621が神秘背負ってキヴォトスに降り立った   作:ウィルキンソンタンサン

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ランクマ勝てないので初投稿です。
今回ちょっと難しい話になってしまいました。コア理論の話をしようと思ったらどうにも煮詰まってしまって……。


04.合同会議

 

『ミレニアムサイエンススクール、ゲーム開発部作の"テイルズ・サガ・クロニクル"をやります。』

 

「……。」

 

621はそこまで学がある訳では無い。せいぜいが再手術後にウォルターからしてもらった軽い授業の範囲位だ。

 

しかし、それでもそのタイトルが『物語・物語・物語』という意味になるのは分かった。

このゲームをかの戦友ことラスティに見せたらどう言うだろうか?「ユニークなタイトルだな、戦友」とか言いそうだ。

ならばイグアスに見せたらどうだろうか。「どう見てもクソゲーじゃねぇかやらねぇよ……」──とか?

イグアスと言えば、あのオールマインドとの決戦の後どうなったのだろうか。一応無事だとはレッドから1報入っているが……。オールマインドと一体化したような発言をしていたし……少し不安。

 

オールマインドが企んでいたコーラルリリース……人とコーラルを一体化させ、情報的存在へと変える計画。エアとの協力によりそれは防がれたが、実行されてたいたら一体どうなっていたのだろうか。ここキヴォトスにもその余波が来ていた可能性は十二分にある。

"()()()()()()()()()()()"……その警句の意味が、少し分かった気がした。

と、そこまで思慮を巡らせた所で思考を切り上げる。

 

『では、ここの端子を……ここに挿してください。』

 

言われるがまま、コードの先のオス端子をコックピットに備え付けてあるメス端子に挿し込む。

星外技術であるACとキヴォトスの端子が同一規格なことに少し違和感を覚えるが……コーラルに脳を焼かれた強化人間はそんな細かい事は気にしない。

 

多分寝泊まりも出来る作業用MTの名残りかなんかだろう、知らんけど。そう結論付け、そのままエアの指示に従ってセッティングをする。

 

 

『完成……でしょうか。』

 

全てのコードが繋がり、ディスプレイが起動。

『テイルズ・サガ・クロニクル』のタイトル画面が表示されている。

 

「……えぇと、そうさ方法、は。」

 

コントローラーのスティックを動かし、操作方法と書かれたスロットを選択。

 

《ピチューン》

 

「──へ?」

 

《GAME OVER!》

 

「……????」

 

『?????』

 

今より、2人は思い知らされる事になる。

"今年のクソゲーランキング"堂々の1位を飾り、「何が足りないか数えたらキリがないが、強いて言うのならば正気。」とまで言われたある意味伝説と化しているゲームの真髄を。

 

 

 

 

『ン゙ン゙……聞こえるかい?ビジター達。』

 

少し広めな会議室。大きなモニターにピンク色のクモのマークが表示され、スピーカーから声が発せられる。

 

「うん、聞こえてる。ちゃんと繋がって良かった。」

 

ふぅ、と息を吐きながら眼鏡をかけたショートヘアの生徒が席に座る。

 

「じゃあまずは自己紹介からだね。私は──」

 

「あら、"全知"の学位を持つこの超天才病弱系美少女ハッカーの私を差し置いて、先に自己紹介とは頂けませんね?」

 

ショートヘアの生徒が名乗ろうとしたのを遮り、車椅子に座った白髪の生徒が饒舌に喋り始める。

 

「はぁ…分かったよ、じゃあ部長からお願い。」

 

「えぇ、えぇ。私の名前は明星ヒマリです。現在は特異現象捜査部の部長を務めておりますが、ヴェリタスの部長をしています。以後、お見知り置きを。」

 

「……私は各務チヒロ。ヴェリタスの副部長をしてる。こっちの2人は──」

 

「私は小鉤ハレ……この子はアテナ3号だよ。」

 

周りを浮遊する球体のドローンを撫でつつエナジードリンクを飲みながら、ハレ。

 

「私は子塗マキだよ!えーしー?だっけ?私がペイントしてもいいかな!?」

 

