オタク文化の創造神と呼ばれた俺がVtuberになった訳 作:ユリガスキー
「わあぁぁ……!」
「あ、あの、そんなに見つめられると恥ずかしいのですが……」
「ぅきゃーー⭐︎!⭐︎!」
こ、ここまでテンションの高い日菜先輩は初めてみるぜ。
「こら日菜? 渚ちゃんも困ってるでしょ。気持ちはわからなくもないけど」
今日は二期生3人とのコラボということで事務所に来ているぜ。
俺がお嬢様言葉を使うきっかけとなったノワール先輩とのコラボ中の話の流れで日菜先輩とオフコラボをすることになり、どうせだったらとカレン先輩と金剛先輩も誘って「二期生+俺」のコラボ配信をしようと決まったからだ。
先輩達とコラボするのはめちゃくちゃ嬉しいので二つ返事で引き受けたことに後悔はないが……1週間お嬢様言葉で喋る罰ゲームを受けている真っ最中なので、なんとも複雑な気持ちだぜ……
まぁ、今回の罰ゲームがなければ今回のコラボが実現しなかったと考えれば、まだギリギリ許せる気にはなる、か?
「また未来が大袈裟に言ってるだけと思っていたんだけどね。まさかこれほどまでとは」
「あっ、やっぱり信じてなかったんだね!」
そう言ってプンスカ怒る金剛先輩。
コミュ障の化身たる金剛先輩でも、同期の2人に対しては比較的気軽に話すことができるのだ。普段のコミュ障っぷりも好きだが、こうしていつもより自分を曝け出している姿もまた良き。
かつては配信で今のような強気な金剛先輩を見て「二期生の絆てぇてぇ」をしていたのだが、まさか生で見られるなんて……
「あっそうだ。さっきマネちゃんに伝言を頼まれたんだった。渚ちゃんが可愛いせいで忘れるところだったよ」
「それ私は悪くないような……」
「未来ちゃん未来ちゃん、来月末までに三期生の全員とコラボしないと義務オフコラボの頻度を月1にするからーって、マネちゃんが言ってたよ⭐︎」
「!?!?」
そういえば、金剛先輩ってば俺以外の三期生とはコラボしたことなかったな。
忘れている人もいると思うので改めて説明しておくと、金剛先輩は人見知り改善を目的とした『1ヶ月に2回のコラボ+2ヶ月に1回のオフコラボ』を運営によって強制させられている。
しかし、義務コラボの消化を既に親しい仲である二期生で済ませたり、それを指摘されたら今度は比較的仲の良い一期生で済ませたりと、三期生とコラボしようとしようという素振りをまったく見せなかったのだ。
そのため、業を煮やした運営によって『三期生とコラボしろ』とのお達しを受けたというわけだな。
運営からのお達しなんで、来月末までの三期生とのコラボは当然「義務配信」扱いにならないため義務コラボの消化はできない。以前俺が懸念した通りになったってわけだな!
「あの時私の提案を飲んで三期生コラボをしていたら、こうはなりませんでしたよ?」
「は、初めての人と話すの緊張しちゃうんだよぉ! うぅ……もう既にお腹がいたいぃ……」
「個別にコラボするよりは三期生まとめて1回でコラボしたほうが楽ですよ? 大丈夫です、私も間に立ってサポートしますから」
「な、渚ちゃん……!」
「うん、ちゃっかりコラボの約束を取り付けてる」
「渚ちゃんはしっかりしてるねー」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「今日は渚ちゃんが日菜たちのお手伝いにきてくれたよ⭐︎」
入り方雑ゥ!
ちゃんと挨拶しろください
今日も日菜ちゃんは元気で偉い()
「うんうん、挨拶は大事だよね⭐︎
えーー、朝日奈日菜とーー?」
「カレン・ナイトメアと」
「…………え? え? あっ、こ、金剛未来とぉ!?」
「神崎渚です。皆さん今日は楽しんで配信を見てくださいね♪」
うーん、これは清楚
古参です、最後に自己紹介した娘かわいいですね!
新人の子かな?(すっとぼけ)
……自己紹介が雑なのは変わってないのでは……?
今回のコラボでは日菜先輩が既に語っていたように、二期生のお手伝いをすることになっている。
二期生の3人はマイクリ初心者で、一期生,三期生が相手になると、まず間違いなく勝つことはできない。実際、現時点での進捗も悪いしな。そんなわけで、今回の配信では「渚ちゃんにマイクリを手伝ってもらおー⭐︎」ということになったのだ。
まぁ? 一応俺は三期生として今回のクリスマス建築に臨んでいるわけで?
