【カオ転三次】覚醒したは良いけれど、終末より前に自分の状況が終わってない?   作:エリム

5 / 9
謙信PU!?くっ、年始まで石を貯める誓いが揺らぐ…
見た目どストライクなんですよね。
それではどうぞ!


嚆矢濫觴ー4

結局、孝太郎兄ちゃんが大広間に居たのは最初だけで不機嫌そうに何処かに行ってしまった。

六花お姉ちゃん曰く「自分の部屋に戻ったのだろう」ということだけど、実際のところはわからない。

まぁ孝太郎兄ちゃんはこういうの嫌いみたいだし、嫌なら出ないのは間違いではない。間違いではないけれど、孝太郎お兄ちゃんは本家の長男で子供組の長兄ーつまり、この平坂家の次期当主だ。

その次期当主が一族の伝統を嫌うのは何だかなぁという気持ちはある。少なくとも六花お姉ちゃんはこういうのを嫌っていないみたいだし、しがらみが嫌なら次期当主を六花お姉ちゃんに譲って自由になるのも手だと思うんだけど。

先代の当主はおばあ様だったらしいので、当主が絶対長男でなければいけない訳ではないようだし。

もっとも、裏の事情が関わっている可能性はあるけどね。

 

とまぁ、そんなことはあったけれども出前も届いて宴会が始まり二時間と少し。

宴もたけなわといった雰囲気になり始めた頃、おばあ様や孝蔵叔父さんが席を外した。

そしてそれに続くように年寄衆の一部や翡翠叔母さんといった、いつも居なくなる人たちもぽつぽつと姿を消す。

 

(そろそろボクも動こう)

 

持ってきていた盗聴器の玩具はお菓子の箱に入れて偽装し、電源を入れておばあ様の服のポケットに忍ばせてある。けれどあの玩具は家の中だと送信機と受信機が最低でも20メートルの範囲に居ないと意味がない。いくら性能がいいと言っても所詮は玩具でしかないのだ。

しかも、どこに集まっているかわからないので屋敷の中を歩き回って受信出来るところを搜す必要がある。

幸いまだ時刻は19時を少し過ぎたところ。まだ遊んでも問題はない時間だ。

なら、コソコソ動くより堂々と屋敷の中を動き回ろう。

こういう時だけは今の年齢がありがたい。

 

「ねえ、紅音姉ちゃん」

「どうしたの?トイレ?も~仕方ないな~」

「違うよ!それなら母様に言うよ!そうじゃなくて、暇だしちょっと家の中を探検するついでにかくれんぼしてみないかな?って思ったの」

 

「暇だから遊ぼ」といった感じで話しかけたのに、それがどうしてトイレになるんですか?紅音姉ちゃん。しかもちょっと嬉しそう。

いくらボクがまだ小学1年生でも、異性ならそういう羞恥心をお互い持つべきだろうに。

まあそれはともかく、今はそこそこ長い時間屋敷の中彷徨っていてもおかしくない口実づくりだ。流石になんの理由もなくブラブラしてたら心配されてしまう。

かくれんぼのなら別にうろうろしてても一か所に立ち止まっててもおかしくないと思ったんだけど、それは表面上だれか一緒に遊んでないと意味がない。

ホント、隠すのは理解できるけどストレートに聞いちゃダメかな?その方がすごい楽だし、やっぱり覚醒修行を先にすればよかったかな?いや、けど、う~ん・・・。

はぁ、小学校に上がったばかりという年齢も不便すぎるよ・・・。

 

「あ~・・・確かに玲奈叔母さんは飲んでるし、とー婆ちゃんも今はゆうちゃんに構えないもんね・・・。いいよ。けど、それなら六花ねぇも誘おう」

「あっちょっと待ってって7・・・」

 

返事を返す間もなく「お~い!六花ねぇ~!」と六花お姉ちゃんを誘いに行ってしまったよ・・・。というか、母様飲んでるの?

まあ目的は果たせそうだしいっか。まあ、もし今回がダメだったら、とっとと覚醒修行オフ会に参加して【俺たち】に相談するなりおばあ様に直接聞くなりしよう。

心配はかけたくないけど、【終末】の可能性が存在するなら手は打ちたいし力もあって困ることはない。おばあ様や母様、それに一族の人たちは(ボク)にとって家族だ。前世で遺してしまった親父の代替行為だろうとしても、家族には幸せであってほしいという気持ちに噓はない。

と、そんなことを考えていたら六花お姉ちゃんを連れて紅音姉ちゃんが戻ってきた。

 

「六花ねぇもやるって!さぁじゃんけんだ!最初はグー!」

「待ちなさい紅音。やるのは構わないけどルールは必要よ。じゃないと収拾つかなくなるわ」

 

「紅音の場合はね」と呟いて六花お姉ちゃんはルールを提案していった。どうやら意外と乗り気らしい。

六花お姉ちゃが出したルールにボクと紅音姉ちゃんが修正を入れたりした結果、今回のルールはこうなった。

 

