前回は風邪を引いた彼女の家に押し入り、勝手に冷蔵庫を漁り料理を作った後、寝込む彼女のベッドに潜り込んで寝た所まででしたね。
事実を陳列すると満場一致で有罪の勢いですが、彼女に嫌な印象を与えていないので無罪です。
とにかく、アナタが彼女のベッドで目を覚ましました。すると何という事でしょうか、すぐ目の前に彼女の顔が観測できます。しかもバッチリと目が合った状態です。
「……」
アナタが目を覚ました事に驚いたのでしょう、目を点にさせました。その後、まるで何かを
「お……お、おは…よ…」
言っている最中に耐えられなくなったのか、氷枕へと顔を埋めます。今の彼女の真っ赤な顔を冷やすには丁度良いでしょう。
“顔赤いけど、まだ熱がある?”
そういって彼女と額を合わせようとしてみましょう。すると彼女は恐る恐るこちらに額を差し出してきます。仕掛けたこちらが言うのもなんですが、寝ている間に接吻をかまそうとしていた疑惑があったり、やはりムッツリですね。
彼女の望み通り前髪を掻き上げ、額を合わせましょう。少し熱いですが、恐らく照れによるもの。体調自体はすっかり良くなっていそうです。
“うん、大丈夫そうだね”
額が離れた後、彼女はオーバーヒート寸前の頭を冷却するために氷枕に顔を埋めました。その状態でお礼を言ってきます。
「今日はありがと……。両親が共働きで、風邪の時はいつも心細くなるから……」
“だったらもう少しこうする?”
そう言いながら彼女の背中に手を当てましょう。
「うん……けど、そろそろお母さんが早退して帰って来る頃だから…」
彼女は名残惜しそうに体を起こします。
「その、せっかく来てくれたのに悪いけど……お母さんが帰ってくる前に帰ってもらえる……? 流石に今の状態を見られるのは……」
今の状態は風邪で学校を休んでおきながら男を家に連れ込んでいる不良娘と見られかねません。実際にはクラスメイトが学校をサボって看病のために実家凸してきたあげく、他人の家の冷蔵庫を勝手に開けて昼食まで作っただけなのですが。
捉えようによっては後者の方が遥かにヤバいかもしれません。
“分かってる。一応病み上がりだから無理しないようにね”
「うん……ホントに今日はありがとう」
この日はこれで解散。彼女とアナタの仲はもう決定的と言っても良いでしょう。しかし、ここは日本国。嘆かわしい事に告白の文化が存在する国です。
“付き合ってください” “こちらこそお願いします” という告白する側も告白される側も心理的負担の高い工程を踏まえなければ交際にまで至れないという恋愛後進国。
実に嘆かわしい事ですが、逆に言えば交際にまで至った場合、それだけ強い縁で結ばれているとも言えます。彼女とアナタはすでにそのレベルの域です。あとは告白を仕掛けるか、仕掛けられるにしても時間の問題でしょう。
きっと文化祭が終わって一段落ついたタイミングで、誰もいない教室、夕焼けをバックにとかそういう展開が待っているはずです。その時を座して待ちましょう。
♢
彼女は風邪で倒れてリフレッシュして以降、それはもう
アナタもきちんとシフト通りに仕事をこなしましょう。2日目の午前のシフトが終わると、仕事をしていた全員に彼女が声をかけます。
「お疲れ、交代の時間だから文化祭楽しんできなさいよ」
しかし、その中の何人かが声を上げます。
「
「え、でも……」
「クラスの皆も慣れてきたからトラブルも無いと思うよ。ほら、今日の午前は何もなかったし」
他の皆も頷いて同意を示しています。それを受けて、彼女は少し申し訳なさそうに言いました。
「じゃあ皆の言葉に甘えて、午後は休ませてもらおうかな……」
そして彼女はアナタの方をちらりと見てきます。しかし、言葉は皆に対して言い放ちます。
「その…、この後文化祭を見て回ろうと思うけど、誰か一緒に行く人いるかしら?」
アナタの方を見て来たことから、本当は皆ではなくアナタ個人を誘いたいのが見え見えです。とはいえ、個別にアナタを誘うと好意を持っていると周囲にバレてしまいます。
そうなれば、揶揄われてしまう可能性も十分にあり得ます。彼女にとって揶揄われるというのは自分を攻撃されているように感じるため、それは避けたい。だからこそ個別にではなく全体に呼びかけるようにしてアナタを間接的に誘っています。
彼女の誘いに応じて、5人ほどが集まりました。ここは素直に参加しても良いですが、彼女の反応を確かめる為にさっさと教室を出てしまいましょう。
「……え“。ちょ、ちょっと…!」
彼女が濁点混じりの声を吐き出しながらアナタを急いで呼び止めます。
「○……ぁ、ぃや…あ、アンタは来ないの…?」
アナタの名前を呼ぼうとして、“アンタ”とわざわざ言い変える彼女。そんな事をして誤魔化しても、親に見捨てられた子供の様な表情を皆に見られればアナタに特別な感情を持っている事は筒抜けです。
とはいえ、今の彼女は皆に背を向けている状態。アナタだけにしか彼女の表情は見えていません。
“行くよ。その前にトイレに行こうかなって”
するとみるみるうちに彼女の表情が明るくなっていきます。
「そ、そうよね! せっかくの文化祭だからね!」
