キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。 作:旅する野良猫
十話が書けたので勢いのままに放流します。
一話ぶりの8000字超え、歴代トップクラスの難産でした。
今回からvol.1補習授業部編後編となります。
前編と違い、今後いきなり湿度が高くなったり重力変動が起きたりするかもしれませんが、ご了承下さい。
総UA10万超えました、ありがとうございます!!
ドタドタと喧しく教室に先生が入ってくる。
「あ、先生!」
「ごめんね、ちょっと遅れた」
「いえいえ……! あ、ところで見てください! こちら、ちょうど先ほど受けた試験の結果です!」
第2次補習授業部模試、結果。
ハナコ100点
アズサ62点
コハル56点
ヒフミ74点
ルカ 94点
「あと一点っ!!?」
口惜しさのあまりドンと思わず机を叩いてしまい、コハルが驚く。
「あっ……ご、ごめん」
「い、いいけど、びっくりした」
何が原因なのか確認すれば計算の途中式を省略したことでマイナス一点が付いたらしい。
だとしても途中式なんて書いてたらそれだけで試験時間過ぎるだろ。理不尽では……?
「で、でも紙一重でしたし、すごく惜しかったです……!!」
「ハナコを見てそれでも同じことが言える……?」
「うふふ……ルカちゃんは可愛いですね♡」
採点結果をヒラヒラとしながら俺に微笑むあの表情!!
「い、いえ、ルカちゃんは私達と違う問題をやっているんですから普通のことだと思いますよ!?」
「あんな"私はテストを変えても満点取れます♡"みたいな顔されて悔しいんだよ!! 見て、あの顔!! 滅茶苦茶腹立つ!!」
「気持ちは分かりますが、私達もまだ90点超え出来てないですから……!」
「うん、でも確実に成果は出ている。私もコハルも点数は着実に伸びている」
「ほ、ほらアズサちゃんもこう言ってますし……」
絶対に後で満点取って煽り散らかしてやる……!!
補習授業部部長としての威厳的なのも欲しいしね。皆、俺をとりあえず縛っとけば逃げないだろってちょっと扱いが雑な気がするんだ。
本気になったら逃げれるんだからな!?
「う、うん……皆頑張ってるね」
「はい! この調子でしたら、思っていたより早く目標に届くかもしれません!!」
「必ずや任務を成功させて、あのスカルマンの巨大ぬいぐるみを受け取ってみせる。それが、今私がここにいる理由であり戦う目的……」
ひそかに闘志を燃やしているアズサはそれほどまでにスカルマンのぬいぐるみが欲しいのか、もはや退学阻止とか頭から抜けているのではと思えるほどに詰め込んで勉強している。
「あ、アズサちゃん!? ここにいる理由は試験と勉強であって、目的は落第による退学を免れることですよ!? いつの間に変わって……!?」
「退学……あぁ、そういえばそんなこともあったな。ついでにそれもやっておこう」
「『ついで』!? 退学の方がついでなんですか……!? あうぅ……そ、その、モモフレンズファンとしては嬉しくもあるのですが、学生としてはなんというか……」
「いやヒフミも大して変わんないからね?」
普通に接していると時折忘れかけるがアズサ以上にモモフレジャンキーでありペロロ狂信者なのがヒフミだ。
ゲリラライブはおろかレアグッズのためにブラックマーケットにお嬢様学校の制服で彷徨く程度には狂信者なのだ。
「い、いえ、そんなことは……」
「普通の学生は退学懸かってるなか、ゲリラライブには行かないし道中で人を轢かない」
「う、うぅ……」
いや、そんな悲しそうな顔でこっちを見られても……
だってただの事実じゃん。
最近あつかいが雑なことはそんな引きずってはいないけど、とりあえず事実でヒフミをタコ殴りにしていると来客のベルが鳴った。
「あら、どなたいらっしゃったみたいですね?」
「そうですね……この合宿所に、どんな用事で――――」
「侵入者か。問題ない、朝食前に準備しておいてある」
「は? え、アズサ、今日私が朝から必死で解除した42個のブービートラップ付け直したの?」
朝食を仕込んでその合間にアズサ作のトラップをひたすら解除した手間は……?
