妖精の尻尾のリュウさん   作:ただの馬鹿

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凶報届く

X784年。年末。

 

マカロフをはじめとした中枢メンバーが試験のために天狼島へ旅立った翌日。

 

それ以外のメンバーはギルドの中で、誰が新しいS級魔導士になれるかという予想で盛り上がっていた。

 

「今年は誰が合格すんだろうなー」

 

「やっぱフリードじゃねぇか? あの中じゃ抜きん出てるしな」

 

「いや、ジュビアちゃんだろ。前はS級だったし」

 

「カナには今度こそ受かってほしいよなぁ!」

 

「グレイも、エルフマンも負けてねぇだろ。実力はトップクラスだ」

 

「「レヴィに決まってるぁ!」」

 

「う~ん、分からないわね~。今年は特に7名で多いし」

 

「ん? 8名じゃなかったか? あれ、7名か?」

 

「ナツはどうだ?」

 

「可能性はあるだろが…………あいつがS級って、似合わねぇな」

 

「ちげぇねぇ」

 

「「「あっはっはっはっはっはっは!!」」」

 

今日もまた、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は賑わっている。ナツを筆頭とした騒がしい面子はいないから、幾分か穏やかな雰囲気ではあるが、誰しもが酒場で談笑したり、依頼板《リクエストボード》で依頼書を物色したりする光景はいつも通りのものだった。

 

彼女がまた、カウンター席でいつものお酒を飲んでいるのもいつも通りだ。

 

いつも通りの妖精の尻尾(フェアリーテイル)。ここに今日の昼頃か夕方には試験のメンバーも帰ってきて、新しいS級魔導士の祝宴や不合格になってしまった者の残念会でも開くことになるだろう。

 

誰しもがそう思っていた。

 

 

 

「おい!! みんな聞いてくれぇぇ!!!」

 

ギルドの一人が朝刊をぐしゃっと握りしめて状態で駆け込んできた。息を切らしながら、ギルド全体に響き渡る絶叫で衆目を浴びたその者の表情は蒼褪めていて、ただ事ではない様子だった。

 

「なんだなんだ」

 

「おい、二日酔いか~? ここで吐くなよ」

 

「大丈夫~?」

 

他の者たちはのほほんと声をかけるだけで、その様子を深刻に受け止めていなかった。

 

しかし、その者が手に持っている朝刊を広げて、一面を見せながら、悲鳴のような叫びをあげると、他の者たちも非情な現実に直面せざるを得なくなった。

 

「し、試験に行ったみんなが、みんなが行方不明なんだよおおおぉぉおお!!!」

 

「「「「「はあ!!!????」」」」」

 

「な、なに言ってんだよ……噓つくんじゃねぇ!!」

 

「エイプリルフールじゃないんだよ!?」

 

「馬鹿も休み休み言えよ!!!!」

 

そう言って、朝刊に群がり、そこに大々的に掲載されている一面を見ると、誰しもが言葉を失った。

 

 

 

『フィオーレ一の魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)が迎えた破滅の一日!?』

 

X784年12月16日未明、フィオーレ最強と名高い魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)第3代目ギルドマスターマカロフ・ドレアー氏を始め、10名強のメンバーの行方が不明となった。当時、当ギルドの保有する島(通称天狼島)にて、S級魔導士昇格試験のために集結していたが、天狼島ごと消滅し、生死不明で消息を絶った。現在生存者は発見されず。情報が錯綜しており、闇ギルドの襲撃や魔物の大発生、伝説の生物の降臨や異常気象による沈没等、憶測が後を絶たないが、評議院からの正式発表はまだない。当試験ではギルドの中核メンバーが集まっていたが、今回の事件で欠員となるとギルドの権勢や実力は大きく後退することとなる。この日がギルドの破滅の一日となってしまったのか。

 

 

 

青天の霹靂だった。好き勝手書かれている記事に憤慨する気力もなく、ただ情報が理解できずに茫然自失とするしかないギルドの魔導士たち。誰しもが、その現実を理解することを拒んでいた。さっきまで、誰がS級魔導士になるかで盛り上がっていたはずが、全員が島ごと消え去って生死不明になったなんて現実味がなかった。

 

打って変わって静まり返る。息苦しいほどの沈黙がこの場を支配した。

 

 

 

そこに来客が訪れる。

 

「失礼します。我々は評議院の者です。私は第四強行検束部隊隊長ラハールと申します」

 

眼鏡をかけた理知的な印象の男性がギルドの門扉から複数名の隊員を引き連れながら中へと入ってきた。ところどころ髪が乱れ、汚れも目立つ身なりをしており、着替えもせずに訪問してきたことが分かる。

 

「おいおいおい! 評議院様が何のようだぁ!!? こちとら相手にしてる暇なんてねぇんだよ!!! それどころじゃねえんだ!!!」

 

