オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳   作:ユリガスキー

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asmrを教えるぜ!

「うにゃあ〜……今度こそ渚ちゃんをぎゃふんと言わせることができると思ったのにー」

 

「はっはっはっ、俺をぎゃふんと言わせようなんざぁ10年早いぜ」

 

「ふふっ、10年じゃ足りないような気がするけどね」

 

 既に配信は終了しており、今は各々好きに駄弁っている最中だ。

 

 俺はこの、コラボ終了後の何気ない会話が物凄く好きだ。配信であったことを語ったり、まったく関係のないことを喋ったり。

 配信の時はある程度気を張っているみんなが、素を見せてくれるこの瞬間がとても良い。こうしていると、エトワールに来て本当によかったとしみじみ思う。

 

「じゃあ凛は歯医者に行ってくるから先に抜けるにゃ……」

 

「ははは、いってらー」

 

「うぅ……どうして歯医者って1回行って終わりってならないのにゃ」

 

 そう愚痴って凛ちゃんは通話を抜けた。

 

「相変わらず配信後は口調が猫のまんまね」

 

「あぁ。本人に言うんじゃねぇぞ?」

 

「もちろんよ」

 

 そう言って2人で笑い合う。

 それはいつも通りのやりとり……のはずなんだが……

 

 

 

「なーんか微妙に元気がないような。なんかあったん?」

 

「えっ、私? うーん、いつも通りだと思うんだけどなぁ」

 

 そう不思議がる彗月ちゃん。

 まぁ、ほんと些細な違いだし、そこまで深刻なわけではなさそうなんだけど、なーんか気になっちゃたんだよな。

 

「うーん、うーん……あっ、わかったわ。多分同志のことで悩んでたから、そのことじゃないかしら」

 

「同志の? 配信を見た感じ特に問題とか起きてなさそうだったけど」

 

 登録者は順調に増えてるし、民度も高いし、何も問題なさそうに思えたんだが。

 

「えっとね、渚ちゃんは私が思想の統一をしようとしてることは知ってるでしょ?」

 

「お、おう。まぁな」

 

 だいぶ危険なワードが出てきたので、本人の名誉のために説明しておこう。

 

 革命家である彗月ちゃんは志を共にする仲間を求めて同志を募っている。つまりはリスナーのことだな。

 ただ、彗月ちゃんが他のVtuberと違うのは同志に思想の近い者や、忠誠心の高い者を求めている点だ。彗月ちゃんと心身一体となって手となり足となり、そして最期を共にする覚悟を同志に求めている。

 こうやって説明すると「度が行き過ぎた囲い込みってこと?」と思うかもしれないけど、彗月ちゃんの場合はそういうのとは一線を画してるんだよな。

 

 なんか名誉挽回できなかった様な気もするが……まぁ、気になったら彗月ちゃんの配信を見てくれ。そうすれば今言ったことも何となくわかるはずだから。

 

「最近想定以上に同志が増えてね? 思想の弱い子もいっぱい増えて今いる同志の心が揺らぐんじゃないかって心配なの」

 

 あぁ、ほら。単語はちょっとアレだけど、内容だけ聞いたら「リスナーが心離れしないか心配」ってかわいらしいことを言って──

 

「だから手っ取り早く洗脳できる手段とかないかなーって悩んでいたのよ」

 

「アッハイ」

 

「何か良いアイデアはないかしら?」

 

「ウーン、ソウデスネ……あっ、あったわ。良いアイデア」

 

 初めて彗月ちゃんの声を聞いた時からやってほしいことがあったことを思い出した。

 そこはかとなく母性を感じる優しく落ち着いた声。これはasmrに向いていると、いつか絶対にasmrをやらせるぞと意気込んでいたことを。

 

「彗月ちゃん、asmrをやろうぜ!」

 

「えーえす……えっと、それは?」

 

 

 

 そう、なんと今世にはasmrが存在していないのだ。実はこういう「前世にはあって今世にはないもの」というのは結構ある。

 そういった物を俺が発案者として世に出したことが何回かあるのだが……なんていうか、だいぶ心にくるんだよな。

 

 でも仕方ない! 彗月ちゃんの願いと俺の願望のため! すまない、前世でasmrを発明した人!

 

「Autonomous Sensory Meridian Response.

日本語で言うと自律感覚絶頂反応だな。視覚や聴覚への刺激によってリラクゼーションが期待できるんだぜ」

 

「???」

 

「こればっかりは実際に体感しないとわからないからな。明日までに造っておくから明後日コラボしようぜ」

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「というわけでasmrの時間だ!」

 

オフコラボって恐竜王の時以来か

最近コラボの頻度多くて助かる

asmrとはなんぞや

 

「asmrとは……俺が新たに発明した、なんかちょー凄いやつのことだ……グギギ」

 

「なんで苦しんでるの?」

 

 そうしてasmrについての簡単な説明をする。とはいえ、説明を聞いただけで1発で理解できる代物ではないので早速実践に入る。

 

「じゃあ彗月ちゃんもasmrがどんな物か実感してもらうためにイヤホンを着けてくれ。そしてこっからは大きい音は厳禁だぜ」

 

 

 

 まずは王道の耳かきから。

 俺自身asmrなんて初めてやるはずなんだが、流石というべきか、どうすれば気持ちいい音が出せるかなんとなくわかる。

 

 ほーれほれほれ、カリカリカリ、ここか、ここがええんやろー!

 

あっあっ

なんやこれ……なんやこれ……!

ふぁ〜

やばい眠気が

 

「っ、ぅぁ……これ、やばっ」

 

「ふふっ、ここが気持ちいいんですかー? ここが弱いんですかーー??」

 

「な、渚ちゃん、やめっ……!」

 

「……ふぅー♡」

 

「〜〜っっ!!」

 

ヌッ!

なんやこれ(歓喜)

眠気が吹き飛びました

 

「はぁ……はぁ……な、なるほどね。確かにこれは凄いわね」

 

「だろ? じゃあさっそく彗月ちゃんも実際にやってみようか。最初は適当に弄くりまわしながら自分でも聞いてみて「これ気持ちいいなー」と思うやり方を探していくのがいいぜ」

 

「なるほど。渚ちゃん、私やってみるわ!」

 

 

 

─────

 

───

 

 

 

 

   この配信は終了しました

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 それから彗月ちゃんはasmrをたくさん使い、メキメキとスキルを伸ばしていった。

 これからもasmrの先駆者として多くの人を虜にしていくことだろう。

 

 

 

「ほーら、どうかなー? きもちいいかなー?」

 

あっあっ

きもちぃでふ

あぁ〜

 

「続きが聞きたいなら、ね?」

 

ま、ママー

同志になりましゅうぅぅ!!

革命ばんじゃい!

 

「ふふっ、うふふふふふ」

 

 

 

 ……な、なんか使わせたらやばい人に渡った様な気もするけど……まぁ、うん。みんな幸せそうだから、さ。きっとこれで良かった、そう良かったんだぜ、うんうん。

 

 

 

「みんな良い子でちゅねー」

 

 

 

 ママー!

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