オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「とにかく! 貴様らにハブられたことによって闇堕ちした俺は、新たな力を手に入れたのだ。それを今から見せてやるッ!」
はい。凛ちゃんのせいで皆察しがついてるだろうが、一応改めて説明しておこう。
今回の新弾には従来の「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」の三要素に加えて新たなる属性が追加された。それが「暗黒紀」だ。
この暗黒紀というのは、恐竜が隕石で滅びようとしているまさにその瞬間のことを表しているらしい。隕石衝突、地球寒冷化、火山噴火、食物不足……そんな絶望を力に変えて、最期の足掻きを! というのがコンセプトとなっている。
そんなダークサイド風なコンセプトということもあって、エトワールで紹介するときもそれ相応な感じでいこっか! 的なノリでこんな茶番が行われているのだ。
「使用デッキ「三畳紀」の強化が来ず、その上案件にお呼ばれされなかった俺はダークサイドに堕ちた……。そんな俺を祝福するかのように、今回の新弾で「暗黒紀」という属性が追加された。
怒りや恐れ、憎しみに悲しさ……俺と恐竜のそんな負の感情が呼応し合い、今の俺のデッキパワーは過去最高潮に高まっているぜ!」
「にゃ、にゃんだってーー」
「凛ちゃん……凛ちゃんはもう喋らない方がいいわ……」
温度差がひどいw
渚の演技が上手いぶんより目立つなぁ
というか渚は前回の4連敗で本当にダークサイドに堕ちてそう
「そんなわけで……凛ッ! 俺は貴様を倒して雪辱を果たしてみせるッ!」
「望むところにゃ! またぼこぼこにしてやるにゃ!」
「デュエル!」「デュエルにゃ!」
「先行は俺が貰った! 俺は手札からマナエリアにカードを1枚置いて……1レベルの「積もる怨嗟」を発動! 自身のシールドのカードを1枚手札に加えて、その後手札からマナエリアにカードを1枚置くことができるぜ。俺はカードを1枚マナエリアに」
「にゃにゃ! 自分からシールドの枚数を減らした!? 自殺行為だにゃ!」
「いえ、そうとも限らないわ」
自分の身を守る盾であるシールドを減らす行為は確かにディスアドバンテージだ。
しかし、その代償として手札入れ替えとマナ加速というアドバンテージを取っている。
例えシールドが0になったとしても、相手をそのまま倒し切れれば何の問題もなしッ! 勝てばよかろうなのだァッ!
「にゃるほど……「肉を切らせて骨を断つ」それがその暗黒紀の戦術というわけだにゃ」
「……あのデッキの特性はそれだけじゃないのよ」
「にゃ?」
「ごめんなさい。これ以上はフェアじゃなくなるから言えないの」
この戦いの公平性を保つため、凛ちゃんだけに暗黒紀の特性は知らされていないのだ。だから、リスナー共々この暗黒紀デッキの恐ろしさを体感しなァ!
「そのままレベル2の「巻き上がる火山灰」発動! シールドを1枚墓地へ送って2ドロー!」
くそっ、
「俺はこれでターンエンドだぜ」
「にゃ? ただシールドを減らしただけで何もしない……? よくわかんないけど、とりあえず凛のターンにゃ! カードドロー!」
「手札からマナを置いて、マナエリアに置かれた「白亜紀の原生林」の効果発動! 手札からもう1枚マナエリアに置けるにゃ」
初手原生林! 相変わらず手札が強い。
俺のシールドはあと3枚。このターンを耐えてくれれば十分勝機はある……のだが、前回戦った時は後攻1ターン目でシールド5枚を割って直接攻撃を決めてたからな。ここはもう、生き残ることに賭けるしかないか。
「手札から「イグアノドン」を2体出すにゃ。
……このターンはこれ以上動けないにゃ。またワンターンキルを決めたかったけど無理だったにゃ」
「ホッ……というか、ワンキルなんてそうそう決まらないからな?」
小数点以下の確率だからな、あのワンキル
でも正直このターンで消し飛ぶと思ってました
「仕方ないにゃ、このまま「イグアノドン」2体でバトルにゃ!」
