オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「最近エトワールの解説をする時間が少なくなってきて禁断症状が出始めました。どうも神崎渚です」
とは言え、その分コラボの頻度が上がっているから、どっこいどっこい、むしろプラスだと思うんだけどな。
「禁断症状って……何が起きるの?」
「エトワールのメンバーのえっっっなイラストをトゥイッターに投稿します」
「あはっ☆ これが終わったら100時間くらい解説配信してね☆」
「わァ……あぁ……」
泣いちゃった
何卒、何とぞメンバーのイラストを……!
解説することはないぞ渚! 欲望を解放させるんだ!!
こんなにも望まれていない解説配信を初めて見た
今回の配信では、昨日リリースされたばかりのスマホアプリ「ウマっ娘」で遊んでいく。
ウマっ娘とは、競走馬を擬人化したキャラクターを育成するシュミレーションゲームだ。
史実に沿った笑いあり涙ありのストーリーを追体験したり、最強のウマっ娘を育成して対人戦に挑んだりと、カジュアル勢もガチ勢も楽しめるゲームだ。
レース要素の他にもアイドル要素があって、レース後のライブパフォーマンスは必見だぜ。
前世でも一大ブームを築いたウマっ娘は、言わずもがな今世でも大ブームが巻き起こっている。
昨日から色んな配信者がこぞってこのゲームで遊んでおり、それはVtuber、ひいてはエトワールも例外ではなく、今回お招きした朝日奈先輩も既にプレイしているのだ。
「説明しよう!
朝日奈日菜先輩はエトワール二期生のお1人で、肩まで伸びたウェーブがかった金髪に膝上20センチのミニスカ、そして何より眩しい笑顔が魅力的なTHE・陽キャだぜ!
オタクに優しいギャルを自称しているが別にそんなことはなく、むしろズタズタナイフで刺してくるぜ。まぁそこがいいんだけどね!
ルフナ先輩がおもちゃのナイフでちくちく責めるタイプだとしたら、朝日奈先輩はハサミギロチンで一撃必殺を決めてくるタイプのお人だな。
え? なんでエトワール内で同じ属性が被ってるんだよって?
すぅ……「絶対にわからせられるメスガキ」と「絶対にわからせられないメスガキ」はまったく違う属性だろうが!!(ガチギレ)
また、エトワール随一の"圧"の使い手で、浮気行為をしようものならエゲツなく問い詰められるためみんなも注意しよう!(n敗)」
うわぁ! 急に説明を始めるなぁ!
何故急に説明が始まったし
↑渚の行動原理を読むのは無駄だから諦めな
草
「説明ありがとね、渚ちゃん☆
でも、日菜は自称じゃなくて本当にオタクに優しいギャルなんだけどなぁ」
「アッハイ」
「それとぉ〜、日菜と話している時に他の子の名前を出すのはダメなんだぞ」
「アッ、アッ!」
「というか渚ちゃん、(n敗)ってことは何度も不貞を働いていたってことでいいのかなー?」
「アッー!」
逝ったか
また負けちゃった……
日菜ちゃん……恐ろしい子!
「アッ……アッ……」
「ほら渚ちゃん、はやく起きて。ウマっ娘で遊ぶって告知だしてるのにタイトル画面から動いてすらいないよ?」
「個人的にはこのまま負け続けるのも気持ちy……楽しくていいんですけどね。流石にプレイしていきますか」
願望を隠しきれてないぞ
気持ちよくなってて草
「本日朝日奈先輩に来て頂いたのは他でもない、その豪運にあやかろうと思いましてね」
「説明しよう! パート2!
朝日奈先輩は物凄い豪運の持ち主としても有名なんだぜ!
もはや才能と言っても過言ではなく「ゆびをふる」縛りでポシェモンを全クリしたり、ポーカーはロイヤルストレートフラッシュを3連続で決めるし、10連ガチャで最高レアを8体出したり……枚挙に暇がないぜ。
昨日のウマっ娘でも、ピックアップされた最高レアを10連で5枚出して、わずか1分で完凸させちゃってるぜ!」
パート2……だと……
こいつ、戦いの中で成長してやがる……!
「ふっふーん☆ まかせてよ渚ちゃん!
どんなに渚ちゃんの運が悪いって言ったって、日菜がいるんだから、10連で欲しいキャラを出してみせるよ!
