キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。   作:旅する野良猫

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大変、本当に大ッッッッッ変!!!!!!!
お待たせしましたぁぁぁ!!!!!!!!!


本編13話です。


第十三話 なんだかんだ問題児は愛されてる

 

渾身の一撃。

確かに脳天をぶち抜いて叩きつけた鈍器が起こした土煙が消え、結果が晒される。

 

 

「なんというか……その、スターゲイジーパイみたいですね」

「いやまぁ、言われてみればそんなふうにも見えますけど……」

ピクピクとしながらコンクリートへと二の腕から上がぶっ刺さったまま動けなくなっているゲテモノチャレンジテロリスト(ハルナ)の姿を見れば、ギャグのワンシーンの様にも、3D制作ツールで配置を間違えたNPCの様にも見える。だが確かに、綺麗に頭から埋まって胴から脚を直立状態で伸ばしているその様子はスターゲイジーパイの飛び出てる部分に見えなくもない。頭と足が逆だけど。

と言うかどうなってるんだそのスカート、重力に逆らうなよ。

「とりあえず、先生を呼んできましょう。引き渡しだけはシャーレにお願いしなければなりませんから」

「それには及ばないかな」

ぞろぞろと路地から歩いて来たのは先生と補習授業部の皆。

見た感じ戦闘に巻き込まれた様子でも無いので普通に合流しにきたと言った所だろうか。

「アズサちゃんがルカちゃん達が居ないことに気付きまして」

「ハスミ先輩達の事だし問題は無いと思ったけど……」

ルカの事だから人質になりかねない

「と言った具合でアズサちゃんを追い掛ける形で……あはは……」

ヒフミの苦笑いが滲みる。

「要するに、返り討ちに合うと思って慌てて来てくれたワケね……」

なんという信頼感。

いや、ザコなのは否定しないけどさ……

「あ、あはは……でも無事で良かったです。そういえばルカちゃん()()また使うようになったんですか?」

そう言ってヒフミが指し示すのは相棒こと、ロックスクラッパー。

「え、あぁ……まぁ、ね。そもそもコイツ持ってない私を駆り出させる先輩達じゃないでしょ……」

これがあるからテロリスト相手に殴りかかれる訳で、相棒抜きじゃボコボコにされるのがオチだ。というか、実際1年生の時は正実モブちゃん達にボコボコにされてた。弾薬の無駄遣いをしたくないとか報告書を減らす為とかで、よく閃光弾やらスモークやらで一瞬を突かれて銃床――本来の意味で使われていたフレーム部分だったりストック部分を使ってポコポコと殴られて制圧されていたのは嫌な思い出だ。

というか、正実モブちゃんってユーザー間ではモブ扱いされてるけど普通に強えーんだわ。

とはいえ、使うとものすんっっっごく疲れるからなるべく戦闘をしないように他のツール開発(主に逃亡系)に勤しんで“ガン逃げ戦法”になった訳だけど。

 

「そういえばその鈍器?の様なモノを振るっているのは久々に見ましたね……?」

「ハスミ先輩分かって無かったんかい……」

暴力に暴力で対抗してた時代(とき)はいつも持ち歩いてたから噂が出来てるくらいなら分かってると思ったんだけどなぁ……!?

「あ、それよりも!! ハスミ先輩、面倒臭いの全部私に押し付けましたよね!?

「以前ルカがよく相手をしている方だったので」

「いや、だとしても面倒な相手って解りますよね!?」

「黙秘します」

「ぜーったい、さっきした話とスイーツの腹いせだ!? 『気を引き締めるべく相手をさせました』なんて言ってももう信じませんからね!?」

後光が差したような笑顔で黙秘しようと俺には分かる。

あれは絶対ハスミが食べれなかったスイーツの分の恨みとかそんなことを裏で考えてるに違いない。

 

「所でこの方々はこの後どうなるのですか?」

「本来なら私達の方で今後の処遇を決めるのですが……」

ハスミは、ハナコの一言に返答しつつも俺を見ながら、少し考える素振りをする。

……続きは俺に説明させたいらしい。多分連れ出した理由とか理解してるかの把握だろうか?

