天高く昇ったメンタルスフィア・デーモンが、急降下して突撃してくる。我は高速で振り下ろされた爪を何とか受け止めた。
「ぬぅぅ……!」
「受け止めただと……」
どうやら力は全くの互角らしい。受け止める事を選択したが、奴が我よりも強かったなら今頃我は手を切り落とされていたかもしれん。
「「フンッ!」」
互いに蹴りで距離を離す。我は魔導弾を、奴は雷弾を撃ち牽制した。空中で二つが激突し、弾ける音と共に相殺される。それから数発撃ち続けたが、結果は全て同じだった。
「埒が明かんな!」
奴の爪と尾に、電気が纏い始める。雷を操る悪魔……我ら悪魔族は基本的に闇の力を操る筈だが、こいつは雷。しかも、さっき組み合った時に分かったが、こいつからは悪魔特有のオーラが感じられ無かった。
「今は考えても仕方あるまい……」
我も腕に闇の力を纏わせ、電撃に備える。一瞬で加速し、最高速となった奴が爪を突き出して来た。それに合わせて拳を突き出す。
パァン!
さっきよりも大きな音と光が、両者の間に発生した。その衝撃で再び距離が離れるが、奴は一瞬の内に再接近してきた。
「しぶとい奴よーッ!」
「チッ……厄介な!」
奴の攻撃一つ一つが電撃を纏っている為、まともに喰らえば大きな隙を作ってしまう。どうしても防御に回らざるを得ない。電撃の嵐を、必死に反応して防御し続ける。この近距離、喰らえば致命傷まで持っていかれるのは確実。幸いにも中々攻撃が通らない事に苛立ったのか攻撃が徐々に単調になっていったのが幸運だった。
「チィ……ならこれでどうよ!」
「!?」
突如として上空に上がるメンタルスフィア・デーモン。我も即座に魔導波のチャージを始めた。
「『
奴の全身が雷に覆われ、我に向かって無数の電気の矢が撃ち出される。あらゆる方向から同時に我に向かうのを見て、奴自身も急降下を始めた。真上からは巨大な雷と化した奴が、横からは矢が。防御は不可能かと思ったが……どうやら我も、覚悟を決めねばならぬらしい。
「魔導波!!」
「そんな物、この魔雷突で突き破ってくれるわ!!」
我が魔導波と、奴の魔雷突が激突する。そこからは拮抗し、互いに出力を上げ始めた。
「馬鹿め!貴様には矢が向かっているわ!」
「ぐっ……ぐあぁああぁぁッ!?」
全身を、激痛が襲った。だが矢の防御に魔力を費やす余裕は無い。奴の魔雷突は喰らえば即死、良ければ再起不能の重症を負うだろう。それだけは絶対に避けてばならない。
「何故だ……何故そこまで耐えれるーッ!?」
「だから言ったろう、貴様ごときに攻略出来る闇魔界では無いと!」
そしてそこに、幸運は訪れた。
「……何!?」
「フフフ……あれが我が部下達よ!」
視界の隅に映るのは、敵の軍勢を文字通り切り開く闇魔界の面々。ダークソードとジェノサイドキングデーモンを中心に敵が押されていた。
「……この報い、いつか受けて貰うぞ……!」
「望む所よ」
奴は素早く離脱し、自軍を率いて撤退を選んだ。大量の軍勢は、あっという間に戦場を離脱する。
「……ひとまず、終わったか……」
未だに痺れる体を奮い立たせ、小さくなっていく敵を見つめていた。
メンタルスフィア・デーモンの技はオリジナルです。