性闘士タク矢   作:ほろろぎ

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最終話 The Beginning

 聖地サンくちゅくちゅアリと女神ピンキーを裏切り、世界制覇の野望を語ったクルルァド財団の総帥TNOK(たにおか)

 その前に、ピンキーに派遣された新たなる一軍性闘士──『デカマクラ座のタドコロ』が現れる。

 

「くそっ……一軍性闘士まで出てこられちゃ、もう逃げらんねぇ……」

 

 TNOKは観念したようにうなだれた。

 

()るならあくしろよ」

「†悔い改めて†」

「待て! タドコロ……!」

 

 とっさに制止の声を上げるタク矢を無視して、タドコロはTNOKの尻に拳を放つ。

 直腸を通して頭脳を貫通したタドコロのフィストによって、哀れTNOKは野望潰え、命を落とすのだった。

 

 タドコロは「あっ、そうだ」と、思い出したようにタク矢に向き直る。

 

「まずタク矢さぁ……ピンキーに命じられた『GOの討伐』って任務、(おこた)ってない?」

 

 野獣のごとき鋭いタドコロの眼光が、言い逃れは許さないとタク矢を射貫く。

 おうすっげぇ……まるで蛇に睨まれた蛙だぜ! タク矢は戦慄する。

 

 それでも勇気を振り絞って、タク矢は訴えた。

 

「……タドコロ、聞いてくれ! GOは、世界を滅ぼすような危険な人間じゃねえ! ずっと一緒に暮らした俺が保証する!!」

「ピンキーの判断を疑うとか、いい度胸してんねえ! 道理でねえ!」

「タドコロ……!!」

「だいぶ肩入れしてるじゃんアゼルバイジャン。そんなに言うんなら、お前がGOを守って俺と戦う……戦わない?」

 

 タドコロの発言に、タク矢は虚を突かれた。

 

 同じ性闘士といえど、一軍のタドコロと三軍のタク矢では、力の差はあまりにも開ききっている。

 勝負になど、なるはずがない。

 

 だとしても……。タク矢には、他に取れる選択肢などあるはずもなく。

 

「マジムカツクなこいつぅ……」

 

 精一杯の虚勢と共に、タク矢はファイティングポーズをとる。

 沸き上がるタク矢の雄宇宙(オスモ)を見て、タドコロは意外そうに彼を見つめた。

 

「はぇ~、(三軍にしては思ったより雄宇宙が)すっごい大きい……」

「全裸になれよ全裸に」

 

 タドコロの黄金性衣(ゴールドユニフォーム)を砕くつもりで、全力のパンチを見舞うタク矢。

 

「(防がなくても)大丈夫でしょ。ま、多少はね?」

 

 タドコロはタク矢渾身(こんしん)の攻撃を、防ぐことはおろか()けることもせず、悠然とその身に受けて微動だにしなかった。

 ここまで歯牙にもかけられないとは思わず、タク矢もたじろいでしまう。

 

「な、なにぃ!?」

「フッ……まぁレベル差エグいからね、しょうがないね」

 

 性闘士は二軍と三軍で「天と地の開きがある」と言われ、一軍と三軍では「拓也と佳也ほどの差がある」と言われているのだ。

 改めて一軍であるタドコロの実力を目の当たりにして、タク矢は恐れを抱いた。

 

「次はこっちからイキますよ~、イクイク」

 

 タドコロの全身から、黄金の闘気が放たれる。

 

「──『王道を征く(キングス・ロード)』!!」

「ぐはぁっ!?」

 

 雄宇宙が、獅子を思わせる鋭い牙となってタク矢の体を、ズタズタに引き裂いた。

 

 これこそが、一軍性闘士タドコロ必殺の技。

 この技によって彼は、周囲から敬意を込めて「野獣先輩」とも呼ばれているのだ。

 

 タク矢は地面の上に倒れ伏し、苦悶の表情を浮かべている。

 

「パワーが違うぜ! ポルシェ並みのエンジンだぜ!」

 

 自身と比べてタドコロの雄宇宙の力強さを比較し、タク矢は打ちのめされた気分になった。

 そんなタク矢に対し、タドコロは思う所があるのか──先輩として一つのアドバイスを行う。

 

「タク矢、お前は確かに雄宇宙に目覚めた。だけど、その神髄にはまだ達していないんだよなぁ」

「雄宇宙の……真髄?」

 

