メンタルスフィア・デーモン率いる軍勢が去ってから数時間後。我は治療を受けながら、改めてC・リペアラーから話を聞く事が出来た。
「……シンクロ狩り?」
「はい。奴らは自身の事を確かに『シンクロ狩り』と称して襲って来ました。ですが、私達が何かした覚えは無く……」
「自らもシンクロである癖してシンクロ狩りとは……ん?そなたら、シンクロモンスターがいるのか?」
「はい。私達には『C・ドラゴン』というドラゴンがいますが……それでも、あの悪魔には敵いませんでした」
「そのC・ドラゴンは今どこに?」
「……覇王様、シンクロモンスターについてはどのくらいご存じでしょうか?」
「確か、『チューナー』と呼ばれる特別なモンスターが他のモンスターと『チューニング』する事で現れるモンスターであろう?……あ」
我とした事が、盲点だった。最近知った事だが、シンクロモンスターは普段は実体が存在しない精神体のモンスターらしく、チューナーを用いて顕現するらしい。他の……何だったか、エクシーズ、リンクも同じ原理だ。シンクロとリンクは顕現が終わるとその生け贄となったモンスターは戻るらしいが、エクシーズは戻らずに「オーバーレイユニット」となり消滅する為、個体数が少ないらしい。
「すまない。……次、奴らが攻めて来た時、そなたらはどうする?」
「その時は私達も戦います。何より、故郷を取り戻さねばなりません」
「分かった。だが、安全は保証してやれん」
「失礼します!覇王様、暗黒界からグラファ様がお越しです」
「何!?グラファ殿が!?」
驚く我をよそに、兵士の後ろから登場したのは紛れも無くグラファ殿だった。リペアラーはガクガク震えている。
「そなたがC・リペアラーか」
「は、はい。グラファ様……」
「そして覇王殿、無事で何よりだ」
「グラファ殿……しかし、何故ここに?」
「部下から報告を受けてな。こちらで調べて見た所、興味深い情報を見つけた」
「興味深い情報?」
「うむ。あの悪魔……メンタルスフィア・デーモンについてだ」
何?奴についての情報だと?
「聞かせてくれぬか、グラファ殿」
「分かった」
グラファ殿は座り、一冊の古い本を取り出して広げた。何やら、遠い地の歴史書らしい。
「ここは……私達の故郷です!」
「本当か?」
「それで間違い無いだろうな。……ここはかつて、とある悪魔の一族が支配していた地だったらしい。だが、度重なる戦争の中で徐々にその一族は衰退していき、数百年前の大戦で完全に滅んだ。その後、様々な種族がここに進出、互いに協力しあい、発展を重ねて行ったという。リペアラー、そなたの故郷はここの鉱山だろう?」
「はい」
「そこに、他の種族はいなかったか?」
「種族……確か、山の一角はサイキック族の領地だった筈です」
「そうか……覇王殿、奴はどんな攻撃を?」
「奴は雷を操っていたな。だが、悪魔族のオーラは感じなかった」
「……その一族は、雷を司る悪魔だったそうだ」
「!」
「ここからは我の推測だが……奴は、その一族の末裔なのでは?それにサイキック族が協力し、かっての領土を取り戻し再び一族の栄華を復活させるのが目的では……」
「それなら、シンクロ狩りと称して他を襲っていたのにも納得が行く」
まさか、奴の裏にそんな巨大な陰謀が……だが、どんな目的であろうと我のする事は変わらない。敵は全て打ち砕き、闇魔界の繁栄を確かな物にする。それが、覇王たる我の役目だ。