急変する事態に混乱しているなか、年長者としての責任からマカオが前に出てきて相対する。元より評議院との相性は良くなく、更には大切な仲間たちの生死が分からないという状況でしゃしゃり出てきたことに心が落ち着かないまま喧嘩腰になっていた。

 

「いえ、既にご存じみたいですね。まさにその件についてなのです」

 

ラハールの言葉に、マカオたちが面を食らってその顔を凝視する。敵意さえ混じる視線を受けて、ラハールは滔々と語りだした。

 

「お話いたしましょう。昨日、一体何があったのか」

 

それから、試験中に起きた出来事が語られた。

 

天狼島にて行われた試験中、試験メンバーは襲撃を受けた。敵の名は悪魔の心臓(グリモアハート)。バラム同盟の一角である最大の闇ギルド。

 

「はあ!? 悪魔の心臓(グリモアハート)ぉ!?」

 

「嘘ついてんじゃねぇよな!?」

 

「はい」

 

「なんでそいつらが襲ってくんだよ!?」

 

「…………」

 

「それじゃあ、みんながいなくなっちゃったのも?」

 

「いえ。それとは別の理由からです」

 

悪魔の心臓(グリモアハート)自体は、試験メンバーの奮闘によって撃退ができた。悪魔の心臓(グリモアハート)という巨大な闇ギルドに限られたメンバーで奮戦し、死者を出さなかったのは奇跡に近い。綱渡りのような死闘の連続だったが、結果として悪魔の心臓(グリモアハート)は壊滅し、バラム同盟に大きな罅を与えることに成功した。これは成果だとして、マカオたちに伝えた。

 

なお、ラハールは秘匿すべきことは伝えなかった。評議院がここまで素早く情報を入手できた理由、つまり、天狼島の周囲に船舶を派遣して監視していたという、半ば当事者であったということは秘密にした。試験に介入できた理由であるドランバルドの存在と能力は、評議院でも重要で、おいそれと明らかにはできない。当の本人は罪悪感から自室に籠っているし、ラハールとしても、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の弱みを握ろうとしたことの片棒を担いだことを恥じている上で、隠そうとした上層部の判断に逆らえないことを心苦しく思っているが、自白することは認められていない。

 

さらには、悪魔の心臓(グリモアハート)が天狼島を襲撃したのは、天狼島にいた黒魔導士ゼレフの存在だ。魔法界の歴史と秩序に黒い影を落とす根源である彼は、存在しているという情報自体が悪影響を及ぼす。徹底的な緘口令が敷かれており、評議院も情報統制を行おうとしている。

 

だが、天狼島が消滅したのは、悪魔の心臓(グリモアハート)でも、黒魔導士ゼレフの仕業でもない。

 

悪魔の心臓(グリモアハート)を退け、一時の安息の後に訪れたひとつの伝説が、天狼島ごと試験メンバーを破壊してしまった。

 

それは、世界に終末を齎す黒き翼。黙示録に記されし暗黒の竜。

 

「アクノロギア」

 

「アクノ、ロギア?」

 

「なんだよそれ!?」

 

「私、知ってる! 大昔に一頭だけで国を滅ぼしたっている伝説のドラゴン!」

 

「ドラゴン!!? 実在したのか!!?」

 

「なんでそんなやつがみんなを!?」

 

「本当なのか!!?」

 

「ええ、私はしかとこの目に焼き付けました。アクノロギアの咆哮が、島ごとみなさんの仲間たちを……跡形もなく…………」

 

パリィン、という甲高い粉砕音が、絶句していた全員の耳に届いた。

 

音が発生したのは、少し離れたカウンター席。

 

そこに座っていた彼女が、手に持ったグラスを握り潰し、砕けたガラスの破片がカウンターに散らばっていた。手には琥珀色の液体と、真紅の血液が入り交じりながら、彼女の白い素肌を汚している。

 

「りゅ、リュウさん…………?」

 

みんなが集まっているところからはカウンター席に座る彼女の顔を見ることはできない。どんな表情を浮かべていたのか、それは誰にも分からなかった。

 

握りしめていたガラスの破片がそのまま更に粉々になって、滴り落ちる液体ごと消えてなくなり、傷跡も治癒されて、カウンター席から立ち上がった姿は何も起きなかったかのように平然としている。

 

こちらに向き直った表情もいつも通りの微笑み顔だったが、得も言われぬ圧力を感じて、誰も彼女に声をかける者はいなかった。

 

「ラハール坊」

 

「は、っはい」

 

「これから評議院はどう動くのかな?」

 

ラハールもまた、評議院にて世話になっている彼女がいつも通りの様子で質問してきたことに、有無を言わせないような圧迫感を感じていた。

 