・1ラウンドは隠れるのに5分、捜索に25分の30分

・隠れる場所の移動は可

・鬼に見つかったら、見つかった人物も鬼になる

・隠れる範囲は屋敷の中だけ。ただし、個人の部屋には入らない

・30分経ったら大広間に戻ってきて鬼を決めなおす

 

「時間の知らせはこれにしましょう」と六花お姉ちゃんがキッチンタイマーを2個持って来て準備完了。

厳正なじゃんけんの結果、最初は紅音姉ちゃんが鬼になった。

 

「あちゃ~、私が鬼か。よし!直ぐに見つけてあげるよ!」

「フフ。紅音が探しそうなところなんて簡単に見当がつくわ。そうね。もし見つかったら、二人にジュースでもおごってあげるわ」

「ボクも簡単には見つからないから!」

「六花ねぇのおごり!?六花ねぇ、その言葉忘れないでよ!」

 

そして「カウント始めるよ~!」の声とともに、かくれんぼはスタートした。

 

「ゆうくんはどこに隠れるつもり?」

「う~ん・・・中を見て回って、適当なところに隠れるよ」

「そう。固まってても紅音が見つけやすくなるだけだし、私はこっちに行くわね」

「うん」

 

大広間から出た後、六花お姉ちゃんとはそうちょっとだけ話して「また後で」と別れた。・・・「お勧めは階段下の物置よ」というアドバイスと共に。

六花お姉ちゃん、やっぱり楽しんでるよね?

・・・さて、それじゃあやっていこう。

まずはおばあ様たちが集まっているところを探そう。

予めリュックから出して縁側に隠していた受信機を回収して、まずはそのまま離れに向かう。

離れはボクたちが泊まるときに貸してもらう部屋がある所だけど、この時間なら誰もいない。密談するにはちょうどいい場所だ。

そう思っていたんだけど・・・

 

「・・・いない」

 

端から端まで見て回ったけど、本当に誰もいなかったし受信機が反応することもなかった。

となると母屋の方だ。

おばあ様も含め年寄り衆がいる以上、屋敷の外というのは考えにくい。

少なくとも玄関におばあ様の靴があるのは離れに来るときに確認した。

となると、孝蔵叔父さんたちが住んでいる各人の部屋の方か?

そう考えてそっちの方に行ってみたけど、そこも外れだった。

もう5分経っていたので、紅音姉ちゃんが見えたら物陰に隠れつつ。

 

「う~ん・・・どこだ?」

 

次は二階に行ってみようと廊下を歩いていると、角から人影が現れたので反射的に壁に背をつける。

別に見つかってもいいんだけど、やっぱりかくれんぼという体だからなのか反応してしまう。

 

「あぁ?何してるのお前?」

「あっ幸太郎兄ちゃん。ちょっと今かくれんぼしてて・・・」

 

が、角から現れた幸太郎兄ちゃんだ。

てっきり部屋にいると思ってたけど・・・

 

「かくれんぼだぁ?こんな隠れる場所もないところでお前バカか?」

「隠れる場所変えようと捜してて・・・」

「そうかよ。じゃあとっととどっかいけ。・・・いや」

 

興味を失ったらしく、シッシッとジェスチャーしながらボクの前を通り過ぎて行った幸太郎兄ちゃんが急に立ち止まって振り返った。

 

「お前、俺の部屋に入ってねえだろうな?」

「うん。幸太郎兄ちゃん部屋にいると思ってたし、人の部屋に隠れるのは反則だから」

「ならいい」

 

そう言って今度こそ興味を失ったらしく、そのまま部屋に帰っていった。

 

「なんだったんだろう」

 

孝太郎兄ちゃんが来た方にあるのは台所と倉庫だし、何か飲み物でも取りに行ってたのかな?

···そういえばあの倉庫。お米や野菜とかの倉庫だと教えてもらってたけど中に入ってみたことはない。

もしかしたらだけど…

どうせ見て回るのだしと孝太郎兄ちゃんが来た方に向かい、台所から倉庫の中に入ってみる。

中は暗かったけど、幸いタイマーが光るタイプだったので何も見えないということはなかった。

お米や野菜のダンボールといったものは脇に整頓されていて歩きやすく、意外と奥行きがあることに気付く。

そしてー

 

"ザザッー…は、ガイ…連…に対しては、恐山の…を…ことで"

 

受信機から音が聞こえた。




ごめんなさい。
前回のときに次から話が動くと言いましたけど、キリが良かったので想定していた展開より手前になってしまいました。
まぁ、最後にほんの少し動いたので…(ブルブル)
次こそはお話が動くと思います。…多分。
それではまた次回お会いしましょう!
感想、誤字脱字報告、アドバイス、質問などはお気軽にどうぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。