(今日もどうにかしてデスクの前にたどり着いた)
(ところまでは良かったんだけど⋯)
トキ「おはようございます、先生。」じー
"どちら様ですか?"
トキ「私の事、お忘れでしょうか?あの日バスジャックを共に撃退した事も、初めてシャーレに来た日に中庭で犬と戯れる私との出会いも。」
"捏造か、そうでないなら誰かと勘違いしてるね。"
トキ「冗談です。」
トキ「本日付でミレニアムサイエンススクール Cleaning & Clearing よりシャーレへ赴任しました、飛鳥馬トキと申します。以後お見知りおきをいただければと存じます。」
"ええっと、状況が呑み込めないんだけど。"
暇になった事、
考えた結果先生を新しい主としてお仕えしようと思った事、
追い返されそうになったら原因を先生に押し付ければ何とかなると思った事、
上記の内容を淡々と告げてきたトキ。
トキ「説明は以上です。何かご不明な点はございますか?」
"うーん、あまり納得はいかないんだけど今はそれどころじゃないからね…しばらくの間よろしくお願いするよ。"
トキ「ありがとうございます、早速ですがお掃除などのご依頼は如何でしょうか?」
周囲を見渡しながら提案をしてくる
"汚くてごめんね、最近忙しくて掃除もろくに出来てないんだ…"
事務作業は元より復旧作業で外出の機会が増えた結果、衣類は散乱しやキッチンには洗い物が溜まっており、滅多に行かない場所にはホコリが積もっている。
トキ「掃除こそメイドの本業、お任せ下さい。」
そう言うと付近の洗濯物を拾い始めた
"さて、私も仕事に取り掛かろうかな。"
朝何も口にしていないせいで体が思うように動かない、せめて珈琲位は取ってこようかと思った時
トキ「珈琲をお持ちしました。一緒に朝食もご用意しましたが、既にお済みでしょうか?」
目の前にサラダとトーストが差し出される。
"まだ食べてないよ、でもどうして?"
トキ「朝お会いした時から眠そうでしたので、朝食は先生の噂からお作りしました。」
"流石はメイドさんだね。"
トキ「お褒めいただき光栄です。」
久し振りのマトモな朝食を堪能している、が。
トキ「」じーっ
"トキ?"
トキ「はい、おかわりでしょうか?」
"いや、後ろからずーっと見てるけどトキは食べないの?"
トキ「メイドが主人と一緒に食事を取ると?」
"確かにメイドではあるけどその前に生徒の一人だよね、一緒に食べようよ。"
トキ「私なら既に朝食を取ってありますので、お気遣い感謝します。」
"もう食べたなら良かった。"
トーストをおかわりして作業に戻る、いつもと違う味わいの珈琲を飲みながら書類に四苦八苦していると。
トキ「掃除完了しました。」
"早くない?"
トキ「それほど広くありませんし、後は洗濯物が乾くのを待つだけですので。メイドとしては差し出がましいのですが、書類作業のお手伝いは如何でしょうか?」
"出来るの?"
トキ「以前の職場では日常的に行っておりました。」
"じゃあお願いしようかな。"
トキ「ではこの山を、机をお借りしますね。」
結構な量持っていったけど大丈夫だろうか
心配していても自分の仕事が終わらないので目の前の書類に向き合う。
2時間ばかり経過した時
トキ「次はこちらの山を持っていきますね。」
"嘘でしょ?"
トキ「先生の承認が必要なものは寄り分けましたが、残りの書類は片付きました。不安でしたらご確認下さい。」
"…凄い、完璧だ。"
トキ「ありがとうございます。」
私がやるよりしっかりとしている。
トキ「ではこちらに取り掛かりますね。」
そうしてトキに手伝ってもらう事5時間、溜まっていた書類が全て片付いた。
実際は3/4をトキにやってもらった訳だが。
トキ「お疲れ様です先生、珈琲をどうぞ。いま夕食をお持ちしますので少々お待ち下さい。」
"いつ作ったの???"
トキ「煮物とお味噌汁なので様子を見ながら仕事をしていました。」
珈琲を飲みながら待っていると
トキ「お待たせいたしました。」
ご飯・豆腐とわかめの味噌汁・煮物・サラダ
が目の前に置かれる。
しっかりと味の染みた煮物はご飯が進む、夕食にお味噌汁なんていつぶりだろう
トキ「」じー
"トキ?"
トキ「おかわりでしょうか、たくさんございます。」
"やっぱり一緒に食べない?"
トキ「以前仕えていた主人とは別々に食べていましたし、やはり主従関係をハッキリさせておいて損は無いかと。」
"誰かと一緒にいるのに別々で食べる方が私は嫌かな。"
トキ「…かしこまりました、今持ってきますね。」
あまり納得はしていないようだ。
静かな夕食を終えシャワーを浴びようと思っていると
トキ「先生お風呂の準備が出来ていますが如何なさいますか?」
"お風呂まで!?"
トキ「先程夕食を準備する前に沸かしておきました。」
"凄すぎる…"
気付かないうちに全ての世話をされている、流石はc&cのメイドさんだ。
"じゃあお風呂に入ろうかな。"
トキ「かしこまりました。」
"はぁ~、久しぶりのお風呂だ。"
逸る気持ちを抑え頭を洗う。
"最後に湯船に浸かったのいつだっただろう。"
等と過去に思いを馳せていると、
トキ「先生、お背中を流しに参りました。」
"トキ!?!?!?"
トキ「どういたしました?」
前はタオルで隠しているが裸のトキが入ってきた。
"まずいって!"
トキ「主人の体を洗うのはメイドの勤めです、さぁお背中を、さぁ。」
"ひえぇ…"
一悶着あったものの押し切られてしまった。
トキ「先ずは腕を洗いますね」ゴシゴシ
虚空を見つめる
トキ「次に背中、前と。」ゴシゴシ
虚空を見つめる
トキ「こちらも洗わないと」
トキのタオルがインベイドピラーに回される
"そこは駄目!! "
トキ「かしこまりました。」
その後何故か一緒に湯船に浸かる
"普通主人と一緒にお風呂入らないと思うんだけど。"
トキ「先程伝えた通りメイドは主人の背中を流すものです。日頃の疲れからか、先生がお風呂で倒れないか不安なのもあります。」
トキ「それより先生、肩まで浸かった方が宜しいのでは?」グイッ
トキが自身の方に先生を引っ張る
"ちょっ"ポヨンッ
そのままトキの胸元に先生の頭が収まる。
昔母親とお風呂に入った記憶が蘇り、安心感からのぼせてしまう
トキ「先生、お風呂は布団ではありませんよ?」
""ブクブクブク
トキ「やはり疲れが…」
"ん…ここは?"
トキ「仮眠室です。」
"さっきまでお風呂に入ってたような…"
トキ「お風呂で寝てしまったのでこちらにお運びしました。厳密には気絶ですが。」
"ごめん、ありがとう。"
トキ「やはり先生を1人にしておくのは危険だと判断しました、私が毎日お世話します。」
"至れり尽くせりで駄目になりそう。"
とはいえ命を助けられたのは事実、無下に断ることも出来ない。
"これからよろしくお願いします。"
トキ「こちらこそよろしくお願いします。」
こうしてメイドさんとの生活が始まった。
To Be Continued⋯