オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳   作:ユリガスキー

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暗黒の力、見せてやるッ!(前編)

「くそ……なんで、なんで俺だけサインを書かなきゃならんのだ。しかも事務所に足を運んでまで」

 

直前まで放置しても良いことないよ

というか書くスピードえぐくない?

 

 あれから別室へと連れて行かれた俺は、手元配信を行いながら色紙にサインを書き続けていた。

 確か配信の名目は……「君の運が悪いのは煩悩に塗れているからだ! 1080枚の色紙を書いて煩悩を消そう!」だったはず。

 余計なお世話じゃい! と言いたくなるが、こんなことで運が良くなるというなら1080枚でも1080万枚でも書いてやらぁ!

 

 

「くそっ、誰か1人サポートにまわってくれる人がいてくれたら。そうしたら両手同時に書けるのに……!」

 

やっぱこいつスペックおかしいよな

今のままでも十分すげーよ

1秒1枚のペースで書いてるし

しかも動きがまったく一緒

 

 

 

 恐竜王というカードゲームのことは覚えているだろうか。

 大手100均メーカーのタイソーから発売されている、恐竜をモチーフとしたカードゲームのことだ。俺たち三期生が初めて扱った案件でもあるな。

 忘れたとか言うやつは今すぐアーカイブを見直してこい。

 

 そんな恐竜王の第二弾の発売が決定し、前回の案件が好評だったからと、またもや案件を依頼されたってなわけだ。

 

 

 

 え? 恐竜王の案件のはずなのに、なんでお前はサインを書いてるんだよって?

 

 ……これは案件に入るためのフリ、いわば茶番のためであるんだが……マネージャーさんは、それを口実にしてサインを書かせているような気がするぜ。なんて悪どいんだ!

 

 

 

「うがー! やってられっかー! ちくしょう、こうなったら恐竜王の配信見ながらゆっくり書いてやる!」

 

渚が出れなかった案件じゃんw

向こうは凛ちゃんと彗月ちゃんの2人でやるのか

 

 そう言って、手元を写している画面を縮小しながら左下に寄せて、今始まったばかりの恐竜王の案件配信を画面中央上に表示させる。

 

 

 

『──ということで、今日は凛ちゃんと2人で恐竜王で遊んでいきますね』

 

『なんで渚ちゃんがいないのかってコメントもちらほら見かけるにゃ。

渚ちゃんは今、隣の部屋でハーフアニバーサリーに向けてサインを書く耐久配信をやってるにゃー。ま、まぁ? 1人で寂しい思いをしてるかもしれないし? 見に行ってあげたらいいんじゃないかにゃー。あっ、でもこの配信も見逃したらダメにゃ!』

 

 

 

 凛ちゃん……相変わらず棒読みすぎるんよ……

 

 向こうのコメント欄では、凛ちゃんの反応から何かを察したらしいコメントで溢れていた。

 けどおそらく、当の本人だけは自身の反応のせいで茶番がバレかけていることに気づいていないんだろうな。

 

「俺よくわかんないけど、とりあえず凛ちゃんは後で反省文1枚書くべきだと思う」

 

草ァ!

何かあるだろうなぁと薄々思ってたけど

凛ちゃんわかりやすすぎるんよ

こぉれは秋のボイスにも期待が持てますねぇ

 

 いやまてよ? これは演技ですよと言わんばかりの大根っぷりを見せることこそが正しいムーブなんじゃないか?

 リスナーも「あぁ、これは茶番なんだな」と安心して見れるし、俺をハブくことについてのいらないヘイトを買うこともない。ま、まさか凛ちゃんはそこまで考えて……!

