キヴォトスに転生した俺、とりあえず逃げ回る。 作:旅する野良猫
書き終わったので放流いたします。
気づけばお気に入りが2000を超えていました……!!
ありがとうございます!!
ミレニアムの廃棄流通品の一つ。
『色々詰め込んでも常にきれいに保てる旅行キャリーくん』
内部で真空にすることで衣類や、枕。布団やらマットレスも入れられ、自動洗浄機能やら自動乾燥機能、殺菌&抗菌機能にBluetooth接続も出来るとんでもバッグ。
難点を上げるなら中にモノを入れて長時間(2日以上)経つと次に開けた時、圧力の変化で中身が飛び出すステキ仕様。
このステキ仕様で廃棄品として流れてきた。
そしてそのステキ仕様を、神秘研究の一環で直せたり出来ないかと色々弄くり回した結果、那賀波版はバッグが閉じている間中身の次元がずれるのかどれだけ詰め込んでも重さが変わらないバッグになった。
結果、閉じれたら中身が新品同様の綺麗な状態で飛び出す質量保存ガン無視の詰め放題バッグという、疑似四次元ポケットが誕生してしまった。
どれだけ頑張っても中身が飛び出す失敗作だったので、ブラックマーケットでひっそりと売り払ったらあそこの勢力図が変わったり制作者探しが始まったりして大騒動が起きたが、それは割愛。
で、そこそこ良いお値段(最新兵器の横流し品位)のするそれを何故持ってるかと言うと……
元がミレニアム製品なのを誤魔化すために俺がモモフレグッズっぽくデザインして放流した為だろう。
笑っちゃうよね。
ブラックマーケット内の抗争で犬猫やらロボット達がモモフレデザインのクソデカいキャリー担いで戦ってんだもん。
シュール過ぎる光景だった。
「な、ルカがモフモフの天国にいる……!?」
「い、いつも開けると中身が何故か飛び出してしまうんですよね……」
頬を掻きながら、ヒフミはいつもの困り顔で生き埋めにされた俺を眺めていた。
「そ、それでですね……ご褒美というのは、合格出来たらこのモモフレンズのグッズから好きなものを上げちゃいます!!」
「それはこの山の中なら何でも良いということですか?」
「そ、そうですね?」
何故かハナコが乗り気になった。
「な、ならあのスカルマンの巨大ぬいぐるみが欲しい……!!」
アズサも目を輝かせてそうな声で乗り気になっている。
アズサはともかく、ハナコも乗り気なのはどうしてだろうか。
「とりあえずこれ退かしてくれない?」
「す、すいません、忘れてました!!」
「流石の私もキレるぞ!?」
食器類が入って無かったら普通に起き上がれただろうが、カチャカチャと皿やグラスの音がなったので静止して居なければならなかったのだ。
「す、すぐに退かしますから動かないで下さいね!?」
「動かないから早いとこ割れ物退かして?」
モモフレデザインの食器類が全て机に置かれ、自由の身になった所でヒフミの頭をチョップする。
「んで。何でコレ買ったの?」
「えぇっと……そ、その、言わなきゃダメですか?」
「ダメ」
ヒフミには絶対に見かけても買うなと言ったからか、バツの悪い顔をしているが知ったことではない。
「下手したら痛いじゃ済まない大怪我するかもしれないって私言わなかったっけ?」
「いやその……で、でもですね!?」
「言い訳禁止。マジメな話、キャリーのデザインはクリアファイルを別で作って渡したよね……? だから買うなって約束してたと思ったんだけど」
「じ、実はマニアの間では、プレミアが付き始めていて……」
「なんでプレミアついてんだよ!?」
頭を抱える。
モモフレグッズにはゲテモノ枠としか思えないフザけたグッズの価値がインフレすることが多々あると前に聞いたことはあった。
でもいくら何でも自分の失敗作にプレミアをつけなくてもいいだろう……
なにより抗争に使われてたこともある兵器でもあるのだ。
普通にモモフレが好きなのもあり、そんなものをフワフワなイメージの強いモモフレグッズのプレミアにするのはやめて欲しいという感情もあった。
……強火のモモフレオタク達はゲテモノであればあるほど喜ぶらしいが俺はライトユーザーなので。
「とりあえずコレは没収。今度普通のキャリーバッグやるからそれで我慢して」
「そ、そんな……グッズをどれだけ詰め込んでも重くならなくてとても便利なんですよ!?」
「うん、だからダメだって言ったんだよ……絶対そのうち詰め込みまくって開ける時にグレネード並みの圧力かかって部屋が吹っ飛ぶもん」
