キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。   作:旅する野良猫

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お久しぶりぶりです。
さっき書き終わったので投稿しました!!


二十七話 あさげには熱いご飯と味噌汁を

──拝啓、トリニティ総合学園ティーパーティーの皆様。可愛い後輩こと那賀波ルカです。

最高学年の御三方に背中を押され、ゲヘナ学園への一時留学が始まりましたが、先輩方から聞いてないことが多くとても困っています。一段落ついてトリニティへ戻った際には、報連相についてどうなってるのか確認をしたく思っております。というか、何が何でも問い詰めさせていただきます。絶対に。

というのも、現在ゲヘナ上層部の動きや万魔殿勤めの生徒間の空気感から察せるものがあり、そのご報告をさせて頂く為こうして筆を執った次第です。

前置きはこの辺りまでとしまして────

 

 

よ〜し……後は頼んだぞぉ……

「チュピ!!」

眠たい目を擦りながらシマエナガ君にはやや荷が重たそうなお手紙を背負わせて窓から放ってやる。

 

……さて、何をしているのかと聞かれれば答えてやるのが情けと言うもの。

そう、密偵である。

別名、スパイ行為とも言う。

ゲヘナに来る前に何かあったら知らせろと何度も念を押されているので流石の俺でも複数圧縮の言語であるトリニティ語の基本、裏の意味くらいは分かる。

『ゲヘナ行って【エデン条約】の裏取ってこい』であろう。

しかし、メインストーリーにてアクションを起こしていたのは、万魔殿の上層部というゲヘナの中でも限られたメンバーで、尚且つ勝手に動いていた為に、裏の取りようがない。

俺に何か頼む時は無理難題をふっかけなければならない仕組みでもあるのか?

 

 

まぁ、そんな紆余曲折はあったものの。ゲヘナ留学(あれ)から一日経過してゲヘナ生活初めての朝。

 

慣れない環境で浅い眠りだったからか、偶然目が覚め早起きになってしまった。

断じてヒナちゃんが背中にいる存在感で威圧されたとかではないよ? ナガナミウソツカナイ……

 

一時的とはいえ留学先の発言力を持った人の家で二度寝を実行する勇気は無いので、ひとまず朝ご飯の支度をする。

昨日の帰りに買った玉子とハムを油をひいたフライパンの中に落とし、中火で火を入れる。ハムエッグを作る片手間に、割引されてたキャベツを千切りにして平皿に盛って準備を整えていく。

寝る前にセットしていた予約通りに米を炊いていた炊飯器の釜を軽く混ぜ、お茶碗によそっていれば。

 

「随分早起きなのね……」

慣れない環境Lv.999になった原因。

空崎ヒナが眠たげな表情で顔を出してきた。

……いや、そうなる原因は俺の身体から来る本能だろうからヒナは悪くないのだ。

性格がチキンなのが相性に影響してるだけで。

 

──トリニティだけに。なんて……

 

「あはは……環境が変わって緊張で眠りが浅かったみたいで……」

頭の中で浮かべた言葉遊びとも言えないそれに苦笑いを浮かべて応対する。

 

どれだけの人が知っているだろうか。

……前世の推しと一時的に同居するって思ったより心臓に悪いんだわ!!

特に俺の場合、生物的本能がビビり散らかして警鐘を鳴らしまくるから!!

 

「……そう、ムリそうならフウカに一報するけど」

「あー、疲れ自体は取れてるんで大丈夫です。なんなら給食の方が栄養ちゃんと摂れますし」

高エネルギー、高栄養のハイブリッドランチが給食部の凄いところだ。少なくとも毎食食えてればそう簡単に風邪は引かないし、怪我の治りは異常に早くなるし、イオリの脚はツヤツヤになるし、イブキはすくすく成長してるし……そんな給食が一定のクオリティをキープしながら提供しているのだから、ゲヘナ生は全員フウカに足を向けて寝れないと思うのだが、そこは流石ゲヘナ。

それは暴動を起こさない理由にはならないらしい。それとして普通に暴動を起こすのだ。

 

ゲヘナシナシナヨリシロモップになっているヒナのお茶碗にご飯を注いで味噌汁と一緒にテーブルに配膳する。

シナシナヨリシロモップになっている理由だが、なんでも和名ゲヘナバカマコトでお馴染み万魔殿議長、羽沼マコトから『何かあったら空崎ヒナ、貴様の責任だからな!! トリニティからの客人に傷一つ付けるんじゃないぞ!!』と厳命があったらしい。

 

マコトの発言にはトリニティ語が混じっており……まぁ、分かりやすい話、ヒナを指名した表向きの理由にも繋がるのだが、ゲヘナ最高戦力をそばに置くことで“何があっても護りますよ〜”とトリニティへの友好アピールを示すとのこと。

……うん。どう考えてもヒナへの嫌がらせでしかない。

というか、風紀委員にさせる仕事じゃないだろと言うのが俺の見解なのだが……

 

「問題無いなら良いけど」

本人は若干寝起きなのもあってシナシナモップっぽい状態になりながらもご覧の通り、警備任務として受け入れてしまっています……

 

でもこれ、ヒナから聞いた内容を要約するならば。

『俺が怪我したらヒナの責任』

『俺がトラブルを起こせばヒナの監督責任』

『取り敢えず何か起きて俺が関すればヒナの外交責任』

 

どう考えても、責任追及する気まんまんのクソみたいな内容です、ありがとうございました!!(ヤケクソ)

もはや足の引っ張り方が露骨過ぎて、嘘がつけない人っぽさすらあるぞお前(マコト)……

 

 

そんなことを聞かされたもんだから、ゲヘナ生徒蹴り飛ばした一件も当然確認しましたとも。

……昨日の帰り道で凄い悩んで確認したら、「あぁ、それなら問題無い」と無罪放免で終わっちゃったけど。

 

──はい。無罪放免で終わっちゃったんですけど……!?

