遊んでおり、かくれんぼを始めてから行方が分からないらしい。

 

 

そして約2週間が経過した頃、唯一の生還者が救出され、他の行方不明になっていた子供達も死体となって発見された。

私は死んで欲しいなんて思った事一度もない。

どうしてあの子は死んでしまったのだろうか。

 

 

きっとこの怒りは何も出来なかった私に対するものなのだろう。

あの子を嫌った私に対して抱いているものなのだろう。

今更どれだけ謝ったとしても許される事ではないが、この怒りを発散する術はない。

だからあの事件の生き残りである藍宝茉莉花に向けるしかないのだ。

 

 

「藍宝茉莉花…全部、全部アンタが悪いのよ!」

 

 

可愛らしいクマのぬいぐるみを壁に向かって投げると、クマに耳に着いていたリボンが外れた。

クマの可愛らしいつぶらな瞳が私を見ているような気がしたが、私は無視して布団を被る。

 

 

空、ごめんね。

私があんな嘘をつかなければ、アンタは生きていたのに。

 

 

ブーブーと通知音が響く。

携帯を確認すると平田君からだった。

 

 

『今日学校を早退したって聞いたんだけど、大丈夫かい?もし辛いようなら、病院に行った方が良いよ。皆君の事を心配しているからね。お大事にね、ゆっくり休んで。』

 

 

今日早退した事を心配してくれていたらしい。

彼氏のフリをお願いしているだけなのに、恋人のように心配してくれる。

彼の優しさに申し訳なく思うが、すぐに『大丈夫』だと返信を返した。

 

 

「…はあ、もう寝よう。」

 

 

藍宝茉莉花、アンタが証言してれば少なくとも犯人は見つかったかもしれないのに。

何がなんでもアンタに思い出させてあげるわ。





■軽井沢恵

軽井沢事件に双子の妹である相坂空が巻き込まれ亡くなった。
空とは常に比べられており、彼女に対して深い憎悪を抱くようになる。
しかし、空が亡くなり両親は離婚し、母親にも強くあたられるようになり絶望する。
そして相坂空を巻き込んだであろう、事件の生還者の藍宝茉莉花を強く憎むようになる。
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