書記長 岩元胡堂殿

人喰イ高倉家ニ雪女ガ現レタト聞ク。スグニ向イ調査セヨ。

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高倉麗子

氷雪系能力者。財閥で華族のご令嬢。趣味はピアノだが母の実家が文武両道なので薙刀も嗜んでいる。そのため見た目に反し、能力なしでも強い方。年齢は二年生と同い年。


【挿絵表示】



第1話

 

「岩元さーん!聞きましたよ!次は雪女を調査するんですよね!連れてってくださいよ!」

 

原町は天羽を連れた岩元にお願いする。しかし岩元は悩む。

 

 

「原町。君は良いのか?」

「え?」

「だんなー。俺達が行くのはあの高倉家ですよ?」

 

・・・・・・・・。

 

「えぇ!?高倉!?あの人喰い高倉家の!!羅刹の一族高倉家ですか!?」

 

原町のオーバーリアクションには訳がある。行先の高倉家はある意味有名な財閥だ。先代までは普通の財閥だったが、現当主高倉修造は「この世は金が全て」「自分以外の人間は道具」「実の親を追放」等など、恐ろしいことをしでかしている。そのため、高倉家は羅刹の一族。人喰い高倉家なんて呼ばれているのだ。当然、華族出身である原町も

 

 

「う、う~ん。高倉会長かあ。会いたくない……でも雪女に会ってみたいしなー」

 

青ざめながら、行こうか行かないか悩んでいた。

 

 

 

 

東京・高倉家の屋敷

 

 

そこにいつもの三人が立っていた。

 

「あー…なんて噂通りの外見」

「侵入しがいありそうですねー」

「やるなよ。自称《怪盗》」

 

天羽にくぎを刺した後、三人は屋敷に入った。

 

 

 

「初めまして、高倉修造です。原町君は二年前のパーティー以来だね。元気にしているかい?」

 

「は、はい!とっても元気です!(汗)」

 

「そうかそうか。いやー…栖鳳中学に入学したと聞いたときは驚いたよ。あそこは”推薦”じゃないと入れないからね。ご両親も鼻が高いだろうね」

「あー…そ、そーですねー(汗)」

 

妬みが混ぜ込んであった。さすがに原町が可哀そうなので岩元は本題に入る。

 

「高倉会長。この屋敷に雪女がいたというのは本当ですか?」

「……えぇいましたね。病だったのか体は雪となり、溶けてしまいましたが」

 

もっと聞きたいが答えてくれないだろう。とりあえず三人は屋敷を出ることにした。

 

「嘘くさいですね」

「うーん。さすが羅刹の一族」

「いるかどうかわからなくなってしまったな」

 

これからどうしようかと考えていた時だ。

 

「あ、あの」

 

「「「!」」」

 

話しかけてきたのはメモを握りしめた若い女中だ。

 

 

「高倉の使用人ですので詳しく言えませんが、麗子お嬢様に会ってください!」

「麗子?」

「それって一人娘の」

「高倉麗子?」

 

高倉修造には一応奥さんと一人娘がいる。しかし奥さんは先月、事故で亡くなり、娘は母を亡くしたショックで精神を病み、千葉の別荘で静養していると街で聞いた。

 

「別荘の住所です!それでは!」

 

岩元に別荘の住所が書かれているメモを押し付け、女中は大急ぎで屋敷に戻った。

 

 

 

「手掛かりはそのお嬢様ですか」

「ああ。女中さんに感謝だな。原町、その子のこと知っているか?」

「うーん、奥さんは知っていますけど、娘さんには会ったことはないですね。噂じゃ病弱だからとか…両親曰く僕と同い年だそうです」

 

 

こうして三人は麗子がいる千葉の別荘へ向かった。

 

 

 

「あー…高倉家の別荘?ほらあの山奥だ」

 

おじさんは山を指さした。

 

