あなたの好きなニケはレッド──   作:オス゛ワルト

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メッセージ

 不在になっている間に森の中にあるレッドキャップが作った拠点は問題なく残っていた。ラプチャーが荒らした様子もない、が蜘蛛の巣が張ったり鳥の巣ができたりしていた。そこからケースを引っ張り出して中の通信端末を起動して繋げイングリッドにメッセージを送ってみた。

 エブラ粒子の濃度によっては届かないので試しである。届かなければ移動するか時間をおくかだ。

 

[やっ]

[最近調子どう?]

 

 返事はすぐさま返って来た。運が良いようだ。

 

[無事だったか]

[アブソルートが破損するのを目撃したと聞いているが]

[無事無事、アブソルートとメティスは大丈夫?]

[全員記憶処理が行われたが無事だ]

[お前は正体不明のニケという扱いになっている]

 

 メッセージを見て、ドロシーが言ってた無かったものにされたってコレのことか? と思った。ドロシーはどこから情報を得ているのだろうかと疑問に思うが、地上で遭難しドロシーが助けたニケがある程度の情報源になっている。

 

[ラピも元気?]

[ラピか]

[……]

[せっかくだ。お前の集めた探査データを利用させよう]

[わかった。アークに戻って持ってけば良いか?]

[戻るエレベーターの座標くれ]

[いや、今アークに戻らないほうがいい]

[ミシリスのCEOや一部の副司令官たちが]

[地上の赤い正体不明ニケに興味を抱いている]

[お前とイコールで繋げられると面倒だ]

[直接渡せ]

[了解。時間と座標くれ]

[それと、接触するのにお前に部隊名が必要だな]

[何か要望はあるか?]

[ええ?]

[地上サーチャーズとか]

[お前のネーミングセンスに頼った私がノンタクティカルだった]

[何か要望はあるか]

[大切な人たちの事を語る人みたいな]

[それならトルバドールでいいだろう]

[トルバドール了解]

 

 メッセージのやり取りを終えて受け取った座標に移動を開始する。時間は翌日なので余裕がある。

 指定座標に着いたらラプチャーがいたので事前に掃除しておき、ラピが来るのを待った。

 翌日朝日と共に、ラピを先頭に警戒態勢でやってくる四人組が見えたので手を振った。ラピがこちらに気付いて驚いた顔をしている。四人組の様子を見て、ある意味でレッドキャップは待ち侘びたもの、カウンターズを見せられて笑顔を浮かべた。

 

「おっす、アンタらがアタシがデータ渡せばいい相手か?」

「レッドキャップ、久しぶりね」

「ラピも息災って感じか? 指揮官さんはまあいいとして、そっちの二人は」

「アニスよ」

「ネオンです!」

「元気があってよし! アタシはエリシオンのレッドキャップ。よろしくな」

「ラピとは知り合いなの?」

「あーまぁ。出来立ての頃から知り合いって感じだな」

『トルバドール部隊のレッドキャップさんですね! シフティーと申します、そちらの端末を指揮官の持っている端末に繋げてください』

「アタシの調べた情報使うみたいだけど、なんの作戦やんの?」

「発電所の調査だ」

 

 レッドキャップの問いに指揮官が答えた。指揮官はよく通る声をしていて、体格も悪くなく、何よりロイヤルロードで見た人間のようにコチラを見下すような目をしていないのがとても良いとレッドキャップは思った。

 

「発電所がありそうな場所というと……あの海辺の都市か? ほい」

 

 その地域で観測したデータを送る。

 

『スキャンでは得られない……ラプチャーのおおよその巡回ルートから種別まで? とても有用なデータです!』

「スキャンじゃわからないのか?」

「当たり前じゃない。スキャン範囲内にいるラプチャーは見えるけどその外から来るラプチャーはわからないわよ」

「そんな有用なデータ、スパイの私の前で広げてしまっていいんでしょうか!?」

「いやそもそもレッドキャップは所属エリシオンってさっき言ってたじゃない……」

「ハッ……! 同郷!」

「だいぶ愉快な感じだな」

「…………そろそろ向かいましょう」

 

 ラピが進行役かぁとレッドキャップが思いながら手を振ると指揮官が首を傾げた。

 

「レッドキャップは来ないのか?」

「へ? アタシも着いて行ったほうがいいのか? それともナンパか〜?」

「いやナンパのつもりはないのだが……一人は危険じゃないか?」

 

 確かに! と妙案を聞いたような顔しているネオンと対照的にアニスが呆れた顔をしている。この二人は表情豊かでみてて楽しいな等とレッドキャップは思ったが仮面をつけていて相手から伺えないもののレッドキャップ自身もタイプとしてはこの二人側である。

 

「あのねぇ指揮官様? こういう偵察とか情報収集をするニケは隠密とか隠蔽に……………隠蔽に…………性能を振ってるの。未知の場所に連れていくほうが……よっぽど危険なの」

