【カオ転三次】覚醒したは良いけれど、終末より前に自分の状況が終わってない?   作:エリム

4 / 9
難産でした・・・
登場人物が勝手に喋るというが分かった気がします・・・
大筋で作ってたセリフ殆ど変わってしまってるんですもん。
それではどうぞ!


嚆矢濫觴ー3

色々情報を得てからさらに二週間。

図書館通いは相変わらず続けて情報収集を継続、

更に学校の宿題だったりテレビ番組を観ていてといった不自然ではない形で、それとなくおばあ様や母様にオカルトのことを聞いてみたもののこちらはあまり成果は得られなかった。

ただ、母様は「気になることを聞くのは良いことだよ」といった感じで普通にしているのに対し、おばあ様は寝物語を聞かせてくることが多くなって朝のお祈りで唱える言葉も「悠希も小学生になったし教えてやろうかね」と増やしていた。

寝物語も基本的にはお伽噺といった感じではあるけど、所々に妙なリアリティがあるものが多い。

正直、状況証拠を並べてみれば母様はともかくおばあ様は何かしらオカルトに関わりがある可能性は結構高い。

だけど、決定的な何かを目撃したわけでも聞いたわけでも無いのに「おばあ様って霊能力者?」と聞いても、今まで隠している状況からしてはぐらかされるのがオチだろう。

そんな感じで悶々とした日々を過ごし、暦は5月の大型連休を目前にしていた。

 

「悠希、荷物の準備は大丈夫かい?」

「うん!ボクももう小学生だよ?これくらい一人でできるもん!」

「そうかそうか。そうじゃな。悠希ももう一年生じゃもんな。これは要らぬ心配だったかのぅ」

 

カカカと笑いながらボクの頭を撫でているおばあ様が聞いてきたのは、毎年の恒例行事である叔父ー本家での親族集会に行く準備の進捗だ。

この家というか一族は春は5月の連休、夏はお盆、秋は秋の御彼岸、冬は年末年始と季節に一度、一族が本家に集う風習がある。

時期は帰省シーズンで普通だけど、その強制力は普通ではない。

何せ入院していて動けないといったどうしようもない理由でもない限り、この集まりには少しでも必ず顔を出すことが暗黙の了解となっている。ボク自身もそれが一般的ではないことはわかっているけど、それはそれとして参加することに抵抗はない。

直近の覚醒修行オフ会はちょうどここに重なっていたため、次々回の参加にしようと思ったのだから。

ちなみに去年なんて長期出張していた叔母さんの旦那さんが海外から顔を出していたのだから、その強制力は推して知るべしだ。

そしてボクはこの集まりで、何かオカルト関係の…一族の裏の顔とでも言うべきものの一端を見聞きできるのではないかと期待していた。

今までは“そういうもの“だと気にしていなかったことだけど、この集まりでは一族の一部が数時間ほど姿を消す。

その居なくなる一族の中にはもちろんおばあ様も含まれていて、その時に何かしらの儀式や会議、またはその両方を行っているのではないかとボクは考えている。

なので今回の集まりで、ボクはこっそり後を追うなり盗聴するなりして何をしているのか確かめてみることにした。

そのために最近は尾行や盗聴の仕方に必要なモノの値段と偽装方法を中心に調べていたし、おもちゃではあるものの手に入れることに成功した。“俺ら“の介入がこういう所にも現れているのか、おもちゃにしては思ったより性能が良かったのは嬉しい誤算だった。

もしここでも決定的なことを掴めなかったら、もう後は覚醒修行に参加して正面から聞くぐらいしか思いつかない。

…正直お小遣い貯金の大半を使ってしまったので、これでスカだと色々厳しいという俗な理由もある。

そんなわけで、今回の集まりはボクの中でいつもより特別な意味を持っているのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

一族が集まる叔父さん家族の家ー平坂本家があるのは、新幹線と在来線、バスを乗り継いでおよそ4時間の小さな山の麓にある日本家屋のお屋敷だ。

ここは稲作が盛んで、田畑に近くの大きな川から水を回すための水路が多く張り巡らされている。駅周辺の街とは山を挟んで反対側なので周りの風景も相まってその中にある本家の屋敷は田舎のドン感が否めない。

ボクと母様、おばあ様を降ろして乗客のいなくなったバスが走り去っていく、

もう本家は見えるほどすぐそこで、このバス停を含めて山周辺の大半が一族の土地だという。・・・やっぱりドンじゃない?

