621が神秘背負ってキヴォトスに降り立った   作:ウィルキンソンタンサン

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細かい事は気にすんな精神。機体の装備とかパーツとかは書きながら考えます。
一先ずは腕頭シュナイダー胴脚アーキバス、かなぁ?武器は右がバーストライフルで左はみんな大好きパルスブレード。
右肩は8連ミサイル、左肩は2連グレランで。


01.入星

 

「……先生、外を見てください。流れ星ですよ。」

 

「"わぁ……本当だ!"」

 

すっかり日も落ち、星が見えるようになった頃。シャーレの書類を片付けるのを手伝っていたユウカが窓から流れ星を発見した。

 

「"消える前にお願いしないとね!"」

 

「いや書類……」

 

「"後で、後で!流れ星なんか今後見られる保証ないんだから!"」

 

「そ、そうですね?じゃあちょっとだけ……」

 

そう言い、目を瞑って祈り始める。

 

("うおぉ……虹封筒虹封筒虹封筒!!")

 

(せ、先生と……っていやいや!なんてこと祈ろうとしてるの!?)

 

それから少しして。

 

「ふぅ……では先生、業務に戻りましょう。」

 

「"うっ、面倒くさ……"」

 

「なにを言ってるんですか、セミナーはもっと多いですよ?」

 

「"えっセミナーってブラックすぎない?労基行く?"」

 

ただでさえ目の前に積まれた書類は文字通り山のようだと言うのに、セミナーはもっと多いのか。普通に給料無きゃやってられないだろ普通に考えて。教育委員会より労基案件だろ。

 

「いえ……確かに忙しいですが、別に処理は可能ですから。」

 

「"……そう"」

 

そこまで考えて、先生は考えるのをやめた。兎にも角にも、まずはこの嫌がらせの如く積まれた書類を片付けてからだ。

 

暫く、キーボードを叩く音やマグカップの音が響くの時間が続く。

そんな中、ふとユウカが声をかけた。

 

「……先生。」

 

「"どうしたの?"」

 

「外を。」

 

ちょいちょい、と窓の外へ指を指すユウカ。

不思議に思い外を見ると──

 

「"あれ、流れ星……さっきのと同じ?"」

 

先程見た流れ星が未だに空を流れていた。

 

「"不思議なこともあるもんだな……って、そういえばあの流れ星、妙に遅いような?"」

 

「遅いというか……大きくなってません?」

 

「"……確かに"」

 

白く輝き、細い線を描いていたそれは、今や真っ赤に煌めき、太い線を描いていた。

誰がどう見ても、流れていない。降っている。

 

「"……隕石?"」

 

最初は遅いと思われたそれは、段々と速度を増していく。

そして最後には、地上へと落ちたように見えた。

 

シャーレからも見えるほど大きな煙が登り、1拍おいて微かな轟音と振動が感じられる。

 

「……お」

 

「"……お"」

 

「「落ちた……"」」

 

「"あれ、落ちたところって方角的に……"」

 

「……ミレニアム(ウチ)、ですね。」

 

静寂。

絞り出す様に、先生は机に置かれたタブレットへ声をかける。

 

「"……アロナ。"」

 

『──どうやら、そうみたいですね。』

 

先生の声に反応し、タブレット端末──シッテムの箱──にアロナと呼ばれた青髪の少女が表示され、そう発言する。

 

(隕石?いや、それにしては形状がおかしかった。それにもし本当に隕石だとしても、あのサイズの隕石が降ったらここもタダじゃ済まないはず。……そういえば、赤い光の中から何か青いものが噴出しているように見えたような……しかも、進行方向とは逆に噴いていた……)

 

ミレニアムサイエンススクール、セミナー会計。"全知"……には及ばないが、その正に神がかりじみた天才的な頭脳をフルに活用し推理を始める。

 

(……ジェット噴射?以前見たような……もしかしてロボット?宇宙空間から来るような機械……もしや……)

 

思考が終わり、顔を上げる。

 

「……先生。」

 

「"……はい。"」

 

「すみません、あとはご自分で!」

 

そう言い、外へ駆け出す。

 

「"えっ"」

 

「エンジニア部───!!!アンタらいい加減にしなさ───い!!!!」

 