「正確には48個だ。非常用昇降口と倉庫裏の勝手口、体育館通路は残ってた」
「張っ倒すぞマジで。私、トラップ止めろって何べんも言った気がするんだけど……?」
凛々しくアズサはキメ顔をしているが、頼むからやめてほしい。
「いらっしゃらないのでしょうか……し、失礼いたし――きゃぁっ!?」
そんなことを言っているうちに来訪者がドアを開けたのか、爆発音が響く。
「突然連絡もなく訪れて侵入するなんて普通はない。やはり設置しなおしておいて良かった。今の音からして正面出入口だろう」
「あ、アズサちゃん!?」
トラップが起動ししみじみと頷いてどこのトラップか説明しているが周りは困惑の表情か頭痛に苦しんでる顔をしている。なお俺は明日からトラップの処理を変える必要があることに頭を抱えている。
「い、今のは一体……? え、あ、ここにも……!?」
銃声が聞こえ、それから爆発音がいくつも連鎖する。
「……銃弾で処理をしたか。だが移動するであろうラインからは死角の範囲にもちゃんと仕掛けてある。いくつかは処理してから時間差で炸裂するようにしてある」
「アズサちゃんっっ!!?!?」
アズサの言葉に呼応するかのように次々と爆発し合宿所を揺らすトラップ達。しばらくの間爆発音と振動は続き、アズサが仕掛けたトラップの数を改めて思い知る。そして、やっと静まったが……
「……大怪我とか、して……ないわよね?」
「……そう、信じたい。というか、私申し訳なさ過ぎて行きたくない」
「ですが、行かないという訳にもいけませんから……」
「うん、行こう」
「あ、あの、アズサちゃんは少し反省してくださいね……!?」
アズサを除き、みんな苦い顔でぞろぞろと爆心地へと向かう。
「けほっ……げほっけほっ…………」
塵埃と炸裂した火薬特有の焦げ付いた匂い。爆破によって生じたのであろう黒い煙の中心地で少女が凄く咳き込んでいた。
「だ、大丈夫ですか……!? け、怪我とかは……?」
「きょ、今日も平和と安寧が……けほっ、あなたと共にげほっ、けほっ……」
「まずご自分の安寧を心配してください!?」
「あ、その、怪我はないのですが、けほっけほっ……この通り、少々煙が凄くて……」
「いや少々どころじゃないでしょ、この煙と埃は……というか、やっぱりマリーか」
「あ、せ、先輩……」
アズサが侵入者迎撃用に仕掛けまくったトラップにかかっていたのは、シスター服に身を包んだ金茶の髪色をした大人しそうな少女だった。
「はいお水」
コップに注いだ水をコハルが椅子にマリーの前に置く。
「ありがとうございます」
ひとまずマリーを連れて全員で教室に戻り、現在教室。
アズサには絶対休憩中に正面入り口の掃除をさせる。
「その……びっくりしました。ドアを開けた途端にトラップが作動して……」
机を挟んで対面に座る俺とマリー。そしてそれを囲うように補習部メンバーが立っている。
……いやおかしくない? なんでこんな取り調べみたいになってるの?
