魔族の雑貨屋   作:カシコイン神父

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続きました

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2話

 

 ヒンメル達がなんとか宿で眠る事ができた翌朝、4人は昨日も訪れたあの雑貨店と店主である魔族について聞き込みをしていた。

 

 

 

 

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酒場の店主の証言

「雑貨屋の魔族?あぁ、ベクヴェームさんの事かい。昔は誰も関わらないようにしてたらしいが、別に何か問題を起こした事もないし外に出てくる事も無いから、みんなそのうち気にしなくなってったらしいぞ。 おっ、来たか?安心しろ、ベクヴェームさんとこの使い魔だ。頼んでたグラスの配達だよ。あそこ魔道具とか関係なく普通に小物のセンスいいんだよな」

 

 

 

薬屋の老婆の証言

「私のおばあちゃんから聞いた話だと誰も住んでなかった空き家に突然張り紙と看板が掛かってたそうでね?みんな魔族がいるってので当時は大騒ぎだったらしいわよ?まぁ何年経っても何もしてこなかった所か、いつの間にか打ち解けてたらしいけど。この魔道具?凄いでしょ?硬い種なんかも簡単に粉末にできるのよ。なんで真っ赤な腕みたいな形なのか?……さぁ?」

 

 

 

ベルトを巻いた子供の証言

「この街をねらうヤツはゆるさないぞ!『ドライバ-オン! シャバドゥビタッチヘンシ-ン』変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

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「まさか本当に変身するとは……」

 

「いったいどういう技術なんだ……」

 

「大人用のベルトがあったら買ってみましょう」

 

 街での聞き込みを終えた4人はひとまず情報を整理していたが男3人は子供が着けていたベルトに心を奪われていた。

 

 

 

 

(確かにすぐに着替えられるのは便利だけど、子供用の玩具の何がそんなに気に入ったんだろう?)

 

 エルフに漢のロマンは早すぎたようだ。

 

 

 

「で、結局どうするの?街の人達に話を聞いても、ちょっと変わった雑貨屋くらいにしか思われてないし」

 

「全知のシュラハトに狙われているという話も真実かは分かりませんが、実際に本人が店から出た所を見た人もいないようですからね」

 

「想像以上に街の人間に受け入れられている。魔族とはいえ、やっている事は普通の……いや普通では無いが……雑貨屋だからな。危機感を待てという方が難しいのかもしれんが……」

 

「いずれにせよ明確に被害が出ていない以上、下手に手を出せば僕達がこの街から追い出されかねないな。フリーレン、あの結界の解析はどうなってる?」

 ヒンメルの問いかけに対してフリーレンは首を横に振る。

 

 

「昨日はあんまり時間が無かったからね。解析にはもう少しかかりそうかな」

「うん。ならやっぱりもう一度あの店に行って結界の解析と情報を集めよう。街の人に受け入れられているとはいえ、魔族を相手に何の対策も無いままなのは問題だしね」

 

 ヒンメルの提案に同意し、4人は再び魔族が切り盛りする雑貨屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。おや?昨日のお客様方でしたか。昨夜は無事に宿でお休み出来たようで何よりです」

 扉を開けると昨日も見た人の良い笑みを浮かべるベクヴェームが帳簿を開いていた。

 

 

「あぁ、昨日は結局何も買わずに出てきてしまったからね。冷やかしだけじゃ申し訳ないだろ?」

 穏やかに答えながらも油断無くベクヴェームを見据えるヒンメルを横目に早速フリーレンが結界の解析を始める。

 

「ははは!そういう事であれば是非見ていってください。当店の商品はお客様を退屈させない事にかけては自信がありますゆえ」

 

 機嫌良さそうに笑うベクヴェームを懐疑と困惑の目で見つつ、4人が商品を眺め始めた。

 

 

 

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「ふーむ、この辺りの棚は特に怪しいモノは……おや?」

 

 ハイターが見つけたのはグラスやジョッキ等が置かれた棚の横に置いてある金属製の筒のようなモノだった。

 

「これは……『魔法瓶』?」

 商品の説明書きと思しき紙を読んでみる、どうやら金属製の水筒のようだ。

「ほう?温かいスープや冷たい飲み物の温度を一定に保つ魔法がかけられているんですか、これは便利……ハッ!!」

 

 

 その時ハイターに電流走る

 

 

(これがあればわざわざ火を焚いたりフリーレンに頼まなくとも、いつでもキンキンに冷えた酒も温かい酒も飲めるのでは!?)