 

マコトがヒナを護衛に任命したこともあって、内心『責任問題になりかねねぇ……!!』って本気で怯えていたのに、なんかめっっちゃアッサリ終わったんです……!!

いや、無罪放免なのは良かったけどね!?

確認するまで心臓なんて、鼓動が痛いってくらいにバクバクしてたし、頭ン中じゃどうやって伝えるか困り果てていたことでしたし!?

 

でも、肩透かしにも程があるじゃん……!!

登下校が被った近所の人とした雑談くらい軽い感じで答えられた俺の心境を答えよッ!!(配当6点)

 

念には念をと思って、トリニティの親善大使が暴行加えたとかで問題ならないのかちゃんとヒナに聞いたんだよ……!!

 

怖いけど流石に聞かないとマズイと思って確認したら。

 

『──ゲヘナの生徒同士ならまだしろ、『トリニティ生にカツアゲしようとしたら返り討ちにあった』ってわざわざ大袈裟に報告してくる人は、むしろ『トリニティ以下のチキンガール』って笑いものになりかねない珍事だもの。最低プライドがあるなら報告は来ないわ』

そう空崎さんが仰られたんですよ。

その、凄く言いづらいけど……そ、空崎さんもやっぱゲヘナ生徒ではあるんですね……!?

いや、ゲヘナ怖……!?

『あの親善大使に話し掛けたら暴行を加えられたんです!! トリニティとの外交なんて辞めたほうがいいです!!』とか、適当な嘘かましてトリニティとの関係見直しを不良共が報復として起こすとか、普通に有り得ると思ってたからね……

 

でも、これをそのまま言ったらヒナに怪訝そうな顔でこっちを見返すものだから、気付いたんですよ。

言葉とか紙切れによる報復が可能性として浮上する発想自体、それそのものがトリニティ仕草であることに思い至って自分の思考が頭トリニティであることに絶望した。

 

い、いや……でもゲヘナスタイルは流石にヤンキーが過ぎるというかアナーキーというか……極端な思考だと思います。

なんかメンチビームとか出しそう。

 

……ちなみに、ゲヘナじゃ殴った方が早いと謳うヒナの返答がその日一番怖かった。

 

 

 

そんな訳で本日の朝食。

お米、キャベツの千切りとハムエッグ、味噌汁。

シンプルかつオーソドックスなものだが、それなりにボリュームもあるご機嫌な朝飯だ。

何せキャベツ1/2玉使ったからな……。

寝起きに米研ぎした後、もう一回寝ようとして全く寝れなかったからヤケクソで刻んだ千切りキャベツ。

 

お皿に乗り切らなかった残りの分はボールに入れてザワークラウトにしてあるので晩御飯用に使える。

 

「……ちょっと多くないかしら」

「あー……すいません、減らしますか?」

テーブルに置いた平皿に盛られたヤケクソ千切りキャベツを見てショボショボした寝起きのヒナがぽつりと零す。

 

「んーん……食べれるからいい」

やっぱ可愛いなこの人。生理的恐怖が勝って中々愛でづらいけど。

 

「いただきます……」

そう言ってキャベツをもそもそと口にし、味噌汁にお米とだんだん食べる速度が早くなる。

調理器具を洗い終わって、テーブルにつく頃には寝起き感満載の雰囲気だったのが、何処か鋭さを持ったいつもの雰囲気にきり替わっていた。

シナちゃんからヒナちゃんにがっつりスイッチが切り替わってフォルムチェンジを終えたらしい。

 

「そういえば、これ」

ゲヘナシナシナヨリシロモップからゲヘナフワフワオヒサマシロモップにフォルムチェンジを果たしたヒナが、味噌汁を啜りながらテーブルに何かを置いてこちらに渡してくる。

「なんですか、これ」

「ウチの合鍵」

 

 

味噌汁を気管に入れて死ぬほど噎せた。

 

 

「サラッと渡して良いモンじゃないですよ!?」

目を細めて『えぇ……面倒くせぇ……』って顔しないで?

ゲヘナ生は倫理観もゲヘナなの?

 

「護衛対象が帰ってこれないより、圧倒的にメリットが大きい」

「トリニティ生にゲヘナ最強の自宅の鍵渡す方がマズくないですかね……!?」

「まぁアコは騒いでたけど、その程度のことだし……」

「寝込みに襲撃とか有り得るでしょうて!?」

「アナタくらいなら何発か当たってても一手で終わるし、何かあった時のカバーもしやすいから」

もうヤダ、トリニティのお家帰りたい……!!(切実)

ソレ何かある奴じゃん!!

というかサラッと反抗したら圧し折るって言われたし!!

 

だってコレ、もし何かあればとりあえず逃げ込んで、ヒナさんが鎮圧しに来るのを待ってろってことですよねぇッ!?

 

 

 

 

 




本日のOne Topic:那賀波はトリニティ因子そこそこ強め




気が付いたらもう7月間近になっていました……(n回目)

不定期過ぎるフリーダム更新スタイルで投稿している『逃げ回る。』ですが、毎度のことながら。

いつも誤字脱字報告や感想を下さる読者方、高ぇ評価をして下さる読者方、更新を楽しみに待ってくださる読者方の皆様、毎度ありがとうございます!!
作者は承認欲求モンスターな乞食なのでいつも執筆前のガソリンになってます!!

マジでここすきや感想が作者のガソリンになってるので、フリーダム更新にお付き合い頂いてる読者さんには毎度のことながらいつもありがとうございます!!

大事なことなので2回言いました!!
ではまた次回!!
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