ネバーランドから帰ってきた....と思ったらモラリアに飛ばされていたウェンディが気づいたこと 作:留年生リズ
私がモラリアに来てから、もう7年が経った。
色々なことがあった。4年前におじいさんの体調が悪化して、看病の甲斐なく帰らぬ人となってしまった。娘さん(カレンさん)が来て、身内だけで埋葬した。信じられないことに、私もカレンさんも涙が出なかった。カレンさんに自分の住んでいる東京に来ないかと言われたが、断った。ロンドンに帰れる可能性を諦めていなかったからだ。2年前にもう一度ガンダムが現れて、アロウズとかいう組織ができて、アフリカタワーが一度ぶっ壊れた。四ヶ月くらいで元に戻ったらしいけど。何があったのか分からないけど、アロウズは解体されたらしい。
今、私は生活費のために働きに出ている。荷物の仕分けをする仕事だ。はじめは多くミスしたが、もう慣れたものだ……が、毎日せわしなく動き回っているとさすがに体にくる。運良く明日は休みを貰えたので、整骨院にでも行ってマッサージを受けよう。
そう思って眠りについた、その夜の事だった。
「……!…ディ!ウェンディ!」
誰かが私の名前を呼んでいる。少年のようだ。
『!!誰?なぜ私の名前を知ってるの!?』
「やっと会えた!本物に!」
『本物?』
「おっと、まずは僕から自己紹介しなきゃ。
僕はジェームズ。ジェームズ・フック。
ネバーランドから、本物の君を探しに来た。まさかこんなところにいたなんて」
ジェームズ……フック?まさか、この少年がフック船長だというの?
「ウェンディ、君はまだピーター・パンを信じているかい?」
『ええ、あんなことがあったし……』
「結論から言ってしまうと、そのピーター・パンが今、マイケルを狙って行動を起こした」
『……何ですって?』
ピーターがマイケルを狙う?“本物の私”のことも気になって、話が何ひとつ頭に入ってこない。
『待って待って待って、いきなり情報量が多すぎるわ。順を追ってはなしてちょうだい』
「ああ、すまない。僕としたことが、君の言う通り順を追って話せばよかったね。
今からする話は、君に多大なショックを与えかねないから、心して聞いて欲しい。
まず、マイケルの記憶の中では君は“ジョン”と彼とともにロンドンに帰れたことになっている」
『“にせもの”の私が?』
「そう捉えてもらって構わない。だが“にせもの”はそのあとピーターに殺された。君がネバーランドに関する重要な秘密に気づいたからだ」
『ピーターの正体とティンクの粉のことでしょ?それに、ジョンの正体はただの影だったじゃない』
「そうだ。ピーターもそれに気づいて、ロンドンに帰ってから“ジョン”を始末した。“にせもの”に気づかれないように。
その後に、君が秘密に気づいたことを勘づいて、始末した。マイケルにトラウマを残す形で」
『ピーターは殺したのがにせものだということに気づいているの?』
「パラレルワールドであるこの世界に気づいていない限り、気づいてないだろうね。
ここはウェンディたちが生きていた時代から少なくとも400年は経っている。ピーターはまだ僕らの時代の世界しか巡れないから、今は見つかる心配はない」
やはり情報量が多すぎる。理解が追いつかないわ。
「だが時空を超越し、この世界の存在に気づかれれば、ピーターは必ず君を殺しにくる」
『時空を超越って、もしかしてティンクの粉の力を利用するつもり?』
「おそらくそうだろう。ピーターはどんな手段を使っても君を殺すつもりでいるからね。
ほんと、最低だよな……」
『まだ私がいたロンドンに帰る算段も建てられていないのに……』
今更だが、私は自分のいたロンドンに帰ることを諦めてはいない。
私は本当ならこの世界に存在しない人間なのだ。どんなに時間がかかっても、自分のあるべき世界に帰りたい。
次回、ウェンディに衝撃的な事実が伝えられます。
作者はようやく試験が終わりました。