ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会・笑顔を信じる者たち 作:光になりたい男
…いや笑えんな。
気がつけばもう4ヶ月ほど経ってますね。何してたんでしょうか僕は。しかも一話から二話の間が。本当に申し訳ないです。
このレベルの亀更新だと思いますので、気長に待っていただけると幸いです。
お詫びと言ってはなんですが、今回15000字です。
…シンプルに前回書いたときに欲張りすぎただけです。ごめんなさい。
俺たちが、スクールアイドルという存在と初めて邂逅してから十数時間、帰宅してから夜を越して翌朝。
セットしておいたアラームで俺は目を覚ますと、嫌々ながらベットという楽園から飛び出した。
「はぁ…なんで朝は来るんだろうか…」
学生が毎日思っているであろうことを呟きながら支度を整え、最後に一応スパークレンスとブランクキーを持ってから部屋を出る。
きちんと鍵を締めてからエレベーターでマンションのエントランスまで降りてから、いつものようにマンション前の階段に。
「ありゃ、珍しく二人来てないか…」
俺がそこに着いたときには、珍しいことに彼女らはまだその場にいなかった。
適当にツイッターとかを漁って時間を潰していると、マンションの方から一つの足音が。
「おはよー、慎吾くん。」
「…お、歩夢か。おはよおはよ。侑は?」
「ついさっき起きたみたいでねー…もうちょっとかかるみたい。」
「昨日の俺みたいだな…ま、遅刻しない程度に気長にまとうかねぇ…」
再び待ちの姿勢を取ることになった俺は、歩夢と少々談笑しながら数分。
そうしてようやく、2つ目の足音が聞こえた。
「ごめんごめん、遅くなっちゃった。行こっか。」
「うん。」「おけおけ。」
全員集合した俺たちは、とりあえず学校へと向かった。とりあえずも何も向かわなければ遅刻なのだが。
◆◆◆◆
いつものように学校に到着した俺たちは適当に授業を受け、小テストの実施を教師から告げられたことに少々げんなりしながらも、学生の本分といっても過言ではない放課後の時間を迎えた。
とりあえず教室を出て、荷物を背負いながら二人と合流しに。
「悪い、待った?」
「ううん、平気。」
「私も今来たとこ。」
帰りの方は俺が最後だったようで、すでに待ち合わせ場所には二人の姿が。
「帰ろっか。」
「…その前に、ちょっと寄りたいとこあるんだけど、いい?」
歩夢の声に侑が返し、俺たちはそれに首肯する。
「うん、もちろん。」
「俺もいいよ。」
「ありがとっ。」
で、侑はおもむろに俺と歩夢の手を取り。………ん?
「あっ…」「へっ?」
…唐突に、どこかへ向けて駆け出した。
「あっ…ちょっとぉ!」
「ちょっと急じゃ…って普通に早…」
俺たちは侑の腕に半ば無理やり引っ張られるまま、強制的に数メートルを駆けた。
「ねぇ、どこ行くの?」
「スクールアイドル同好会!」
「…!」
歩夢の問いかけに侑が答えると、歩夢は無理やり足を止めた。
それに気づいた侑も足を止め、それに連動する形で俺も移動を止める。
「あの…侑ちゃん!……私、まだ…」
歩夢が少々後ろ気味になりながら言った言葉に、侑は答えた。
「…私、スクールアイドルって、よく知らなかったからさ。昨日帰ってから、動画とかいっぱい見たんだよね。」
「えっ!?」
歩夢が少々驚いたような声を出すと、侑は続けた。
「みんなかっこよくて…可愛くて…輝いていて……」
と、侑は目をいつになく輝かせると。
「もう…完っ全にときめいちゃった!」
…いやぁ、侑がここまで言うってことは…まあそこまですごかったんだろうな、スクールアイドル。
「でも、やっぱり一番は昨日のあの人!優木せつ菜ちゃんって言うんだって!」
「ちゃん!?」
いきなりちゃん付けの侑に歩夢が驚きの声を挙げる中、侑は気にしていないというふうに続けた。
「結構有名みたいなんだよね。神出鬼没のニジガク謎のスクールアイドルって。ファンクラブとかあるのかなぁ…次のライブ、決まってるなら行きたいなぁ…」
次々と願望を口にする侑を見て、歩夢が口を開いた。
「でも、私達もう二年だし、3人で予備校通うって言ってたよね!慎吾くんも忘れてないでしょ?」
「…おん…まあ…言ってた…言ってた。」
「………と、とにかく、スクールアイドルなんて追っかけてる暇無いんじゃ…」
…受験は悪い文明、異論は認めん。
「問題ない!むしろプラス!せつ菜ちゃんの歌聞きながら勉強したら、すっごく捗ったし、今日の小テストもバッチリだった!」
確かに今日の小テスト、侑なんか自信あり気だったな…なるほどそういうことで…
「なんかさ、すっごくやる気が湧いてくるんだよね!こんな気持ちになったの初めて!」
と言って、屈託のない笑顔を見せた侑にとうとう折れたのか、歩夢も微笑を漏らした。
…まあ俺もだけど。
「まずはサインを貰わなきゃ!二人とも、いくよー!」
「ああ待って!」
「いっつも急だなお前さんは!」
というわけで、またしても急に走り出した侑を追って、俺と歩夢も駆け出していった。
◆◆◆◆
走ること数十秒から数分、俺たちは虹ヶ咲の部室棟へと足を踏み入れていた。
「おぉ~!…ここが部室棟かぁ…」
「そう言えば、初めてきたね。」
「さすがに広すぎん?」
そのあまりの広さに驚きつつも、俺たちは今後の方針固めに入った。
「ねぇ、スクールアイドル同好会って、どこにあるの?」
「さぁ…?」
「「ええ…?」」
侑さん?何言っちゃってんの?
