オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳   作:ユリガスキー

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スイカップの、プロとして──(後編)

「それにしてもみんな本当にかわいいね。アスライテさん、イラストのセンスもあったんだ」

 

「流石パイセンだぜ」

 

むにっとした表情がいいよね

このイラスト、グッズとして販売してくれないかな

イラストはほんとにいいよね、イラストは

 

「まぁ、癒されるくらいにかわいいイラストも、そのゲーム性のせいで霞んでしまってるんだけどね」

 

 今でこそスコアがカンストするまで上手くなっているが、弾け飛ぶ凛ちゃんや絶妙に触れ合わないアスライテ先輩、変なとこに転がる俺なんかは、もう2度と思い出したくないトラウマになってしまった。

 

「うーーん? 私は今のところそういうのがないから、よくわからないなぁ」

 

「結構順調に進んでますもんね。この調子なら俺がいなくてもマジギレルフナちゃんくらい余裕で作れて、時間をかければスコア3000も行けるんじゃないかな」

 

「え、えへへ、そんなことないよぉ」

 

 金剛先輩は特別ゲームに秀でている、なんてことはなく、エトワールでも中の中くらいの実力だ。

 だから、最初は結構苦戦するんじゃないかなと予想していたんだが、これは良い意味で予想を裏切ってくれたぜ。

 

 

 

「──そうそう、そこに落としておくと後々小さい(胸の)方々が来たときに連鎖して(胸が)大きくなるんですよ」

 

「ほぇ〜、なるほどぉ〜。サイズ順に並べるのが大事なんだね」

 

なんか渚の説明に悪意があるような

何故か言葉の裏が読み取れるわ

そして相変わらず気がつかない未来ちゃん

 

「そうですそうです。いや、これは本当に早めに終わっちゃいそうだな。時間引き伸ばすためにも少し雑談とかしませんか?」

 

「え、えぇ? 時間引き伸ばす意味とかあるの?」

 

「いやいやいや、金剛先輩、何年Vtuberやってきてるんですか。配信時間は長ければ長いほど良いんですから」

 

「まだ1年も経ってないよぉ……あと配信時間は2〜3時間がちょうどいいよってマネージャーさんに教わったよ……?」

 

「それなら、みんなに聞いてみましょうか。お前らも金剛先輩の健闘ぶりをもっと拝見したいよな???」

 

みたい

ったりめーよ!

もちのろんだぜ

見たくない奴とかいない定期

 

「ほら、みんなもこう言ってますよ?

それに私も、もーっと金剛先輩とお話ししたいです……だめ、ですか?」

 

「ゔっ……わ、わかったよ」

 

「けひひ。おいお前ら、金剛先輩もだいぶチョロいぜ」

 

「ぜ、絶対に、わざと聞こえるように言ってるよぉ……」

 

エトワールのみんなって大概ちょろいからな

詐欺に遭わないか心配だよ

女の子が出していい笑い方じゃねーだろ

↑渚を女子としてカウントするのは解釈違いです

 

「そ、それで、雑談って何を話せばいいの?」

 

「んー……ちょーっと待ってくださいね。いや別に話す内容決めてなかったー、とかそんな理由では決してないですからね?」

 

「……」

 

 

 

(や、やばい! このままだと金剛先輩に「あっ、渚ちゃんって思考と言語が一緒に出てくるタイプのフレンズなんだね」って思われちゃう! 急いで、急いで何か話題を考えるんだ……って、あぁ! 金剛先輩の目、養豚場のブタでも見るかのように冷たい目だ! 「かわいそうだけど、ここでパッと話題が出ない奴はVtuberとして成功しない運命なのよね」って感じの!」

 

「途中から心の声が丸聞こえだし、全然そんなこと思ってないよ!」

 

 俺は昔から、それこそ転生する前からそうだったのだが、思考と言語が一緒に出てきてしまうタイプの人間なのだ。

 そして、その特性は転生して余計に悪化してしまった。というのも、思ったことをそのまま口に出してしまう弊害を、解決するだけの能力が無限に湧いてくるからだ。

 このせいで「変なこと言っても何とかできるから別にいっか」という考えになってしまい、後先考えずに発言することに磨きがかかってしまった。

 

 ……これまでにやってきたことを思い返せば、客観的に見ても人類史上最高峰の天才と自信を持って断言できるのだが……何故だろう。俺自身の頭が良くなってる気がしないぜ。

 