マリーもマリーで、小動物のように縮こまってクピクピと渡された水を飲んでるし。
「ふぅ……あ、その、引っかかってしまったトラップ以外にも、つい危ないと思って引っかかってしまいそうだったり目に入ったトラップを壊してしまったのですが……」
「あぁー……いい、いい。あれはアズサが悪いから幾らでも壊して貰って構わないから」
水を飲み終え、一息ついたところで思い出したように確認をされる。
むしろ、壊してくれたことに感謝すらしているのだ。怪我がなくてなによりである。
「アズサちゃん……」
ヒフミが気まずそうな顔をしたアズサに小声で呼びかけ、マリーの前に押し出す。
「……その、ごめん、なさい。トラップで困らせて」
「いえ、私も壊してしまったりしたので……」
アズサが素直に謝り、壊したからと許すマリーだが正直これにかかったのが一般生徒とかだったら合宿所が戦場になっていたところである。
「と、ところでどうして、シスターフッドの方がこんなところに……?」
「あ、それはその……補習授業部の方々がいらっしゃると聞きまして。ただ、先輩やハナコさんがここにいらっしゃるとは存じておりませんでしたが……」
そう言って、ちらりと見て様子を伺われる。
「……いつもの巻き込まれ事故」
不満たっぷり、溜息みっちりで伝えたその一言ですべてを察したのか、優しくマリーは笑う。
「ふふ、それは……先輩らしいですね」
「どういう意味だよ……何も嬉しくない……」
マリーにとっての私はどういう存在なんだ?
何故先輩呼びなのかも聞いたらはぐらかされたし。
「ルカ、知り合いなの?」
「まぁ……トラブル絡みで縁があったと言うか、何というか……」
本当に色々あったのだ。
普段銃を使わないはずのマリーが銃を扱うところを目撃したりとか、サクラコ様絡みのトラブルだったり……
「でもルカちゃんを訪ねて……というわけでも無さそうですね。補習授業部に、どういった用事で?」
「はい。本日は、補習授業部の白洲アズサさんを訪ねてこちらに参りました。伺ったところ、ここにいらっしゃると聞きまして」
「私?」
きょとんとしたアズサにマリーは言葉を続ける。
「はい。じつは、先日アズサさんが助けてくださった生徒の方から、感謝をお伝えしたいとのことでして。諸事情ありまして、こうして代わりに」
「感謝……?」
アズサに対し、改めて向き直す。感謝する出来事の内容故にか、マリーはゆっくりと口を開く。
「その、クラスメイトの方々から、いじめを受けてしまった方がいらっしゃいまして……その日もどうやら突然、建物の裏手に呼び出されてしまったのだと聞きました」
先生の顔が一瞬強張る。
ちょっと離れた所からこっちを見ていたので、マリーに集中しているであろう他の部員や、話をしているマリーには先生の顔を恐らく見えていない。だが俺の目線に気付いた瞬間に俺を見てにへらっとちょっと胡散臭い雰囲気のする柔らかい笑みで、マリーの話を聞きなさいと促された。こういう所はしっかり先生をしている。
「そんなことが……」
「いじめ……っ!?」
マリーの話にヒフミとコハルが声を上げる。
だが同時にトリニティの暗黒面、トリカスと言われる負の一面を知っていた俺やハナコは苦い顔をする。
俺に関しては原作ストーリーで分かっていたというのもある。
「あぁー……いじめ、かぁ……」
「まぁ、聞かない話ではありませんね。みなさん狡猾に、それに陰湿な形で行うせいで、あまり表に出てきにくいですが」
「はい。私たちも、その方からの相談を受けてようやく知ったのですが……呼び出されてしまった日に、偶然そこを通りかかったアズサさんが、彼女を助けてくださったとのことで」
「そ、そうなんだ」
コハルが意外なモノを見る目でアズサを見る。まぁ、気持ちは分からないでもない。はたから見れば爆弾魔のテロリストだもんな……
「……あぁ、そういえばそんなこともあったな。あれは、数に物を言わせて弱い対象を虐げる行いが目障りだっただけだ、なにしろ……」