「ホームページの更新も止まってたし、校内の案内図にも乗ってなかった…」
「じゃあどうやって…?」
「───片っ端から聞いてまわればいいんじゃない?」
「…えぇ…」
「…もうちょっとこう…あったろ、やり方。」
ほんとに何言っちゃってんの?いくらなんでも…
「大丈夫!すぐ見つかるって!」
「ああもう!」
「だから急に走り出すなって!」
またしても走り出した侑を追って、俺と歩夢も駆け出し…これ前もやったな。
まあひとまず俺たちは辺りの部室を片っ端から回っていくことにし、まず目についた部室のドアを開けると…
「あのー…」
「「「「ん?」」」」
おお、大勢の女子生徒とそれに囲まれる…水が流れる竹。……ん?
「流しそうめん同好会へようこそー、入部希望ですか?」
「いや、スクールアイドル同好会を探していて…」
「知らないなぁ…」
あぁ啜ってる啜ってる…って違ぁう!なんじゃこの同好会!?俺見たことも聞いたことも無いんだけど…ってかなんで二人は平然としてんの!?
「…美味しそう…」
「あっ…失礼しますっ…」
「失礼しました…」
食欲を刺激された侑を引っ張って退散し、次の部室へ。何だったんだ一体…
◆◆◆◆
で、それから部室や道行く生徒に話を聞き続けること数分。…まったく収穫は得られず。
「全然見つからなーい…」
「部活も生徒数も多いからねぇ…同好会だけで百個以上あるらしいよ…」
「……マジか…」
「その情報で俺は一気にやる気が失せたんだけども…」
「どうしようかなぁ…あっ…」
歩夢は不意に声を上げると、俺たちの視線の先を歩いていたピンク髪の少女へ声をかけた。
「あのー、すみませーん!」
「…?」
「スクールアイドル同好会って、どこにあるか知ってる?」
そう歩夢が問えば、彼女は口を……
「………」
…開かず、数秒沈黙。
俺たち側が瞬きを一つ挟んでからも、沈黙は続き。
「…もしかして、急ぎとかだったかな…?」
と、侑が有り得そうな推測を述べたところで。
「お?どしたー?りなりー。」
「あ…愛さん…」
俺たちの視線数十度上の階段から、明らかにギャルっぽいタイプの女子生徒が声をかけてきた。
…リボンの色的に二年生かな?んでりなりーってのは会話の流れ的にこのピング髪の子…
──で、色々とありまして。
「ほら。スクールアイドル同好会はここだよ。」
そのギャル──呼びもなんかあれだけど…──のお陰で、なんとか俺たちはスクールアイドル同好会の部室を知れたのだった。
「誰に聞いてもわからなかったのに…」
「確か、今年できたばっかの同好会だしね。」
「なるほど、そりゃ認知してなくてもおかしくないか…助かったよ、ありがとね。」
「どういたしまして。」
そう言って、彼女が立ち去ろうとした時。
「あ…」
「……?」
今までほぼ喋っていなかったピンク髪の少女が侑の制服をつかんだかと思えば、不意に口を開いた。
「別に…急いでなかった。少しびっくりしただけ。」
「…そっか。なら良かった!」
あ、そういうことだったのね。てかこの子1年生みたいだし、上級生三人に急に声かけられたらびっくりもするか。
「…好きなの?スクールアイドル。」
「えっ?…うん!ハマったばっかだけどね。」
投げかけられた質問に侑が答える中、彼女の視線は俺と歩夢の方へと移った。
「…あなた達も?」
「「えっ?」」
「…うーん…どうだろう、まだよくわからないかな。」
「俺もまあ…そんな感じ?」
「そう…」
俺たちがそう返せば、彼女はふーん…みたいな感じの反応を返す。冷静に俺、興味あるのかないのかよくわからんな。
そんな中、侑が再度口を開いた。
「ありがとう、今から言ってみるよ。行こっ、二人とも。」
「う、うん!」
「あいよー。お二人ともありがとね。」
こうして、無事に目的を達成できそうな俺たちは、その目当ての場所…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へと向かった。
◆◆◆◆
…で、歩くこと数分。…いやほんとに広いなこの校舎。
「ここが…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」
ついに目の前にした憧れの場所を見て、侑が目を輝かせる中、歩夢が口を開いた。
「あの、侑…」
「何をしているんですか?」
…と思いきや、二人のとも、俺のとも違う4つ目の声が、不意に俺たちの耳に届いた。
振り向いてみれば、そこにはメガネを掛け、髪を三つ編みにした女子生徒が。
「普通科二年高咲侑さん、上原歩夢さん…それから、真中慎吾さん。」
「「「えっ!?」」」
「会ったこと…ありましたっけ…?」
俺たちからすれば、確実に初対面の相手から名を呼ばれたことに全員でびっくりする中、彼女はなんとでもないように言った。
「生徒会長たるもの、当然、全生徒の名前を覚えているものです。」
「「「えっ…生徒会長!?」」」
「…中川菜々と申します。」
彼女…改め生徒会長は微笑を浮かべると、自らの名を名乗った。
「そう言えば、生徒集会で見た覚えがあるような…」
「言われてみれば確かに…」
俺たちが薄っすらと残る記憶を掘り起こす中、会長は同好会のドアへと近づいていった。
「この同好会に、なにか御用ですか?」
「はい!優木せつ菜ちゃんに、会いに来たんです!」
彼女の問いに侑が明るい声で答えると、それに反するかのように、会長の表情からは笑顔がスッと消えた。
「…彼女はもう、ここには来ませんよ。」
「「「えっ…?」」」
「スクールアイドルはやめたそうです。」
「………えっ?」
…やめ…た…?スクールアイドルを?