ラハールはまだ上層部の判断の全てを聞いていないので、評議院の方針は分からないが、脳内の知識を回転させて、予測を口にした。

 

「……おそらく調査隊を組んで天狼島近海の調査を行うでしょう。そして、正式にこの事件の見解を発表し、スタンスを決定します。以降は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)にどう接するかは分かりませんが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)分のクエストノルマの緩和や、ギルド負担金の減免及び運営費の補助金支給や独自調査を行う場合の助成金を支給することになります。ですが、それ以上の支援は組織への不介入原則を理由に行わないと思います。大変、申し訳ないのですが……」

 

「なるほどねぇ。なら後で改めて、評議院の方針や法令・制度の要綱一覧を送ってくれないかい? ここから私たちも大変だろうからねぇ」

 

「それはもちろん。リュウ先生の頼みであれば」

 

ギルド側に二人の会話を正確に把握できたものは少ない。ほとんどが魔導士として依頼を元に生計を立てている者ばかりで、評議院との交渉やギルドの運営事務についての知識を持ち合わせていないからだ。

 

だが、ラハールが次に言った内容はすぐに理解した。

 

「それと、次のギルドマスターを選出することを求められると思います」

 

「は、はあああああ!!?」

 

「なんだよ、次のマスターって!! マスターは死んじゃいねえって! 死ぬ訳がねえんだ!」

 

「てめえ!!? 喧嘩売ってんのか!?」

 

一人の魔導士がラハールの胸倉を掴みかかる。ラハールの後ろにいた隊員がぎょっとして対抗しようとするが、ラハール自身は抵抗することはなかった。

 

一触即発のピリピリした空気になるが、彼女が仲間の暴挙を制止した。

 

「よしなさい」

 

「っ……リュウさん…………!」

 

「気持ちは痛いほど良くわかるよ。でも、無関係の子を殴ったらダメ。手も心も痛くなるだけで、気が晴れることなんてないんだから」

 

「…………」

 

ラハールの胸倉をつかんだ手を離し、力なく腕を垂らす姿に目を細めながら、彼女はラハールに語りかけた。

 

「ラハール坊。今日のところは帰ってくれないかい? 事情は良く分かった。ラハール坊もちゃんと眠れてないんでしょう? 目の隈がひどいよ?」

 

「いえ、私は……」

 

「私たちも君たちも、まず落ち着かないといけない。とにかく今は一刻も早く状況を伝えにきてくれて助かったよ。だからまずはちゃんと休養を取りなさいな。私はラハール坊たちを責めるつもりなんてないんだから」

 

ラハールは彼女の暖かい言葉でかえって心がかきむしられた。

 

ラハールは厳格で正義を重んじる性格であり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のことは好ましく思っていなかった。だからといって、今回の被害を被った妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーたちを報いなどと揶揄する気持ちになんてこれっぽちもなれない。ラハールは品行方正だからこそ、揚げ足取りに向かって、結局無力で何もできなかった自分たちのことを何よりも恥じている。

 

特に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)でも、特別面倒を見てもらっている彼女にこのような報告をしなければならず、更には逆に励まされてしまったことで自己に対する失望の念が強くなった。

 

「ああそれと、魔法契約書(コントラクトスクロール)の講義は無期限で停止にするから、悪いんだけどラハール坊もそのつもりでお願いね」

 

「…………はい。それは当然でしょう。それでは、私はここで失礼します」

 

ラハールは彼女に顔を合わせる気力も失って、すごすごと評議院へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

ラハールが退出していった後のギルドは騒然としていた。

 

未だに現実を受け入れられない者。少しずつ理解していき不安に陥る者。冷静になって今後の身の振り方を考える者。どうしようもない感情が行き場を失って、物に当たったり、言い争いになったりする者。

 

和気藹々としたギルドとは一変した、殺伐とした空気が蔓延している。

 

そんな中、彼女を中心として、年長者たちで形成された輪がギルドの今後を話していた。

 

彼女を筆頭に、マカオやワカバといった古株の中年魔導士による緊急会議だ。

 

「さて、大変なことになったけど、これからもっと大変になる。やるべきことをやらないといけないからねぇ」

 

「で、でもよお。リュウさん。そもそも本当にあいつらは消えちまったのか? いくら評議院の言う事とはいえ、俺ぁ信じらんねぇ……」

 

「もちろん私たちも調査隊を編成して、自分たちで確認しないといけないさ。ハルジオンの漁業組合や海運業者にも協力を願い出ることにするよ。まずは今日は連絡を入れて、明日からでも動けるようにねぇ」

 

「マスターもいねえんじゃ、ギルドなんて回りっこねぇよ」

 

