戦いが始まってからしばらく……我が軍は劣勢に追い込まれていた。ここに連れて来たのは闇魔界の戦力の一部。それに対し、無尽蔵に湧き出てくる凶暴化した獣。まさに数の暴力という言葉がふさわしい光景だった。
「くっ……やはり先に奴を叩くしか無いか!」
「覇王様!」
そこへやって来たのは、騎竜に乗ったダークソードだった。どうやらカース・オブ・ドラゴンとの戦いに勝利したらしい。
「よし……ケルト、ラチナ!もう少しの間耐えていろ、我がエビルナイト・ドラゴンを叩く!」
「お任せを!」
「暗黒界の鬼神の力をお見せしましょう!」
「うむ、頼んだ!」
我は騎竜の背に乗り、奴が待つ山頂へと飛んで行った。
山頂に近付くにつれ、奴の気配がます。そして間もなく、奴は現れた。細長く紫色の胴体に、巨大な鉤爪。赤く獰猛に光る目が、こちらを見つめていた。
「……エビルナイト・ドラゴン!」
「ガァァーッ!!」
咆哮を上げ、こちらに迫って来る。騎竜は身を捻り、なんとか突進をかわした。
「ダークソード、騎竜を山頂に下ろせ!やはり空中戦では奴に歩がある!」
「はっ!」
ダークソードは攻撃をかわしながら、騎竜を着陸させる。我はそこから降り、上空を旋回するエビルナイト・ドラゴンを見上げた。
「なんとかして奴をこちらに追い込め!我が魔導波を喰らわせてやるわ!」
「よし、行くぞ騎竜!」
ダークソードは騎竜を操り、エビルナイト・ドラゴンに突進して行った。空中で剣と爪がぶつかり、衝撃が起こる。我はその様子を見ながら、力を溜めていた。一撃で仕留め、一気に戦いを終わらせんと、下で戦っているラチナやケルトの負担がどんどん大きくなる。好機を待ち、一瞬たりとも奴の動きを見逃すまいと集中していた、その時……
「!……ダークソード!上だ!!」
「!」
合図と共に、騎竜が急上昇した。その瞬間、エビルナイト・ドラゴンも釣られて上を向く。
「喰らえィ魔導波ァ!!」
我の力を全て込めた魔導波は、まっすぐ無防備な奴の背中へと飛んで行く。奴が気付いた頃には、既に鼻先まで届いていた。
「グ……ギィヤァァアアアァァァァ!?」
苦悶の声を上げながら、奴の体は魔導波の中で塵と化して消えていった。そして、地上に落ちて来る物が一つ。
「これは……」
「あの騎士の物だろうよ」
古ぼけた鎧と、粉々に砕けた白骨。これが先程まで我らと戦っていたと思うと、改めて恐ろしい執念だと痛感させられた。
「覇王様!」
「……!」
間もなくして、ケルトとラチナが皆を引き連れて山頂へとやって来た。
「皆の者!エビルナイト・ドラゴンは討伐された!!」
それを皮切りに、歓声が上がる。こうして我が力を取り戻す為の邪竜討伐は、我らの勝利をもって幕を閉じたのだった。