あなたの好きなニケはレッド──   作:オス゛ワルト

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記憶

「……」

「エリシオンのCEO様がくる前にラピが来たわね。……いや明るくしないと、こんにちはラピ、私はこの部隊の隊長のアニスよ! ビシバシしごいていくから覚悟しておきなさい」

「あなたが新入りですよ! わかったら私のメガネを磨いておいてください」

「…………指揮官」

「ラピ、初めまして」

「……記憶が消えていませんでした」

「へ?」「はい?」「え?」

 

 ラピの言葉にアニスとネオンと指揮官は三者三様の変な声を出した。

 その後勝手に入ってきたシュエンはこの後予定が詰めてるカウンターズの都合含め色々あって肋が折れて病院送りになった。

 

 

 レッドキャップはイングリッドに教えてもらったエレベーターを通って、前哨基地に降りてきて、コマンドセンターの前で悩み緊張していた。

 レッドキャップの記憶では───秘密作戦の筈だ。トーカティブに遭遇せずミハラやユニも負傷していないならレッドキャップが襲われても作戦がバレて記憶消去をされる心配はない。筈なのに指揮官から来たメッセージには[ラピが記憶消去される]というものだった。

 つまるところアタシのせいだ。とレッドキャップは考えていた。ラピの記憶が本当に消去されていたらレッドフードにどう詫びればいいのか。

 罵られたりぶん殴られても受け入れるのは前提だがかける言葉が思いつかなかったが、意を決してコマンドセンターの扉を叩く。叩いてから呼び鈴がある事に気付いて呼び鈴を鳴らす。

 

「……どなたですか」

「……あーうん。レッドキャップって言うんだ。ラピや指揮官やアニスとネオンにも用事があってな、入れてくれないか?」

「わかりました」

 

 ラピが対応してきた。レッドキャップのことは知らない様子だ。ラピは鉄面皮なので実際記憶を失ったかどうかわからないがフェイスアーマーの下で絶望的な表情をしているレッドキャップは中に入って指揮官達の前に来ると床に頭を叩きつける勢いで土下座した。

 

「すまない!! 多分アタシのせいでラピが記憶消去されたんだろ!?」

「……………いいや違う。命令したのは私だ。レッドキャップに非はない」

「……………いいのよ、シュエンの様子からして捕まってたらバラバラにされて調べられてたかもしれないんだし」

「重い話題はやめましょうレッドキャップさん。先日のあの火力について談義したいのですが」

「…………………」

 

 全力土下座のレッドキャップに指揮官達が気まずそうな雰囲気を出している。ネオンが無理やり話を切り替えようとしたが無理だった。

 

「アタシに出来ることがあれば言ってくれ! 出来る限りは協力するぞ!」

「では火力談義を」「ちょっと黙ってましょうね?」

「レッドキャップ、とりあえず顔を上げてくれ。何か飲もう」

 

 安物のコーヒーだがラピが全員分用意し、レッドキャップをソファーに座らせて落ち着かせる。

「あ、そこそういう風に開くんですね」

 

 ネオンが場の空気を良くしようと頑張り続けている。

 

「イングリッドも来るらしいけど、ミシリスからの干渉を止める為か?」

「ああ後ろ盾になってもらいたい。記憶を失う前にレッドキャップ、君がそれの役に立つと聞いたんだが」

「私達どう考えても弱みにつけ込む極悪集団ねコレ」

「アタシが役に立つか? そりゃ色々知ってるけど言ったらやばそうなの多いし……アタシが指揮官とカウンターズを気に入ってる……だけじゃ弱いよな? あっそうだ」

 

 おもむろにレッドキャップがポンチョのフードをとった。レッドキャップ(赤い帽子)の名にたがわない燃えるような鮮やかな赤色のウルフカットがあらわになり、フェイスアーマーの留め具に手をかける。

 

「トップシークレットだ。内緒だぞ」

「ダメよ。あなたの身に危険が迫る可能性がある」

「ラピ?」

 

 ラピがレッドキャップの手をおさえた。その手を見てレッドキャップの声色がみるみる明るくなる。

 

「あれ? ラピ記憶ある? よかったぁ〜〜〜! じゃ外すか」

「ちょっとちょっと!? 前回あんなことされて今回私達アナタ騙そうとしてたようなものなのよ!?」

「そうですよ! 一時の火力は大事ですが継続火力も忘れてはいけないんですよ!?」

「どういう例え!?」

「良いじゃん別に! 記憶なくなってないめでたい祝いだよ!!」

 

 秘密を暴露しようとフェイスアーマーを外そうとするレッドキャップを秘密を知りたいカウンターズが止めようとする謎の図が生まれていた。

 

「レッドキャップすまなかった。君の好意につけ込んでラピの記憶の事を隠した。だから君が秘密を晒す必要はないんだ」

「つけ込むも何も隠すのは当然だしな。記憶消去が効かないのがバレてみろ、ラピは廃棄処分だ。……そうだ、これをアタシとの秘密の共有って事にしよう」

 

 レッドキャップがあまりにもラピ達に好意的なので普通は裏があるのではという思いとそこまで考えてなさそうな雰囲気のすごさで対応に困っていた。

 

「……わかった」

「よっしゃ、じゃあラピ、手を離してもらって良いか?」

「……ええ」

「指揮官様が言うなら……」

 