「彼女だけではありません。このスクールアイドル同好会は…」
侑がいつになく低く、暗い声を漏らす中、会長は手を同好会のネームプレートに伸ばすと……
……それを、迷うことなく抜き取った。
「…只今を持って、廃部となりました。」
「「「ええっ!?」」」
「…失礼します。」
困惑、混乱する俺たち三人を置いて、彼女はこの場を立ち去っていった。
「…そんな……」
…侑の声が、廊下を静かに通り抜けていった。
◆◆◆◆
side third
時が経ち、日が暮れようとしていた頃。
学校のそれぞれの場所で、かつてスクールアイドルだった5人の少女たちは、それぞれの放課後を過ごしていた。
「明日もまた、同じ日が来るのだろう!幸福は一生こないのだ、けれども──」
「はい、そこまで!」
校舎の屋上…というよりだだっ広いベランダといったほうが正しいかも知れない場所で、一人の少女が明瞭な声で話し…いや、演技をしていた。
その演技は、彼女よりも先輩であろう一人の少女の声によって打ち切られると、その先輩は声を続けた。
「じゃあ最後にグラウンド10周!」
『えーーっ?』
「文句言わずにさっさと行く!」
周りにいた少女たちに先輩は声をかけると、そのまま先程の少女の下へと歩み寄り、彼女の方に手をかけた。
「しずく、聞いたよ、同好会の件。」
「あっ…」
「掛け持ちじゃなくなったわけだし、これからは演劇部に専念できるんでしょ?」
そう声をかけられたしずくという名の少女の表情には、暗いものが浮かんでいた。
「すやぁ…すやぁぁ……はっ!」
校舎に複数ある中庭の一角では、壁に沿って設置されたベンチの一つで寝ていた一人の少女が、何かを思い出したかのように飛び起きていた。
「もう夕方じゃん、急がなきゃ、またせつ菜ちゃんに……」
彼女はそこまで言いかけると不意に顔から明るさを消し、先程まで頭を預けていた枕へと顔を沈めた。
「…もう、怒られないんだっけ…」
「はぁ……」
「元気ないわね、エマ。」
「果林ちゃん…」
食堂の隅、窓際にある4人がけの席に一人座って溜息を零していた少女のへ、別の少女がコーヒー片手に声をかけた。
「モデルのお仕事は…?」
「今日は休み。」
「そう…」
エマと呼ばれた少女の目は暗く、それを見た果林というらしい少女が問いかけた。
「…どうするの?スクールアイドル。」
「……部長のせつ菜ちゃんに話そうとしたんだけど、連絡、つかないんだ。少し活動を休止するだけって話だったのに……廃部だなんて……」
彼女の表情は夕暮れ時のかすかな光でもわかるほどに沈んでいて、それを見かねた果林が口を開いた。
「…そんな顔しないで。」
「ぁ……」
「…力なになれること、あるかしら?」
その声を聞いたエマの表情には、ほんの少し明るさが戻っていた。
「ぬぬぬぬぬ……!」
校門へと続く道、帰路に着くところであろう一人の少女は不意に力の入った声を上げると、勢いよく後者の方へと振り返った。
「…かすみんはやっぱり、諦めませんよ!」
強い決意を込められて放たれた言葉は、広い虹ヶ咲の校舎へと拡散していった。
三者三様の時間を過ごしていたが、彼女らがまた明るい表情を見せるには、なにか一つ、大きなきっかけが必要なようだった。
◆◆◆◆
side慎吾
衝撃の事実を告げられたから少し後、俺たちは夕焼けに染められた校舎外のベンチで、いつものようにコッペパンを食べていた。
「歩夢ー、それ何味?」
「限定のラクレットチーズ。食べる?」
「!食べる!」
侑は先程までの暗さが嘘のように、明るい表情で食い意地を張って…間違えた。コッペパンに夢中になっていた。
「……残念だったね…」
「え?」
歩夢が不意に出した声に侑が疑問符を頭に浮かべると、歩夢は抑えめな声で続けた。
「せつ菜さん…でも、学校にはいるはずだし、会おうと思えば…!」
「…それはいいよ、やめる理由があったんだろうし…」
歩夢が持ちかけた提案を断ると、侑は不意に空を見上げた。
「…やっぱり難しいのかな。…夢、追いかけるのって…」
「…え?」
「アイドルやるって、そういうことでしょ?…自分の夢はまだ、ないけどさ。」
「侑……」
俺たちが思わず侑を見つめる中、侑は続けた。
「夢を追いかけてる人を、応援できたら。私も、何かが始まる…!…そんな気がしたんだけどな…」
侑はそう、どこか儚げな表情を見せたかと思えば、立ち上がってからくるっと振り返り。
「なんてね!」
そう、どこか無邪気に笑って言った。
「お台場寄って帰ろっか。」
「…おう、そうしよそうしよ。」
