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朝。小鳥のさえずりが聞こえて目が覚める。のっそりと上半身を起こして手を上に伸ばし背伸びをする。
「んんん~はぁ」
時刻は午前6時。休みの日といえどいつも通りの時間に目が覚める。ぐっすり寝たいと思っても、必ず起きてしまうのである意味不便だな。なんて感じる。
でも、今日は出かける日。
ベッドから起きて、廊下を抜け洗面所へ。リビングや親の部屋をチラ見するが誰もいない。両親はもう仕事に出ている。土日は休みなのだが、平日の勤務時間がおかしい。もう何年もこの生活を続けているから違和感は全くないが、体を壊さないか心配ではある。
起きてまずすることは、顔を洗うこと。顔がすっきりしないと頭もすっきりしない。どんなに眠くても顔を洗えば一瞬で眠気が吹き飛ぶ便利な体をしております。
次に歯を磨く。寝ている最中は口の中の黴菌がものすごい繁殖する。そのため歯磨きは必須。歯を守るためでもあるし病気にかからないためでもあるのだ。
そして、寝ぐせのついた髪を整える。
自室で着替えを済ませてリビング。朝食はホットケーキにマーガリンとハチミチをこれでもかとぶっかけたカロリーが鬼ヤバイ料理。そしてミルクセーキ。
糖分の取りすぎだと正直分かってはいるがやめられない。
「いただきます」
こんなに甘いものを食べて太らないのがとても不思議。このカロリーたちはどこに消えて行っているのだろうか。
「けいくん達は、もう起きたかしら」
集合時間は午後10時。あとまだ3時間ほどある。
朝食を食べ終え、自室で机に向かい勉強を始める。うちの高校と医大の入試問題ではレベルが違い過ぎる。そのため個人的にも勉強はしておかないといけない。
「…。」
もくもくと問題を解いていく、やっぱり語学が関門だな。試験科目は国語、数学、理科、英語の4教科。英語と国語をどうにかしないとまずい。
「…漢字、苦手なのよね」
圧倒的に漢字が苦手、理科や数学でも漢字が読めなくて点を落とすなんてことも多々。
「こればっかりは、回数こなすしかないわね」
集合時間まで勉強。
----------> ◇ <----------
朝。小鳥のさえずりが聞こえた気がしたので目を覚ます。時刻は午後6時。いつもよりも早い目覚めだ。集合時間である10時までまだ余裕があるな。二度寝するか。
一度開いた瞼をゆっくりと閉じた。
「おい、おきろ?」
「うわ陽菜!なんでいるんだよ」
ベッドの隣に椅子をもってきて、じっとこっちを眺めている陽菜。なに怖い。
「休みの日はやっぱり早いね。起きるの」
「陽菜は逆にずっと寝てるよな。休日」
「だって起きる理由がないもん」
「にしては今日早くないか?もう着替え終わってるし、いつ起きたんだ?」
「一時間前ぐらい?」
「…ここに来たのは?」
「たぶん20分ぐらい前」
「それまでずっと僕のこと見てたの」
「うん」
「何のために?」
「いつ起きるかな~?って」
「…え?」
「え?」
「…。」
「…。」
え、わかんない。どういうこと?起きるまでずっと眺めてたの?怖いんだけど。
「ま、起きたから私は自分の部屋行くね。寝過ごさないように」
「あ、はい」
ガチャりと僕の部屋から出ていく陽菜。
眠気なんてどこかに行きました。
----------> ☆ <----------
朝。若干まだ外が暗い気がする時刻。いつも以上に早く目が覚めてしまった。
実は今日がすごく楽しみだった。三人で一緒にいることは多いけど、どこかに遊びに行くってことはあまりなく、久しぶりだったから。やっぱり部活動をしていると時間があんまり無くなってくる。茶道部は別だが。
「よいしょ」
結構すっきりと朝目覚めることができた。
洗面所へ行き、顔をあらい歯を磨く。服を脱ぎ捨て自室で着替える。リビングにはお母さんのみ。お父さんと自分の弁当を作っているみたいだ。
「おはよう」
「おはよう。早いわね」
「なんか、今日遊びに行くのが楽しみすぎて早起きしちゃった」
「そうなのね。朝食は?」
「ん~まだいいや。自分で何か作るよ」
「わかったわ」
そうして自室へ戻る。集合時間までまだまだある。小説を書く気にもならないし。どうしようかな?