学校の抱える問題児集団、エンジニア部を首謀者と断定し、その言い訳を聞いた上で差し引く予算の額を考えながら。

ひいては、ミレニアム自治区の損害の規模、それに伴う修繕費用を考えながら。

 

 

◇◆◇◆

 

 

砂埃が舞う中、大きな人型の機械が火花を散らしながら白い煙を排熱する。

 

『──ISB5873、学園都市キヴォトスに着陸。』

 

操縦室に座る、身体全体に包帯が巻かれた女性にCOMがそう告げる。

 

『座標は……"ミレニアム"自治区郊外、少し誤差が出たな。これも神秘とやらの力か。』

 

通信から男性の声。

独立傭兵である彼女の代理人、ハンドラー・ウォルターだ。

 

『ルビコン3に密星した時の事を思い出すな、621。』

 

621、そう呼ばれた女性はこくんと頷く。

 

『あの時の様に近くにカタパルトは無いが……待て、お前が降り立ったところはもしや──』

 

はぁ、とため息。

 

『少し面倒なことになりそうだ。』

 

こてん、と首を傾げる621。

 

『レイヴン。貴方のハンドラーの言う通り、私も少し嫌な予感がします。』

 

と、621の脳内で女性の声が響く。

彼女の名はエア。621とのみ交信が可能な意識的存在だ。

 

『621、ACの調子はどうだ?』

 

621は人型の機械……ACを軽く操作する。

無理な強襲着陸による損傷は既にある程度回復され、問題無く稼働する。

 

『いいだろう。だが念の為修復をしておけ。この先何があるか分からない、用心するに越したことはない。』

 

軽く頷き、リペアを作動する。

すると、AC全体が淡い青色の光に包まれ、機体の損傷が完全に回復する。

 

『リペア、残数2。』

 

無機質な声で、COMが告げる。

 

『ではここから出るぞ。目的地をマークした。急ぐぞ。』

 

そこで一呼吸空け、言う。

 

『……仕事の時間だ、621。』

 

ACが飛び上がり、そのまま前方へ加速を始める。エネルギーが尽きかけたところで着陸、溜まったら再び加速。

これを2回ほど繰り返すと、街らしき場所が見えた。

天高く聳え立つビル群。ルビコンとは違いかなり近未来的な街並みだ。

 

『ここは……学校でしょうか?』

 

エアがそう言う。

 

「?」

 

『レイヴン、学校とは人が様々なことを学ぶ為の場所の事です。……私の知る学校とは随分と形状が違いますが』

 

首を傾げた621にエアが補足する。

 

『……621、ルートを変えろ。上空からも行くな。』

 

と、ウォルター。

 

『ここからは"生徒"と呼ばれる生命体が数多く存在する。ACが露見すると面倒だ。目的地で落ち合う予定の者も生徒だが……こことは反対側だ。』

 

『生徒……ブリーフィングで言及されていた者達ですね。銃火器を携帯しており、1人でMTやAC並の戦闘能力を有しているという……。』

 

「……」

 

そんな馬鹿な、という顔をする621。

 

『……どうやら目立ち過ぎたな。手遅れのようだ。』

 

『レイヴン!前方に敵性反応!』

 

「!」

 

警告もつかの間、轟音と共に激しく揺れる機体。

ACS限界を超え、スタッガー状態になる。

 

「ッ!」

 

スタッガーが解けるや否や、素早くクイックブーストで距離を取る。

 

『見えるか、621。あれが生徒だ。』

 

とウォルター。

 

「……?」

 

目を凝らしてよく見ると、赤髪の少女が銃を構えてこちらを見上げているのが視認出来た。

メイド服にスカジャンという奇天烈な格好に、621は首を傾げる。

 

『生体反応より、対象を"美甘ネル"と断定。見た目は幼い少女ですが、界隈では勝利の象徴として有名な様です。ACを屠る戦闘力があるとは思えませんが……、油断は禁物です。レイヴン。』

 

こくり、と頷き向き直る。

 

『音声拡張モードを起動。対象の音声を共有します。』

 

そうCOMが告げた後、ザザ、と言う雑音の後に少女の声が流れる。

 

『おいおい……今ので何とも無ェのかよ。なんなんだこのデカブツ。』

 

ボリボリと頭を搔く。そして、1つため息。

 

『またエンジニア部の奴らがやらかしたンだろうな……。まァいい。一先ずはコイツぶっ壊してからだな。お前ら、行くぞ!』

 