「あー、時期が時期だからゲヘナ風紀に引き渡すんですよね?」

「えぇ、そうです。そこで、先生に一つお願いがあるのですが」

「うん、何をしたらいい?」

「エデン条約のことを考えると、ここから先も私達が能動的に動くことは避けたいです。ですので、風紀委員会への引き渡し……この部分を先生にお願い出来ないでしょうか?」

「ルカを連れて行ったのは、間接的にシャーレを絡めさせるためだね?」

「はい、出来れば戦闘の方もシャーレ主体で行っていたという体でお願いします。〝シャーレ〟が生徒の移送を行う。こうすることで私達にとってもゲヘナ側にとっても政治的な配慮が大分減るのです」

「分かった、任せて」

先生そのものを絡めていた原作の戦闘と違い、俺単品での戦闘参加だったから本当にそれでいいのかとも思う。いや、というか俺一人と正実のトップ二人の行動でなんで俺主体で通るんだよ……先生に迷惑とか心労をかけたくないっていうのは分かるけどさぁ。

 

 

 

その後は、先生がゲヘナに美食研究会連中を引き渡して終わり。

ストーリー初見時は何か先生巻き込まれまくってて大変そう位にしか考えて無かったが、実は、この時に伏線がばら撒かれているという閑話休題もままならないシナリオには関心していたものである。

 

まぁ、そんな感じでメインストーリーのエピソードそのまんまな展開だ。

先生がお縄に着いたグルメテロリスト共を連れてセナと顔合わせして、そこにゲヘナ最強が合流。その際にエデン条約編の情報の精査を先生が行うっていうシーンになるのだ――……

 

「アナタは、どちら様でしょうか? 正義実現委員会というわけでもなさそうですが――」

「その方は『シャーレの先生』よ」

 

そうそう、コレコレ。

ブルアカユーザーと先生、後セナとヒナしか知らない幕間を挟むのだ。メインストーリーを読み返したりするとシーン切り替え等の演出が差し込まれるので印象に残りやすくユーザーに優しい仕上がりのワンシーンである。

 

 

 

「――あと、隣にいるのは那賀波ルカね」

 

 

 

俺が同伴なのを除けばだが。

どうして俺をここに連れてきちゃったんですか先生?

俺、何かやらかしましたか先生?

マジで場違い過ぎると思うんですが?

オイ何か言えよ、足の小指ヒビ入れるぞこの野郎……!?

 

「那賀波ルカ、よね?」

「アッハイ。ドウモ、ソラサキ=サン」

「どうしてヒナが?」

お前空崎さんに敬語使えよ、すね蹴り飛ばすぞこの野郎!?

先生はこの溢れ出る圧倒的格の違いをご理解できないらしい。

 

「……なんでここに那賀波ルカがいるのかは聞かない。理由もわかってるし」

「そうなの?」

そっすよね~!!あ、俺邪魔ですよね!?帰らしてくれません!?

「ルカ。帰りたいオーラ出さないで」

「いえ、出してませんが?」

マジで空崎さん怖いんだよ!!最推しだったけど殺気とか威圧感とかとんでもなく怖いんだよ!!絆エピとか知ってるし普通にいい人で優しくて可愛くてお日様のいい匂いするのも知ってるし息が抜けてへちょった時なんて『俺が救急者だ!!』って突撃しそうになったけどこの人怖いんですって!!

キヴォトス人になった俺の体が震えてるのをご存じでしょう!?

……俺を家に帰して!!

 

 

「……話、しても良い?」

「はい!!邪魔してすいませんでした!!」

俺を帰してくれない先生に、目で直訴(罵倒)をしていれば空崎さんが気まずそうに話を始める。

「ゲヘナとトリニティ。この両校が緊張状態になってる時にゲヘナ自治区に来る生徒は全員記録してる。何がトラブルの元になるから分からないし、まして行く先々で温泉開発部や美食研究会、万魔殿が起こした騒動に偶々と言えど毎回いるとなれば、貴女を警戒しない理由がない」

ひょっとしてゲヘナにご飯を食べに行くとよく風紀委員モブちゃんたちを見かけるのは監視とかなのだろうか。

何かしらの騒動に巻き込まれた際にいつもお世話になっていたけど、あれ警戒されたんだ……

 

「ルカ……」

「いや、私ご飯食べに行ってるだけですからねッ!?」

趣味としての一面もあるが、いちブルアカプレイヤーでしかなかった俺なりに元居た世界との齟齬とかストーリーの被害を抑えるヒントとか無いか模索するフィールドワークも兼ねているのだ。

なにより、俺が問題起こしたわけじゃないし!! 俺、被害者だからね!!?