「あいつ、まだ寝てるのかな?」
私はそろりそろりと圭一の部屋へ侵入。まだ寝ているみたいだ。
「…。」
圭一の寝顔。いつも見ているはずなのに。なんだか今日は異様に気になる。
「…。」
いつもは圭一を起こすというタスクがあるから、まじまじと顔を見たことがなかったんだな。きっと。
圭一の椅子をベッドの隣まで持ってきて座る。
「いつ起きるかな?」
じっと見つける。
「…。」
圭一の顔を見ているはずなのに、頭に浮かぶのは雫の笑顔。胸の奥が苦しい。もう最近ずっとだ。雫と圭一が二人でいるところを見ていると、息苦しくなる。
最初に比べて、胸の苦しみはだんだん大きくなってきている。
「…お兄ちゃん」
雫と圭一が付き合ったら、キスとかしちゃうんだろうな。二人のキスシーンが脳裏に浮かぶ。
「…。」
やだ。そんなの。
じっとお兄ちゃんの顔を見つめる。
「寝てるし、ちょっとくらい。雫よりも先に」
私は少しずつ、お兄ちゃんの顔に近づく。唇と唇が触れ合いそうになる。
そこで、圭一は「んん」と唸りを上げる。もしかして起きたかな?急いで顔を引き離して元の体制に戻る。
すると圭一はゆっくりと瞼を開ける。そして、ゆっくりと閉じていく。
「おい、おきろ?」
二度寝させないよ?これはただの意地悪。キスさせてくれなかった仕返し。
「うわ陽菜!なんでいるんだよ」
「休みの日はやっぱり早いね。起きるの」
「陽菜は逆にずっと寝てるよな。休日」
「だって起きる理由がないもん」
「にしては今日早くないか?もう着替え終わってるし、いつ起きたんだ?」
「一時間前ぐらい?」
「…ここに来たのは?」
「たぶん20分ぐらい前」
「それまでずっと僕のこと見てたの」
「うん」
「何のために?」
「いつ起きるかな~?って」
「…え?」
「え?」
「…。」
「…。」
気まずい雰囲気が流れる。キスしようとしてたなんて言えるわけもなく。雑にごまかしちゃった。
「ま、起きたから私は自分の部屋行くね。寝過ごさないように」
と耐え切れなくなった私は、椅子から立ち上がり、部屋を後にする。
「…もう」
キス、してみたかったな。
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集合時間の10分前。平野家の玄関前で待機している。平野家からドタバタと何やら騒がしい物音が聞こえる。
「慌てて準備してるわね?きっと」
まだ時間はあるからゆっくりでもいいのに、それに遅れたって怒らないわよ。
バタン!と勢いよく玄関が開き、陽菜とけいくんが飛び出してきた。
「おまたせ!はぁはぁ」
「ほんと体力ないな陽菜」
「まだ5分ぐらい時間あったから、そんなに急がなくてもよかったのよ?」
陽菜は肩で息をして、喋ることも難しいほど息を切らしている。
「珍しく、陽菜が寝坊した」
「え⁉」
あの陽菜が⁉珍しいこともあるのね…。
「ちょっと…それだと…なんか…はぁはぁ」
「落ち着けとりあえず。えっとな。僕より先に起きてて、部屋でのんびりとまってたらしいんだけど、いつの間にか寝ちゃったみたいで。出かける準備してないままだったから、20分前ぐらいに起きてドタバタと…」
「あぁ、なるほど」
「なんか、夜眠れなくて…朝も早く目が覚めちゃって…」
「まぁ、多少遅れたって私は怒ったりしないわよ」
「落ち着いたら、駅向かうぞ」
「うん」「は、はい…」