 タドコロは、コクリとうなづく。

 

「人間にはSやMなど、六つの属性に分けられる性癖を持つ。俺みたいな一軍性闘士は、そのさらに上の性癖を身に着けた者がなれるんだゾ」

「そいつは一体……」

「雄宇宙の真髄、それは──第七性癖、『セブンセクシーズ』!!」

 

 師匠であるAKYSにも教わらなかった、性闘士の力の根源が今、白日の下に晒された。

 

「俺を倒したかったら、お前もセブンセクシーズに開眼するんだよ、あくしろ~」

 

 挑発か、それとも指導か。

 タドコロは、タク矢がゆっくりと起き上がるのを待った。

 

「……俺は、GOを……まもるっ!」

 

 タク矢の雄宇宙が、かつてなく高まっていく。

 目の前の一軍性闘士、タドコロに匹敵するほどに。

 

「いいゾ~、これ」

「最後の一発くれてやるよオラ!」

 

 タク矢のペニスから、一筋の流星のごとく、性が放たれた。

 

「タク矢 射精拳ーッ!!」

 

 星の雫のようにこぼれたタク矢のザーメンが、限りなく光速に近づいた速度でタドコロへ迫る。

 ……が、しかし。

 

「マヂエロイぜ、タク矢! でも、それくらいじゃ一軍にはまだ敵わないって、ハッキリわかんだね」

「チキショー! はめられたぜ! 受けにまわってたのにさ、奴は第八性癖にも目覚めてるプロ級マニアだ」

 

 無念。

 タク矢はタドコロの前に今度こそ完全な敗北を(きっ)し、そのままタンクトップをずらされ、ギンギンに勃起した乳首を吸われてしまった。

 

「キシュ! キシュン! キュイッ!」

 

 タク矢の乳首を堪能したタドコロは、残るGOに迫る。

 

「ピンキーの勅命により……御命、頂戴するゾ!」

 

 手刀を振り上げ、GOの首を寸断せんとするタドコロ。

 タク矢はもはや指一本動かせず、友の死を黙って見送るしかないのか……。

 

 その時である。

 タドコロの体が、手刀を振り上げた状態のまま、硬直した様にピタリとその動きを止めてしまう。

 

 否、止められてしまった。

 

「な、なにぃ……! GO、まさか……この雄宇宙は!?」

 

 驚愕に目を剥くタドコロの前で、GOの体から凄まじいまでの雄宇宙が放たれていた。

 それがタドコロの体を、金縛りに合わせていたのだ。

 

「……なんてビッグでグレートな雄宇宙なんだ。すっげぇあったけぇぞ……」

 

 GOの太陽の光にも似た暖かな雄宇宙が、傷つき倒れたタク矢の体を癒すように包み込む。

 

「これ(GOの正体)もうわかんねぇな……お前どう?」

 

 タドコロは、たじろぎながらも眼前のGOに問う。

 お前は一体、何者なのかと。

 

「俺が、神様」

 

 GOは簡潔に答えた。

 

 そう。

 彼こそは全知全能にして全ての神々の父「ゼウッス」の長男……太陽神『アポロオォン』なのであった。

 

「「!!」」

 

 TDN(ただの)の人間だとばかり思っていた青年が、よもや神そのものだったとは……タク矢とタドコロに衝撃が走る。

 

 GOは眼前のタドコロの股間を、おもむろに撫でた。

 たったの一撫ででタドコロの快感は頂点に達し、全身にまとっていた最強を誇る黄金性衣を砕かれながらぶっ飛び射精。

 

「イキスギィ!」

 

 自らが倒したタク矢と同じく、野獣もまた地に伏した。

 そんな地を這う虫けらのような二人を見下ろしながら、GOは宣告する。

 

「じゃあ俺、ちょっと今から人類滅ぼすから」

 

 痛む体を支えるようにして、タク矢が声をかける。

 

「GO……一体なにを言ってんだ……!?」

「いやそんな驚かないでよ。人間はいつまでも同属同士で争いを止めないから、ちょっとワッーってやって、んでパパパッと滅亡して、オワリッていう感じ」

 

 戦争や暴力で人間同士の(いさか)いは絶え間が無い。

 今また目の前で行われた性闘士同士の戦いもあって、GOことアポロオォンはついに人間という存在を見限ったのだった。

 

