オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「ふっふっふっ、にゃーはっはっはー! ついに、ついに渚ちゃんをぎゃふんと言わせる時がきたにゃ!」
「そんなテンション上げてるとこ悪いけど、この俺に勝てるとでも思ってるのかい?」
初っ端からバリバリにやりあってんな
俺らを置いてけぼりにすんな
ついに凛ちゃんの下剋上が見られると聞いて
いやー、無理があるだろ
「そう言っていられるのも今のうちにゃ! 収益化記念配信で罰ゲームをやらされた恨みを今ここで晴らすにゃ!」
「え〜、もう10日も前のことだし時効でしょ」
「時効になるわけないにゃ!」
なんと、収益化記念配信からもう10日も経っているのだ。時の流れは本当に早い。つい最近年が明けたと思ったら、もうそろそろ10月になるしな。春眠なんちゃらをなんちゃらとはよく言ったものだぜ。
「でも可愛かったからいいじゃない」
「よくないにゃ! 彗月ちゃんも今日は審判にゃんだから公平に見なきゃダメにゃ」
「はーい」
罰ゲームを使うタイミング完璧だったよな
やはり渚は魅力を引き立たせるのが上手い
えっ俺それ見てないんだが
↑急いでアーカイブ見てこい
「ぁー、あー、ごほんっ。まぁ、なーんにも聞かされていないリスニャーが「渚ちゃんにゲームで勝てるわけがないだろ」と思うのも無理はないにゃ。けど、その判断が正しいかどうかはこれを見てから決めるにゃ!」
そう言って、凛ちゃんは伏せ字になっていたサムネのタイトルを公開した。
【リベンジ配信にゃ!】渚ちゃんと「お絵描きは草」で勝負にゃ!【この勝負は貰ったにゃ!】
今流行りのお絵描きは草じゃん
あれ? 渚って確か……
これ凛ちゃんマジで勝てんじゃね?
「お絵描きは草」
それはマウス1つで誰でも楽しめるお絵描きゲーム。
みんなで1つの絵を描き上げる協力ゲームや、描き手が何を描いたのかを早押しで当てる対戦ゲームなどなど、様々なミニゲームで遊べるのだ。
「凛はずっっっと探してたにゃ。何か、何か渚ちゃんに勝てるゲームはないかって。そうして見つけたにゃ、渚ちゃんの2回目の配信を。下手くそな囚人服の絵を描いていたことを!」
ま、まさか渚が負ける日が来るのか……?
うおおぉぉ!! 凛ちゃん最強! 凛ちゃん最強!
だ、駄目だ、まだ笑うな……こらえるんだ……
まさか、あの日わざと下手くそに描いたのがここにきて功を成すなんて……笑うなというのが無理なんだぜw
「さぁ渚ちゃん! 凛と正々堂々と勝負にゃ!」
「あぁ、勝負といこうぜw」
「……? それじゃあ審判である私からルールを説明していくわね。
ルールはシンプルに私やリスナーが出したお題を5分で描いて、上手かった方に1ポイント。先に3ポイント取った方が勝ちよ。審査は公平に行われるから安心してね」
シンプルイズベスト
わかりやすくて助かる
こーれ、凛ちゃんのストレート勝ちが見えてます
「じゃあ早速初めていくわね。最初のお題はこの私、伊織彗月よ。それじゃあ、スタート!」
さて、唐突だが、スポーツ選手のプロとアマチュア、彼らの実力が乖離している1番の要因はなんだろうか。
プロに求められる要素の1つである安定感。
いつ、どこで、どんなときでも、完璧な動作を熟す。彼らは常にそれを求められ、常にそれに応えてきた。
それは身体の動きを完璧に制御できているからこそできる芸当。これこそが最も重要で、プロとアマチュアを分けている壁だと俺は考えている。
かくいう俺も、与えられた力ではあるが同じことができる。なんなら彼ら以上の動きをできると言っても過言ではない。
完璧な精密性で、緻密性で、速度で、人間の理論値を常に叩き出すことができる。それこそTASのように。
そんな力を使って絵を描くとどうなるか──
は?
はぁ!?
え? は? チート?
ちょっと目を離した隙に顔が完成してるんだが???
えーと、なにこれ???
これは100倍速でしょうか?
わかりやすく例えよう。
ペンを持って10秒間、一心不乱に紙に書き殴るとする。紙の白い色を全て塗り潰す勢いで。
するとぐじゃぐじゃの線がいくつも折り重なって黒い塊のような何かができるはずだ。その1本1本の線には何の意味もない、意味を持たせなかったからこそ物凄い速度でペンを走らせることができた。
だが俺ならその1本1本に意味を持たせることができる。そのスピードのまま絵を描くことができる。
「う、うわぁ……」
審判である彗月ちゃんとリスナーは、俺と凛ちゃんの絵を確認できるのだが、みんな困惑&ドン引きである。
「渚ちゃんめっちゃドン引きされてるにゃw
これはこの勝負貰ったにゃ!」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「にゃん……だと……」
お花畑の真ん中で小鳥と戯れながら優しく微笑む彗月ちゃん。そんな俺の絵を見た凛ちゃんは、さっきまでの威勢が消え失せ固まってしまった。
これが5分……?
このクオリティで5分?
2〜3時間かけて書きましたって言われても信じられるわ
なんかもうやばすぎてやべーわ
「じゃあ凛ちゃんの絵も見せて貰おうかな」
「にゃ!? この絵の後に見せるのは嫌だにゃ!」
「はーい、みんなに公開しましょうねー」
「やめ、やめろー!」
こ、これは
うーん、これは画伯
でもギリギリ判別できるから……
「よくこの画力で勝負を仕掛けようと思ったな(真顔)」
「うにゃああぁぁんん!!」
「でも、私は可愛いと思うわよ? まぁ勝負は渚ちゃんの勝ちだけど」
「うにゃあああぁぁぁんんん!!!」
なるほど、彗月ちゃんは好きな子に意地悪したくなる小学生タイプか。
まぁでもこれは打てば響く凛ちゃんが悪いよな(?)
「念のためにと2枚目を用意しておいたんだが無駄になったな」
「え? 2枚目?」
そう言って俺は別のパソコンで描いていた、革命家として凛々しく同志(彗月ちゃんのリスナーの呼ばれ方)を率いている彗月ちゃんを表示させる。
「こ、これってもしかして……」
「そう! さっきの絵は右手で、こっちの絵は左手で描いたんだぜ」
わぁ
意味がわからない
なにを、いってるんだ、こいつは
かたて? どうじ?
リスナーが壊れちゃった……
「うぅ……ならどうして、どうしてあの時は下手な絵を……はっ、まさか! 凛がこうして誘うことを見越して、あえて下手な絵を? 全部計算の内だったのかにゃ!?」
「当たり前だぜッ! この渚はなにからなにまで計算ずくだぜーッ!」
ほんとは違うけど、凛ちゃんが悔しがるならこう言ってやるぜ!
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