今日は少し遠出して、スポーツやら映画やら色々詰まっているアミューズメントパークへ行くことに。そこには卓球台も置いてあるそうで、けいくんと出来たらいいなと思いラケットを持ってきている。けいくんの持っているバッグのサイズからして、けいくんもラケットを持参してそうだった。
「…よし、落ち着いた。行こ!」
「おん」「ええ」
そして駅に向かう。
△▼△▼
電車を乗り継いで、約30分ぐらい。お目当てのアミューズメントパークへ到着した。
「すげぇ、ボーリングとかダーツとかもある!何からする?」
けいくんが私たちの中で一番盛り上がっている。
ここには、スポーツとして卓球、バスケ、バトミントン、テニス、ゴルフがあり、ダーツやボーリング、カラオケなんかもある。そして少し離れたところには大き目の映画館やレストラン街、図書スペースなど様々な施設が集まっている。
「確か、陽菜が見たい映画があるって言ってたわよね?」
「あ、うん。恋愛のアニメ映画なんだけど、PVがすごく面白そうで、雨が降り続ける日本に天気を操れる女の女の子が登場するの」
「へぇ恋愛なんだ。あらすじ聞く感じ超能力系アニメかな?って思ったけど」
「確かにそうね。いろいろ気になってきたわ」
「じゃあ映画見てからお昼ごはん?」
「そうだな~」
「そうね」
「よし!じゃあ行こう!」
陽菜が先陣を切って歩き始める。その後ろを私とけいくんが歩く。
映画館に到着、ゴールデンウイークなのもあって席はかなり埋まってしまっている。二人空席はところどころあるのだが、三人空席のところはなかった。そのため、2人と1人に分かれないといけない。
「ん~どないする?」
「そうね~。ここは平等に…」
「二人並んで見なよ!私は一人でもいいよ」
私がみんな平等にばらけて座ろうと提案する寸前で遮られる。
「ん?いいのか?陽菜」
「うん…私多分小声でしゃべっちゃうから、邪魔しちゃう」
「それは…私たちというより周りのお客さんのためにやめた方がいいわよ…?」
「と、とにかく!二人は一緒に居ていいの!」
謎に必死な陽菜に少し困惑している。それはけいくんも一緒なようで、すこし苦笑いを浮かべている。
「まぁ、そこまで言うなら、雫と二人席にするか」
「…そうね」
各自、席を選んでチケットを購入する。上映まで少し時間があるのでポップコーンやドリンクなどを購入する。
「私、こういうところで食べるポップコーン好きなのよね。無駄に高いのに」
「おい、店員の前で言うな」
「あはは」
真顔で業務をこなす店員さんからポップコーンを受け取る。私はキャラメル。二人はオーソドックスにうす塩味にしていた。
そして上映会場へ入る。そこで、陽菜と別れてけいくんと購入した席へ向かう。
「楽しみだな」
「そうね」
上映が始まる前のCMをぼんやり眺めながら、その時が来るのを待っていた。
----------> ☆ <----------
「…。」
上映が始まる前のCMをぼんやりと眺めながら、上映時間まで待つ。ポップコーンをちょこちょこつまみながら。
昼食前にポップコーンなんか食べて、お腹いっぱいになりそうだな。なんて考える。
「…。」
二人は、今どんな会話をしているんだろう。雫のために二人一緒にしたけどさ、なんかちょっとモヤモヤする。今から見るのは恋愛アニメ。ドキドキしてつり橋効果~みたいなことになっちゃうんじゃない?