と目を輝かせながらマキ。

 

「本当はあと1人──音瀬コタマって子がいるんだけど、今はシャーレに行ってる。ひとまず、私達がヴェリタスだよ。」

 

『へぇ、真理(veritas)か。中々笑える名前だね、ネーミングセンスのある奴は嫌いじゃないよ。それと、シャーレってのは──』

 

『──ボス、シャーレは連邦生徒会長が設立し"先生"が顧問を務める部活の事だ。』

 

クモのマークの隣に幾何学模様の軌跡を描くミサイルのマークが表示され、そう説明する。

 

『あぁチャティ、そうだったね。それで、そっちのは……』

 

「私達はエンジニア部だ。ACについてはレイヴンさんから少し教えて貰った。小型ACの制作……是非とも協力させて欲しい。」

 

白衣を着た紫髪の生徒、白石ウタハがそう言う。

 

『ビジターが?……ハハッ!おい聞いたかいチャティ?ビジターが教えたって!こりゃ笑えるな!』

 

『そうだな、ボス。今日はあのワインを開けよう。』

 

『そうしよう。ウォルターもどうだい?』

 

『……いや、遠慮しておこう。』

 

と、AMASからウォルター。

 

『なんだい、釣れないね。……あ、すまないね。勝手に盛り上がってしまった。えぇと……』

 

「マイスターのウタハだ、白石ウタハ。エンジニア部の部長をしている。そしてこっちの2人が──」

 

「猫塚ヒビキ。よろしく。」

 

「豊見コトリです!今回はよろしくお願いします!!自分なりにACについて考えてみたのですが、コックピットのある胴体パーツ含めて全てのパーツが規格化されているんですよね!?それで自由に組み替えられる機構があって、自由度の高いパーツの組み換えで高い汎用性と拡張性を秘めていて、理論上ありとあらゆる戦場に対応できる訳じゃないですか。それって、"戦術的な観点から見て最強の兵器"ですよね!?私達も以前巨大な操縦可能ロボットを制作したことがあるのですが、その時は全体的に用途を固定してしまっていて汎用性に欠けていたんですよ!だからACを見た時私感銘を受けまして!!!あ、ちなみにその時作ったロボットなんですが──」*1

 

「ヒビキ。」

 

「イエッサ。」

 

「という訳でOS含め全てに互換性があると言うのが──もごもごもご!!」

 

ウタハに指示され、ヒビキが止まる事を知らないコトリの口を塞ぐ。

 

『……あー、まぁ熱意は伝わったよ。私はACを発明した訳じゃないから、そりゃ初めて見た時は同じ事を思ったね。だから気持ちは分かるよ、コトリ。』

 

『ボス、時間が押している。手早く済ませよう。』

 

『そうだね。──さて、じゃあ今度は私達の番だ。私はカーラ。シンダー(灰被り)・カーラ。武器屋"RaD"の頭目をやってる。こっちはチャティ(お喋り)・スティックだ。私のサポートをやってもらってるよ。アンタらにはビジター……あー、レイヴンが世話になってるみたいだね。今回はよろしく頼むよ。』

 

「よろしく、カーラさん。それじゃあ早速本題に入ろうか。」

 

「えぇ。その前に"AC"なる兵器のデータが欲しいですね。一応、レイヴンさんのACを覗かせてもらおうとハッキングをかけたのですが……弾かれてしまって。」

 

「……ヒマリ部長が?どれだけ堅牢なセキュリティなの…?」

 

「パッと見た限りはそこまで複雑では無かったのですが……着手したそばから対策されていきまして。まるで生物が憑依しているかのような……どういったシステムなのか、是非とも教えて頂きたいですね?」

 

『なにそれ……知らん……こわっ』

 

「え?」

 

『──まぁ、ビジターはそういう所があるからね。私も謎なんだよ。どんなに閉じ込めても犬みたいな嗅覚でアクセスポイントを探し出してこじ開けてくるんだ。』

 

思い返せばキリがない。

 

「そういえば、私達も覚えがある。エンジニア部のPCにレイヴンさんから書き置きをされていたんだ。あれはチヒロさんが作ったファイヤーウォールを組み込んでいたハズなんだが……普通に侵入されていた。」