 

「ん~っ!やっぱりこのバス停を降りると帰ってきたって気がする~!悠希は喉乾いてたりしてない?」

「大丈夫だよ母様。それよりリュック置きたいし早く行こっ!」

「そうじゃな。わしも早く一心地つきたいからのぅ。行くぞ、悠希、玲奈」

 

まあ本当にすぐそこなので何事もなく本家に到着。おばあ様と母様が「戻ったのじゃ」「ただいま戻りました~」というのに続いて、ボクも「ただいま帰ってきました」と玄関で挨拶をすると”ガラガラ”と内側から扉が開けられた。

 

「お義母さま、それに玲奈ちゃんに悠希くんもお帰りなさい。もうみんな大広間に集まっていますわ」

 

中から出てきたのは千秋叔母さん、この本家に住む孝蔵叔父さんの奥さんだ。

「どうぞ」と千秋叔母さんがスリッパを出してくれたので、それに履き替えて全員で大広間に向かう。

 

「わし等で最後かのぅ?」

「いえ。孝太郎がまだ・・・」

「そうか・・・」

「連座までには来ると思いますので」

「うむ」

 

途中でおばあ様と千秋叔母さんがぼそぼそと話していたけれど、残念ながらあまり聞き取ることはできなかった。残念。

そして大広間。千秋叔母さんの言う通り、大広間には一族の人間が集まっていた。

 

「お~!燈子義母さんに玲奈、それにゆう坊!長旅お疲れさま!」

 

大広間にはいるなり、まず一番に声をかけてきたのはガタイが良いザ・ムキムキおじ様な真治叔父さん。去年は海外出張が長く続いててほとんど話せてなかった。

そして、それを皮切りに周りから「お~!来たか!」「久しいの」「待っとったぞ」と声を掛けられる。

それらに挨拶を返したあと、おばあ様は年寄り衆のところでお話に引き留められ、母様は年寄り衆から毛染めをお願いされて真治叔父さんにボクを預けて準備に行った。

 

「いやー、ゆう坊、本当に久しぶりだな!大きくなったか?去年は出張先にとんぼ返りばかりで本当に顔を見るぐらいしかできなかったからな、どうだ?学校は楽しいか?」

「真治叔父さんお久しぶりです。うん。学校は楽しいし、こないだ身体測定で2セ「いや~!ゆうちゃんは抱きやすいままでいるの!」ンってうわ!?」

 

とりあえずと真治叔父さんと話していると、後ろから急に抱きかかえられた。

この声と絶妙に苦しくない抱きかかえ方は・・・

 

「もう!紅音姉ちゃん!びっくりするからやめてよ!」

「じゃあびっくりしないようにしたら、ずっと抱き枕になってくれる?」

 

何とか拘束を振り払って後ろを見ると、予想通りの人物ー真治叔父さんの娘で従姉の紅音姉ちゃんが立っていた。

紅音姉ちゃんとは・・・というかボクは一族の子供組の最年少なので従兄姉全員そうだけど生まれた時からの付き合いで、紅音姉ちゃんの場合、ボクを抱きかかえてくることが多い。

なんでも「ちょうどいい大きさで、しかも抱いてるとリラックスできて快眠できる」だそうだ。それさえなければ、明るくて頼れる姉御肌な従姉なのだけど・・・

 

「もう・・・ボクだって大きくなるんだよ?ずっと抱き枕にはなれないよ」

「ゆうちゃんが大きくなった分、私も大きくなれば問題なしっ!」

 

とまぁ、ボクのこと・・・というかボクを抱くことになるとちょっとアホの子っぽくなるのが玉に瑕。

っと、お?騒ぎに気付いてくれたのか、紅音姉ちゃんの天敵二人がこっちに近づいてきた。真治叔父さん?「二人とも元気があっていいな!ガハハハッ!」と笑いながらお茶を飲んでるよ。

 

「紅音?あなたって娘はまた・・・ここだから良いけどもう少し落ち着きを持ちなさい、悠希君もごめんなさいね。急にびっくりしたでしょう?」

「紅音、あなたまだ大きくなるつもりなの?今でもクラスで一番大きいんでしょ?悠希君お正月ぶり。紅音に何かされたら私にいつでも言いなさい?」

「ちょっ何で六花ねぇがそのこと知ってるの!?それに何かってなによ!?あと、別に外では抱き着いたりしないしないわよお母さん!」

「代わりにほとんど毎日喧嘩三昧じゃない。人助けに首を突っ込んでいる結果なのは知っているけど、それとこれとは話が別よ」

「さあ?紅音はナニを想像したかしら?別に深い意味なんてないわよ?ああけど、こないだ紅音の部屋にお邪魔した時ー」

「わ~!わかった!わかったから!この話終わり!」

 

