オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「うぅーー……もうお嫁に行けないにゃ……」
「大丈夫よ、凛ちゃん。その時は私がもらってあげるから」
そう言って満面の笑みで凛ちゃんを慰めている彗月ちゃん。
しかし、俺を睨みつけている凛ちゃんはよくよく考えてほしい。
確かに俺は凛ちゃんが自分からパンティの色を言うように誘導した。けど、痴女のように自らスカートをたくし上げて見せつけてくるのは想定外だった。
それに、パンティの色や詳細を喋ってリスナーのみんなに知らせたのは彗月ちゃんだ。睨むなら横で肩に手を置いて慰めている彗月ちゃんにしてほしい。
「おいおい凛ちゃんや、何を被害者ぶっているんだね。こちとら凛ちゃんのせいで大量の反省文を書くことになったんだぞ?」
「にゃ? 反省文?」
「凛ちゃんはショーツを見せるのに精一杯で気づいてなかったみたいだけど、運営がコメントをしていたのよ。渚ちゃんは10枚、凛ちゃんは5枚反省文追加ってね」
「にゃ、にゃんだってーー!!」
これで凛ちゃん26枚か
今更だけど三期生みんな二桁枚数反省文書かされてるってやべーな
↑しかも3ヶ月足らずで
誰も触れてないけど彗月ちゃんの言い方酷すぎィ!
「渚ちゃんも50の大台に乗っちゃったわね」
「ホッホッホッ、彗月さん、50ではありませんよ。わたしの反省文は53マイです」
「宇宙の帝王みたいな言い方するんじゃないにゃ。
って、そうじゃないにゃ! 渚ちゃんはともかく、にゃんで被害者の凛まで反省文を書かされてるのにゃ!」
「おいおいおい、罪の度合いを測ったら3人の中で俺が1番罪が軽いはずだぜ? きっかけは俺だとしても、実行犯は凛ちゃん、そして口外したのは彗月ちゃんだしな。あんだーすたーん?」
そう言って煽るように手を差し向けると、凛ちゃんはやり込められて悔しそうにしながら「ぐぬぬ」と声を漏らした。
おー、リアルでぐぬぬって言うやつ初めて見た。
というか、凛ちゃんをやり込めるために詭弁を使ったつもりだったけど……俺の言ってることもあながち間違っているわけでもないよな?
もしかして俺が10枚も追加で書かされてるのは罰が過剰なのではないか?
「あれ? ということは彗月ちゃんに何もないのはおか──」
「はい! たこ焼きの生地出来上がり! 渚ちゃんも具材を全部切ってくれてるし、さぁ2人とも、たこ焼きをじゃんじゃん作っていくわよ!」
「お、おぉう?」
くっ、ちょろすぎるぜ、凛ちゃん。こんな短時間に2回もやり込められるなんて……!
ここは彗月ちゃんの反省文について追求してもいいんだが……お腹も空いてきて、そろそろたこ焼きも食いたいし……今回は見逃してやるか、うん。
べ、別に彗月ちゃんの笑顔が怖くて引いたわけじゃないんだからねっ!
「タコパの動向は随時写真に収めていって、トゥイッターに投稿していくぜ! 配信だけでなくトゥイッターの方も見ていってくれよな!」
ということで1枚目の写真をぱしゃり、と。
写真助かる
撮影者は渚なのか
↑その方が事故は起きんだろ
たこ焼き器でっっっか!