 

「えっ、本当に?……うーん、私もまだまだだな…。後でデータくれる?」

 

「もちろん。形跡も巧妙に隠されてたけど、なんとか見付けられたよ。綺麗にバックドアが作られていた。」

 

『……フッ』

 

『なんでアンタが誇らしげなんだい……?──まぁいいさ。まずはACの全容の話をしようじゃないか。』

 

「人型駆動兵器という話は聞いてるけど……」

 

『"コア理論"の話さ。ACの他にも、汎用性を代償にHCやLCといった強力な兵器があるし、無茶な機動や積載を可能にした無人兵器だってある。それでもなぜACは廃れないのか。ACの本懐……コア。それに触れる理論だ。』

 

「ふむ、それはやはりロマ──」

 

『ロマンで生き抜けられるほど戦場は甘く無いよ、マイスター。』

 

「(´・ω・`)」

 

『ここで言うコアは人…つまり搭乗するパイロットの話をしている。この定説に関して例として挙げるのに最も適しているのは……独立傭兵だね。』

 

「なるほど。独立傭兵といえばレイヴンさんもそうでしたね。……つまり、"コア理論"を持つACは人間の映し鏡、と。」

 

『よく分かったね。天才だかなんだかを自称するだけはある。』

 

「えぇ、このミレニアム最高のスーパーコンピューターをも凌ぐ天才的な頭脳を持つ私にとっては造作も無いことです。」

 

自慢げにつらつらと自画自賛の言葉を紡ぐヒマリ。コイツおもしれー女だなとカーラは思った。

 

『人間とは無限の選択と淘汰を繰り返す……。笑える事に、正しくACにも当てはまるじゃないか。』

 

「そういう事か。生きる為に武器を取捨選択する…。確かに、独立傭兵はコア理論を体現している。」

 

「ほうほう、つまりコア理論というのは種の生存として重要な、現状維持をする遺伝子と変化する遺伝子のメタファーという訳ですね!あ、ちなみにこの遺伝子というのは環境に合わせて進化したりそのままでいたりと種の繁栄に直結している重要なものでして、これが──もごもごもご!!!」

 

『……話を続けるよ。つまりACを小型化する場合、このコア理論を潰す事になるんだ。強みを全て無くす訳だからね。もちろんビジターの愛機を小型化すれば良いだけかもしれないが……そんな簡単な話じゃない。ビジターだって無敵じゃないんだ、用途や敵に合わせてアセンブルする。』

 

「ふむ、ACの他のパーツがどうなっているのかは分からないが…確かにACはあの巨体ありきの強みだ。小型化してしまっては並以下の性能になるだろうね。このコア理論があるからACはその強さがある。思ったより小型化は難しそうだね……。」

 

うーーん、と頭を捻る。

全てのACのパーツはコア理論に則って製造されている。だからこそ、そのコア理論が瓦解すると全てが崩れるのだ。

 

会議室に暗雲が立ち込めて来た頃。1人の赤髪の少女が声を上げる。

 

「──もー!私難しいことはよく分かんないんだけどさ!つまりは対人性能が高いロボットを作ればいいんでしょ!うだうだ言っててもしょうがないんだから、とりあえずゴリアテとか参考にしながら作ってみようよ!」

 

「マキちゃん……」

 

「うん、私もそう思うな。とりあえず自分達なりに色んなパーツを作ってみよう。完全なACとして作れないなら、全く新しい私達なりのACを新造すればいい。」

 

と、ハレも言う。

 

『……ボス、俺も彼女達に賛成だ。何もこちらのAC通りに作る必要は無い。』

 

『チャティ……。』

 

「……そうだったね。私達エンジニア部の信条!"迷ったら作ってみろ"!とりあえず作ってから考えよう!」

 

「異議なーし。」

 

「素材はどうしましょう!あ、そういえば新素材開発部が新たに作り出した素材が装甲にピッタリかもですね!あれの強みは──」

 

 

 

 

 

『……。』

 

『──カーラ。』

 