顎に手を当て思い出したのかポンっと手を叩いて説明をしようとするアズサの言葉をマリーが被せるように話す。
「そしてその後アズサさんに怒られた方が、正義実現委員会と連絡を取られて……どのように歪曲されたのか分かりませんが、正義実現委員会とそれなりの戦闘に発展してしまったようで……」
「!?」
「そうしてアズサさんは催涙弾の倉庫を占領し、正義実現委員相手にトラップを駆使して3時間以上戦い続けたと……」
「それってあの時のじゃない!? なんで説明しなかったのよ!?」
思い当たる節が有ったのだろう。コハルがアズサに問い詰めるように話す。だが、アズサとしてはそれでは納得仕切れなかったのだろう。悪知恵を回して立ち回る
それに正実としても暴れているアズサを鎮圧することを優先するから話をするタイミング等ほぼ無かっただろう。
「……何がどうであれ、私は売られた喧嘩は買う。あの時も弾薬さえ切れていなければ突撃も防いで長く戦えてたし、あれ以上に道連れも増やせた」
「道連れを増やそうとするな、ウォーモンガーじゃないんだから……」
「あ、あはは……」
「それで、その方が報告も兼ねて私たちの元を訪ねてくださり、アズサさんに感謝をしたいと。ただ学園では見つからずに、訪ねて回ってここにたどり着いたという次第です」
本題である感謝の内容だ。
「……そうか。でも私は、特別感謝されるようなことを別にしたわけじゃない。結局私も捕まってしまった」
「後半に関しては……そ、その、アズサちゃんの説明がなかったから起きたような気がしますが……」
「まぁ正実側からしたら暴れてる所見ちゃってるから鎮圧せざるをえないからなぁ……」
ヒフミが何とかならなかったのかと苦悩の表情をする。
そういう所はヒフミの優しい部分で主人公たる一面だ。
「それにあの事態は気の毒だけど、いつまでも虐げられているだけじゃダメ。それがたとえどんなに虚しいことであっても、抵抗し続けることを止めるべきじゃない」
「そうかもしれませんね。あの方にもそう伝えておきます」
「……先輩もそうでしたがアズサさんも暴力を信奉する氷の魔女だなんて噂がありましたが、やはり噂は噂ですね」
「ふふっ、ですが意外と『氷の魔女』らしいところもありますよ? ほら、他の方からするとちょっとだけ表情が読みにくいですし」
「ほらアズサ〜、スカルマンの缶バッジを上げよう」
「ᓀ‸ᓂ」
俺がカバンに入ってるモモフレのガチャバッジシリーズでダブってたスカルマンの缶バッジを見せて、渡すとキリッと凛々しい顔で嬉しそうにバッジを掲げている。
「……その、大分分かりやすい方では?」
「ルカちゃん相手には氷も溶けるようで……」
困惑しながら今にも小躍りしそうなアズサを見る二人。
「まぁ、噂なんてほとんど当てにしない方がいいよ。噂と正反対みたいな子もいるわけだし……」
「る、ルカちゃんそれ、暗に私の事を言っていませんか!?」
「誰も、普通って噂されてるモモフレガチ勢とは言ってないでしょ」
「今言ってましたよねっ!?」
「ふふっ……」
「……マリーちゃんが元気そうで良かったです」
「はい、私は……です「では玄関まで送りますね。さあ、一緒に行きましょう」
「え、あ、はい」
食い気味にマリーの背中を押して退室させるハナコ。
まぁ、シスターフッド絡みの事をここで話されるのがイヤだったのだろう。だとしてもかなり強引な気がするが……
「あ、それなら私も……」
「いえ、ルカちゃんは他の方に教えていてください♡」
席を立とうとするとハナコに肩を押されて椅子から立てない。
……なんか割と力んでないかこれ!?
え、さっきの腹いせかなんかか?
アズサの分かりやすい表情見せたのそんなだめだったかなぁ!?
「た、確かに一人はちゃんと教えられる人がいた方が良いですし……そ、それにハナコちゃんもマリーちゃんと話したいことがあるのかもしれませんから……」
そう言ってヒフミは答案用紙渡して回答の説明を求めて来るし。
「このバッジ、どこにつけたらいいか一緒に考えてほしい」
アズサに至っては試験以前の問題だし!!
