オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
今回の配信は案件となっているため、新弾の目玉である「暗黒紀」はどうしても活躍させなければならない。
だが、それを使用するのが俺ということもあって、負けた時のプランをあらかじめ準備していた。それが「渚ちゃんが負けたら、次は彗月ちゃんが戦おう! 〜2連戦なら1回くらい勝てるよね☆〜」だ。
今まさにそのプランに舵を切ったのだが……
なーんか彗月ちゃんの様子がおかしいんだが???
「私には聞こえるわ。声なき声が、滅びの運命を打ち砕こうとする気高き意志が!」
「や、やばいにゃ! 彗月ちゃんが革命家モードになっちゃったにゃ!
渚ちゃん、ここは2人で彗月ちゃんを正気に──」
「ま、ままぁ…………びぇぇぇん!!!」
「!?」
!?
幼児退行しやがったw
わーお
これはカオス
「えっ、えっ、ど、どういうことにゃ──って、ん? にゃんですかマネージャー……え? これを読めって?」
「説明しよう?
彗月ちゃんは革命に関するあれやこれやを見聞きすると、バーサーカー状態になるぜ。
一説によると、この状態の彗月ちゃんは知識・度胸・器用さ・優しさ・魅力の人間パラメーターがMAXになるらしい。
いつもの彗月ちゃんと違って、攻撃的で口調も激しくなり、厨二的な言動をとるようになるから初見の人達はびっくりしているかもしれないな。
そんな彗月ちゃんに対して同志がとる行動は、主に次の4つに分類される。
彗月ちゃんが目を覚ましてくれるのを震えて待ち続ける(約4割)、彗月ちゃんがバーサーカーになったのを悲観して泣き喚く(約3割)、彗月ちゃんの姿を見ないようにして現実逃避する(約2割)、彗月ちゃんに同調し暴れまくる(約1割)
って、にゃんだこれー!?」
凛ちゃんに説明させやがったwww
渚は3割のやつに当てはまってるのか
こいつら案件やってる自覚がねぇw
あらかじめ準備してたってことは一応台本通り……なのか?
↑3人のことは考えるだけ無駄だぞ
「ままぁー……ままぁー! まm、イテッ」
「さっさと正気に戻るにゃ! 3人中2人が狂ってるなんて放送事故もいいところにゃ!」
「語尾でにゃーにゃー言ってる人もいるから3人全員狂って──じょ、冗談だから拳をおろして」
あ、あの目はガチでヤろうとしてた目だ……!
冗談って言うのがあと数秒遅かったら絶対にヤられていたっ……!
「と、とにかく! あの状態の彗月ちゃんを戻すにはデュエルをするしかないぜ!」
「いや、そんなんで正気に戻るわけが──」
「ふぅん……この私にデュエルを仕掛けるとは。面白い」
「あっちもあっちで乗り気になってるー!?」
「革命家にとっての宿願とは、革命を成すこと。暗黒恐竜に革命のシンパシーを感じている彗月ちゃんは、彼らにも革命を成してほしいと考えているはずだ。
『滅びの運命』に打ち"勝つ"のとデュエルに"勝つ"ことが、彗月ちゃんの中ではイコールで繋がっているからこそ、俺らの「デュエル」というワードに反応したんだぜ」
ちょっと何言ってるかわからないです
人類にはまだ早すぎる
つまりデュエルですべて解決ってこと?
「さぁ、始めましょうか。私たちは決して負けないわ!」
「んにゃ〜、よくわかんないけど、とりあえずデュエルすれば良いってことだけはわかったにゃ!」
「おう! 俺も後ろで応援してるぜ!」
「──何を言ってるの、渚ちゃん。貴方にも戦ってもらうわよ」
「へ?」
「1対2の変則デュエル! もちろん受けてくれるわね?」
ちょちょちょ、何を言ってるんだ彗月ちゃん!?
ただでさえ本筋から外れているというのに、これ以上ややこしくしたら後で凄い怒られるって!
それに、例えこれで彗月ちゃんが勝てたとしても、変則デュエルという形態で戦ったせいで「暗黒紀は強い」というアピールが満足にできないじゃないか。そんなのタイソーが許すわけ──
タイソー公式:面白そうなんでやっちゃってください!
「いや、許可したーー!?」
「ふふふっ、流石あの子たちの生みの親。今度包丁を買い替える時にはタイソーさんのところで買わせていただくわ」
タイソー公式:ありがとうございます!