「遠!何里あるんだよ!」

「なんか別荘じゃなさそうですね」

 

天羽の言葉におじさんは「ああ、兄ちゃんの言う通りなんだよなー」と言う

 

「「「?」」」

 

おじさんは説明した。

 

「高倉の先代をあそこに閉じ込めたって話だ。あの嬢ちゃんも静養目的じゃなさそうだー」

 

つまりのんびり休暇を過ごすためではなく、追放した親の晩年の居場所として建てたとのこと。

 

 

「つまり高倉はお嬢様を」

「えー!?捨てたってこと!?」

「早く行ったほうがいいな。お話ありがとうございます」

「気を付けてなー」

 

 

岩元たちは走った。ただの道が少しずつ上り坂になり、周りも木だけになっていく。

 

 

「うわ…こんなところに一人で」

「きっと寂しいだろね」

「! 静かに!」

「「!」」

 

岩元に言われ、静かになる天羽と原町。すると

 

 

ピン♪ ポロン♬

 

 

「ピアノ?」

「まさか麗子ちゃんが?」

「可能性はあるな」

 

 

三人はピアノの音が聞こえた方向へ向かう。少しして日本家屋が現れた。

 

 

ポロン♬ポロロン♪

 

部屋に古びたアップライトピアノを弾いている少女がいた。

 

「いたー!岩元さん!絶対あの子ですよ!」

「原町のだんな、なんでそう言い切れるんですか?」

「奥さんにめちゃくちゃそっくりなの!」

 

それなら彼女は間違いなく高倉麗子だろう。さてどうやって話しかけようかと考えていると

 

ぱき

 

「あ」

「だんな!」

「やべ」

 

止まるピアノの音。

 

 

「誰!?また来たのね!?」

 

 

ゴオオオォォォォォ!!

 

麗子を中心に吹雪が吹き荒れた。

 

「吹雪!?」

「えー!てことはお嬢様が雪女!?」

 

女中の麗子に会ってと言う言葉の意味はこういうことだったのだ。

 

「麗子ちゃん!ちょっと待っ…あれいない!?」

 

原町が慌てて止めようとしたが麗子はいなかった。

 

「だんな危ない!」

「え?」

 

がきん!

 

「あら?受け止められた?」

「な、薙刀!?」

 

彼女の手には氷でできた薙刀があった。

 

「寝てなさい!」

 

バキ!

 

「ぎゃ!」

「原町!」

 

原町がやられた。すると

 

バラバラバラバラ!

 

「痛!雹!?」

 

天羽の頭上から雹が落ちてくる。まだ小さいが結構痛い。

 

「(能力を使いこなしている!だが)咲け 花葬の彼岸花」

 

 

ゴオオオォォォォォ!!

 

「え!?彼岸花!?あ、薙刀が」

 

麗子の周りに咲いた燃える彼岸花。その火力により、氷の薙刀は溶けてしまった。

 

「さて…やっと話が出来るな」

「え?」

 

 

 

***

 

 

「本当にごめんなさい。私ったら、あの男の刺客と勘違いしちゃって…/////」

「いやいや」

「そうなったら仕方がないですよ。ねえ岩元さん」

「ああ。そういう状況なら仕方がないさ」

 

岩元は自分たちは栖鳳中学の生徒で裏では超常現象を調査し、軍事利用可能な人物を誘ったりしていること。噂で雪女、つまり麗子のことを知って会いに来たことを説明した。それを聞いて麗子は慌てて謝罪。原町の顔や天羽の頭を能力で冷やした。麗子が攻撃的だったのは高倉が原因だ。高倉には跡継ぎはいない。妻は故人。娘である麗子は雪女。つまりお見合いなんて絶対できない。なので後妻を娶ればいいのだが、間違いなく麗子が邪魔になる。高倉は麗子を亡き者にしようと刺客を放っていたのだ。さすが羅刹である。

 