「……これ、私も混ざった方が良いの?」
コハルだけが唯一まとも枠だよ……!!
「わ、分かったからちょっと待って!?」
模範解答配っての自己採点だから全員のミス部分知らないの!!
「で、では先輩とみなさん、お邪魔致しました。先生も急に訪ねてきてしまってごめんなさい。それでは、また」
「うん、気を付けてね」
「え、あ、気を付けて帰って、「ルカこのバッジ「アズサ制服引っ張るなって!?」
そうやってマリーが来たこと以外は俺が異様に疲れた事を除きイベントはなく、無事に1日が終わろうとするころ。
「ほんで先生、明日のテスト今どこまで出来た?」
「やっと半分くらいかな。ルカは?」
「過去10年分の出題傾向と難易度を仕分けれたから後は出やすそうなハナコ以外が各々苦手な問題でテスト作るとこ」
先生の寝泊まり用の部屋で黙々と問題用紙の制作に励んでいた。
先生がつくっているのが俺のテスト。そして俺が作っているのが補習授業部のテストである。ぶっちゃけた話をすればまとめて作っとけばいい話なのだが、その日のテスト結果とどれだけ学習できているかを確認しながらテストを調整した方が出来なかったり得意だった部分を合わせて伸ばすことが出来ると思ってこんな形式になった。
目指すのは第二回で合格点、第三回においては全員100点満点花丸合格だ。
そしてそれを先生に言ったら先生もやると言い出して先生の場合はすでに問題用紙のストックがあるのだが、今日のミスを洗い出し、出来なかった問題に似たものを多く出してもらえるよう付き合ってもらっている。
「……先生はさ、今日マリーが来た時に一瞬だけど凄い顔をしたよね」
「やっぱり、見えてた……?」
困ったような、やや自己批判気味なような声色で先生は続ける。
「私はいつもみんなを守れるわけじゃないって分かってたんだけどね」
「でもそれは先生が悪い訳じゃないでしょ」
作業用に使ってるマグカップが空になってしまったので、パックを入れポットのお湯を注いで先生の分も用意する。
「ありがとう。だけどね、どうしても『何か出来たんじゃないか』って思わずにはいられなくなっちゃうというか……」
「なんですかそれ。そういう漠然とした後悔はどうせなにしても後悔しますよ」
「でも大人として、なにか……」
「そこまでして背負い込みたがるとか、妖怪責任お化けですか? それで先生がボロボロになったら意味無いでしょ」
パックの茶葉がじんわりと。
緩やかに注がれた熱湯に色を染めていくのを眺めながら俺は言葉を重ねる。
「大人だからって万物に責任を感じたり、代わりに責任を取るなんて事をずっとしてたらそのうち死にますよ?」
「私は死なないよ、ルカ」
「そういうのフラグって言うんですよ、サブカル好きそうな顔してるんだから知ってますよね?」
「ちょっと私今、悪口言われてない……?!」
実際好きなんだから悪口でもなんでもないと思うが、それは口に出さない。
「黙って下さいね妖怪責任お化け。これから私が良いこと言うんで」
「やっぱり悪口だよね!?」
「気のせいです。それで話の続きですけど……大人だって逃げて良いと、私は思うんです。本当に取り返しが付かない時は流石に逃げらんないですけどね」
紅茶のパックを取って捨てる。シュガーポットに入った角砂糖をボトボト入れ、ティースプーンでかき混ぜる。
「でも、それじゃ急な出来事に対処出来ないでしょ?」
「そう言う時も逃げるんです。事故が起こるとしても被害者になる予定の人が誰も居なけりゃ取り返しが付かないなんて事起きないんですよ。それに、トリニティではきっと起こらないし、起こらせないです。だから、子供が取れる責任は子供が取るべきなんです。だから……先生は本当に助けるべき生徒の責任を取って下さい。それ以外の責任は生徒に任せて下さいよ」
マグカップをそれぞれ自分と先生の前に置いて先生の言葉を待つ。紅茶で口を湿らせて先生は少し考え凄く困ったような顔をして言葉を紡ぐ。
「……えぇっとさ、ルカ。急にシリアスな話をして明日死なない?」
「おま、張っ倒すぞクソ教師!?」
散々考えた答えがそれ!?