「……ピンキーは、GOが自分の兄であるアポロオォンだと気づいていたんだ。だからタク矢……こうなる前にピンキーは、お前に人間だったころのGOの討伐を命じたんだゾ……」

 

 タク矢の横で逝きそうな涅槃顔を浮かべながら、タドコロが女神の真意を明かす。

 すべては地上を守るための、非情な決断だったのだ。

 

 それを知ってタク矢は──

 

「俺には、それでも……GOを倒すなんて出来ねぇ……。GOは、俺の唯一の……友達なんだよ!!」

 

 慟哭(どうこく)するタク矢。

 両目からあふれた涙は、メッシュ状のゴーグルの隙間から滝となって流れ落ちる。

 

「大丈夫だって安心しろよ~。タク矢さんだけは、生かしておいてあげるから」

 

 そう言って、GO──否、アポロオォンは太陽の化身としての力を発揮。

 頭上に、この地上を消し飛ばしてしまえるほどの、まさに太陽のごとき超巨大なエネルギーの球をつくり始める。

 

「(無力な自分が)頭にきますよ」

 

 タドコロは観念して目をつぶった。

 自らの不甲斐なさを呪いながら。

 

 アポロオォンのつくり出したエネルギー球の影響で、地上のいたる所でパニックが起きた。

 (これはある意味で)創造です。そして地は割れ、大地は震えるだろうね。

 

 逃げ惑う人々をしり目に、アポロオォンは腕を振り下ろそうとする。

 その腕の動きに連動して、エネルギー球は地上へと降り注ぐのだ。

 

 が、彼は突如として腕を下げるのを止めた。

 

「……タク矢さん、退いてくれ」

 

 アポロオォンの前に、両腕を広げて地上全てを守ろうとする姿勢のタク矢が立ちはだかる。

 

 タク矢の体にはもはや性衣は無く、血が流れ傷だらけの身体はフラついてさえいた。

 それでも尚──タク矢はその身を盾として、神の前に立つ。

 

 が、彼が守ろうとしていたのは、地上の人々ではない。

 タク矢の守りたい相手は、たった一人だけだった。

 それは……

 

「GO、お前だ」

 

 アポロオォンの表情がわずかに歪む。

 

「俺を守るって、なにから……」

「殺しだ。俺はお前を、人殺しにはさせない。殺人という童貞から、お前を……まもるっ!」

 

 神をも愛するタク矢の頭上に、柔らかな黄金の輝き(・・・・・)が降り注いだ。

 タドコロはその光の放たれる先を見て、驚愕と共に叫ぶ。

 

「あ、あれは……俺の兄貴である『野獣大先輩』がまとっていた……『超クソデカ枕座の黄金性衣』!?」

 

 それはすべての性闘士の中でも、もっともK()B(暴力)S(セックス)!に優れた男の遺品。

 主亡き今となっても、この鎧に残った気高き魂が……奮い()つ闘志おとろえぬタク矢を助けんと、かつてない窮地に駆けつけてくれたのだ。

 

 超クソデカ枕座の性衣が分解、傷ついたタク矢の体を抱擁するように装着されていく。

 

「大先輩……アンタは死して尚、敵対する神でさえ守ろうとするのか……!」

 

 兄の意思を汲んだタドコロがむせび泣く。

 

 黄金性衣をまとったタク矢は、しっかりと両足で地面に立ち、友であるGOの前に塞がる壁となった。

 

「タク矢さん……、(邪魔しないで)おとなしくしろ! (さもないと五体を引き裂いて暗黒の異次元に)バラ撒くぞこの野郎!!」

「だ↑ま→れ↓。つべこべ言わずに(俺の元に帰って)来いホイ」

 

 タク矢の雄宇宙が限りなく燃え上がる。

 その背後にはタドコロの、師匠AKYSの、そして女神ピンキーの送る雄宇宙の増援もあった。

 

「勃ち昇れ! 俺の雄宇宙よ!!」

 

 タク矢は天を翔ける流星のごとく、一筋の閃光となって友の元へ飛んでいった。

 

 人と神の、愛ゆえの戦いの決着は、果たしてどうなるのだろうか……。

 大いなる物語はまだビギビギビギニング──始まったばかりだ。




 タクヤさんの未来にGOD BLESS YOU。
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