俺と歩夢も立ち上がり、いつもの道を進みだした。
……その、一瞬後。
「「うわぁぁっ!?」」
「うおおっ!?地震か!?」
不意に地面が大きく揺れ、俺たちは動かしたばかりの足をすぐに止めた。
「大丈夫、二人とも!」
「俺は大丈夫!」
「私も平気!…だけど、すぐ収まったね…」
「地震にしては短かったな…」
とっさに身を屈めた俺たちは互いの無事を一応確認するも、やけに変な揺れにこう…モヤモヤが消えない。
「と、とにかくここから離れよう。多分揺れの原因がこの辺にあるなら、ずっといるのは危険だ…おわぁっ!?」
「きゃあっ!?」
「うわあぁぁっ!?」
ここからの行動を提案したはいいものの、再度の揺れ。しっかしこうドッシンドッシンこられると、動きようにも動けない…
……ん?
「…ん?」
「ど…どうしたの慎吾くん?」
「いや…何かあのビルの裏側、窓越しだけどなんか見えて…」
「なにかって…飛行機とか?」
「いやそれにしてはデカいんだよな…って……何か動いて…る?」
俺がそうつぶやいたのも束の間、その何かはビルの影で動いたかと思うと、そのまま俺たちの目線の真正面に姿を表した。
…長い尻尾に、岩のような外皮。
二足で立ち、背中には羽を生やした巨大な生物。
俺の知る言葉で、アレを端的に表現するなら………
「怪……獣……?」
◆◆◆
「嘘…でしょ?」
「…!慎吾!アレってこの前慎吾の家で見た!」
「…!」
俺たちが生きてきた、怪獣もヒーローも、どちらも存在しない世界。
その中に現れた一体の怪獣は、俺たちを混乱の中に叩き込んだ。
その最中聞こえた侑の声で、俺はあの巨大生物に抱いていた既視感の正体にたどり着いた。
「ゴルザ…いや違う、メルバの羽と顔もある!…ゴルバーか!?」
……ウルトラマントリガー、第一話に登場した、超古代闇怪獣…ゴルバー。
ウルトラマンティガの一話怪獣、ゴルザとメルバが融合した姿。
「なんで…あれ…創作じゃなかったのかよ…!」
「と…とにかく逃げないと!もしアレが、あの怪獣と同じだったら…!」
「そうだ…あいつ普通に光線とかめちゃくちゃ撃ってくるんだよ!…てか撃ってきてる!?」
俺たちが逃げようとしたその時、怪獣はちょうど顔や上側の目から、怪光線や怪音波をそこら中に撒き散らしていた。
「ちょっと待って待って…これ逃げるって言ってもどうやって…」
「えーっと…バス!バス使お!」
「侑ちゃん落ち着いて!多分バスも止まって、乗ってた人たちも走って逃げてるだろうし…」
「あーそっかー…どうしよー!?」
まずいなぁ…まずいねぇほんとにこれ!?
「どうするもこうするも…屈みながらちまちま進む…とか?」
「ぐらいしかないかぁ…」
「しかないんじゃない…?」
「…行こう。」
俺たちは頷き合い、身を隠しながら急いでその場を離れようとした。
……だが。
「──っ!?危ない!」
「えっ?…きゃあああっ!?」
ゴルバーの光線の一つがこちらへ向かって来たかと思うと、それは俺たちから数メートル離れた地点に着弾。
いわゆる拳銃やライフルの類なら跳弾を気にするぐらいの距離だが、今放たれたのは光線、それも怪獣という未知の存在が放ったもの。
着弾してすぐに地面の舗装が崩れ、地盤までイカれたのか、着弾地点を中心として大穴が開いた。
…そしてその上には、先程まで地面と思ってそこに立っていた侑がいた。
「侑ちゃん!」
「侑!」
歩夢が叫び、俺がとっさに侑へ手を伸ばす…ものの。
「うっ…おわああっ!?」
「きゃああっ!?」
俺の筋力では侑を引き上げることはできず、あろうことか俺までが穴へとそのまま落ちていった。
「侑ちゃん!慎吾くん!」
歩夢の声が上から聞こえてくる中、俺はせめて侑だけでも助けようと、侑の体を引き寄せると、俺が下になるようにして抱きかかえた。
◆◆◆◆
「うわぁぁぁぁっ…痛っ!…い…だけ?」
「うわぁっ!?…あれ?生きてる…?」
落ちること数秒、俺たちはおそらくどこかの地下と思しき土と岩で囲まれた空間に落下した…が、何故か体はほぼ無傷。ちょっと体が傷んだだけだ。
「…考えたら、ずっと穴の側面に体着いてたな…」
「なんか滑り台みたいだったよね……って、どうしよ!?ここにいたんじゃ助けてって叫んでも聞こえないだろうし、そもそも生きてると思われてすら…」
「まあ確かに、歩夢からしたら死んだって思っちまうよな……てかそもそも、虹ヶ咲の下にこんな空間があったのがびっくりだよ…」
このバカ広い空間いつ掘ったんだよ…なんか遺跡みたいだし…ん?