 

 

「そういえば、今日はなんで俺を呼んだんですか? 義務配信をこなすだけなら俺じゃなくても良かったですわね?」

 

「き、急に話題が変わった」

 

 金剛先輩がスイカップを始めた時点では、高スコアを取ることに対しての熱意があるようには見えなかった。

 わいわいお喋りしながら遊ぶだけなら、講師(おれ)じゃなくて仲の良い同期のお2人を呼べばよかったはずだ。

 

「えーとね、日菜ちゃんとカレンさんで義務配信を消化しすぎだって怒られたからってのもある、けど」

 

「けど?」

 

「…………この前のコラボの時、結構話しやすかったなってのを思い出して」

 

「!!! おい今の聞いたかお前ら。この俺にデレを見せてくれたぞ! この、俺に!」

 

よかおめ

実際未来ちゃんのデレは貴重

「この俺」を主張すんなしw

幸せなやつだなぁ

 

「俺、エトワールに入って本当に良かった……! これで後1ヶ月は戦える」

 

「えぇ……? そこまで喜ぶことかなぁ?」

 

「金剛先輩はご自身の価値を理解していないようですね。今回の講師代をその一言で賄えるどころか、余裕でお釣りが返ってきますよ」

 

「えぇ……」

 

「これはもうアレですね。金剛先輩のために凛ちゃんと彗月ちゃん、それぞれのコラボをセッティングしないと」

 

「え、えぇ!」

 

 三期生が加入して、もうそろそろ3ヶ月が経とうとしてるというのに、金剛先輩は俺以外の三期生、凛ちゃんと彗月ちゃんと一切コラボをしていないのだ。

 というか、俺とのコラボだってアスライテ先輩の手引きがなければ100%実現しなかったと断言できる。

 

 そう考えると、金剛先輩自らコラボに誘ってくれた"重み"というのも理解してもらえるかもしれない。

 

「このままだと運営から強制的に三期生コラボをさせられますよ? そうなると『義務配信』扱いにならなくなってコラボの回数が増えますし。まぁ、俺的にはそっちの方がお得だけど」

 

「う、うぅ〜……あっ、そうだ! 最近事務所に行ったときの話なんだけどねっ!」

 

話題の変えかた下手すぎィ!

どのみち避けては通れぬというのに

でも引きこもりの未来ちゃんが事務所に足を運んだ件については気になる

 

「私が用事で事務所に行った時の話なんだけどね、事務所の中で物凄く綺麗な人と出会ったの」

 

「……ん?」

 

「でね? その人、ほんっっっとーーーに、かわいかったんだよ! 私、あんな美人さん初めてみたよ」

 

 これってまさか俺のことか?

 ……な、なんだかちょっと照れ臭いな。会う人みんなフリーズするばかりで、容姿について直接褒められるのは久しぶりだからな。

 

「しかもオーラとかが只者じゃないって感じでね、なんかもう「あっ、この人お偉いさんなんだなぁ」って思わされる魅力があったの!」

 

「ふむふむ」

 

「深窓の令嬢って、あぁいう人を指す言葉なんだなぁって思いながら見惚れてたんだよ」

 

そんな人がなんで事務所なんかに?

社員とかではなさそうだけど

なんか大きな企画を立ち上げてるとか?

 

「金剛先輩。一応聞いておきたいんですけど、それって喋っても問題ない情報です?」

 

「………………ウェ‼︎」

 

エトワール公式:金剛さん、反省文1枚

 

「ガーン‼︎」

 

「がはははは! 反省文書かされてやーんのーw」

 

エトワール公式:神崎さん、反省文3枚

 

「アイエエエ!? 反省文!? 反省文ナンデ!?」

 

途中で気づいたのに指摘しなかったから

がははとか女の子っぽくない笑い方したから

なんかうざかったから

 

「ぐ、ぐぬぬ。これは分が悪いぜ。金剛先輩、ここは一旦スイカップに集中しましょう!」

 

「う、うん!」

 

「そして『ダブルフナ*1を達成するまで終われない耐久配信』をしましょう!」

 

「うん!

 

 

 

 

 

……うん?」

 

 

 

─────

 

───

 

 

 

 

   この配信は終了しました

*1
ダブルスイカのこと。スキンをエトワールのものに変更している時はこう言われることが多い

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