ツマラナイ……。
ああツマラナイ、ツマラナイ。
どうしてこうも世界の全てはツマラナイのか。才能に愛された僕にも検討がつきません。
『その時』を待っている間、ひたすら持て余す暇の合間に自問自答を繰り返しても、僕の望む答えは得られない。
……ああ、そうだ。一つ思いつきましたよ。いえ、思い出したのほうが正確ですかね。
あの女のツマラナイ一人遊び、人を駒に見立て、結果の決まりきった宝探しゲーム。あれを少し真似てみますか。
とはいえ、僕がやるのは駒を資料に、舞台を頭のなかに変えた、セルフシミュレーテッドリアリティ。
僕の才能があれば容易とはいえ、どうなるのかは少し未知ですね。
それだけで行う価値はありますが、そんな事はどうでもいい。
大事なことはただひとつ。ツマラナイ理由が知りたい。ただそれだけです。
俺は日向創。これといった特技も才能はない、強いて言えば、子供の頃からあれこれと習い事やらをやってきた位の、普通の高校生だ。
俺は希望ヶ峰学園の生徒……才能ある人間がスカウトされた本科ではなく、高い入学費と授業料を払えば誰でも入れる、予備学科に在籍している。
前に居た小高高校からの編入の時には笑う連中も多かったが、それが正しかった事は理解している。
それなりのレベルの編入試験を通って入学し、最初に思い知ったのは本科との絶対的な格差だ。
設備は普通、教師は外部から呼んだ人間、授業は精々が普通の進学校レベル。本科とは何の接点もない。一応は在学中に才能を開花させた生徒は本科への編入もありえるとうたっているが、そんな都合良くはいかないだろう。
端的に言って、予備学科は所詮金づる。希望ヶ峰学園のブランドに釣られた、本科の栄養分になる存在にすぎない事を、希望ヶ峰学園自体がこれでもかと知らしめていた。
多くの生徒がそんな事情に腐り、本科への羨望と嫉妬を募らせながらも普通に過ごす中、俺は往生際悪く諦めていなかった。
ここに来るまでと同様、様々な物事に我武者羅に挑戦しては挫折を繰り返している。
ずっと続けている空手は、精々ニ段止まり。料理はレパートリーを増やせても、味は普通の域を出ない。スポーツも芸術も人並み程度。多くの分野に関わる過程で見てきた天才達の輝きには、まるで届きはしない。
それでも、俺はみっともないと自覚しながらもあがき続けていた。いっそひとつの分野に命を賭ける度胸か、諦められる潔さを持てればよかったんだろうが、どちらも俺には得難く、受け入れがたいものだった。
だからは俺は足掻き続ける。
――全ては憧れた希望の為に。