オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳   作:ユリガスキー

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報道しない自由が、俺にもあるッ!(後編)

 ノワール先輩は根が善良で真面目な人だ。

 たとえ自分に優位な契約を結んだとしても、それが不平等かつ相手に不利な契約ともなれば罪悪感を抱いてしまい、最終的には契約を見直してしまうくらいには善良で真面目な人だ。

 

 普段なら美徳だと手放しで褒めているところだが、アスライテ先輩と交わした約束にまで罪悪感を抱いているのをみると、ちょーっと戒めたくなってしまう。

 不平等で不利な約束を取り付けたのはアスライテ先輩の方なのだが、ノワール先輩にとってそれは関係のないことらしい。さらにやっかいなのが、アスライテ先輩自身が不平等で不利な約束を取り付けたせいで、罪悪感を抱いているということに気付けていないことだ。

 そうして自分自身ですら気付かないうちに心にモヤモヤが残ったまま、一昨日のコラボ配信を迎えた。

 

 会話の流れで()()反省文についての話題が上がり、軽い説教をするノワール先輩に対してアスライテ先輩は「反省文を溜め込まない、あなたにはわからないでしょうね!」と煽った。

 この煽りを聞いたノワール先輩は、売り言葉に買い言葉と、「もし、私が年内に反省文を書くような事態になれば、その約束は取り消してもらってもいいわよ?」と、宣言したのだ。

 そう、すべては心のモヤモヤを晴らすため。ノワール先輩もリスクを背負うことで、少しでも互いの格差がなくなるようにと。

 

「──つまり、最初っから全てアスライテ先輩の企てだったってわけだ」

 

 だからあの時、アスライテ先輩は「墓地活用」と言ってたんだぜ。

 インフレが進んだカードゲームでは、本来活用が難しいはずの墓地が、容易にカードの回収ができたり、墓地でも活用できたり、なんなら墓地でこそ真価を発揮するカードすらもある。

 これを揶揄して墓地活用なんて言っていたんだろうな。「確かにボクは手札を切った。ただ、墓地でも活用できるカードをね」という意味を込めて。

 

マジかよ

ってことは、あの時点でこうなることを読んだってこと?

人心掌握って極めればここまで出来るんっすね

あいつやっぱやべーな……

 

「そしてさっきも言った通り、ダメ押しにと「何を見せてくれるのか知りたい」とノワール先輩に思わせた」

 

 そもそも、アスライテ先輩との長い付き合いのおかげ(?)で、何かを企んでいると何となくわかるらしい。

 だから今回の企ても、反省文の話題が再び上がった時点で薄々気付いていたはずだ。

 

「もし仮にアスライテ先輩の思惑通りに事が進んだとしても、ノワール先輩が受ける被害はほとんどない」

 

 想定される被害も、せいぜい反省文を書かされるという、普段のアスライテ先輩を知っている人からするとミジンコ並みの被害でしかない。

 とはいえ、書かされる枚数が増えれば増えるほど負担も増すため、アスライテ先輩はそこを狙っているとも考えられる。

 反省文の枚数は罪の度合いによって決まるため、もしアスライテ先輩が何らかの方法でノワール先輩に大罪を犯させたら数十枚くらい書かせられるだろうが……流石にそんな大掛かりな行動をすればノワール先輩も気付くだろう。

 

「計画破綻のリスクと反省文の枚数というリターン、両者を天秤にかけてアスライテ先輩はどのような選択をするのか。

そして、今年書かされた反省文が0枚のエトワール1真面目なノワール先輩を相手に、あと20日もないのにどうやって書かせるよう仕向けるのか。わたし、気になります!」

 

しかもアスライテが何か企んでるっていう前提でいつも以上に慎重になると

いや無理じゃね? どうやって書かせるんだよ

でもアスライテならやり遂げてもおかしくはない、よな

これは確かに何を見せてるれるのか知りたくなる

そりゃあ姫も興味が湧くわな

 

「しかも、この時のノワール先輩とアスライテ先輩の会話がまた良かったんだよ。ノワール先輩って基本ちょろいのにアスライテ先輩にだけはツンツンしてるだろ? けど、かなりデレみが増していたからな。

まさかいないとは思うが、王女王推しでまだ見てないやつがいたら、この配信を閉じて急いで見に行ってこいよ?」

 

 アスライテ先輩相手にデレていたのはノワール先輩の誕生日配信以来だからな。供給がなさすぎて常に飢えている王女王推しとしては、今回の件をニュースにしない選択肢はなかったってわけだぜ!