公式も狂ってやがる
なんなんだこれは
いったい俺たちは何を見せられているんだ
「──ふっ、凛を相手にして1対2でいいとは。つい数十分前に誰に負けたのか、もう忘れたみたいだにゃ」
あっ、凛ちゃん、オーバーフローして考えることを放棄しやがった。
「言ったでしょう? 今の私には彼らの声が聞こえるの。さっきまでの私と思っていたら革命の業火に身を焼かれるわよ」
「あのー、俺を置いてけぼりにしないでくださーい」
「せっかくだから、凛ちゃんの大好きな"罰ゲーム"なんてどうかしら。勝者は敗者になんでも1つ言うことを聞かせられるの」
「な、なんだってそんなことを」
「──ふふっ、そのほうがスリルがあるからよ」
「敵ながら良いことを言うにゃ。敗北になんのペナルティーもないにゃんて……そんなのつまらないにゃ」
「く、狂ってる。こいつら、狂ってやがる……!」
あの渚が押されてるだと……?
これがバーサーカー状態の彗月ちゃん……!
何気に凛ちゃんもやばくなってないか?
「先にルールだけ決めておきましょうか。凛ちゃんと渚ちゃんはシールドを5枚ずつ出し合って10枚に、私は1人で10枚のシールドを出す。そうして10対10のシールドで戦うの」
「にゃるほど……もし仮に渚ちゃんのシールド5枚が先に割れた場合はどうなるのにゃ? 彗月ちゃんは渚ちゃんに直接攻撃することができるのかにゃ?」
「そうね、直接攻撃できるってことにしましょうか。もしそうなったら渚ちゃんはデュエルから抜けてもらって、ターンの移行は渚ちゃんのターンだけを消すような形でいきましょう。
あぁ、そうだ。例えデュエルから抜けたとしても、凛ちゃんが勝てばチームの勝利ということで渚ちゃんは罰ゲームを受けないことにしましょう」
……なんか、俺が置いてけぼりにされてる間にルールが勝手に決まっていくぜ。いやまぁ、わざわざ頭を使わなくてもいいっていうなら有り難いけどさ。
「ターンの移り変わりは「私→凛ちゃん→私→渚ちゃん→私……」という風に、私と凛ちゃん渚ちゃんチームが交互にターンを回しあって、そちらのチームはそれぞれ交代でプレイしていくの」
「マナも凛ちゃん渚ちゃんチームは共有せず、個々人のものを使うようにしましょう」
「おっと待ちな。そいつは彗月ちゃんに有利すぎやしないか?」
もしそのルールで戦ってしまったら、ターンが1巡した時点でのマナ差をチームではなく個人で比較した場合、2倍も離れることになってしまう。
2巡目が終わった時点で例えるなら、彗月ちゃんが4マナ貯まっているのに対して、俺個人が使えるマナは2マナしか貯まっていない。
3〜4マナ貯まった時点でキルラインが見えるこのゲームに置いて、この差はかなりでかい。こればかりは傍観して良い場面ではないな。
「……
こっっっわ
やだなにこれ、僕の知ってる彗月ちゃんじゃない……
これが盤外戦術ってやつですか
もう試合は始まっていたのか
「それじゃあ、どういう風にしましょうか?」
「そんな難しい話じゃないだろ? チームでマナを共有すれば良いだけのことだ。……厳密に言うならデッキ構築の段階で俺らが多少不利になるが……まぁ、ちょうど良いハンデだろ。
ついでに確認しておくが、チームの相方が抜けた場合、ターンは彗月ちゃんと残った者で交互に回していく……これで間違いないな?」
「…………えぇ、そうね」
「あぁ、そうだわ。チームでシールドを共有せずに個々人で分けちゃうと、私が直接攻撃を2回決めないといけなくて不利になっちゃうわね。私ったら、うっかりしてたわ。やっぱりシールドはチームで共有するってことにしない?」
「俺もフェアじゃないのは好きじゃないからな。シールドはチームで共有することにしようか」
「ありがとね、渚ちゃん」
「なに、
「ははははは」「うふふふふ」
え? どゆこと?
↑渚が抜けて「凛→彗月→彗月→凛→彗月→彗月」ってなるのを防いだ
↑↑直接攻撃する回数が1回増える代わりに、1人倒したら2回行動できるように画策してた
うわぁ……えっぐ
なんでこいつら別のとこで頭使ってんの???
暗黒恐竜をお見せするデュエルなのに盤外戦術で勝とうとするんじゃねぇよ!
「にゃ? にゃ? にゃーー??」
「……彗月ちゃんのせいで凛ちゃんの頭が猫になっちまったじゃねーか!」
「あら、かわい♡」
「にゃー?」