「……まさかな…」
「…?どしたの慎吾?」
「い、いや何でもない。とにかく、ここからなんとかして出ないと。もしここが発掘現場的なやつなら、どっかに出入り口があるかもしれない。」
「そっか、探してみよ。」
そうして俺たちは体の向きを変え、出口を見つけるために今まで見ていなかった方へ向き直った。
…すると。
「…え?…慎吾、これって…」
…そこには、一つの岩…いや、石像があった。
膝立ちの姿で微動だにしない、巨人の姿をかたどったもの…いや。きっとこれは、巨人そのもの。
「うん…石になってるけど、これ…」
「「……ウルトラマン…」」
光の巨人…ウルトラマン。
俺たちが目にしているのは、かつてテレビで見た、あの巨人だった。
「どうして…ウルトラマンってほんとにいたのか…?」
「まあ、怪獣がいるぐらいだし…いてもおかしくないんじゃない…?」
「それもまあそうか…」
俺この前トリガーいないって言ったばかりなのに…めちゃくちゃおったわ…いやめちゃくちゃはいないか。
「…いや、だとしても…どうする?」
「どうするって…ウルトラマンってどうやって起こしたらいいんだっけ?」
「えー?…確かこのトリガー…?の場合は、ここに主人公が来て、それで色々あって…」
「そうだったそうだった、確か色々って…なんだっけ?」
「えーっと、まずこの石像に出会ったとこに…」
……あれ…待てよ?確かトリガーだと、この状況で……
「…!侑!一旦離れよう!」
「え?なんでなんで!?ウルトラマンいるのに!?」
「いるからだよ!もしテレビと同じようにことが進んだら……」
と、そこまで俺が口走った時、それは訪れた。
不意に後ろでピキュンという感じの音がしたかと思うと、俺たちの眼の前の石像へと、光の鞭のようなものが叩きつけられた。
「うわぁぁっ!?」
「やっべ…ちょ巻き込まれるっ!?」
それは俺たちごと潰さんという勢いで石像へと叩きつけられると、俺たちの後ろ側へと吸われるように引き込まれた。
それを追いかけるように俺たちが振り向くと、そこには一人の…異星人が立っていた。
「宇宙人…!?慎吾くんアレなにかわかる!?」
「……わかる。…信じたくははないけど……」
「縺薙%縺ォ縺?◆縺ィ縺ッ縺ュ縺」
眼の前の宇宙人は何やら喋っているようだが、その言葉は全くわからず……
……いや、待てよ?
「繧?▲縺ィ見つけたよ…。」
「……何をだ…?」
「ど…どしたの慎吾?」
「いや…なんか俺あいつの言葉わかるわ…」
「…えぇ!?なんで!?」
「わ…わかんない…」
転生者だから…?俺の素性的にウルトラマンがどうとか関係なさそうだしな…
「もっと情熱的な再開を想像していたんだけどねぇ…三千万年分の思い、受け取ってくれるかい?…トリガー!」
「トリガー…やっぱりこの巨人…!」
俺がこの巨人の正体に確信を得たのも束の間、宇宙人は再度手に鞭を握ると、トリガーの石像へとそれを叩きつけだした。
「うわぁっ!?」
「侑下がって!って危ねっ!?」
俺たちのことなど眼中にないと言った様子で彼女は鞭を振るい、トリガーの石像を幾度となく痛めつける。
「…!ウルトラマンが!……っ!」
「ちょ…ちょっと侑!?なにする気だよ!?」
それを見た侑が不意に走り出したかと思うと、彼女は宇宙人の前に立ちはだかり、トリガーを庇うような体制に。
「やめて!」
「……なんだい人間?邪魔だよ!」
その行動が気に食わなかったのか、宇宙人は侑へ向けあの鞭を…ってやべえ!