「えぇ、知ってるわ。テューリンガーとドクターペッパーを手に食べ歩いていたところウチの生徒が『ドクペなんて飲まずにシュペツィ飲めよ、うめぇから!!』とドクターペッパーの缶に発砲。その後シュペツィを推し売ろうとした所を美食研究会が目撃し騒動に発展。のち、風紀委員会が出動し鎮圧。避難誘導や救助行為等の協力的姿勢、行動を加味し風紀委員会から感謝状を贈らせてもらったわね」

「ルカ……?」

「いや本当に……!! ほんっっっとうに偶々なだけですから……!!」

ちなみにシュペツィとはゲヘナで売られているファンタみたいな炭酸飲料だ。美味しいがファンタなどとは違い酸味があるので甘いと思って飲むと咽る。分かりやすい話をするならオレンジジュースとレモンジュース等の柑橘系をコーラで割った飲料なのだ。

好き嫌いが分かれるタイプのドリンクである。

 

「最近訪れた際は、万魔殿からの要望で給食部がおこなっていた巨大プリン製作に協力。その際に賄いとして出されたサバ味噌定食を他の食堂の利用者が求め、騒動に発展。最終的に巨大パンケーキの討伐作戦への参加やゲヘナ赤珠褒章及び飾版を持っていること考慮し、プリン崩壊の罪を無罪とした。っていうのも知ってる」

 

「いや、あれに関しては食堂地下の水道管を掘り当てた温泉開発部が一番悪いと思いますけどね……!?」

「ルカってひょっとしてゲヘナの生徒だったりする?」

んなわけねーでしょうがよ!?私みたいなザコがあそこの生徒だったら今頃簀巻きでバイクに引き摺られながら自治区一周させられてますよ!!」

ゲヘナ自治区、基本世紀末だからな。少し道をズレてスラムに入るとすぐカツアゲに出くわすんだから。

オマケに財布ひっくり返しても、トリニティ生のくせしてあんまり金持ってなさそうって思われたら『ちょっと学生証見せろよ。お、ハイオク血液じゃねーか!! コイツはPMC共に高く売れるぜ!!』って滅多打ちにされて麻袋かぶせられる程度にはそこらじゅうに野生の暴徒で溢れかえってる。

むしろ空崎さん達風紀委員会がいるから定期的にゲヘナに行くけど、居なかったら自治区全体がこうなりかねないのやべーよ。マコトはイモータン・ジョーにでもなる気か?

 

 

「それで、話を戻すけどゲヘナ側としても問題にしたくないのは同じ。だからこそ今回はこうして風紀委員会ではなく、『救急医学部』が来たってことになってる。私はただの付き添い」

そう言って空崎さんは横にいるセナに視線を促すよう手を添える。

「……『救急医学部』の部長、氷室セナです。以後よろしくお願い致します」

「『救急医学部』はゲヘナの中でも政治的な部分に関りが薄い立場にいる。だから今回、こうしてお願いしたの」

空崎さんがセナの簡単な紹介をしつつも、話の話題は俺と先生の後ろにある鹵獲されたフウカ―とテロリスト共に切り替わる。もぞもぞと車内から衣擦れの音と共にテロリストたちが狭いだの重いだのと苦情を上げている声が聞こえる。

「ちょっと私の羽踏んでるの誰よ!?」

「流石に正義実現委員のトップから逃げるのは難しかったですわね」

「ルカちゃんを持ってければ逃げ切れたと思うと惜しかったですね~。トリニティはあの子のホームですし」

「うぅ……マグロ食べたかったのに~!!」

いや苦情を言ってるのジュンコだけだわ。なんなら振り返りして次に生かそうとしてるし。

「最近は暴れている噂を聞かなかったから油断していましたわね……ルカさんを捕獲したら即座に撤退戦にシフトすべきでしたわ」

「ですね~、フウカちゃんもルカちゃんと一緒なら仲良くお料理できるでしょうし」

違ぇ、コイツら私を巻き込む気満々だ。

 

「ルカは人気者だね」

「先生、狼の群れに羊を放つことをその言葉で表さないでください。これ(美食研究会)に捕まったら私の財布は10円一つ残りません」

滅茶苦茶フウカが俺のことを睨んでくるのを申し訳ないけど無視して、空崎さんに中身を引き渡す。

「……ふふっ。ヒナさん、お久しぶりですわね」

「はぁ、ハルナ。相変わらず……いや、詳しい話は帰ってからで」

ため息交じりに連行するべくセナの車に次々と投げ入れていく。

 

「お腹減った……」

ぽいっ。

「あら、やはり『救急医学部』の方でしたか☆ちょっと私、左側のあばら骨が4、5本折れている気がするのですが、診ていただけます?」

ぽいっ。

「うぇっ、酔った……吐きそう……」

ぽいっ。

「た、たすかtt……」

ぽいっ。

次から次へと後ろ向きで中からロープとかワイヤーで縛られているテロリスト共(美食研究会)をトランクを開けて積み込む準備をしているセナの足元に向け、放り投げていく。

片手間にどんどん投げていく様にちょっとビビる。

というか今、被害者のフウカ投げてなかった……!?

