元水神、逆異世界召喚された模様 作:人語を話すヒルチャール
季節は冬、気温は1℃ぼちぼち降雪し始める時期だ。
北陸地方は今年も12月頃だろうか、コタツも用意して冬に備えていたが早速コタツの虜になってしまった少女を責める人はいないだろう。(いねぇよなぁ!?)
「ふわぁ〜このコタツって温かくて気持ちいいねーずっとここに入っていたいくらいだよ。フォンテーヌは年中暖かいところだから、ドラゴンスパイン程の寒さじゃないにしろ、フォンテーヌに慣れてたから充分応えちゃうよ」
ヌクヌクとコタツで猫のように丸くなりながら、顔だけ出してまったりしているフリーナ(いや可愛いな…)
「フォンテーヌだとそんな感じなんだな。この国は四季ってのがあって、四つの季節が順繰り巡ってくるんだ。春.夏.秋.冬ってな、ちなみに今は冬だ」
「ふ〜ん代わり映えのない歌劇も飽きてしまうもだからね、いくつもの展開や緩急ある方が面白いし、素晴らしいことじゃないか」
例え方が彼女らしいな、コタツに丸まりながら喋っているギャップも実に素晴らしい(ヨシ!)
「そろそろお昼だから買い出しに行ってくるけど、フリーナはゆっくりしていてくれ、俺の服だけじゃ生活に困るだろうし、食べたいもの、あと服とか日用品を見繕ってくるから身長と靴のサイズだけ教えてくれるか?」
今の彼女は大きめの黒いパーカーに着せられている状態だ、初めは寝巻きの白いネグリジェ姿で目に毒だからね。正直可愛すぎて鼻血が止まらなくなるところだった。
「ん〜すまないね、助かるよ。あーあ、本当は僕も買い物したいんだけどなぁ、でも有名人の僕が外に出ちゃうと世間は僕の可愛さでパニックになっちゃうから仕方ないか。僕の今日のご飯はミートソースのパスタが食べたい!身長は157cnくらいで、靴は24cnくらいかな」
得意げになったり凹んだりとコロコロ表情が変わる、最後には申し訳無さそうにフードににうずまっているフリーナ。
じっと見ながら話を聞いていたが、これ俗に言う彼シャツならぬ、彼パーカーってやつじゃないか…いや彼女ではないんだけれども。
「おっけ〜い、気にしなくていいよ〜、この国にはこんな言葉があってな「困ったときは助け合い」だ、持ちつ持たれつ、いつか帰れるときまでのんびり過ごしていこうぜ。」
彼女はほんの一瞬悲しげな表情を浮かべたが、すぐに空元気を装った。
「うん…そうだね、ありがとうマサユキ。僕に似合う服を頼むよ!」
あぁ、この現状がいつまで続くかもわからないのに、いつか帰れるなんて無責任な言葉を言うべきじゃないな。帰れるその日が今すぐに来てしまうかもしれないし。逆に一生このままなのかもしれない。本当に彼女の幸せを願っているのなら、彼女は元の世界に帰るべきだ、だけどこのまま一緒に過ごしていたいって欲も少なからずあるんだ…。
*
「ん〜1時間かかったけどまぁ必要なものはあらかた買えたかな、そういえば今日「原神」ログインしてないっけ、いかんいかん樹脂消費だけしとかないと」
いつもなら据え置き機だか、家にはフリーナもいるしスマホで「原神」を起動しようとするが…
「ん!?「原神」がない?あれ〜アプリアンストしてたっけな、んんんStoreにも見当たらない…なんか嫌な予感が…」
焦ってググっても「原神」に関する情報も「フリーナ」に関する情報が何も無い、昨日までは当たり前に存在していたはずのゲームが一切の痕跡も残さず消えてしまっている。直ぐに一緒に「原神」をプレイしていた友達に電話をしたが知らないと言われ、道行く人に「原神」のことを聞いても「そんな名前のゲームは聞いたことないなぁ」と言われてしまった。
「マハールッカデヴァータのように「原神」の存在だけが完全に消えてしまっている…?ならどうして旅人でもなんでもない自分が…自分以外に彼女が頼れる人間が居なくなってしまったのか…?」
原神プレイヤーであれば誰でも彼女のことを知っているはずなのに「原神」すら誰も覚えていないなんて、彼女のことを覚えているのは俺だけなのか…?何故俺だけが覚えていられるんだ?