 

「……すいませんコレ4つください」

「お買い上げありがとうございます」

「おい、そこの生臭坊主」

 

 ヒンメルがこちらをジットリとした目で見てくるが気にしない。あくまでコレはこの先の旅で役立つ物を買っているだけ。ちゃんと人数分買うし、そこまで高い買い物でも無い。決して私利私欲による無駄な買い物ではないのだ。

 

 

 ハイター 魔法瓶4点お買い上げ

 

 

 

 

 

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「変わった物も多いが武器や防具なんかは流石に置いてないな……ん」

 

 

 アイゼンは棚に並ぶ商品を興味深そうに眺めていた。食べるとエラが生える昆布やら取っ手の取れる鍋やら用途がよく分からない物から日常的に使えそうな便利な物まで多種多様に揃っている。

その中でアイゼンの目を引いたのは鮮やかな色のマントだった。

 

 

「マントか……そういえばいつも付けているコレも随分くたびれてきたからなぁ……ここいらで新しいのを買ってもいいかもしれない」

 

 

 普段からつけているマントは旅の途中で洗濯したりしてはいるものの長年付けていた事もあり、ほつれや汚れも目立ってきたため新しい物に買い換えるべきかと思っていた。

 

「ふむ……どうやら普通のマントというわけでもないようだ。何々?防刃・防火・耐魔法製?魔法がこめられているのか……変形能力つき?」

 およそマントとは結びつかない能力が付いていると言われて混乱しているとベクヴェームが説明を始める。

 

 

「そちらのマントはウルトラマントという商品でして。防具としても機能する耐久性とブレスレットに変形して腕に装備できる能力があります。本当はもっと色々変形できるようにしたかったんですがブレスレット型に変形させるのが精一杯でして……」

 

 

「……何でわざわざ変形させるんだ」

「そっちの方がカッコいいじゃないですか」

 

 

 結界の解析中だったフリーレンが思わず突っ込むと身も蓋もない答えが返ってきた。

 

(コイツは本当に魔族なのか?)

 

「……使わない時なんかはブレスレットにしておけるって事だろう。これを一つ」

 

「買うの?」

 

「あぁ、気に入った」

 

「お買い上げありがとうございます」

 

 

 アイゼン ウルトラマントお買い上げ

 

 

 

 

 

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「さて、折角だから僕も何か買って行こうと思うんだけど何かオススメの品はあるかい?」

 

 ハイターとアイゼンが店内の商品を確認している間にヒンメルはベクヴェームに直接探りを入れる事にした。

 

 

 

「武器の類は扱っていないのか」

 

「申し訳ありませんが当店では武器の類は取り扱っておりません。戦闘で使えるのはアイゼン様がお買い上げされたウルトラマント以外ですと、噛み噛み白菜くらいですね」

 

 そう言って懐から取り出した牙の生えた白菜の様なナニカにドン引きしつつ別の質問をする。

 

 

 

「あー……それじゃあ初めてここに来た時、呪いの品も取り扱っている様な事を言っていたのは?」

 

「あぁ、それでしたらこちらに。こちらの真珠ナメクジや他には呪われた血晶石と呼ばれる代物などがあるんですが」

「あぁいや、もういい。それよりも何か旅で役に立つ物はないか?」

 

 何かロクでも無い予感がしたヒンメルは急いで話を逸らし無難な物が出てくるのを祈る。

 

 

 

「はい。それでしたらビブルカードはいかがでしょう」

 

「ビブルカード?」

 

 

 

 そう言ってベクヴェームが取り出したのは破り取られた白い紙片だった。

 

 

「この紙は別名 命の紙 とも呼ばれる特殊な紙でして、特定の個人の爪の欠片や髪の毛を混ぜて作られます。そして材料を提供した個人の居場所を示すんです」

 

 

 そう言ってカウンターの上に置いた紙片がひとりでに動き出すのを驚いたように見つめるヒンメル。

 

「この様に紙が動いた方角にその人物は必ずいます。千切った欠片でも十分機能しますので予め大きな紙を作っておいてパーティーの皆様や旅先で出会ったもう一度会いたい方などに分配すると良いでしょう」

 

 少し考え込んだ後、振り返ると既に分かっていたかの様に此方を見つめている仲間達の姿に笑みを浮かべたヒンメルはベクヴェームにビブルカードの作成を依頼した。

 

 