戦艦ヤマトに乗ったつもりでいてね☆」
な、なんて頼もしいんだ
流石に今回は勝ったな
大船よりも上ってことでヤマトなんだろうけど、その船沈んでるんですよね
↑ならダメじゃん!
「あっいえ、もうガチャは引いて終わってるんで大丈夫ですよ」
「え?」
「最近のゲームはいいですよね、ちゃんと天井があって。お陰でちょっと課金するだけで欲しいカードが必ず手に入るんだから」
ちょっと……?
絶対天井を10回以上突き破ってるぞ
なら何で日菜ちゃんを呼んでんだよ
「朝日奈先輩は昨日「ハルウーラ」の育成をしてましたよね?」
ハルウーラ、それはウマっ娘に登場するキャラの1人。
多くのウマっ娘が史実で実績を上げた有名な競走馬であったのに対して、彼女は
生涯戦績は113戦勝ちなしと「勝てない」ことが有名な競走馬だった。
「うん? 確かに日菜はハルウーラの育成をしていたよ?」
「何か、何か心残りとかあったりしませんか?」
「うーん……アリマ記念で勝たせてあげられなかったことかなぁ……」
ハルウーラは生涯1度も勝てなかったのがキャラのストーリーにも反映されている。
「レースに出れるだけで嬉しい」彼女はそう言って、例え負けても笑顔で観客に手を振っていた。しかし、ストーリーが進むにつれ精神的に成長し、次第に勝つためにレースに出るようになる。
そして彼女は勝つためにとあるレースに出走する。それがアリマ記念だ。
しかしこのレース、ハルウーラの適性と全くあってない。普通に出走すれば必ず最下位、それも大差負けになる。
そうして彼女は負けた悔しさによって初めて涙を見せるのであった……
「──勝たせましょう。アリマ記念」
「えぇ!? 無茶だよ、だってハルウーラは──」
「ウマっ娘のシステムについてはおおよそ把握しました。レースに勝つためのスキルやステータス、適性を上げる方法も。
それに、今この場には俺と朝日奈先輩がいるんですよ? 大抵のことは何とかなりますよ」
「うん、うん! そうだよね☆ 勝たせよう、アリマ記念!
よーし、じゃあ早速ハルウーラの育成を──」
「いえ、まずは因子継承のため親となるキャラの育成からですね」
「へ?」
「適性を上げるため……まぁ説明は周回しながらするとして、とりあえず今から親となるキャラを4体分育成しましょうか」
「わァ……あぁ……」
草
泣いちゃった
このゲーム周回要素あったんだ……
地獄の始まりだァ!
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
『1着、とったよ! わたし、ちゃんと勝ったよ!』
「うおおおぉぉぉんんん!!! ハルウーラおめでどゔぅぅぅ!!!」
「うぅ……よがっだ……ほんどうによがっだ……ズビ」
あれから何時間経ったのか覚えてない。
周回はすぐ終わるだろうという俺の思惑は外れた。
どうやら俺の不運は朝日奈先輩の豪運を掻き消すほどの酷さだったらしく、普通に長時間かかってしまった。
まぁそれでも、俺1人だったら一生かけてもハルウーラの勝利を拝むことが出来なかっただろうから、朝日奈先輩が居てくれて助かったんだけどな。
「うん、うん! そうだよね、ちゃんと笑わないとダメだよね……!」
何でイベント隠すんだよ!
俺たちにも見せろください!!
「朝日奈先輩、改めてありがとうございました。朝日奈先輩がいなかったらこの光景は見れなかった」
「ううん、こちらこそありがとうだよ。
でも、いいの? みんなにイベントを見せなくて」
前世同様、今世でもアリマ記念で勝った際の特別なイベントが用意されていた。
だが、あえて俺は画面を隠し、イベント内容をリスナーに隠している。
「俺たちは道を示しました。あとは彼ら自身の手でその結末を見届けるべきです」
「あはっ☆ そうだねっ! 何の苦労もなしにイベントだけ見たいなんて虫が良すぎるよねっ☆」
そ、そんな
それを言われてしまっては
何もいいかえせねぇ
さて、偉大なる先駆者に倣って、俺もこの言葉を放つとしよう。
「ハルウーラのアリマ勝利イベントは、実在する!!!」
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この配信は終了しました