そもそも「原神」は本当に存在していたのか?俺しか知らないのであればそれはもう俺の妄想でしかない…いや、彼女が異世界から召喚されたと考えると、異世界特典ってやつがそれなのか…?それとも……………考えてもわからない、今は帰ってフリーナと話し合うべきだ。
「ただいま〜フリーナ遅くなってごめん、今からパスタ作るから少し待っててくれるか……フリーナ?フリーナ!!いったいどこに──まさか!?外に出かけたのか!?」
先程の不安で焦り、いつもであればよく部屋を確認していただろうに、買ってきた荷物を置いて思い切りドアを閉め、全力で町内へと走り出す。
「んゆ〜やっと帰ってきたのかい?もうお腹ペコペコだよ…あれ?今名前呼びながら外に行かなかった…?」
フリーナが居なくなったと思い込み、心配して彼が走り出したのも露知らず、当の本人はコタツの中で熟睡していて物音がしたからのっそりと這い出てきた。
*
2時間ほど走り回っただろうか、もう夕暮れ時だ。
「はぁ、はぁ…息が苦しい。まさか本当に全部俺の妄想だったのか…?フリーナが現実に来てくれるなんてそんな都合のいい話はなかったってのか……もう帰るか…」
ガックリと落ち込みながら帰路へと向かうと、自分が昼頃に買った服によく似た服を身に纏った美少女と出会う。
「マサユキ!!やっとみつけた!!!急に外に行ったと思ったらどこに行ってたんだい?僕のお腹と背中がくっついちゃったらどうしてくれるんだ、全く。て えぇっ?ど どうして君は泣いてるんだ?」
フリーナを一目見た途端、我慢していた蓋が外れてしまったようで大の大人がみっともなく泣いてしまう。
「うぅぅ、よかった…よかった……いてくれてよかった…もう居なくなってしまったのかと思ったんだ、実は────」
フリーナへ自分の考えと想いを吐露する。
「ふーんなるほどね、つまりこの世界で僕のことを知っている人が居なくなって、それで僕が本当に実在していたのかって不安にかられてしまった故の行動だったんだね」
改めて客観的に言われるとかなり恥ずいな、勘違いした上によく確認もせずに走り出してしまった。
「はい…面目ない……」
「まったくないマサユキはしょうがないなぁ、ほら片手を出してくれるかい?手が寒くてね」
やれやれとポケットから手を伸ばすフリーナに、手袋なら買ってポケットに入れておいたはずだと思ったが…これは野暮だろう。
「温かい…よかった…君はちゃんとそこに居るんだな…。そういえば履きなれない靴で俺を探してくれたのか?服もとても似合ってる」
彼女の頬がみるみるうちに赤くなっていく
「と、当然だろう!僕はこれでも水神だったんだぞ
!どんな服も僕の前ではイチコロさ(ドヤァ)」
倒しちゃうんだ…ドヤ顔も可愛い。服装は青と白を基調としたフード付きのもこもこパーカーにゆったりとしたウールのパンツ
たしかにフリーナならどんな服も当然のように着こなせてしまいそうだ、自分が買った服を着てもらうのってなんか背徳てk…いや違う違うそうじゃない(戒め)
しかし本当によく似合っているな、つい舐め回すように見てしまってるがバレてないかな…
──こんなにも優しい、(元)水神様に心配かけさせてしまうなんて…軽い自己嫌悪に陥ってしまいそうだ…。
バツが悪そうにしているとフリーナの凛とした声が響く。
「マサユキは僕の心配をしてくれているんだろう?この世界で僕のことを知っているのがマサユキ1人だけになってしまったことをさ」
「………」
「だけどなんの問題もないんじゃないかい?、これからは僕達二人で往来を自由に出歩いても誰も見向きもしないってことだろう?注目されるのは歌劇だけで充分さ。」
長いまつげに綺麗なオッドアイの瞳を細めながら、得意げに話す彼女の表情につい見惚れてしまう
──君がそれでいいのなら…俺が言うことはないか。ん?まてよ…
「もしかしてフリーナも俺と一緒に出掛けたりしたいって思ってくれてたってこと?」
一瞬ピタっと動きが止まる
「そ、そんなわけないだろう!僕はもう500歳だぞ、20そこらのの君と一緒に並んで出掛けたいなんて思うと思うかい?買い物だって別に1人でできるさ」
「そうなのか、フリーナは俺と出掛けたくなんてないのか…ヒドイナーー」
棒読みで泣いたふりをしてみるとアワアワと慌て始める彼女についクスリと微笑んでしまう。
「あぁッ!!う 嘘泣きしただろぅ〜全く、この僕を不安にさせるなんてどんな罰をくれてやろうか」
「ひぃぃ〜ご勘弁を!フリーナ様!!」
「「ぷっアハハ」」
不安な気持ちも吹き飛ばし、二人で大笑いしながら家につく、悩みを打ち明けて彼女と心を通わせられたような気がした。
主人公は作者と同じでかなり小心者です
さてこの回だけで何回「原神」って単語がでたでしょうか、作者もわかりません……
読んでくださりありがとうございます、手探りで執筆していきますので何卒よろしくお願いします。