もうかれこれ一週間、我は私室で頭を抱えている。ん?我が誰かって?では自己紹介しよう、我は「闇魔界の覇王」。この闇魔界を治める覇王である。覇王と名乗る我が一体何に悩んでいるか……話は一週間前に遡る。
「どうです?覇王様。我々『魔界劇団』は」
「素晴らしいの一言だな。こんなにも派手できらびやかなショーは初めて見るぞ」
「それは光栄です」
玉座に座る我の隣に座る男が笑う。洒落たスーツを着こなし片目を髑髏の装飾で覆い、二匹の蛇と翼を生やした悪魔……「魔界劇団−スーパー・プロデューサー」がこの闇魔界にやって来たのは、二日前の事だった。世界各地を旅して公演を行う一座、魔界劇団。我の住む「闇魔殿」で特別公演を披露してくれる事となった。確かに彼らのショーはとても満足の行く物だった。だったのだが……
(あの劇団員、我よりも強くないか……?)
確かその劇団員は「魔界劇団−ビッグ・スター」と言い、劇団での花形だそうだ。はて、ただの劇団員一人が覇王を上回るとは一体何事だろうか……。
「一つ気になった事がある」
「どうされました?」
「あの劇団員、我よりも強く
「ゲェッフン!ゴホッゴホッハァッ!!(咳)まさか!闇魔界の覇王として君臨される貴方様に、我々放浪の一座ごときが敵うはずがありません!」
「……そうか、なら良いが」
(私も薄々そう思ってたんですがね……そんな事言ったら首が飛びますよ!)
スーパー・プロデューサーには激しい咳と共に否定されたが、どうにもしっくり来ない。そこで、彼らが旅立った後独自で世界の情勢を調べた。
「なんと……」
今や融合モンスターに次ぐ新たなモンスターが幾つも生まれ、様々な勢力が争っているらしいではないか。我をものともしない程の力を持つ者、昔とは比べ物にならない程強くなった者。挙げ句の果てには我と同等の力を持つ下級兵士がゴロゴロいる。……これ程までに我が頭を抱える事になったのは何年振りだろうか?その日から一週間、我はこの激動の時代を生き残れるかを画策しているという訳だ。
「やはり、どうする事も出来ないか……?仕方無い、今は休憩するとしよう……ダークソード!」
「はっ!」
我が名前を呼ぶと、その男は一瞬で現れた。「闇魔界の戦士 ダークソード」。我の直属の部下であり、闇魔界一の戦士である。我の配下には他にも「ジェノサイドキングデーモン」を始めとしたチェスデーモン達がいる。単純なパワーではデーモン達が上回るが、それを補う技をダークソードは持っているのだ。
「疲れた、茶をくれ」
「こちらに」
差し出された茶を一気に飲み干す。……少し、頭がさっぱりした。ダークソードを下がらせ、再び思案にふける。この選択で我の、闇魔界の命運が決まるのかもしれないのだから……。
広間の玉座に座る我に跪くのは、ダークソードとその愛龍、「漆黒の
「ダークソード、闘龍よ。これから我の使者として暗黒界へと赴き、グラファ殿に協力要請をしてまいれ!」
「はっ、このダークソードにお任せを!」
広間から出て行き、空を飛んで遠ざかってゆくダークソードを窓から見て、我は再び決心した。
「奴に奪われた力を……必ず取り戻してくれるわ!」