 

 

 

 いや絶対にないな、うん。

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

『うわー! 今のは惜しかったわ。もう少しで凛ちゃんに勝てると思ったのに』

 

『にゃはは! 誰が1番強いか、これではっきりしたにゃ! 凛がエトワール最強にゃ!』

 

『まだ一戦しただけでしょう。もう一戦、あともう一戦だけやりましょ?』

 

『望むところだにゃ!』

 

 

 

「ぐぬぬ、ぐぬぬぬぬ。羨ましくなんか、羨ましくなんかないぞ……!」

 

羨ましそうで草

心なしか書くペース上がってる気がするわw

もう2週目だしな

 

『新弾のカードで私のジュラ紀も凛ちゃんの白亜紀も大幅に強化されたわね』

 

『強化来てないのは渚ちゃんが選んだ三畳紀だけにゃ。にゃはははは! これでさらに差がついちゃったにゃ!』

 

 

 

「く、くそぅ、俺がいないからって好き勝手言いやがって」

 

今回お呼ばれされなかった表向きの理由はそれか

マリアナ海溝くらいの実力の差がさらに開いちゃった……

↑やめーやw

 

「はぁ? 俺だってあれから猛特訓して実力をメキメキつけてるんだぞ?」

 

ちゃんと触っててえらい

あれからデッキの内容変わった?

渚の構築論だけは聞きたいかも

渚の構築とプレイング"だけ"は上手いしね

 

「いや、デッキの中身は変わってねぇぜ。

今コメントにもあった通り、俺の1番の弱みはドロー力の低さ。それを補うべく筋トレしたり滝に打たれたりしてきたぜ!」

 

ファーーwww

なんの意味もないやないかい!

せめてカードで遊べよ

 

 あれ? おかしいな。俺が前世で見たカードゲームアニメでは、デュエルの修行として山籠りや滝行をしていたんだが……まさか、こっちの世界ではまだその修練方法が広まっていないのか?

 こ、これは知識チートで実質異世界無双ができるチャンスなのでは?

 

 

「ふっふっふっ……お前らに見せてやるよ。山籠りや滝行の有用性ってやつをよぉ!」

 

まぁ、どのみち今はデュエルできないんだけどね

 

「そ、そうだった〜〜!!」

 

 

 

『でもせっかくなら新弾で出てくる"新要素"ってもので遊んでみたかったわね』

 

『にゃ、にゃー、た、確かに遊んでみたかったにゃー。でも、まだ未公開情報らしいからにゃ。いやー、とても残念にゃー』

 

 

あっ(察し)

凛ちゃんェ……

いやー残念だな(棒読み)

誰か使ってくれる人がいたらなぁ(チラッ

 

 …………りぃぃぃん!! 何やってんだお前ェ!!

 色々ともう台無しだよ! 隣の彗月ちゃんの顔もすごい引き攣っているよ!

 

 あっ、裏でマネージャーさんが反省文の用意しだした。

 凛ちゃん……ってまぁ、当然の報いか。

 

 

 

『ま、まぁ、そのことは一旦置いといて……他のカードを使って遊びましょうか。今日来れなかった渚ちゃんの分まで、ね』

 

『にゃははははっ! そうだにゃ。今日来れない渚の分までめいっぱい楽しむにゃ! いやぁ、渚ちゃんが来れなくて残念だにゃあ!』

 

 

 

「あ、あのやろう、最後のセリフだけ棒読みじゃなかったぞ!」

 

本気で煽ってて草生えますよ

渚煽ってる時が1番イキイキしてるよね

 

「もう怒ったぞ。今すぐ隣の部屋に殴り込んでやる!」

 

 そうして俺は手元配信のカメラだけを切って、配信をつけたまま隣の部屋へと移動した。

 

 

 

 

 

 

「うおおおお! 凛てめぇ、このやろう!!」

 

「にゃ、にゃにーー、渚ちゃんが隣の部屋から怒鳴り込んできたにゃーー」

 

「凛ちゃん……」

 

な、なんて展開だーー

これは予想できなかったーー

リスナーの優しさにね、涙がでますよw

↑笑ってんじゃねーか

 

「凛ちゃん! 凛ちゃんはとにかく演技が下手すぎるんだよ! 大根と呼ぼうにも大根側に失礼すぎて何に例えたらいいか分からんくらいには下手すぎんだよ!

あと、隣の部屋でマネージャーさんが反省文の準備してたから覚悟しとけよ!」

 

「ちょっ、演技とか言っちゃダメにゃ!

 

 

 

……って、え? 反省文?」

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