 ラピがレッドキャップの手を離す。それに驚きつつも、やはりその素顔は気になるのでアニスとネオンはそそくさと指揮官の隣に並んでフェイスアーマーを外すレッドキャップの様子をちょっとドキドキしながら見ていた。

 トップシークレットと言われればやはり好奇心をくすぐられるものなのだ。

 だが、外されても二人が期待したようなものは現れなかった。

 

「え?」

「普通……ですね?」

 

 現れたのは、切れ長で月を思わせる金色の瞳に少し勝気な眉毛。通った鼻筋に少し上がった口角、ウルフカットと合わせて少し怖そうな印象の美人だった。

 

「てっきり顔が無いとかとんでも無いのが飛び出してくるのかと思った……」

「顔がタコだったりとか」

「実は仮面をつけ外しするごとに顔が変わるとか」

「アタシをなんだと思ってるんだ?」

 

 フェイスアーマーをつけている時の挙動が若干子供っぽいので少しギャップを感じさせるが、笑って真剣な表情が崩れるとそのギャップはすぐに消えた。

 

「まぁ秘密ってのはなんでもそれ一つで完結するとは限らないし、アタシもなんでそこまでトップシークレットかわかってないんだけどな!」

「とにかく、これで秘密仲間ですね!」

「そうだな!」

 

 フェイスアーマーを付け直したレッドキャップとネオンが肩を組んで部屋の角でドンチャカふざけ始めた。

 

「来たぞ」

 

 そこにイングリッドがやってきて、じゃれあった姿勢のまま固まってこちらをみているレッドキャップ達の様子に頭痛を堪えた。

 

「ネオンから顛末は聞いている。アンダーソン副司令官からの連絡も受けている。……そこにいるレッドキャップからの推薦もある。だが後ろ盾を得たい以上、お前達が私に差し出せる利益を示せ。お前達を支援する事で私が得られるものはなんだ?」

 

 無い。というのが現状だった。指揮官はレッドキャップの好意に甘えてレッドキャップの顔のことを切り出す気はなかった。

 

「前哨基地と武力です」

「馬鹿者、企業CEOだぞこちらは。わざわざ前哨基地と少量の武力など要らん。お前なりにシュエンへの対抗を考えたのだろうが、現状では取らぬ狸の皮算用だ。タクティカルさの欠片もない」

 

 ため息を吐くイングリッドの前にラピが進み出た。

 

「私は記憶を失っていません」

「ラピ!?」

「いいの。これしか私達には手札がない。教官、これはレッドキャップも知っている事です。私には記憶消去が効かないという結果があります。ならばその原因を突き止める事が利益になるはずです」

「その言葉……本当に覚えているんだな」

「はい、教官。私の体を提供します。頭を開いても構いません」

「いや、それはいい。まず何が原因でその原因に接触したかを探る方が先決だ」

 

 少し緩んだ表情を即座に引き締めた。

 

「まずは北部での任務を果たせ。後ろ盾になるとしてもそれからだ。口約束しても相手が死んで御破算になるなど御免被る。それとレッドキャップ、お前にも話があるついてこい」

「了解イングリッド。じゃ、指揮官もまたな!」

 

 レッドキャップを伴ってコマンドセンターを出ていくイングリッドが振り向いた。

 

「指揮官、コレを庇って今回の事態になったのはわかっている。感謝するぞ」

 

 それがなければCEOがわざわざ来ることはあり得ない。ラピ達は来てくれたイングリッドに感謝し返して見送った。

 

「あ〜ひと段落ついたわね」

「あっアニスずるいです! 私もソファーに座りたいです!」

「コラ、指揮官より先にソファーに座らない」

「大丈夫だラピ。みんな疲れてるんだ。ゆっくり休んで北部の調査に万全の体調で挑もう」

「ほんと疲れちゃった。大物が来すぎなのよ……あれ? でも北部の研究基地は通行許可証がないといけないはずよ?」

「なんだって? アンダーソン副司令官に確認を……」

 

 指揮官が席を立とうとした時、コマンドセンターの中に謎の光が差し込む。キラキラとした輝きが生活感と無機質さに溢れかえったコマンドセンターの調度品に息吹を与え光出したかのようだ。

 

「えっ何この光」「なんですかコレ?」「このミラーボールのライトは……まさか……」

「Yes! そのまさかDESU! アークのEntertainmentを担当するテトララインのC! E!O! マスタングDESU!

 

 ガッチリとポーズを決め、光り輝く男がそこにはいた。

 

エンターーーーーーーーーーテイメント!!

「……」

「うわっ……」

「……………」

「嘘でしょ……社長まで来て今日だけで三大企業のCEOみんなきたわよ……」

 

 引き攣った笑みを浮かべるアニスや指揮官は光り輝き音楽奏でられるコマンドセンターの中で北部基地の通行許可証を受け取った。




「それで、今お前は何を知っている?」
「えーと……ピルグリムのこととアタシの頭の中にあるNIMPHの状態と地上基地とヘレティックと────」
「その口を閉じろ危険な顔に危険な情報が満載されてどうなってるんだお前は聞いた私の身まで危なくなりそうだタクティカルでCEOなのに。そんなお前があの指揮官やラピ達の何を気に入ったんだ?」
「んーーーーーいい奴って、良いじゃん?」
「お前がいうと説得力が違うな。類は友を呼ぶか?」
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