「こちとら色々考えて言ったのにその思いやりがそんな言葉なんすか!?」
「いや、だって……その、ルカってギャグキャラなのにマジメなこと言い出すから……」
「人が気にしてること言いやがって、こんにゃろう!?」
「だからさ、無理に大人の背中を追いかけなくて良いんだ。ルカにはルカの大人の形があるからね」
……あぁ、この人は凄くズルい人だ。
この状況でその一言はとてもズルい。
「……それはある意味突き放すのと同じですけど?」
「うん、ルカなら分かってくれると思うんだ」
そこまで言われるともう仕方ないか……
「……イヤです」
「ありが……ん? え、今なんて……」
「イヤです」
しっかり笑顔を欠かさず、にっこりと告げる。
「そこは納得してくれる流れだったよね!?」
「シリアスな雰囲気をぶち壊しておいて今更何を」
一応これでも不良生徒の枠組みなのだ、先生の言葉を嫌がることなど造作もない。そう、決して拗ねている訳ではない。
そのまま姿勢と視線をPCに向け、カタカタとキーボードで過去問のテスト文面をちまちまと改変したり、模範解答のコピペを繰り返す作業に戻る。
「……怒ってる?」
「怒ってないですよ、好き勝手に生きようと思い直しただけです」
明日出す試験問題のデータが出来たが、このまま今日を終わらせるのも釈然としない。
「それってやっぱり怒ってない……?」
「怒ってないですよ。……あぁ、そういえばミカ様に会ってセイア様が死んだって聞いたと思うんですけど生きてます。裏切り者に関しては、ナギサ様が疑心暗鬼しまくってるだけで存在しません。ティーパーティーメンバーは全員自罰的になってるだけなんで大人として頑張って対処してくださいね」
「なんで今それ言ったの!!?」
「じゃあ私やること終わったんで寝ますね」
「ちょっと待ってほしいな!?」
捨て台詞を吐いて逃げようとする私を先生がドアを背に塞ぐが、キヴォトス人にとって先生などベニヤ板にも及ばない。
先生を持ち上げて立ち位置を入れ替え、ドアを開けて廊下に出る。
「じゃあお休みなさい」
「ルカ!? ホントに寝るの!?」
「ルカちゃんは先生といるのが恥ずかしくなっただけですよ♡」
「は!? 恥ずかしくないが!?」
「でしたら一緒にいれるのでは?」
いきなり煽られ、反射的に反発して声のした方に向くとそこには淫乱ピンクもとい
「……え、なんでハナコいるの?」
「ルカちゃんが先生に襲われかけて勢い良く逃げ出そうとしてた所から居ましたよ?」
「待ってハナコ、誤解があるよ!?」
誤解どころか捏造もいい所だが、それより逃げ出そうとした辺りからドア前で聞き耳してたとするなら……
「ひょっとして、捨て台詞全部聞いてた……?」
「はい♡ なので逃げないでくださいね?」
その一言の後、何処から取り出したのか分からない縄で亀甲縛りにされ、捨て台詞の詳細に関して吐く羽目になった。
いつも通りゆっくり書いていければと思いますが、
今後リアル都合で投稿がいつも通りに出来ない場合がありますがお付き合いいただけますと幸いです。
いつも誤字脱字報告、感想、評価ありがとうございます!!
作者は乞食なのでいつもガソリンになってます!
次回はパーティです。