紅音姉ちゃんの天敵。それは紅音姉ちゃんのお母さんで母様の姉の翡翠叔母さんと、ここ、本家の娘でボクの従姉の一人の六花お姉ちゃんだ。

紅音姉ちゃんにとって、翡翠叔母さんは普段の素行で色々心配や迷惑をかけているのは自覚しているので頭が上がらず、六花お姉ちゃんはボクからした紅音姉ちゃんのような存在で、しかも今年から同じ高校に通っているので色々秘密や弱みを握られているらしい。

さて、あわあわしている紅音姉ちゃんに助け舟を出しますか。

 

「翡翠おばさんに六花お姉ちゃんお久しぶりです。抱き着かれるのは会うたびのことなので慣れました。けど、何かあったら相談しますね」

「そう?悠希君がいいならまぁいいけど・・・本当に嫌だったら叔母さんに言ってきていいからね?このバカ娘はすぐ調子に乗るんだから」

「その時は私も一緒にね?紅音を脅・・・弄るネタはあって困ることはないから」

「はい!その時はよろしくお願いします!」

「ねえ!本人の前でそういうのやめて!?それに六花ねぇ今脅すって言いそうになったでしょ!コラ!三人とも無視するな~!」

 

フフフと笑いあうボクたち三人と涙目な紅音姉ちゃん。助け舟?この場での話はお終いになっているから間違いなく出してるよ?

とまあ、そんな感じで談笑したり遊んだりしてしばらく。

毛染めに行った年寄り衆や母様も帰ってきて少し経ったとき、ガラガラと縁側の方の襖が開いて()()の男が入ってきた。その瞬間、どんちゃん騒ぎのようだった大広間がひそひそ話ざわめきに変わる。

一人は和服を着た筋肉隆々の見慣れた男性ー本家の当主である孝蔵叔父さんだけど、もう一人の金髪でチャラチャラした若い男は誰だ?

ここにいる以上一族の人間のはずだし、なんとなく見覚えがある気はするんだけど・・・

 

「うそ・・・兄さんがこっちに顔を見せるなんて・・・」

「え?六花ねぇ、もしかしてあれって孝太郎兄さん?久しぶりに見たけどずいぶん変わったね・・・」

「幸太郎兄ちゃん?あ、確かに幸太郎兄ちゃんだ。全然わからなかった・・・」

 

六花お姉ちゃんのつぶやきでわかった。あの金髪さんは平坂 孝太郎ー六花お姉ちゃんの兄でボクたち子供組の最年長だ。

幸太郎兄ちゃんはこういう場が嫌いなのか、集まりに顔を見せたことが殆どない上に、記憶上最後に見たときは黒髪だったからわからなかったのも仕方ないか。数回しか話したこともないし。

そんなざわめきの中、孝蔵叔父さんが当主の席につき、その横に不機嫌そうに幸太郎兄ちゃんが座る。そしてー

 

「皆さん。今回も遠いところ集まってもらいありがとうございます。今日は大いに語らい、近況を我らを見守る神々に伝えましょう!」

「・・・ケッ」

 

こうして5月の集まりー皐月連座奏上会は幕を開けたのだった。




本篇で語りそうにない設定
この集まりに参加する一族の数の内訳
年寄り衆ーおばあ様の代。5名
現役世代ー母様や叔父叔母の代。5名
子供組ー現役世代の子供、主人公の代。4名
合計14名。昔ー年寄り衆が現役のころはもっと一族も多かったのだが、戦後のあれこれで減ってしまった。

各登場人物の外見イメージ
おばあ様ーアニメの薬屋のひとりごとのやり手婆
母様ーおっとりした魔法科高校の劣等生の劣等生の藤林響
千秋叔母さんー胸が小さくて成長した緋弾のアリアの星伽白雪
翡翠叔母さんーしっかりして貫禄のある成長したDies iraeの櫻井螢
真治叔父さんーマイルドになった創聖のアクエリオンの不動司令
孝蔵叔父さんー落ち着いた感じのシンフォギアの風鳴 弦十郎
六花お姉ちゃんーお嬢様モードで白雪ぽさもあるシルヴァリオ ヴェンデッタのチトセ・朧・アマツ
紅音姉ちゃんー身長が高い(170センチ前半)でわんこ属性を足した物語シリーズの阿良々木火憐
幸太郎兄ちゃんー金髪にして少し体格のしっかりした若いFate/zeroの雨生龍之介
参考程度に
AIイラストで作ろうと思ったのですけど、どうもうまくいかなくて・・・

次回か次々回から話が動き出す予定です。
ゆっくりですがよろしくお願いします。
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