オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「コ、コロ? ジャ、ジャア、アノトキモッテタヤリッテ…」
「おっと、もうこんな時間。雑談はこのあたりにしておいて早速マイクリで遊んでいきましょうか」
「………………えぇ、そうね」
つっこみを諦めたwww
ノワールの目からハイライトが消えとるw
おいたわしや姫……
ノワール先輩や金剛先輩は混乱のあまり普通に喋っているが、この配信を見ているリスナーの中にはクリスマスについての情報を得ていない者もいるかもしれない。
そんなわけで、クリスマスはマイクリ内で祝うことになったことをリスナーに向けて改めて説明しながら、口から魂が抜けてる金剛先輩の分までマイクリ内にログインする。俺ってば、なんて優しいんだろう!
「どうですかノワール先輩。一応配信を見ていて内装は知っていると思いますが、こうして自分の目で実際に見てみるとクオリティの高さにびっくりでしょう!」
自分で言うかこいつ
まぁ、確かに凄いんだけどさ
異世界転生して最初に目に入る、神殿内部の光景の再現度が高すぎる
めちゃくちゃワクワクするよな
「…………」
「んん? どうしたんですか、そんなに辺りを見回して」
「いや、なんでもないわよ。いきなり爆発はしなさそうね」
「ハハハッ、あの人が二番煎じなんてやる訳がないじゃないですか」
「あっ(察し)」
ノワール先輩が警戒している神殿内部だが、ここにはなんの仕掛けもない。ただただカッコいいだけの入り口だ。
というのも、何をするのか決めていなかったアスライテ先輩と1から計画を立てることになった俺は、手持ち無沙汰を紛らわせるべく初期リスポーン地点に凝った神殿を作ったのだ。
「ところでノワール先輩。どうして金剛先輩から距離を取ってるんですか?」
「あ、あはは、別に意味なんてないわよ」
「……」
「ちょ、ちょっと! 無言で未来を近づけないで!」
未だに目を覚まさない金剛先輩のコントローラーを操作してノワール先輩にゆっくり近づこうとすると、近づいた距離だけノワール先輩もゆっくりと後退しだした。
金剛先輩が目を覚ましたら、すぐにでも酷い目に遭うとでも思っているのだろう。不意にダッシュで近づいたら、背中を見せて必死こいて逃げ出した。
「安心してくださいよノワール先輩。この場、そしてこの世界には危険はありませんから」
「………………」
「げ、ゲームでもリアルでもジト目で見つめるのやめてくれませんかね?
俺とアスライテ先輩はみんなをサポートするために夜遅くから準備を進めていたんですよ? そんな俺たちを疑うなんて……酷いと思わないんですか!?」
「まったく」
草
ノータイム返答w
何の感情も篭ってない返事に草が生えますよw
逆によく渚は信じてもらえると思っていたな
「冗談はさておき、本当に危険はありませんよ。少なくとも俺やアスライテ先輩が原因で命を落とすことはないはずです。直接的にも間接的にも、ね」
「…………何か仕掛けてるんでしょうけど、何も見えてこないわね。
はぁ……どのみちここまで来ちゃたんだし、先へ進みましょうか。ほら、未来も起きて」
「アフリカ、コワイ……へっ、あ、あれ? ノワール先輩? あっ、そういえば配信をして──って、もうマイクリ始まってる!?」
何か起こるのではとビクビクしている金剛先輩に先程ノワール先輩にしたのと同じ説明をしたり、神殿内部の造りに興味を持った2人がじっくりと内部を観察したりなどなど……紆余曲折ありながらも俺たちはようやく外へと出た。
「ふぅ、やっとここまで来た。マイクリを起動して初期リスから離れるだけで1時間くらい経とうとしてますよ?」
「原因の8割はあなただけどね」
「うんうん」
「残りの2割は未来、あなたよ」
「!?」
「でも俺には事前準備していたという実績があるんですよね。本来資材を集めるのにかかっていた時間と差し引きすればプラマイゼロ……むしろプラス。つまり、悪いのは金剛先輩だけってことです」
「!?!?」
「んじゃ、俺たちの成果を見るために倉庫まで行きましょうか」
「わ、私は悪くないよね!? よね!?」
ぎゃーぎゃー喚いていた金剛先輩も、倉庫の前までたどり着くと途端に大人しくなった。
赤レンガを基調とした倉庫は中世ヨーロッパを彷彿とさせ、先程までいた神殿とあわせると、本当に異世界に来たかのように見た者全てを思わせるだろう。
ただ……整地をして真っ平らになった広い土地に、神殿と倉庫、そしてそれらを繋ぐ道路だけで異世界ナーロッパを構成しており、倉庫の前で辺りを見回す分にはいいが、遠目から見れば建築物の豪華さと周囲の何もない空間に違和感を覚えるだろう。
ここから更にエトワールの面々が土地を好きに発展させていけば、建築物が生み出す世界観の違いにより違和感は更に大きくなるはずだ。
仮に神殿や倉庫に外見を合わせようとしても、俺が建てた建築物が無駄にクオリティが高いせいで見劣りして、それはそれで違和感を生じさせてしまう。
「最悪改築すればいいか」
「うん? 何か言った?」
「いえ、なんでも」
適当に誤魔化しながら倉庫へと入れば、後へ続いたノワール先輩は内装へと興味を移した。
「建築センスも相当な物だけど、よくこれだけの材料を半日も経たずに集めきったわね? どれだけ効率よくゲームを終わらせるつもりなのよ」
ノワール先輩の視線の先には、ネザーと呼ばれる、今現在俺たちがいる地上世界とは異なる次元でしか取れないアイテムがふんだんに使われている。
通常、それらのアイテムを大量に手に入れる段階では、ゲーム内でやるべきことはほとんど終わらせてエンドコンテンツを満喫している頃だろう。実際、ラスボスを倒す一歩手前まで行ってるし、ほぼほぼゲームクリアしているようなもんなんだよな。
「ふっふっふっ、それもこれも皆に快適なマイクリ生活を送ってほしい一心ですよ。
とはいえ、最初から最強装備を身に付けてもつまらないでしょう? そんなわけで今この倉庫に用意してあるのは大量の石を素材としたツールと少量の鉄を素材としたツール、そして大量の木材と燃料くらいですね」
「ほ、本当に私たちをサポートする気まんまんだ……」
これはいい気配り
初めから全てあったら見どころも減っちゃうからね
集めるのが面倒&虚無配信になりかねない資材集めだけをカットしてるのか
いやでも油断しちゃダメだろ
↑"あの"2人だしな
↑↑ここにいる奴全員油断してない定期
「身を粉にしての働きを見ても疑うなんて……誠に遺憾です」
「それで? ここにあるチェストは全て空みたいだけど、肝心のアイテムはどこにあるの?」
倉庫内のチェストを1つずつ確認していたノワール先輩は、空のチェストしかないことに気がついて直接俺にアイテムの場所を聞いてきた。
俺は「待っていました」と言わんばかりにほくそ笑むと、返答の代わりに指を大きく鳴らして「カモーン!」と叫んだ。
アスライテ:ヤアヤア、イイモノソロッテルヨ!
「で、で、で、でたーーー!!!」
「あ、アスライテ!? あなた、まだゲームを続けていたの!?」
アスライテ:ヨウコソ! 「バーナギ・カンパニー」ヘ!