 勇者パーティー ビブルカード 4枚お買い上げ

 

 

 

 

 

 

 

「お買い上げいただいた商品は動作不良などがあれば返品・返金受け付けております。御来店ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

 

 結局それなりに多く買い物をした4人はフリーレンの結界の解析が終わった報告もあり、一度宿屋へ戻る事にしたが、帰ろうとするフリーレンの背中にベクヴェームが声をかける。

 

「そちらのエルフのお客様」

 

「何」

 

 店の商品自体は気になってはいたが魔族の売っている道具をどこまで信用できるか分からないので特に何か買う事もなく結界の解析に努めていたフリーレンは直接声をかけられた事で警戒を露わに振り返る。

 

「ビブルカードは火で燃やそうが水に漬けようが消失する事はありません。ただし材料を提供した方の生命力と繋がっています」

 

「……何が言いたい?」

 

「生命力が小さくなるほどビブルカードも小さくなっていきます。大怪我をしたり病気になればその分小さくなりますし亡くなられた場合はカードは完全に消滅します。怪我や病気が治ればまた元の大きさに戻ります。寿命はどうにもならない」

 

「……」

 

「どうか貴方の仲間達のカードは決して無くさぬよう定期的に確認してください。もう一度話をしたいと思うのなら尚更。……私達の時間は、人とは違いますから」

 

 耳を貸す必要はないはずだった。この言葉も此方を油断させるための物なのだろう。魔族は人の皮を被った獣にすぎない、それはこの先もずっと変わらない事実だ。

 

 けれどその目は確かに時折ヒンメル達が自分に向けるものと同じ慈しみを持った物で。

 

「……まぁ、考えとくよ」

 

 

 珍しく、本当に珍しく魔族の願いを聞き入れた。




色々詰め込みすぎて訳わかんなくなってるね。
ここから設定
・ベクヴェーム
魔族で雑貨屋(転生者)シュラハトにガッツリ目をつけられてるので死に物狂いで逃げて引きこもった。最初はめちゃくちゃ怖かったけど最近は結界が破られた時が自分が死ぬ時やろな〜位のノリ。何百年も生きてたら多少はね?
実際の所シュラハトは引きこもりさせた時点で目的達成してる(初期のベクヴェームは追い詰めすぎると南の勇者あたりと合流して魔族の被害がえらい事になるし放置すると思いつきで作ったアイテムが世に出回って魔族以外もえらい事になる)のでもう追われてない。

・薬屋の老婆が持ってたアレ
ベクヴェームクオリティで実用性はちゃんとある。(プラゴミでは無くなってる)

・ベルトを付けた少年
魔法使いの素質があったのでベクヴェームに玩具としてベルトと指輪を渡された。趣味と実益を兼ねて作られたがあくまで玩具なのでなりきりセットみたいな物。別にサバトが起きた訳でもファントムを宿してる訳でもない(ただしベクヴェームは自衛用にしっかり戦闘用に調整した白い魔法使いのベルトと指輪を隠してる)
この少年はモチーフになったヒーローの話をベクヴェームから聞いて独学でベルトと指輪を研究して『指輪の魔法使い』として名を残して80年後くらいに孫が名前を引き継いでる。
(例えるなら過去回想に少しだけ出てきて初期形態だけで無双する先代の変身者)

・魔法瓶(ガチ)
本当に魔法がかかってる魔法瓶。
あの世界にこの手の便利グッズあったら売れるだろうなくらいのノリで出した。ハイターは北側諸国の冬をホットワインとかで乗り切りそう。

・ウルトラマント
原作の性能をそのまま持ってきちゃうとチートすぎてダメだった。
アイゼンが外したマントをブレスレットにしてそのまま殴り合うのが見たかった。エターナルといいウルトラマンといいマントを放り捨てて戦いに赴くのすき

・ビブルカード
ワンピースでお馴染みのアレ。仲間達との繋がりが目に見える感じでヒンメルとか好きそうだなって思って出した。フリーレンは旅が終わった後で時々ヒンメル達の名前が書いてあるビブルカードを眺めてだんだん小さくなっていくカードを見て半世紀彗星より早く会いに来るかもね。





改めて感想や評価ありがとうございました。
続きを書くか分からないです。書くとしたら一級魔法使い試験編でチラッと出てきたどっかの好事家が集めてるメダルがベクヴェームが引きこもるまでに作ってばら撒いたコアメダルになってる話とか。
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