 

リアタイで見てた時は、ノワールがあんな宣言をしたのはデレみが増してたからだと思ってたわ

反省文についての説教……と見せかけて普通にイチャイチャしてたからな

 

 ちなみに、ノワール先輩がアスライテ先輩にデレたのは、不平等で不利な約束を結んでいたことに対する罪悪感が原因だと俺は考えているぜ。不平等で不利な約束を結んだアスライテ先輩に対していつもより優しく接しようと無意識に考えていた結果デレたのだとな。

 たった一手で計画の遂行と欲の充足をこなすなんて、流石はアスライテ先輩だぜ!

 

 

 

「そして、昨日の配信でもノワール先輩がデレデレのちょろちょろになっていたのだが……ぐぬぬ」

 

ちょろちょろて

何悔しがってんの?

あぁ、そういえば渚は昨日の配信って……

 

「ノワール先輩は昨日、突如としてノワール先輩のファンだったのだと公言した凛ちゃんとコラボ配信をしていたんだぜ」

 

 配信外(配信されてないとは言っていない)にて凛ちゃんと交わした「ノワール先輩とコラボする」という約束は、ノワール先輩が即日OKを出したので、その翌日に果たされることとなった。

 推しに対して「同僚」ではなく「ファン」として接することになった凛ちゃんは配信が始まってすぐに限界化していたし、そんな凛ちゃんを目の当たりにしたノワール先輩もデレちょろになっていたりと、見ていてとてもニヤニヤできる尊い配信となっていたぜ……

 

 あ? 真っ先にファンだと公言したお前にはそこまでちょろちょろじゃなかっただろって?

 

 …………それはまぁ、うん。デレやちょろが出る間もないくらいに愛を語っていたからというか、俺の日頃の行いのせいというか…………うるせー! 俺とノワール先輩の今までの絡みを見返してこい! デレも少しは出てるから、プラマイでいうと若干プラスだからな!

 

「そんな尊い配信だったんだが、ひじょーーーに残念ながら俺は途中までしか見れていないんだ」

 

 今の今まで堰き止めていたノワール先輩への想いを伝えられるとなった凛ちゃんは、それはもう目を輝かせてノワール先輩のココガスキーポイントを語り始めた。

 最初こそ素直に受け止めていたノワール先輩も、次第に照れが上回り、話を逸らすために今回の配信をする理由となった俺の話題を上げたのだ。

 そうして切り忘れ事件や俺のことについて触れて、色々話した後に凛ちゃんはノワール先輩に相談事を持ちかけた。

 

 ──渚との勝負に勝つためのアドバイスが欲しい、と。

 

 その一言を聞いたノワール先輩はすぐさまこう言った。

 

「『渚ちゃん、どうせ今もこの配信を見てるんでしょ? でも、ここからは凛ちゃんが勝つために全力でアドバイスをするから配信を閉じて欲しいの。よろしくね』ってな。

一方的に告げられただけだが、まさか言うことを聞かないわけにもいかないだろ? だからその後の配信で何を話していたのかを俺は知らないんだ……」

 

いや草

ちゃんと言いつけを守っててえらい

渚が「え」ってだけコメントした時は笑ったわw

 

「けどな? 30分くらいたった後にノワール先輩から連絡が来たんだ。明後日にコラボしようと、そこで勝負をしようってな。

まぁ、流石に気づいちゃうよな。配信の流れで「お手本を見せてやるー」とか言ったんじゃないかって」

 

 何で勝負するのかもすでに聞かされているが……果たして()()でどうやって俺に勝つ気でいるのか。

 そこのところ物凄く興味があるのだが、重要なのはそこではない。

 

 

 

 俺が配信を切ってから30分後に勝負を吹っかけられたのに、()()()()()()1()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「つまりは、だ。アドバイス自体は30分かそこらで終わって、残りの1時間は普通に雑談配信に戻ったってことだろ?

推しを目の当たりにした凛ちゃんとデレちょろ照れなノワール先輩、そんな2人のレアな様子を俺はお預けされてしまったわけだ……!」

 

あぁーー……

まぁ、うん

草としか言えませんなw

言いつけを破るわけにはいかないもんなw

 

「明日の勝負、俺はノワール先輩に罰ゲームを提案するつもりだぜ。そして俺が勝った暁には、見るなと言われたところから視聴する権利を得る! なんなら、ノワール先輩がどんなアドバイスをしていたのかを同時視聴してもいいかもなぁ! わーはっはっはー!

 

と言うわけでお前ら! 明日は俺がノワール先輩をボコボコにするのを楽しみにしておきな! サラダバー!」

 

サラダバー!

普通に同時視聴みたいかも

というか姫はどうやって渚に勝つつもりなんだろう?

↑アドバイスを知った上でもさっぱりわからんよな

あれ? 何か大事なことを忘れているような……

 

 

 

─────

 

───

 

 

 

 

   この配信は終了しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ! なぎりんについて問い詰めてねぇ!

やられた! 完全に話を逸らされた!

くそっ、もう配信終わってやがる!

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