 

「色々配慮していただいてありがとうございます、先生。今度ゲヘナにいらした際には、何か美味しいものでおもてなし致しますわ」

「その際は是非ルカさんを連れてきてくださいね~☆」

誰がいくか!!とっとと帰れ!!

未だ諦めない鰐淵に中指を立てて反抗の意を表す。

ゲヘナの一部生徒は話がまるで通用しやがらねぇ。

「え、えっと、じゃあまた。気をつけてね……」

セナが縛られている連中を車載収納やら医療器材の入ったダンボールやらで調整をしてるのが見える。

あ、フウカがダンボールの上に詰まれた。すげぇ、負傷者を負傷者と思わない積み方。

 

「……先生、私この橋の入り口で待ってるんで見送ったら戻ってきてください」

ひとまず、もうこれ以上空崎さんと居たくない。

戦闘終わりでただでさえフラフラなのにプレッシャーで足がもう生まれたての小鹿だもん。

めっちゃプルプルしてる。

「う、うん? 分かった、良いよ。あ、でも勝手に帰っちゃだめだからね!?」

いや、それ位分かってますよ!?

 

先生の中で俺は一体どういう扱いなんだ……幼児か何かと思われているのか?

 

 

 

 

 

 


トリニティ総合学園――――ティーパーティー一室。

そこでは一人の少女がカップを傾け、調査の報告を聞き届けていた。

内容は本日行われた那賀波ルカの戦闘記録。

正義実現委員会と補習授業部のリーダーらで行われたテロリストの制圧行動。それによって生じた被害や、目撃証言。そして現地にいた調査員によって伝えられた記録。それに、彼女は耳を傾ける。

「――以上が、本日起こった那賀波ルカ関係の報告の纏めになります。あぁ、それから、ナギサ様の指定座標に追試会場の設営が完了致しました」

「……随分と早くに終わりましたね、想定以上の働きです」

「那賀波ルカの騒動のお陰ですね、予定よりも移動がスムーズに取れたので。設営自体も万全の用意をしてあります」

冷めてしまった紅茶で喉を湿らせて一区切りをつける。

 

 

追試会場変更のお知らせ。

そう書かれた文書ファイルの中身を映し出すモニターの青白い光を背景に、冷え切ったティーカップの中の液体が描く波紋を見つめるながら。

少女、桐藤ナギサは、そのデータを側付きの伴に渡し、モニターの電源を落とす。

「コレを印刷後、旧校舎の掲示板へお願いします」

「承知しましたナギサ様」

雛鳥を入れておくための籠に、鍵をそっと取り付けるべく。

 

「……では、ルカさん。試験頑張って下さいね」

 

 

 

 

間違いなく物語は歪に進み始める。先導者(先を生きるモノ)によって至る筈の、エデンへと歩み進む(不可能な証明を奇跡をもって証明する)物語は旅鴉(唯一つの例外)によってシナリオを混沌の渦中へと変化させてゆく。

 

融け出した蛹の中身(シナリオ)は別の(プロット)に流し込まれて羽化の日を待つ。

その世界の誰も知ることなく。蝶が見る夢は異なるテクスチャーへと変質を遂げようとして――――。

 

 

『「せん、せい……?」』

 

 

その様子を遥か先の黒き色彩に塗り潰された純白が世界を跨いで見届けられていた。

 

 

 

 

 


「……委員長、積載完了しました」

 

いつも帰りたそうにしているアッシュカラーの髪色をした少女が気を利かせてくれたのかはたまた別の理由かはわからないが―――。

「ヒナ、“エデン条約”について教えてほしいんだ」

今、那賀波ルカの真意を知る必要があると。

 

 

――“シャーレの先生”は判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回のOne PointTopic:那賀波ルカはO型Rh-です。





今後もゆっくりではありますが書いていければと思います。
また、リアル都合やゲームプレイ優先になったりで投稿が遅れることがあるかと思いますが、お付き合いいただけますと幸いです。

アビドス3章やミレニアムエキスポでプロットが地殻変動を起こしていました。
後、逃げ回る。のこの後の話とか後半の内容書いてました。
ほんっとに投稿遅れてすいません!!!

いつも誤字脱字報告、感想、評価ありがとうございます!!
作者は乞食なのでいつもガソリンになってます!


後、『待ってます』感想めちゃくちゃ力になりました。
感想くれた方々、ありがとうございます!!
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