「…。」
何を考えているんだか。
思考を遮るために、ふとCMで気になる映画を見つける。
画面には、泣きじゃくる女性が「離れたくない!」と懇願している。血のつながりがない兄妹の複雑な恋愛模様を描いたノンフィクションドラマ。兄は妹を恋愛対象として見れないと言い、好きと伝えた妹を突き放す。
「…突き放すこと…ないじゃん」
思わずCMに向かって文句を言ってしまった。恋愛に関係性なんて関係ない。家族だろうが何だろうが、好きという気持ちに嘘はついちゃいけない。
「…。」
その思いは、鋭利な刃物となり私の胸を突き刺した。
△▼△▼
映画の上映が終わり、エンドロールだ。とても感動的な曲が流れており、心打たれて涙を流すお客さんもいる。
しかし、私は心の底から映画を楽しめなかった。それもこれも全部あのCMが悪いんだ。あのCMを見た時から、胸の中にあるズキズキが気になって仕方ない。
「…。」
ポップコーンもすべて食べ終わり、飲み物も空だ。
「…。」
エンドロール中に立ち去るなど、無作法にもほどがあるが、もう見るものは何もないと思い。席を立ちあがって上映会場から出た。
「ふぅ」
重い扉を開けて、外に出る。そのまま廊下を抜けてポップコーンの箱などを捨て、休憩所のような座れる場所があるところで二人が出てくるのを待つ。
異様に高い天井を見上げる。
そのまま、何も考えずにぼーっとすることにした。
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エンドロール。感動的な曲と歌詞が本編とマッチしすぎていて、すこしうるっときてしまった。普段から映画やアニメを見ても涙を流すことは滅多にないのだが、本編中にすこしだけ泣いてしまった。これはかなりの傑作だ。早く感想を言い合いたいのだが、さすがにここではうるさくしてはいけない。それに外に出たからと言ってしゃべっていいわけではないのだ。次に見るお客さんたちのネタバレになってしまうからな。
ふと、雫の方を見てみると
「うぅ…ズズズっ」
鼻をすすりながら大号泣してる。本編中もちょこちょこ涙を流しているなぁとは思っていたが、エンドロールで爆発したらしい。
「おい、大丈夫か?」
「うん…。よかった…よかったわ…うん…ちゃんと最後は…ね~」
感無量といった感じ。
なかなか見ない雫の涙に、なんだかちょっとだけドキッとしている自分がいる。
そして、エンドロールが終わり会場が明るくなっていく。
「ふ~!いい作品だったな!」
「そうねぇ…」
「涙、落ち着くまで待ってるぞ」
「ありがとぉ…」
そういえば陽菜はどうだろう。と思いあたりを見渡すが、陽菜の姿が見当たらない。先に外へ行っちゃったかな?
「…うん。もう大丈夫よ」
「よし、多分陽菜は外に出てるっぽいから、行こうぜ」
「ええ」
そして、席を立って重い扉をくぐり、ポップコーンやドリンクの空き箱を捨てる。
「…あ、いた」
「…天井見上げてるわね」
廊下を抜けて、休憩所のようなところにあるベンチに陽菜が座っていた。何やら真上を向いて、考え事をしているように見えた。
「黄昏てる?」
「黄昏てるわ」
とりあえず声をかけることに。
「陽菜~。帰ってきたぞ。先出てたんだな」
「あ、圭一。うん。なんとなく先に外に来てた」
「…?そうか。まぁ、お昼食べに行こうぜ」
「うん」「ええ」
僕たちは映画館を後にして、レストラン街へ向かった。
【今日のひなたん】
「んんんん」
「…。」
茶道部の部室。摩耶ちゃんと二人で将棋盤をにらんでいる。盤面は圧倒的に私が不利。というか勝ち目無い。
「大手」
「ぬあああ!鼬ごっこなんだけど!」
「うまいこと逃げるもんだから詰めれない」
「勝てる気しないから、私の負けでよくない?」
「私はそれでもいいけど、陽菜は逃げるんだね。この盤面のように現実から目を背けていつまでたっても問題を解決せずに、逃げ惑うだけでいいんだね?私は良いんだよ。陽菜がどれだけ無様に脱げようとも、でも陽菜はそれで満足なの?」
「…やる」
「やるんだ…」
しかし、私が出せる一手は王を逃がすことのみ、駒のほとんど取られた。なので広いフィールドで避けつづけるしかない。
パチィンと、テレビで見た将棋指しの人たちを真似て、人差し指と中指で将棋を打つ。
しかし。
「王手。詰みだね」
「負けた」
逆に今までよく耐えてきたよほんと。この王に愛着が湧いたわ。
「…てか、茶道部の部室になんで本格的な将棋盤と駒が置いてあるの?」
「確かここってもともと将棋部の部室だったんだけど、私たちが入学する二年前ぐらいに廃部になって茶道部ができたんだっけ」
「あ、そうなんだ」
「だから、当時の名残だね」
茶道部って歴史浅いんだ。こんなに自由が許されているのだから老舗の部活動かと思ってたよ。
「しかし、和楽器があるのはいまだに謎だけどね」
「確かに、和楽器部なんて聞いたことないしね。なんで置かれているんだろ」
あの和楽器たちはどこから来たのか。三年間所属してたのに全く知らない。
「地味に怖い」
「そう?」
楽器たちは顧問の先生の私物であると知ったのは、だいぶ後の話。