これ業務用だろwww
「映えある1枚目の写真は彗月ちゃんが持参してきたたこ焼き器だな。28穴の2枚掛……まごうことなき業務用だぜ」
「にゃんで彗月ちゃんはこんなもの持ってるのにゃ?」
「私が小学生の頃、お父さんとお母さんが突然「本格的なたこ焼きを作りたい!」って言って色々手をつけて、ついには業務用のたこ焼き器まで買っちゃったの。
3人家族でみんな少食だったから大きいサイズじゃなくても良かったし、片付けが面倒だからっていう理由で押入れにずーっと眠っていたんだけどね」
えぇ……
たこ焼き器まで凝るのはだいぶ珍しい
流石彗月ちゃんのご両親、ぶっ飛んでるな
この親にしてこの子ありってやつか
「ほへー、もしかして彗月ちゃんって関西の人なのかにゃ?」
あぶら〜、ぬりぬり〜。
「いいえ、私は生まれも育ちも東京よ。お父さんもお母さんも東京生まれの東京育ちって言ってたはずだし」
生地を〜、投入して〜。
「ますます不思議だにゃ。いったい何があったらこんなものを買おうと思うのかにゃ」
具材を〜、投入して〜。
「うーん、正直私もわからないわ。私の親って相当変わっているのよね」
ひっくり返せば〜。
「彗月ちゃんも同じレベ──にゃ、にゃんでもないにゃ」
でっきあ〜が〜り〜。
「そ、そう言えば渚ちゃんの親はどんな人なんだにゃ? きっと渚ちゃんに似てやばい人に違いないにゃ!」
「いえ、もしかしたら両親は案外普通かもしれないわよ?」
「ん? まぁまぁ、俺の親のことは置いといて、とりあえずコイツを食いねぇ!」
「お、おわっ、はむっ……ハフっ、ハフっ!
「それじゃあ私も…………ん! とても美味しいわ!」
めっちゃくちゃ美味そう!
舟皿に盛り付けてるなんて本格的やな
お店のメニューの写真に使えるレベルやな
なんかお腹空いてきた
「ほらほら、もっと食いな。右の舟皿から順にタコ、ウインナー、天かす、ツナマヨ、チーズ、チョコが入ってるぜ」
「チョコって……たこ焼きにチョコはないにゃ。というかモグモグいつの間にモグモグ作ってたモグモグにゃ」
「ふっ、甘いなモグモグ凛ちゃん。
「2人ともお行儀が悪いわよ。食べるか喋るかどっちかにしなさい」
「モグモグ……‼︎ モグモグモグモグ」
「フッ……モグモグモグモグ」
「モグモグモグモグ」
「モグモグモグモグ」
……あれ? 今もしかして無言で食ってる?
こいつら食べることを選びやがったwww
それでも配信者かー!
食レポしろ食レポー!
「ごめんなさい、私が悪かったわ。食べながらでいいから喋って……このままじゃ放送事故になっちゃうわ……」
「モグモグゴクン……い、いやぁ、渚ちゃんが作るたこ焼きが美味しくてつい」
「モグモグゴクン……ふっ、自慢じゃないが三つ星シェフ相手に料理では絶対に勝てないと思わせて心を折ったことがあるからな。まぁ、若気の至りってやつだな……」
はい、ダウト
流石にそれは吹かしすぎだぜ
ミシェランの三つ星シェフを超えるのは無理だって
まぁでも美味そうなのは確か
今夜はたこ焼きにしようかな
「よーし! 今度は凛が作る番にゃ! 渚ちゃんと彗月ちゃんはそこでゆっくり休憩してるにゃ」
腕捲りしながらそう言って、千枚通しを両手に構えながらたこ焼き器へと近づく凛ちゃん。
きっともう、自分が着てる衣装の値段も忘れてるんだろうなぁと、皺くちゃになった腕の装飾を見ながら思っていると、彗月ちゃんがこっそり近づいて耳元で話しかけてきた。
「ねぇねぇ、渚ちゃん。凛ちゃんって料理できると思う?」
「んー……たこ焼きは簡単だから、手順さえ知っていれば(見た目はともかく)味は失敗しないんじゃないか? それに、あとは焼くだけなんだしさ」
「それじゃあ私と賭けてみましょうか?」
「おいおい、2人とも「失敗する」に賭けたら、賭けが成立しないじゃないか」
「そこ! 聞こえてるにゃ! まったく失礼しちゃうにゃ。そんな心配しなくても、後で凛が美味しい美味しいたこ焼きを食わせてあげるにゃ!」