「侑っ!」
「うわぁっ!」
「ってぇ…」
ギリギリ俺が侑を押し倒す形で鞭を避けさせたものの、代わりに俺の胴体にあの鞭が直撃。
ちょっと待ってこんな痛いの…?さっき落ちた時よりめちゃくちゃ痛いんだけどなにこれ…
「…お前も邪魔をするのかい?」
「…っ…結構やばくない?この状況……!そうだ、今こそアレだわ……侑離れてて!」
「離れるって、何言って…」
「ゴチャゴチャうるさいよ!」
「っ!」
俺たちが話す中、宇宙人はまた鞭を俺たちに振るってきた…ものの、俺はそれに向けて、この日のために持っていたといっても過言ではないあの銃を取り出し、その引き金を引いた。
「!?…人間、まさかあたしとやり合おうってのかい…?」
「し…慎吾、それって…」
「悪いけど説明は後!今はここを生き延びてから…!」
俺は一度侑を下がらせてから、銃…GUTSスパークレンスを構え、宇宙人へと向き直る。
「初めてだよ、人間であたしと戦おうってのは!」
「っ!オラアァァァッ!」
宇宙人が振るってくる鞭を、俺は奇跡的と言えるエイム力で放った弾丸で弾き返す。自分でもよく当てられるなと思うが、火事場の馬鹿力的なやつだろう、多分。
…だが、俺はあくまで人間。限界は、自ずと俺のほうが早く。
「フンッ!」
「ぐああっ!?」
一度狙いを外したのが引き金となり、彼女の鞭が俺に命中。先程とは異なり真正面から喰らったのもあって、俺の体に、さっきのそれを上回る痛みが襲う。
「慎吾!…っ!やめて!これ以上…そんなことはしないで!」
「小賢しいね、小娘ごときが!」
「キャアッ!?」
地に伏した俺を侑が庇うものの、宇宙人はその侑に向けて攻撃。今度は完全に命中し、侑が数メートル奥へ弾き飛ばされる。
「っ!侑!…やめろぉぉ!」
俺はこれ以上やらせまいとGUTSスパークレンスを連射するものの、それは宇宙人の振るう鞭によって阻まれ。
「流石に目障りだねぇ…とっとと消えな!」
「がああっ!?」
宇宙人は流石に我慢の限界なのか、先程までよりも勢いを増した打撃で俺を捉え、そのまま俺の体は吹き飛ばされる。
「ぐっ……ってぇ…」
前世を含めたどの人生でも味わったことのない痛みに、俺の体中から危険信号が送られてくる。
…正直、俺の体を労るなら、今ここで逃げ出したほうがいい。流石に二度も同じ時期に死にたくはないし、生命としてはそれが最善なんだろう。
……でも。ここにはまだ侑がいる。この場で逃げ出せば俺は助かるかも知れない。でも侑はどうなる?この宇宙人がこのまま破壊を続ければ、崩れた岩の下敷きになることだってあり得る。
「…っ!」
「…まだ立つ気かい?…懲りないねぇ、人間ってのは。」
立ち上がった俺を見て、どこか呆れたように言う宇宙人へ、俺は目を向けた。
まだ、何かが分かったわけじゃない。俺に力があるわけじゃないし、生きて帰れる保証もない。
……それでも。
「…俺は侑を…友達だけでも笑顔にしたい…。たとえ力がなくても、何もできなくても……俺は…大切な人だけでも、笑顔にしたいんだ!」
……俺が、そう叫んだ時。
後ろに佇む巨人の胸、中央にあるひし形の何かが、青く光り輝いた。
その光は強く瞬くと、あたりに青色の、光の粒子を放射する。
「っ!?ああっ…!」
その光に宇宙人は弾き飛ばされると、付近の岩壁に叩きつけられ、地面へと落ちる。
「!…これって…」
俺が驚愕に襲われる中、溢れた光が俺の左腰…ブランクのGUTSハイパーキーへと集まる。
思わず俺がそれを手に取ると、青かった外装は紫に、モニターのような場所には、カラーになったあの巨人の姿が。
「……なるほど…分かった、トリガー!」
ここまでされれば、後は何をするかなんて俺からすれば分かりきったこと。
俺はハイパーキーを構えると、側面に配置されたスイッチを押し込んだ。
続けて、キーをGUTSスパークレンスのグリップ下部に、マガジンのように装填。
キーが認識され、GUTSスパークレンスから音声が鳴り響く。
バレルの上側を掴んで展開し、ガンモードから変身用の形態、スパークレンスモードへと変形。
バレル内部から現れた、巨人の胸にあるものと同型のクリスタルが白く輝き、辺り一面をまばゆく照らした。
…そして俺はスパークレンスを構え、あの言葉を叫ぶ。
「未来を築く、希望の光!