瞬間、美甘ネルと言うらしい生徒が姿を消す。

 

「!」

 

右からアラート音が鳴り響いたのに反応し、クイックブースト。

視点を戻すと、先程まで機体がいた所に美甘ネルが銃を持ち突撃していた。

 

『──アスナァ!』

 

『分かってるってリーダー!』

 

『ッ!──レイヴン!』

 

ワンテンポ反応が遅れ、脚を撃たれた感覚を味わう621。

対象が小さい為か、中々弾が当たらない。

 

『621、新手だ。1、2……合計で4人になったな。囲まれているぞ。』

 

『生体反応からそれぞれ"一ノ瀬アスナ"、"室笠アカネ"、"角楯カリン"と断定。──ミレニアムサイエンススクール、"Cleaning&Clearing"です。』

 

『621、奴らがブリーフィングでリストアップされていた要注意組織の1つ、通称C&Cだ。ACをもってしても振り切れるような相手ではない、油断すると狩られるぞ。』

 

こくりと頷き、操縦桿を強く握り直す。続いて囲まれた状況を脱するため、上昇を始める。

 

『……おい、飛んだぜお前ら。』

 

『あはっ、すごーい!』

 

『任せて、リーダー。目標……捉えた!』

 

ピー、ピーと鳴るアラート音に反応してクイックブーストを発動した矢先、衝撃で機体が大きく揺れる。

 

『AP、30%。』

 

COMが告げる。

 

『狙撃ッ!?機体損傷拡大!レイヴン、回復を──!』

 

『アカネ!』

 

『はーい。お掃除しましょうね。』

 

胸元で爆発が起き、APが大きく損傷する。

素早くリペアを発動し、回復。

 

『リペア、残数1。』

 

とCOM。

 

『あ゙ぁ゙!?アイツ今回復したか!?チートかよ!』

 

『621、奴らは連携が大きな武器だ。各個撃破に努めろ。』

 

1度操縦桿から手を離し、パチンと両手で頬を叩く。プルプル、と頭を振り、眼を見開き、操縦桿を握る。

 

『レイヴン……。』

 

ガチャン、と重厚な音を立て、着陸する。

右手のバーストライフルをリロード。

周囲を見回し、最後に美甘ネルを見下ろす。

 

『……そうですね。私が貴方をサポートします。』

 

完全に戦闘モードへと移行した621にエアが言う。

 

『──ハッ、第二ラウンドってか?上等だよ。』

 

『リーダー、気を付けて。勘だけど、なんかさっきと雰囲気が違う。』

 

ニヤけるネルに、アスナが警告する。

 

『分かってる。アレも本気って事だろ?来いよ!ぶっ壊してやるからよォ!』

 

お互い睨み合い、今まさに周囲を巻き込んだ大戦闘の火蓋が切って落とされようとしたその時。

 

『ちょっと待った────!!!』

 

と、離れた所から大音量で静止の声。

 

『……新たな生体反応?それぞれ"白石ウタハ"、"猫塚ヒビキ"、"豊見コトリ"、"早瀬ユウカ"と断定。──敵性はありません。』

 

『ん?ありゃあエンジニア部か?』

 

『あら、ユウカさんも一緒です。』

 

片手にメガホンのような機械を持った紫髪の女性が言葉を紡ぐ。

 

『その!機械!エンジニア部(ウチ)の貴賓!中に人いる!!』

 

静寂。そして。

 

『『『!?』』』

 

『……はぁ。』

 

『彼女達が、落ち合う予定の生徒だ。あちらから迎えに来たらしい。』

 

どうも、エンジニア部の近くに着陸する筈がズレでC&Cの部室が近い所へ着陸したらしい。

 

『あんたらはなんでそう言う大事なことをもっと早くに言わない……!』

 

『……すまない、忙しくて忘れてたんだ。』

 

『えへへ……』

 

『というか、結局あんたらの持ち込み案件だったじゃない!修繕費が、予算が……このままじゃセミナーも破産……!』

 

『……すまない。』

 

『あはは……ごめんねユウカちゃん。』

 

「……」

 

『レイヴン、私はなんだか混乱してきました。』

 

それはこっちのセリフだ。

621は、無表情のまま心の中でそう呟いた。

 




続きは炎に焼かれました。
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