『ウォルター。……全く、若いってのはいいもんだね。歳をとると頭が固くなる。ACはACでないといけない…。そんな固定概念があったよ。』

 

『そうだな。俺も621といると、毎日驚きの連続だ。』

 

確かに、ビジターは型破りだからね。とため息を吐きながら画面の向こうで背もたれに背を預けるカーラ。

 

『OSのキャリブレーションシステムは──』

 

『以前私達が作ったOSではおそらく使い物にならない──』

 

『ゴリアテのデータは──』

 

『ブースターは──』

 

『レイヴンさんのACのジェネレータが──』

 

目を輝かせ、熱心に設計を始めるヴェリタスとエンジニア部。

ルビコンから遠く離れた星に存在する"生徒"と呼ばれる生命体。たとえ住む星が違っても、好きな物に対する情熱はどこも同じだ。

 

「まったく、ウチに欲しいくらいだね。」

 

今のRaDに足りない物だらけだと感じ、そう嘯くカーラ。

 

「分かった、分かったよビジター達。できる範囲でサポートしてやる。まずビジターは軽量機が好みで──」

 

若者に囲まれると、自身も若返った気になるのは世の常。この時カーラは、遥か昔のコーラルの脅威を思い知る前の頃のように笑っていた。

 

 

 

 

《Congratulation!GAME CLEAR!!》

 

「───……。」

 

画面にその文字が表示された瞬間、621はコックピットの背に身を預けて思いっきり息を吐いた。

 

『………お疲れ、様です……。』

 

ビクビクしながらそう声をかけるエア。数々の予測不能な理不尽に苛まれる621にいたたまれなくなっていた。

というか、こんなゲームを持ってきてしまった事に申し訳なく思っていた。

 

『……レイヴン?』

 

しかし、意外や意外。621の顔は随分と晴れやかなものだった。

 

「これが、げえむ。」

 

『そう、なのでしょうか。』

 

「たしかに、難し、かった。けど、ふだんの依頼の方が、ずっと、難しい。」

 

説明に従って操作すると死ぬ。仲間にしたモンスターに背後から刺されて死ぬ。どんな装備でもワンパンしてくる敵。

クリアさせる気など一切無い無理ゲーであったが、その実そんな無理ゲーは独立傭兵である621には日常茶飯事。

621は腐ってもフロム世界の人間。理不尽な難易度なんて慣れっこなのだ。

 

「それに、すごく、感動した。いい、物語だった。」

 

未だ成熟しきっていない621の情緒でもストーリーに感銘を受けた。ゲーム性や難易度さえどうにかすれば、このゲームは間違いなく名作と呼べるだろう。

 

『そうですか……。レイヴンが言うのなら、そうなのでしょうね。』

 

エアは考えるのを止めた。

 

ACを操作し、コックピットのハッチを開けて外に出る。深呼吸をして外の新鮮な空気を取り込み、大きく伸び。

ちなみに強化人間である621にとってこの行為はなんの意味も無い。だが長らく同じ体勢で狭い空間にいたのなら、こうするのが人間の本能である。ウォルターが見たら泣いて喜ぶこと請け合い。

 

『レイヴン、今の貴方には休息が必要です。』

 

「そう、かな……そう、かも。」

 

カフェでまた珈琲を飲もうか、と下に降りる簡易エレベーターに乗り込もうと歩き出すと──

声を反響させながら、ドックの中に2人の男女が入ってきた。

 

 

「ちょ、ちょっと!待って下さい先生!こっちに行っては──」

 

「"だってそんなあからさまに隠されたら気になるでしょ!それにエンジニア部絡みってことはきっとまた凄い物が──"」

 

 

ACが視界に入ったのか、固まるスーツの男性。

 

「ユウカ、だっけ……?あの人は……」

 

 

「"……か、"」

 

「せ、先生!これはーそのーえっとーー」

 

 

「"カッコイイ───!!"」

 

 

「……?」

 

『……はぁ。』

 

*1
読まなくても可




深夜テンションで書いたのでクッソ読み辛いです。多分誤字ある。コア理論の解釈も合ってるのか分かんない……。
ちなみに先生の見た目はアニメ先生です。
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