「にしても麗子さんは能力を使いこなしているな。訓練でもしたのか?」

「はい。私の母の実家、雪小路(ゆきのこうじ)家は数世代に一人、私のような女の子が生まれるんです。実際にひいお祖母様もそうでした。彼女たちが残してくれた手記のおかげで、普段は周囲が肌寒かったり、料理やお茶が早く冷めてしまう程度で済んでいるのです」

 

 

ちなみに雪女の噂は、母を亡くしたショックで能力が暴走。屋敷どころか周辺まで猛吹雪を起こしたことが原因である。これは本当に仕方がない。

 

 

 

「ところで麗子お嬢様はこれからどうするんですかぁ?」

 

天羽の問いに麗子は考える。

 

「そうですね……これからは高倉家の令嬢ではなく、ただの雪小路麗子として栖鳳中学に行きます。」

 

「わかった。橘城先生にも伝えておこう」

「じゃあこれからはお嬢様じゃなくって麗子ちゃん呼びですね」

「はい!その呼び方すごくうれしいです!」

 

その嬉しい思いが表に出たのかヒラリヒラリとかわいらしい雪が降る。

 

 

『氷雪を自在に操る能力者高倉麗子は華族令嬢ではない、ただの雪小路麗子として我が栖鳳中学へ来ます。彼女は先祖たちが残した手記により、氷の薙刀による近距離攻撃。吹雪による遠隔攻撃が出来ます。能力を使いこなす彼女の存在は隔離施設の皆の向上心をさらに上げることでしょう。とりあえず今の彼女に必要なことは』

 

「うう…さ、さすがに寒い」

「周りが寒いの何とかしないとねぇ」

「きゃー!ごめんなさい!」

「落ち着け。大丈夫だ」

 

そう言って岩元は燃える彼岸花を咲かして周りを温めた。

 

『静馬くんのような特殊装衣を用意することです。』

 

 

後日、栖鳳中学へ来た麗子は矢島たち研究棟の皆に調べ上げられ、特製の襟巻と雪華模様の羽織を身に着けるようになったという。






後日談


『追伸 アイスクリンが食べたいなぁ』
「(橘城先生、願望がただ漏れですよ)」


橘城先生の返事を読んで岩元は呆れる。するとそこに

「あら?岩元さんどうしました?」

麗子本人が現れた。岩元は橘城先生の返事を見せる。

「…『追伸 アイスクリンが食べたいな』。良いですね!さっそく作ります!」
「え」

実はその行動には訳がある。隔離施設の皆は「ただの麗子」として気さくに接してくれた。研究棟の皆はこんなにもすごい襟巻と羽織を作ってくれたので、麗子はお礼をしたいのだ。

「あれ?麗子先輩どうしたんですか?」

新人同士のため、仲良くなった静馬だった。

「静馬くん、アイスクリン作ろうと思っているの!」
「アイスクリン!良いですね!」

キャッキャッと話す麗子と静馬。すると周りの皆も

「麗子ちゃん俺も俺も!」
「俺も食べたいでーす!」
「作ってー!」

食べたがった。

「良いわよ!元々皆の分も作る予定だもの!研究棟の皆に協力を仰ぐからちょっと待ってねー!」

「「「「「「は――――――い!」」」」」」

元気に応える隔離施設の皆。麗子はさっそく研究棟の協力(材料の量、最適な作り方など)を得て、アイスクリンを大量に作り上げた。岩元たち隔離施設、研究棟の皆は「美味しい美味しい」と舌鼓をうつが、機嫌が悪いのがいる。鳩柳先生のせい(曰く女々しい!!)で食べれなかった前線部隊の皆と

「なんで目の前で食べるのよ――――!!(怒)」
「えー?君、食べてくれなかったじゃないか。あー美味しいねー。」
「キ――――!!」

強がったせいで橘城先生に自分のアイスクリンを目の前で食べられた捕虜の英国魔女が居た。

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