「そこもきちんと対処しないとねぇ。ギルドマスターが急に不在になった時には、一定期間の猶予が設けられて評議院から補助金が出る。それを使いながら、少しずつ抱えている案件を処理したり、他のギルドに回したりして凌ぐことができる。運営や事務は私が教えるから、マカオ坊やワカバ坊は裏方に集中してくれないかい?」

 

「お、おお…………」

 

そこからも彼女はテキパキと指示を出していく。

 

ギルドマスターが不慮の事態で行方不明になった、死亡してしまった場合またはギルドメンバーに大規模な欠員が出た場合は、混乱するギルドを建て直す猶予期間において、評議院からの義務免除や支援制度が活用できる。

 

その猶予期間で、ギルドの職掌や運営体制を大きく変革させないといけない。

 

現在抱えている依頼を的確に割り振って、あるいは他のギルドに譲ったりして減らしていかないといけない。受け持った依頼を放置し続けてしまうと違反金が課されてしまう。

 

マカロフをはじめとして、S級魔導士や事務仕事にも精通していたミラジェーンが不在となると、ギルドの運営は大きく滞ってしまうため、今いる魔導士を裏方に回して、事務仕事をさせる必要がある。場合によっては、他のギルドから事務員を派遣してもらう必要も出てくるだろう。

 

評議院との折衝や他のギルドとの交流、マグノリアの街との関係維持もこれから継続していかなければならない。早めに対応窓口や新しいギルドマスターも内定させないといけないだろう。恐らく、評議院からも催促されるはずだ。

 

ギルド内部の統制も見逃してはならない。今もなお、仲間同士で言い争い、秩序が崩れる傾向が見られている。喧騒はいつもの話だが、今のただならぬ雰囲気は良くない諍いを生みかねない。将来を不安がる魔導士たちを宥め、ギルドの綱紀粛正を図る必要がある。恐らくこれから、多くの脱退者を出してしまうだろうが、少しでも不和を無くすようにしないといけない。

 

もちろん、天狼島調査は継続して行うことは当然のことだ。各種機関や他のギルドに協力を要請し、評議院からの支援をフル活用していく。恐らく、長期的な調査になるだろう。

 

彼女は、動揺している面々の尻を蹴り上げるように、次々と説明し、指示を出していく。

 

「今のところは以上かねぇ。後はラハール坊からの資料を確認して逐次説明していくからね。みんな覚悟しなさいな。これからギルドを守っていかないといけないからねぇ」

 

「…………」

 

「さて、それじゃギルドのみんなに説明するとしようか」

 

泰然とした様子で、彼女が淡々と対応していた様子を見て、ギルドメンバーに声をかけようとした彼女に対してマカオは思わず聞いてしまった。

 

聞いてはいけない、聞かなくても分かるようなことを聞いてしまったのだ。

 

「なあ、リュウさん。あいつらがもう、帰らねぇって思ってんのか?」

 

聞いた直後に後悔した。

 

そんなマカオにふっと微笑んで、彼女は答えた。

 

「帰ってくるあの子らのためにも、ギルドを守って迎えないといけないからねぇ」

 

当然のことだ。

 

今いる奴等で、試験メンバーの無事を誰よりも信じているのは彼女だ。

 

それに彼女も動揺していない訳がないのだ。天狼島が消えた経緯を聞いた時の彼女の様子をマカオは強烈に記憶している。あんな風に物に当たるような人ではない。どこまでも優しくて、寛容で慈悲深い彼女がグラスを破壊するなんてよっぽど動揺していたに違いないはずだ。

 

彼女も不安な筈だ。けれども、それを押し殺して、ここにいる誰よりも年長者であり、S級魔導士でもあるから、ギルドを守るために精一杯気丈に振る舞っている。

 

ここにいる年長者は仲間思いの彼女を疑ってしまったことを自省し、自らを奮い立たせた。既にもう中年なのに、彼女におんぶにだっこじゃ格好がつかない。彼女と一緒に、あいつらが帰ってくる場所を守り続けるのが自分たちの責務だと見定めた。

 

彼女がギルドメンバーに話しかけるのを見ながら、マカオたちはそう決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は暗黒期を迎えたと言っていい。

 

試験に向かった中核メンバーを欠いたギルドは実力が大幅に減衰し、権威は失墜した。フィオーレ最強の魔導士ギルドという名誉も過去のものとなり、凋落の一途を辿ることになる。

 

回ってくる依頼の数も減り、脱退者が続出して抱える魔導士の数も減った。ギルドの財政も火の車で低空飛行を続けている。

 

だが、4代目ギルドマスターマカオとマスター補佐ワカバの体制のもと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の存続は辛うじて保たれていた。薄氷の上でギリギリだったとはいえ、確かに存続していたのだ。

 

天狼島が消滅してから7年間。残されたメンバーは信じて待ち続けた。必ずその帰りは訪れると信じて。

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