ハァイ、フリーレン!   作:失踪のフリーレン

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ハァイ、フリーレン その2

──────とある昼の日。

 

 フリーレンは宿のベッドの上で最悪に近い目覚めをしていた。

 頭は痛いし目はしょぼくれているし全身がだるい。

 

 まあ、そうなっているのはここ数日日が昇る寸前位まで夜更かししていたフリーレンの自業自得であるのだが。

 

 フリーレンは大きくため息をつくとベッドから起き上がる。流石にこの時間から二度寝に洒落込んだら、次目覚めるのは夜中になるだろう。

 フリーレンは体を引きずるようにベッドから出ると、洗面所へと向かう。

 

 顔を洗って眠気を覚まし、服を着替えたら食堂へ向かおう。

 そう考えてフリーレンは洗面台へと向かい── そこでふと鏡に映る自分の姿が目に入る。

 その姿を見てフリーレンは思わず顔をしかめた。

 

(・・・・・・ひどい顔だ)

 

 鏡に映っているのはひどく疲れた顔をした自分だった。目元にはクマがあり肌も荒れて髪は爆発している。

 

 フリーレンは無言で鏡から視線を外し身支度を整えながら考える。

 

 流石にこれ以上堕落するのは不味いのではないかと・・・。

 

 ペニーワイズを召喚してから旅の快適度合いが劇的に改善したのは事実だ。

 朝起きたら街や村に居るとき以外は焼しめたガチガチのパンを食べてたのが嘘みたいに毎日焼き立てのふわふわのパンが食べられる。

 夜になれば彼は睡眠の必要がない為野営時の寝ずの番も要らない、そして風雨や害虫などを防ぐ結界のようなものを張り快適空間を作成する。

 

 街に滞在した場合は広場にて芸を披露し子供たちを喜ばせつつおひねりを貰い路銀を稼ぐ。

 最近に至っては噂を聞いた領主の館に呼ばれて金貨や魔導書を対価に持ち帰って来たりと経済状況は一時期借金を考えていた時期に比べるとかなり改善していた。

 

 だが、それと比例するようにフリーレンの堕落は進んでいた。

 このまま堕落しきってしまえば自分はダメになる気がする。

 

 実際どんな医者すらも匙を月にまでブン投げるような状況くらいまで手遅れになっている状況にどうにか打開策を考えようとしている中、元凶が現れた。

 

 「ハァイ、フリーレン。オイラが居なかった間大丈夫・・・じゃないね・・・・・・」

 

 そう言いつつ指を鳴らすと散らかっていた部屋が瞬時に片付いていく、本当に魔族じみたでたらめな魔法を使う。

 

 そんなことを考えているとペニーワイズはフリーレンの近くまで来ると

 

「そんなお疲れのフリーレンにおススメの魔導書があるんだ。体内の代謝を良くして疲れが取れやすくなる魔法なんだけど」

 

 ペニーワイズはそう言うとフリーレンに一冊の本を差し出す。

 

 正直受け取りたい。だが理性はこれ以上堕落をしてはいけないと語り掛けてきている。

 

 ペニーワイズはフリーレンの葛藤に気づいているのかいないのか 微笑みながらフリーレンに話す。

 

「どうしたんだいフリーレン、いつもなら『むふー』って感じで来るじゃないか」

 

「え、あ・・・うん・・・でもこれ以上戻れなくなりそうで」

 

 ペニーワイズはフリーレンに近づき、片膝をついてフリーレンの目をのぞき込みながら優しい声で語り掛ける。

 

「遠慮しなくいていいんだよフリーレン・・・・・・もっと甘えていいんだ。使い魔っていうのはそういうものなのは君が一番よく知っているだろう?」

 

「う・・・うん・・・。でも本当にいいのかな」

 

「ああそうだ・・・。甘えていいんだフリーレン・・・それこそヒンメル達にも甘えて良いんだよ・・・」

 

 フリーレンの手がペニーワイズの手にある魔導書へ伸びていく──

 

「そして少しずつ始めていこう・・・」

 

ペニーワイズの雰囲気が変わる。

 

 

「人間に関わって知っていく旅をね!!」

 

  

 

 

◆◆◆

 

 

フリーレンは甘やかされた。

だがゆっくりではあるが今まででは反応しなかったであろう小さな出来事にも反応するようになり表情が豊かになった。

 

またヒンメルは死んだ(不整脈)

好きな人がコロコロと表情を変えるようになったのを目の当たりにした彼の心臓が限界を迎えたのだ。

これがゾルトラーク(ヒンメルを殺す魔法)の起源と現在では通説となっている(ミンメイ書房刊─「最も勇者を殺したもの」より)

 

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