たった一言で相手の感情を好きなだけ揺さぶれるという愉悦に浸りながらお手洗いを済ませましょう。
その後は皆で文化祭を楽しみます。とはいっても彼女が理由を付けてアナタと一緒に行動しようとするので、実質彼女と楽しんでいるようなものです。
昼ご飯を食べにカフェに行けば、彼女と同席。
お化け屋敷はわざわざトイレに行ってタイミングをずらした彼女とペアで。
体育館でやっているライブもアナタの隣で観賞する彼女。
周りにバレたくないと思っているのか本気で疑問に思いそうですが、まぁ実際バレていないようなので良いのでしょう。彼女と文化祭デートを楽しんでいると、いつの間にか文化祭も終わりの時間に。
クラスの皆は片づけを行いながら、この後の打ち上げについて話しています。もちろん彼女とアナタも行く予定です。片づけの最中、彼女に声をかけられます。
「その……片づけが終わって打ち上げに行く前に、少しだけ教室に残ってくれる…?」
アナタと二人きりになって何をするつもりなのか。ここまでくれば後はもうアレに決まっているでしょう。
“うん、分かった”
きちんと約束をして片付けに励みましょう。
♢
クラス内の片づけが終わりました。他のクラスメイト達は打ち上げ会場に向かうべく校舎を後にしていきますが、アナタと彼女は2人きりで教室に残っています。
彼女は万が一にも他人に見られないように、場所を調整します。廊下から見られないようにすりガラスの扉の前、加えて校庭からも見られないようにカーテンを閉じます。そうしてようやくアナタと向き合いました。
「その……それで、呼び止めた用だけど……」
彼女は大きく息を吸って体制を整えます。
「こ、この前お見舞いに来てもらった時から……いや、もっと前……それこそショッピングモールに一緒に行ってから……気づけば○○の事、考えるようになってて……」
そこまで言って恥ずかしくなったのか、目線を明後日の方向に逸らす彼女。
「お見舞いの時、い、い、一緒の、ベッドで寝て……それに、何か変に引っ付いちゃったりとか……喉、撫でて貰ったり……」
目線を明々後日の方向に逸らしています。お見舞い当日は普通に接していたのに、今更になって恥ずかしくなったのでしょうか。
余りにあざといですが、可愛いのでOKです。
「別に、嫌ってわけじゃなくて……逆に落ち着いたっていうか……と、とにかく!」
そこで彼女は逸らしていた目線を戻し、アナタを真っすぐに見つめてきます。しかしその顔は羞恥で赤く、表情は恐怖で僅かに歪んでいます。
「……す、好き、です……。つ、付き合って、く、ください…」
言ったーーッ!! しかし、ここで慌ててはいけません。すぐに返答はせず、思わせぶりな“間”を空けましょう。
「……ぁ」
すると彼女は怯えたような表情で口を開いてくれます。
「そ、そのっ! 私、面倒見は良いし…! それに勉強とかランニングとか色々教えてあげられるし…! アプリで調べてみたけど、顔も平均以上って言われたし…! なんなら、Hな事も少しぐらいなら良いし…!」
聞いてもいないのに自分と付き合うメリットを述べてくれます。見捨てられないよう必死な美少女からしか得られない必須栄養素があるため、しっかりと補充しておきましょう。
「性格も……せ、性格は……」
そこでトーンダウン。表情が怯えから恐怖、諦観へと変化していきます。
「い、いらないよね……感情的で、めんどくさい地雷もあって…。
ストレスにも弱いし……、勘違いとかも良くするし……、胸も小さいし…お尻も大きいし……」
最後2つはデメリットではないような。人によって変わるかもしれません。
「こ、こんな私と付き合う、必要性なんて……」
彼女の瞳から涙が零れようとするその時。
今です! 抱けえっ! 抱けッ! 抱けーーーッ!!
ガバッ!
“そんなこと無い。
しっかりと彼女を抱擁し、そう言い放ちましょう。
抱かれた彼女はアナタの胸に顔を埋めて、背中に手を回してきます。
「ホントに、私で良いの……?」
事実はともかく、自己肯定感の低い彼女。確かめるように、何度もアナタの背中を掻き抱きます。
この期に及んで自分が選ばれないとでも思っている、往生際の悪い彼女に突き付けてやりましょう。
くらえ!
“君じゃないとダメだ”
その言葉がトドメとなったようです。アナタの背中に回っている彼女の手から無駄な力が抜けていきます。逃がしたくない手つきから、愛でるような手つきに。
「……嬉しい」
こうしてはアナタと彼女は愛の誓いを交わすのでありました。
今回の第二種乙ツンデレ攻略はいかがだったでしょうか。かかった時間は4か月と11日。かなり速い方ですね。
以上の様な手順を踏めば、アナタの周りにいる第二種乙ツンデレもイチコロです。気になる人は是非試してみてくださいね。
♢
“
「え? ……ほ、本当に少しぐらいなら……」
ちゅ♡
「……!? なんで……い、いきなりき、き、キス……ん……」
♡ ♡ ♡ ♡♡
「え……ぁ、喉…触っちゃ……ぁん……」
♡♡ ♡♡ ♡♡ ♡♡♡
「ま…って……♡」
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