そうやってミニペロロが散りばめられた黄色いキャリーを回収しようとするも、中々ヒフミが手を放さない。
右、左と動かしたり捻じってみても、ちょっと無理な体勢をしながらうまいこと離れないよう必死に抵抗してくる。
「……はぁ、分かった。持ってて良いから中に物を絶対に入れるなよ?」
「!! 分かりました!!」
このままでは埒が明かないので条件付きでとりあえず許した。
とはいえ、もしなにか入れたりすれば問答無用で壊すけど。
キャリーを抱えてご機嫌にクルクル回ってるヒフミはどうにも出来ないので、他の部員との話に戻る。
「話がちょっとズレてたけどヒフミがご褒美をくれるらしいので頑張って」
「因みにルカからはご褒美は無いの?」
「安心して下さいアズサちゃん。副部長のヒフミちゃんがご褒美を用意しているのに部長であるルカちゃんが用意していない訳がないじゃないですか♡」
用意していないのを分かっているクセに無理矢理用意してるかのように誘導された。
「……ご飯、奢ります」
ちょっと悲しい顔をするアズサとハナコ。
「……プレゼントとかで、どう?」
悩ましい顔で、もう一声欲しいとヒフミとハナコが表情で訴えてくる。
……いつの間にかヒフミ混じってんじゃん。
「分かった分かった!! 全員合格したらお疲れ様会となんか一個好きなもの買う!! これでいい!?」
「流石は部長ですね♡ 凄く良いと思います♡」
ヤケクソ気味にどっちもすると宣言すると、とても良い笑顔を浮かべてハナコが満足そうにしている。
アズサは気合が入ったのか真面目な顔してるし、ヒフミはスマホでプレミア品を漁ってるし……
いや、まぁコハルも「ま、まぁいいんじゃない?」と話にさも初めから参加していたかのように腕を組んでるので皆が喜ぶなら良いよ……うん。
ちまちまと小金稼ぎしてたからそれなりには財布に余裕がある。
どうせファミレスで飯食ってドリンクバーで粘る位しかしないだろうし、買い物に関してはペロロ狂いのプレミア品強請りをなんとかすれば大丈夫……なはず。
「そんじゃ、全員でお疲れ様会出来るようにまずは勉強頑張ろっか……」
一日が始まったばかりなはずなのに俺だけ凄く疲れてる気がする。
「コハル、ここはどう解いたら良い?」
「えぇっと……ちょっと待って。これは確かこうやって、下のところと90度になるように線を引いて……引いた後のこの三角形の角度が一緒になるの。分かった?」
「……なるほど、助かった。これは確かに、正義実現委員会のエリートというのも頷ける」
二人一組で教え合う方式を取ったことで話しやすさもあるのだろう。メインストーリーにもあったくだりの会話をする二人。
「ルカ、鉛筆が止まってるよ。ほかの子じゃなくて問題を見てね」
「……はい」
補習授業部のメンバーは俺を含め5人。どうあがいても一人余るので周りを見ながらちまちまやればいいやと思っていたら、この通り。
先生が監視につきました。
どんだけ信用ないんだ俺。
「ルカのまつ毛長いね」
「いきなり注意の意味を覆すこと話し始めないでくれません……!?」
そのくせちゃんと専念しようとしたら俺の目を見つめるようにしていきなりこれだ。
「ゴメン、ルカが真面目な顔してるとこについ見惚れてね」
「そのうち先生刺されますからね」
「大丈夫、みんないい子だからね」
優しく笑いながら先生は“大人の顔”をして、そう言った。
そんな顔をするから生徒の心臓を打ち抜くんだぞ。
「うわあぁぁぁっ!? な、なんでっ!?」
女の敵みたいなジゴロ先生に呆れているとコハルがコユキみたいな悲鳴を上げて騒ぎ出す。
「コハルちゃんそれ「ち、違う! 見間違い! とにかく違うから! 絶対に違う!!」」
「私の目は誤魔化せませんよ、確実にアレなことをする本でした。それも結構ハードな……」
やや興奮しているのかハナコはコハルに対して問い詰めるようにまくし立てていく。
「トリニティ……いえ、キヴォトスでもなかなか見ることが出来ないレベルの内容とお見受けしました。肌と肌とがこすれ合い、敏感な部分を擦り合わせ、嬌声が飛び交い理性が飛び去るような……!!」
「い、いや、そのっ……」
「どうしてそのような本を持っているのですか? 確か校則でも禁止されていたと思いますが……? ……いえ、なるほど。考えてみたらそんなに変な事でもありませんね? わざわざ合宿にまで持ち込むほどのお気に入り。予行演習もバッチリで臨みたいという思いの元なんですね……!? しかしそうですか、あの真面目なコハルちゃ「はいそこの隠語を言いまくる割に実用品は少女マンガチックな純愛モノを愛用してそうな浦和ハナコさんストップ」」