三期生の建築ですら力をセーブしているというのに、二期生のお手伝いに本気になってしまったら、それこそ凛ちゃんや彗月ちゃんへの裏切りになってしまう。3人には申し訳ないが、今回のコラボも力をセーブさせてもらうぜ。
そんなこんなで俺たち4人は二期生の建設エリアにやってきたのだが……
「さぁ、渚ちゃん⭐︎ 日菜たちの建築には何が足りないのか、アドバイスをしてほしいな⭐︎」
「うーん、何が足りない、というより何もかもが足りないというか……」
俺たちの目の前に広がるのは、広々とした台座だけ。「サンタの『像』って言うくらいだから台座は欲しいよね」という意見で一致して最初に台座作りに取り掛かり、未だにサンタ作りには手をつけていない状況となっている。
「も、もしかして台座を作るのはダメだったのかな……?」
「あぁいえ、台座を作るのは良いアイデアだったと思いますよ。私も建築に取り掛かる際には土台を整えることから始めますから」
問題なのは土台のサイズと残り時間だな。
縦50ブロック×横50ブロックという巨大な台座に合う銅像を作ろうとなると、高さ200から250ブロックは欲しい。ただ、期日までもう2週間を切っているため、巨大なサンタ像を作れるかだいぶ怪しいところだ。
まぁ、今回はそれを解決するために俺が来たわけだけどな!
「では早速、どんなサンタ像にするか話し合いましょう。その後に設計図を作──」
「その前に渚ちゃんから、いや『レンタル・バーナギ』の渚ちゃんからエメラルドを借りたいんだよね」
え?
このタイミングで?
またなんでエメラルドを
今ここでエメラルドを?
エメラルドを借りたら当然利子をつけて返す必要があるのだが、今現在このマイクリの世界ではエメラルドの返済が不可能となっている。
それもこれもアスライテ先輩がMODを使ってエメラルドをこの世界から消してしまったからだ。
一応救済案(というか暴動が起きないための処置)として、1週間後に行われるクリスマス対抗戦に勝ったチームには支払いが免除されることになっている。ちなみに、負けた方のチームはアスライテ地下帝国の建築を強制させられる罰ゲームつき。
こんなことをするなんて、アスライテ先輩はなんて酷い人なんだ……!
「取り敢えず 1,000個借りようかな」
!?
1,000個!?
そんなにかかる商品なんてなかったぞ?
いったい何を考えているんだ
「なるほど、そういうことですか」
アスライテ地下帝国行きの期間は、エトワールの皆が借りたエメラルドの総数に比例して延びていく。
だから、本来なら出来るだけエメラルドを借りる数は減らした方がいいのだが……今回はそれを利用したのだろう。
今現在二期生は他と比べて建築の質もスピードも劣っている。この状況で逆転するにはもう賭けに出るしかない。
もし、対抗戦で負けたチームの中にルフナ先輩や凛ちゃんなどのマイクリ上級者がいたら、当然一期生三期生の戦力は大幅に下がるだろうし、拘束される時間が延びれば延びるほど建築のクオリティも下がっていく。だから、無駄にエメラルドを借りて地下行きの期間を引き延ばしたってわけだな。
そしてカレン先輩の急な提案に日菜先輩と金剛先輩は驚いた様子がないとろこをみるに、あらかじめ3人で話し合っていたんじゃないかな?
「さ、流石渚ちゃん。私たちの考えを一瞬で見抜くなんて」
「ふっふっふっ、でもまだまだだね渚ちゃん⭐︎ 日菜達はその1,000個のエメラルドをちゃーんと使うつもりなんだから⭐︎」
「え?」
「このエメラルド1,000個をそのまま渚ちゃんを雇うのに使おうと思っているんだよね」
「わ、私をですか?」
いや、そうは言っても、エメラルドは資材やツールの交換しか受け付けていないから、レンタルバーナギの従業員を派遣……なんてことはできないのだが。
アスライテ:コノシャッチョガ、キョカシヨウ!
「おー! ありがとナーさん⭐︎」
偶然、ではなさそうだな。今がめちゃくちゃ忙しいアスライテ先輩は配信を見る余裕なんてあるはずもないし。きっとあらかじめ手回ししていたんだろうな。
しかし……うーむ……アスライテ先輩が取り引きリストに"俺"を入れることを許可こそしたが、最終的に提案を引き受けるかどうかは俺次第、なんだよな。
…………ここまで考えて動いた先輩達には申し訳ないが、流石に凛ちゃんと彗月ちゃんを裏切るようなことはできないよな!
「申し訳ないですが、その話しはお断り──」
「エメラルド2,000」
「ん2,000んんんん」
「い、いや、私には凛ちゃんと彗月ちゃんが──」
「エメラルド3,000」
「ぐぅぅううううう」
今のは危なかったぁぁ! 危うくなびくところだっ──
「エメラルド5,000」
「では早速建設に取り掛かりましょうか!」
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この配信は終了しました
猫道 凛
@neko_rin
こ、こここ、この裏切りものーー!!