「すごく……大きい物を持っているようだが」

「確かにすごく大きいわね……なんで銃剣ついてるの?」

「カッコいいだろ」

「えーあー、はいはいかっこいいわよ。ともかく別任務のニケについて来てもらおうとするのは失礼なの」

 

 レッドキャップが持っている大型ライフルには大きな銃剣が付いている。派手な赤いポンチョと合わせて隠密が得意そうには見えないのでアニスの言葉も若干尻すぼみだった。

 別に隠密してなくて出会ったラプチャーを全部ぶっ壊しているだけである。ただ、確か作戦を何度も生き延びた指揮官はシュエンに目をつけられるはずなので今の指揮官に着いていくのは危険ではあった。

 

「そうなのか……連れて行こうとしてすまなかった」

「いいよいいよ、代わりと言っちゃなんだけど連絡先交換しようぜ。アタシの連絡先を手に入れられるなんてとっても幸運だぞ男前〜!」

 

 素直に頭を下げて謝ってくる指揮官と連絡先を交換する。知ってるのがCEOのイングリッド、ピルグリム、アブソルートなので本当に貴重な連絡先なのだが指揮官は知る由もなかった。

 移動を開始したカウンターズに今度こそ手を振って見送るとエブラ粒子が浄化されてるうちにイングリッドに完了のメッセージを送る。

 

[情報受け渡し完了]

[着いていかなかったのか?]

[着いていって顔見られたらどうすんの]

 

 レッドキャップが軽率に着いていく奴とイングリッドは思っているようだが、大正解であった。顔を見られたらどうするの? というリスクも考慮した遠距離着いてくで別れた後追跡している。ラピは気付いているようでたまに振り返って首を横に振ってやめるように主張している。

 そんなレッドキャップをエデンから脱走後追跡しているニケも居るのだがレッドキャップはそれを知るのはすぐ後である。

 道中問題なく進んでいき、都市に入ってしまったので追跡を中断した。

 ラプチャーもいないようなので一旦森に戻ってから探索するかなと背伸びをした。

 

「アークに戻らないのですね」

「うわぁぁぁっだっと!?」

 

 突然後ろから声をかけられて数メートル飛び上がったレッドキャップが着地で足を滑らせて転倒、尻餅をついた。

 

「大丈夫ですか?」

「急に声掛けるからめちゃくちゃびっくりした……イサベルはどうしたんだ急に?」

 

 レッドキャップに手を貸して立ち上がらせてくれたのはイサベルである。空中戦では比類なきニケであり、落下するレッドキャップを救出(?)してくれたのもイサベルだ。

 

「レッドキャップがアークに戻るそぶりをしたら襲ってでも阻止しろと指揮官とドロシーに言われたので空から監視していたんです」

「それ監視する相手に言っていいのか?」

 

 というかそれだとアタシが着いていったらラピ達ごとイサベルに都市で襲われてたかもしれないのか……とレッドキャップは自分の選択に感謝した。

 

「私も指揮官やドロシーと同じくレッドキャップがアークに戻るのは反対していますが、エデンを出てから先ほどの様子からして戻る様子がないので確認に来ました」

「もしかして、アタシがアークに戻って何かされるとか思ってる?」

「ええ、指揮官含め」

 

 レッドキャップはエデンを出てから監視されてるのと全然気付かなかったのと、いらぬ心配をかけてしまったことを申し訳なく思った。

 

「あー、うん。ゴメン。大丈夫その辺のアタシの身の上はわかってるから安易にアークに帰ったりしないよ。ちゃんと安全かつ必要があれば帰るけど、無計画に戻ったりしないから大丈夫だよ。アタシの追跡なんかしてたら大変だろ?」

「それなら私が追跡する必要もないですが……念のため、メッセージを送れるように私と連絡を交換しておきましょう。そうすれば納得してもらえます」

「わかった」

 

 イサベルと連絡先を交換するとイサベルが空を飛んで去っていくのをまた手を振って見送る。

 

[こんにちは]

[私の方からもメッセージを送らせていただきます]

[よろしくドロシー、心配さs]

 

 暫くしてドロシーからメッセージが来たのと都市跡のビルが地盤沈下か、何かおそらく発電所の空間が潰れた結果傾いて倒壊するのをレッドキャップが目撃したのは同時だった。




トルバドール
特殊偵察隊
地上で偵察任務をしている。秘密の存在で知る者は殆ど居ない。

レッドキャップ
企業エリシオン 
部隊トルバドール 
ニケストーリー
トルバドール部隊所属の派手な赤色が目立つニケ
仮面で隠し表情は伺えないが気さくで接しやすい。
その顔はトップシークレットの為、アークで顔を知る者は数えるほどしか居ない
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