スパークレンスを掲げ、俺はグリップのトリガーを引いた。
──俺は光になり、巨人の胸の光へと。
俺を宿した巨人は光を取り戻し、本来の姿をあらわにする。
「何ッ!?」
あの宇宙人の驚く声が聞こえる中、俺は地上に、あのポーズで立っていた。
この地球に、ウルトラマンが蘇った。
◆◆◆◆
歩夢side
侑ちゃんと慎吾くんが地下に落ちてから、何分経ったんだろう。
何度声をかけても返事はなくて、穴の暗さを見る限り、その深さは、きっと想像もしたくないほど。
でも、信じたくなかった。二人ともう二度と会えないなんて。
……私の感じた思いを、伝えずにお別れだなんて。
「侑ちゃん……慎吾くん……」
私の目から、一粒の涙がこぼれた時。
…不意に、私のそばで猛烈な光が瞬いた。
その光は大きくなり、やがて人の形になって。
「…ウルトラ…マン……」
かつて慎吾くんが目を輝かせて話していたヒーロー…ウルトラマンが、私の眼の前に立っていた。
「…!タァッ…」
ウルトラマンは私の方を向くと、左手を地面へと差し伸べた。
彼が手を開いてから腕を引くと、そこには侑ちゃんの姿が。
「!侑ちゃんっ!」
私はすぐに駆け寄り、侑ちゃんの体を必死に揺さぶった。
「ん……歩…夢?」
「よかった…侑ちゃん…」
「…歩夢……!そうだ、あの宇宙人!」
「宇宙人?」
「そうそう!変な宇宙人が、ウルトラマンの石像を壊しに…って……」
侑ちゃんも、視界に映る巨人の姿に気づいたのだろう。言葉を途切れさせると不意に立ち上がり、ウルトラマンの姿を見つめた。
「…ウルトラマン…トリガー……」
「…本当に、いるんだね。ヒーローって。」
私達がつぶやく中、あのゴルバーという名前の怪獣は敵を見つけたかのように一声鳴くと、ウルトラマンへと向かっていく。
対するウルトラマンも両手を構え、怪獣相手に果敢に立ち向かっていった。
「ピギャァァォ!」
「タァッ!」
◆◆◆◆
side third
ウルトラマントリガーへと変身を遂げた慎吾は、人生初となる怪獣との戦闘へと身を投じた。
「タアッ!」
「ピギャァァ!」
トリガーがタックルで先制攻撃を取り、続けざまにゴルバーの脳天へとチョップ。
しかしゴルバーも怯まず、少し距離ができたタイミングで怪音波を放つ。
「ヂャァァッ…」
それを正面から喰らったトリガーは数歩後退りするものの、再度前進して両手での連続パンチを繰り出す。
ゴルバーはそれを受け怯んでしまうものの、負けずにトリガーの体をつかみ、ビルが密集する地帯へと投げ飛ばす。
「ヂャァッ!?」
トリガーは勢いよくビルへ叩きつけられ、ビルの外壁やガラスを砕きながら地面へと激突する。
そこに追い打ちをかけようとしたゴルバーに対し、トリガーは横たわった体制でのキックを一発。
ゴルバーを弾き飛ばし、なんとか体制を整える。
そのままトリガーはゴルバーへと向かい、再度掴みかかろうとしてくるゴルバーの手をローリングで回避。
続けざまに回し蹴りを繰り出してゴルバーを弾き飛ばすと、そのままゴルバーの胴体に前蹴りを一発。
「ピギャァァァッ!」
しかし、土煙を巻き上げながらゴルバーはトリガーへ再度接近。
お返しと言わんばかりに持ち前の重量と体躯でトリガーへ体当たりを仕掛け、それによって吹き飛ばされたトリガーは、再び地面へ倒される。
「ガァァ…ピギャアァァァォ!」
ゴルバーは大きく体を反らしたかと思うと、上側にある2つの目…元はメルバのものであったものから光線、メルバニックレイを弾幕の如く放つ。
「ヂャッ…タァッ!」
トリガーはそれをまずバク転で回避し、膝立ちになり、右手を左腰に当ててから正面へと手刀を突き出す。
手から放たれた光線、トリガーハンドスラッシュでメルバニックレイを全弾相殺した。
しかし、ここでゴルバーは今まで隠していたあの特性を解き放った。
今まで畳んでいたメルバの羽を展開、大きく羽ばたかせると、そのまま足を踏み鳴らして跳躍した。
それは飛行へと変わり、高速でトリガーへと接近。
「ピギャァァァォ!」
「ダァッ…」
超高速の一撃にトリガーが体制を大きく崩した時、彼の背後からもう一人の…だが纏う雰囲気は正反対の巨人が現れた。
「フンッ!」
「デャッ!?」
「あたしに会うために、人間を取り込んだのかい?随分情熱的じゃないか…!」
闇の巨人の一人…妖麗戦士カルミラ。先程までは人間のサイズで慎吾や侑の前に現れていたが、本来の50m級サイズでこの戦いに乱入した。
「あ!あれさっきの宇宙人!あいつも大きくなってるし…」
「なんか…ウルトラマンみたいだけど違う。」
逃げずにウルトラマンの戦いを見守っていた侑と歩夢がつぶやく中、カルミラはトリガーを羽交い締めにし、ゴルバーを呼び寄せる。
「ピギャァァァッ!」
「デャァッ……」
身動きが取れないトリガーをゴルバーが襲うが、トリガーもやられてばかりじゃない。
隙を見てゴルバーへ前蹴り、またの名をヤクザキックを繰り出し、ゴルバーを無理やり自身から遠ざける。
「タァッ!」
トリガーは腕を大きく前へ振るってカルミラの拘束を右手だけ破り、そのまま肘打ちでカルミラから距離を取ろうとする。
しかし、カルミラはそれを的確に防ぐと、そのままトリガーの背中を殴り、ゴルバーのもとへ送り出す。
