キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。 作:旅する野良猫
お気に入りに感想や、評価いつもありがとうございます。
作者の励みと元気になってます。
最近ブルアカ二次書き鯖に入りました。
「ん、意外に全員ちゃんと起きてきたな」
補習授業部と先生がぞろぞろと食堂に顔を出す。
「目玉焼きの焼き加減は皆どうする? 一番乗りのアズサからで」
「しっかり焼きで頼む」
「半熟でお願いします♪」
「え、じゃあ私オーバーハード」
「ターンオーバーでお願いします」
「先生はどうする?」
「サニーサイドアップでもいい?」
「あいあい、りょーかい」
割とバラバラな全員の注文を聞いて卵を焼き始める。
前もって温めておいたフライパンに油をひいて卵を落とす。
ハナコの
ヒフミの分だけ皿に移して、焦げないよう注意しながら残りも仕上げて皿に乗せる。
再度油をひき直し、ハナコの分に取り掛かる。先生は片面焼きなので最後。塩とこしょうをかけ、裏面が軽く焼けたら手早く返して少し待つ。白身が固まりだしたのを見計らって皿に乗せて先生以外の出来上がった朝食を、受け取り口に置いていく。
「先生のだけまだ焼けないからとりあえず配膳だけしといて」
「了解した」
アズサがテキパキと食事を運ぶ。
「え、本当に全員分焼き加減変えてるの……?」
「大した手間じゃ無いからな。それに卵以外、好みか分からんけど同じ味付けだからね」
ちょっと引いてるコハルの誤解を解きつつ、自分の分と先生の分を作る。目玉焼きと言えばやっぱサニーサイドアップだ。
見た目も良いから色んなファミレスのトッピングで見かける。
ある程度火が通ってきたので味付けをして皿に移す。
「はいお待たせ致しました〜、私特製イングリッシュブレックファストでございます。パンはそこのトースターで焼くなりそのまま食うなりしてね。飲み物はとりあえず紅茶をさっき入れたからちょっと待ってね」
「ルカちゃん……その、ちょ、ちょっと量が多い気が……?」
ヒフミにそう言われた皿には、彩りを与える為のミニディッシュサラダ、ハッシュドポテトにソーセージ。そしてメインのカリカリに仕上げたベーコンの上に乗せたオーダー通りの目玉焼きが乗っている。スープカップにはオニオンスープ、デザートには百鬼夜行の方で見かけて思わず買ってしまった旬のさくらんぼ。……確かに女の子視点では多いかもしれない。
でも量が多いのには一応ちゃんと理由はあった。
「いやこれから勉強漬けになるんだぞ。食えるだけ食っとけ。じゃないとホントに頭回んなくてバテるぞ。ほら、正実の先輩らもいっぱい食べるイメージあるだろ? それに各校のトップ層のエリートはめっちゃ食べるともっぱらの噂です」
豆から挽いてるコーヒーをドカ飲みしてたりするゲヘナの委員長やら、ゲーセン帰りにジャンクフードをヤケ食いしてるメイドやら、大盛りのラーメン食べてるおじさんもいる。
……いや、最後のは普通か。
どのみち早朝から昼まで勉強漬けにされるのだ。どうしたっておなかは減るだろうから多少多めに作った。昼までは何も腹に入れさせないのだから育ち盛りの思春期にとってはむしろちょうどいいくらいだと思っている。
「ま、食えなきゃそん時は私が食うから言ってね、捨てるの勿体ないし」
「それじゃあ食べようか」
先生がタイミングを見計らっていたのか手を合わせ、食事の号令をとる。
「「「「「いただきます」」」」」
各々、皿に手をつけ始める。
「せ、先生……? なんで泣いてるんですか?」
「ここ最近コッペパンしか食べてなくって……」
「合宿中は私が作るから少なくともコッペパンは出ないかなぁ……」
これユウカのメモロビフラグ潰してないかちょっと心配だ。
「来月まで懐が寒いままだったから助かるよ」
「先生? 合宿の間だけですからね? その後は助けませんよ?」
「ルカのご飯美味しいから、毎日作って欲しいなぁ〜なんて……」
「申し訳ありませんが選考を重ねた結果、シャーレへの入部は辞退させていただきます。先生のご健闘をお祈り申し上げます」
そのうちシロコにでも襲われろ。
なにはともあれ、ユウカのメモロビフラグが生き残って良かった。ユウカは皆の初メモロビを奪ってくものだからね。
「……ちゃんと美味しい」
「え、ひょっとして私料理できない奴と思われてた?」
いや、今回作ったものはどれも簡単な調理で作れるものではあるのだが、あまりにも恐る恐る食べたのでつい聞き返す。
「……事情聴取の為に探してるとほとんど外食してるし、料理が下手か出来ない人だと思ってた」