「……ひゃい!?」
ハナコによる言葉のリンチを止めて間に入る。
やや歪な笑みを浮かべる淫乱ピンクはポーカーフェイスをキープしようとしているのだろうが思った以上に顔が真っ赤になっていた。
もう一方の淫乱ピンクはもう少し遅かったら泣いていそうな表情をしている。
「ハナコ、言い過ぎ。コハル泣きかけてるから……」
どうせエッチなもの好きの同志が出来そうで興奮していたんだろうが、それで泣かせるのは間違ってるだろう。
俺もストーリーで起きた出来事なのにのんきに先生と談話するより聞き耳立てとくべきだったと反省する。
「うぅ……ううぅぅぅっ……な、泣いてないもん……!!」
「うん、泣いてない。コハルは正義実現委員のエリートだもんな」
顔が他の部員や先生に見られないよう頭を抱きしめるようにして隠す。
ちょっと羽が動いてくすぐったいが、我慢して頭をなでる。
流石にグズグズになった顔は人に見られたくないもんな。
「あれでしょ? 正実として活動中に差し押さえた押収品をカバンの中に放置しちゃってた……とか、そんな感じでしょ?」
そう埋まったままのコハルに聞いてみるとコクリと頷くのを確認する。
「だってさ、ハナコ?」
「そうだったんですね、本当にごめんなさい……お話が合うかと思ったのですが……」
「わ、私、押収品の管理とか、してたから……これは、その時のやつで……」
スンッ……スンッ……と鼻をすすりながらコハルは説明をしだす、のだが……それがすごくくすぐったい!!
「なるほど。そういえば、トリニティの古書館の地下には何やら、禁書がたくさん積まれているという噂も聞きましたし……そういったものを含めて、色々と差し押さえているとしても何も不思議ではありませんね」
フスーッとその通り!! とでも言いたげな鼻息がインナーを揺らしているのかくすぐったさで吹き出しそうになる。
「ふ……ふふッ……」
必死に下唇を噛んでこらえるが、早いところ話が終わらないと本当に笑いだす自信がある。誰かに助けを求めようと周りをチラ見した瞬間、先生と目が合ったので助けをくれと視線を送る。
いや、笑って手ぇ振ってないで助けてよ!?
「であれば、押収品ってできるだけ早く返してしまった方が良い気がするのですが、どうしましょう?」
ハナコに返答をするためかコハルがもぞもぞと動き、頭の羽が少しパタついて限界が来た。
「ふははははははははは!!!! あ、もう無理ぃ……笑っちゃう、こは、こはははは!! うごかない、で……! くすぐったいってぇへへへ!!!」
笑い苦しくってつい、床に倒れ込んで必死に呼吸を整える。
「はー……!! はぁー……!! はー、死ぬかと思った……!!」
「だ、大丈夫ですかルカちゃん……?」
ヒフミに背中をさすられ、落ち着いてきたので立ち上がって口元の涎を拭う。
「ご、ごめん話戻そう。とりあえず押収品どうする?」
「数が合わなくなって騒ぎになる前に、返しに行った方が良いかもしれませんね……」
壊してしまった話の流れをヒフミに助けてもらいつつ、修復する。
「今のうちにこっそり行って、バレないように正義実現委員会のところに戻してくれば大丈夫じゃないですか?」
「え、今?」
ハナコも察してくれたのか話を戻してくれる。
コハルやアズサに関しては一切分かってなさそうだけど、取り敢えず話は戻ったのでヨシ。
「それならコハル、一緒に行く?」
「そうだな、先生が一緒だったら言い訳もつくだろうし」
「そうですね。ところでコハルちゃん、それはそれとして、もし他にもお勧めがあればぜひ♡」
そう言ってちょっかいをかけるハナコをしり目に、そっと両耳を塞ぐ。
それを見て、アズサやヒフミも真似をしてお決まりなオチを待つ。
「う、うるさいっ、バカっ!!」
次回ごつい銃を持ったシスターが襲来する話です。
いつも通りゆっくり書いていきますが、お付き合いいただけますと幸いです。
いつも誤字脱字報告、感想、評価ありがとうございます!!
作者は乞食なのでいつもガソリンになってます!!
周年ヒナきちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!
みんなもガイドミッションクリアしてエデン条約編みよう!!