ゴルバーと正面衝突してトリガーが弾かれたところに、カルミラは続けて回し蹴りを腹に一発。
「デャァァッ………」
思わずトリガーはうめき声を上げながら腹を抑えるも、怯まずに右手でカルミラへ裏拳を振るう。
カルミラはそれをバックステップで回避し、一度トリガーと距離を。
「タァッ!」
トリガーはその隙にゴルバーへと向かい、左手でのチョップから右足でのキック、そして右拳でのストレートを続けざまに喰らわせ、ゴルバーをダウンさせる。
「ピギャァァォ…」
しかし、その間にカルミラは手を前に翳し、闇を発生させたかと思えば、そこから水色に光る棒のようなもの…専用武装のカルミラバトンを生成する。
「ハッハッハッハッ!」
カルミラは高笑いを上げながらそれを振るい、先端から光の鞭、カルミラウィップを伸ばしてトリガーへと叩きつける。
「ドゥアァッ!?」
トリガーはその衝撃で弾き飛ばされ、そのまま地面へと激しく衝突。
うつ伏せになったトリガーの胸中央、あのクリスタルが赤く点滅し、ピコンピコンと警告音のような音色を鳴らす。
「…!侑ちゃん、たしかアレって…!」
「うん…確かウルトラマンって、三分しか戦えなかったはず…」
彼女らが言う中、カルミラは倒れるトリガーの背中を踏みつけ、そのまま馬乗りの体制に。
倒れるトリガーの体に、彼女はどこか必死とも取れる様相で殴打を続ける。
トリガーも必死に体を仰向けにし、手をカルミラの顔に伸ばして抵抗するものの、カルミラは尚もトリガーを殴り続ける。
幾年にも渡る憎しみを叩きつけるかのように、ただひたすらに。
「どっ…どうしよう、ウルトラマンが…」
「うっうん、このままじゃ…っ!そうだ!」
少し離れた場所で見守っていた歩夢と侑が不安な声を出す中、侑は何か一つの可能性を導き出したようだった。
「トリガー!」
侑は手を振ってウルトラマンに己の存在をアピールすると、その手で何かを握るような仕草を見せた。
「使って!──あの剣!」
「剣…!そうか、アレだ!」
その声でトリガー…慎吾は思い出し、カルミラに押さえつけられながら、右手を宙にかざす。
すると、虹ヶ咲の地下深く…あの遺跡の一角で、一つの石像が光り輝いた。
神器と言うべき形のそれは本来の色彩を表すと、そのまま地上へ…持ち主の元へと高く飛び立つ。
地上でトリガーはカルミラを押しのけながら立ち上がると、眼の前に飛来したその神器…いや、剣を手にした。
グリップの周囲を円に囲まれ、紫色の刀身が伸びる長剣──サークルアームズ。
「デャッ!」
トリガーはカルミラの拘束を無理やり解くと、一回転しながら背後のカルミラへと一閃。
カルミラは後ろに飛んでそれを回避したものの、その隙にトリガーはゴルバーへと向かっていく。
「デャァァッ!」
「ピギャァァォ!」
トリガーは向かってくるゴルバーに、すれ違いざまにサークルアームズを一振り。
「ピギャァァァッ!?」
ゴルバーが体皮から火花を散らしてうめく中、トリガーは振り向いてゴルバーへと向き直る。
慎吾は意識の中…インナースペースと呼ばれる光に包まれた空間内で、GUTSスパークレンスからハイパーキーを引き抜き、空間内で手にしているサークルアームズの円側面にあるスロットへと差し込んだ。
サークルアームズを正面に構えると、慎吾はそのトリガーを引く。
トリガーは左へサークルアームズを引き、そして勢いよく水平に振り抜いた。
刀身から紫色の斬撃が飛び、それはゴルバーへと命中。
それを中心として爆発が起こり、ゴルバーは地面へと倒された。
「ッ!ハァァッ!」
それを見たカルミラは、再度カルミラウィップを伸ばしてトリガーを叩きのめそうとするも、トリガーはサークルアームズを振るって激しい剣戟を繰り広げる。
一発、二発。三発四発と打ち合う中、トリガーが隙を見てはなった斬撃波がカルミラを捉えた。
トリガーはその瞬間、サークルアームズを地面へと突き立てた。
トリガーは両腕を脇を締めながら一度引き、続けて体の正面でクロスするように突き出す。
そのまま腕を広げていき、両腕で水平線を描く。
そこには紫色の光が直線上に瞬き、胸や腕のプロテクターがまばゆく発光する。
「!…ッ!」
何かを察したカルミラは指を鳴らすと、倒れていたゴルバーを叩き起こし、自身の眼の前へ。
「ダァァァ……デャァッ!」
トリガーは腕をL字に組むと、右腕から白く輝く光線───ゼペリオン光線を発射した。
それは、カルミラの盾となったゴルバーを捉え、さらにトリガーが力を込めると、その圧倒的なエネルギーに耐えきれずに、ゴルバーの体は爆発した。
「!やった!ウルトラマンが勝った!」
「…やった…!やったぁ!」
侑と歩夢らが喜ぶ中、残ったカルミラは高笑いとともに言った。
「ハッハッハッハッ!そうじゃなきゃつまらないねぇ!」
彼女はそう言い残すと、体を闇に包ませて消えた。
「デャッ…デャァァ…」
トリガーは限界を迎えたかのように、体を光の粒子にしてその場から消えていった。
ウルトラマンとして初めての戦いを終えた俺。
なんとか侑と歩夢に再開できて一安心したところに、歩夢から衝撃の告白が。
彼女の心をときめかせたのは、侑と同じあの人で──
スマイルスマイル!