「多少は評価が改善されたようで何より」
「で、でもイチカ先輩を任務中に連れ回すのは許してないから!!」
「アレは誤解だからな!?」
ビシッと俺に指を指して犯していない罪を言及するコハル。
トラブルに巻き込まれる都度、事情聴取と言われていつの間にか喫茶店で話をする羽目になっているだけで、何もコハルの脳内みたいなことは起きてない。
「と、そろそろ時間か」
茶葉の蒸らしも十分な時間だろう。ティーポットを手に取り全員のカップへと注いで回る。
ハナコとコハルはミルクインファースト。
アズサとヒフミがミルクインアフターね。
「先生はどうする?」
「ルカのオススメは?」
「個人的にはミルク、お砂糖共にタップリ前もって入れておくのがオススメですかね」
「じゃあそれでお願い」
先生のカップに自分のものと同じように淹れる。
これでミルクインファースト派が4人。俺達の勝ちな。そう目線をヒフミに贈るとちょっと不満そうな顔をする。
「ヒフミ、どうしたの?」
頬袋を膨らませたアズサが、嚥下し終わったタイミングでヒフミに声をかける。
「ミルク後入れ派が少なくて悲しいんだろ」
「そうなのか」
「ま、これに関してはキノコとタケノコのお菓子戦争みたいなプロレスだからアズサはあんまり気にしなくて良いぞ」
「そういうものなのか」
よくわかってなさそうな顔で再び頬袋を膨らませるような詰め込み方で食事を再開する。
……みんな美味そうに食べてくれてよかった。
コハルに何やら耳打ちをしているハナコに、リスみたいに食べてるアズサ。それを苦笑いしながらも暖かい表情で見るヒフミ。
今後の事を考えると億劫ではあったが、そんな気持ちが消えるような。
……そんな、とてもいい光景だと心から思えた。
「はい、ご飯も食べて全員教室に集まったところで、地獄の勉強合宿初日を始めていきまーす……まぁ、一週間後にやる補習試験で合格点を叩き出せるようにするので覚悟しといて」
「了解した」
「う、うぅ……」
「……」
「はい♡」
三者三様、バラバラな返事をしながらも目はみんな合格点を取る気でいる。……正直なところ、ハナコを除いてみんな勉強したら結果が付いてくるタイプなのであまり心配はしていない。
ハナコは100点しか取らないから心配以前の話だ。
「というわけで、今から試験を行います」
そう言って昨日先生と徹夜で作ったテスト用紙を配る。おかげさまでちょっと眠い。でも、部屋に戻る前に水を飲みに行こうとしたらアズサがトラップ仕掛けようとしてたのが発見できたのでトントンといったところだ。
「……試験?」
「なるほど……?」
「きゅ、急に試験!? なんで!?」
昨日試験用紙を作ってた俺と先生の部屋に来たヒフミだけが何も何も言わずに準備をしていた。
そもそも本来ならヒフミが提案してたことだしね、これ。
「現時点で何が苦手で何が得意か。そして基礎、応用がどこまで出来てるか……これらを明確にして、自分で把握してもらおうと思ってね」
全員分の回答用紙と問題用紙を俺以外に配り終え、説明を再開する。
「一応昨年度トリニティで実施された試験問題や、恐らくこれは出ると確信が持てる基礎的な問題を集めたオリジナルテスト。まぁ本番同様と考えてもらえばいいかな。時間も60分、ただし合格点は90点以上で合格に変更します。これが合格できれば本番も合格できるだろうから」
ちなみに俺の分はクソ難易度の問題集から集めまくった寄せ集めのテストにしてある。自分以外の難易度を上げて俺だけしないのは流石に良くないし、ナギサの条件を意地でもクリアしたくなったというのもある。
俺以外の全員が、席について準備を整えつつあったので近場の席に自分のテストを置いて、着席する。
全員が筆記用具だけを机の上に置いて、静かに先生が試験開始の合図をするのを待つのを確認して先生に目線を送る。
「……それじゃ、
一斉に机の上にある用紙をめくる音が、静かな教室に響き直後に筆記用具の音が鳴り出す。
全員が問題に取り組み始めたのを理解して、俺も問題に取り掛かる。
――――解答を書き終わって暫く机に伏せていると先生が試験終了の知らせをする。
「はいこれ模範解答」
先生が全員に答えの書いたテスト用紙を配る。
個々で自己採点をしたら、それぞれの点数を確認してまとめる。
下江 コハル 36点 不合格
白州 アズサ 30点 不合格
阿慈谷 ヒフミ 58点 不合格
浦和 ハナコ 100点 合格
那賀波 ルカ 92点 不合格
ハナコが本気出してるから俺、凄い霞んでない?