「俺の場には恐竜がいないから、もちろんシールドで受けるぜ。1体目の攻撃は……咆哮なしだからそのまま墓地へ、2体目の攻撃は……! 咆哮発動だ! 「錯乱するブラキオサウルス」を場に出すぜ!」
「にゃ! 凛の、凛のブラキオサウルスが!?」
「暗黒期は白亜紀の最期のことだからな。当然、白亜紀の恐竜でもあるブラキオサウルスも入ってるぜ」
「しかもこのブラキオサウルス、レベル5で連撃持ちの攻撃力6000!? 凛が持ってるブラキオサウルスよりも強いにゃ!」
「その代わり、そいつは自分のシールドが2枚以下の時にしか場に出せない制約があるからな。
それに、自分の命がかかってるんだから火事場の馬鹿力が働いているんだろ」
噴火から全速力で逃げながら、その長い首をまるで扇風機かのようにグルグル回しているイラストからも命懸けだってのが伺えるぜ。
「くっ、まずいにゃ! でも、もう何も出来ないからターンを渡すしかない……にゃ。ターンエンドにゃ」
「ふっふっふっ、俺のシールドは後1枚。
今の俺の手札は……「積もる怨嗟」「巻き上がる火山灰」「全速全身」「萎縮する王者」そしてドローで引いた「枯れ果てた原生林」……
「枯れ果てた原生林」は、暗黒紀版の「白亜紀の原生林」のことで、このカードをマナエリアに置けば、このターン中レベル4以下のカード、つまり手札にあるカードが全て使えるようになる。
「全速全身」は自分の恐竜1体に2回攻撃を付与するカード、「萎縮する王者」は相手の恐竜を2体まで対象に取ってこのターンだけブロックできなくするカード。2枚とも自分のシールドが1枚以下じゃないと発動できないが、今の俺なら問題なく使える。
後はドロー次第だが……このターンに勝ち切る可能性はある!
「俺は手札からマナを置いて、マナエリアに置かれた「枯れ果てた原生林」の効果を発動! 手札からもう1枚、「積もる怨嗟」を追加でマナエリアに置くぜ」
「さらに「全速全身」発動! 自分の場の「錯乱するブラキオサウルス」を対象にとって、2回攻撃を付与するぜ」
「そして「萎縮する王者」発動! 凛ちゃんの場の「イグアノドン」2体は、このターンの間だけブロックができなくなるぜ」
「連撃と2回攻撃持ちの「錯乱するブラキオサウルス」で凛ちゃんのシールドを4枚削れるから……あの残りの手札1枚が2回攻撃を持つ恐竜で、凛ちゃんのシールドから咆哮が出なければ渚ちゃんの勝ちね」
「そういうことだぜ! そして俺は最後のカード「巻き上がる火山灰」発動! シールドを1枚墓地へ送って2枚ドローだ!」
うおおおお!
勝てる! 勝てるぞ!
渚がブン回ってる……だと……
これが山籠りと滝行の成果なのか!?
↑今すぐ山行ってきます
「うおおおお! カードドロー!!」
「にゃ! 最弱の渚には負けたくないにゃ! お願いだから何も引くにゃ!」
「はははっ! これが俺と暗黒恐竜との絆の力だァ!
………………「錯乱するブラキオサウルス」で2回攻撃……」
「あっ」「あっ」
いや引けんのかーい
そこは勝ちきれよ!
やはり渚の運ではここまでか……
山行ったやつ、戻ってこーい
「じゃ、じゃあ凛のターンにゃ。何もせずにそのまま直接攻撃するにゃ」
「…………うわぁぁぁん!!! また負けたちくしょおぉぉ!!」
くそーー!! 今回こそは勝てると思ったのにぃ!
だが負けは負けだ。後のことは彗月ちゃんに託すとしよう。
「ママー! 俺のかたきをとってよ〜!」
おっ、2回戦目か
流石にこのままじゃあ終われないしな
まだ新要素少ししか見れてないし
「──渚ちゃん。なんで渚ちゃんが負けたのかわかる?」
あ、あれ? なんか彗月ちゃんの様子が……?
「渚ちゃんは確か、こう言ってたよね? 『怒りや恐れ、憎しみに悲しさ……互いの負の感情が呼応し合って最強のデッキになった』と」
「お、おう」
「でもそれは間違っているわ」
え? どういうこと?
渚がコンセプトを勘違いしてた、とか?
いやでも公式の説明通りだった気がするんだけど……
「彼らは『革命家』なの」
「自らに課せられた滅びの運命に抗う
「それを知らないままに使っていた渚ちゃんが負けるのは当然のことだったの!」
や、やべぇ、なんか彗月ちゃんの革命家魂に火がついてる!?