「は、ハナコちゃん凄いですね……」
「ふふ、ちょっと張り切ってみました♡」
全員分の試験用紙をまとめ、整える。
「はい、現状ではハナコ以外全員不合格なのが分かった所で」
「アンタちょっと誤魔化してない?」
「こ、コハルちゃん……ルカちゃんは珍しく全力でやって不合格で恥ずかしがってるんです、そっとしてあげて下さい……」
「今トドメを刺されたんだけど……?」
まさかヒフミに刺されるとは思わなかった。
いや確かに胡坐かいて90点前半なんだからボコボコにされるか……
「……一応、話し続けるね? とりあえず今日はマンツーマンで教え合う形式をとる。明日はみんなで授業を行う形式にするよ」
「授業ですか?」
「うん、それぞれの得意教科で全員に授業してもらう。教えるって結構難しいことなんだよ。理解していない相手に理解をしてもらうようにするんだから当然、分かりやすい必要がある。だからこそ得意科目がより得意になるし、教えてもらう側も食らいつきやすくなる」
後はコハルが押収したエロ本の返却とかしやすくなるしね。
「趣旨は分かりましたが、今日行う形式の組み分けはどうしますか?」
ハナコがコハルの両肩をつかんでちょっと目を輝かせて聞いてくる。
コハルに関しては少し顔が青ざめて恐る恐るハナコの方へ振り向こうとしていた。
「
なるべくかみ砕いて分かりやすく説明したつもりだが、不明点がないか念のため確認をする。
「わ、分かった……がんばる」
「……うん、了解。ルカの指示に従う」
「すごいですね、昨晩の間でこんなに準備を……」
「まぁ、ヒフミと先生が手伝ってくれてたからね。手伝ってもらえてなかったら今頃みんな朝食抜きだったよ」
そういうと一瞬ハナコが笑顔で固まった。いや、コハル以外みんな固まってる。食いしん坊か?
「あはは……あ! そ、そうでした、これは個人的にですがご褒美を用意しました!!」
いつもの苦笑いをしていたヒフミが思い出したかのように教室を飛び出す。予想というかストーリーで知ってるというか、まぁ十中八九モモフレグッズだろうが部屋に置き忘れたのだろう。
「お待たせしました!!」
着替えとして持ってきていたであろうややデカめのキャリーケース。
なんか見覚えがあると思ったら、ミレニアムで試験的に作られてたバッグのジャンク品を弄繰り回して、一時期ブラックマーケットで売っていた失敗作。
それをヒフミは教卓の上に乗せて、開け始める。ちょっと力を入れて開けているのかチャックがぎちぎち言ってる気がする。
……嫌な予感がするので教室を出ようとした瞬間。
「あっ……!?」
ヒフミがそう口に漏らしたと同時に、ケースから見覚えのある奴らが
それも俺に向かって。
「昔に私、これは買うなって言わなかったっけ……?」
ペロロ、スカルマン、Mr.ニコライと馴染みのあるぬいぐるみやらマグカップにフォークやナイフ、缶バッジといった多種多様なモモフレグッズに一人生き埋めにされながら、俺はそう言った。
次回エロ本を届けにいく話か番外編です。
いつも通りゆっくり書いていきますが、お付き合いいただけますと幸いです。
いつも誤字脱字報告、感想、評価ありがとうございます!!
作者は乞食なのでいつもガソリンになってます!!