【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】   作:丹羽にわか

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アニメ観たノリで書いてるので色々と赦してクレメンス


プロローグ〜一級試験編
えっ、今からでも入れる保険があるんですか!?


 

 

 

 

勇者ヒンメルの

死まで五〇年

中央諸国

とある辺境の森にて

 

 

 

 

 

 

 

「──成程、成程。其方(そなた)、力を隠していたな?」

 

 

 霧が満ちた薄暗い森の中。足先から徐々に石化していく魔族の口元は不気味な弧を描いていた。

 

 背丈は小柄な私と変わらない程度。肉付きは貧相で痩せぎすな少女の姿をしているけれど、その身に纏う雰囲気、放つ強大な魔力はまさしく長い歳月を生きた大魔族のもの。

 

 魔族はナーリンと名乗った。

 

 その名を私達は知らなかった。魔王軍幹部の七崩賢や、将軍と呼ばれる強大な力を持った個体とは異なる無名の強者が、このナーリンという魔族だった。

 

 天を衝く二本の角は禍々しく、黒い眼窩に血を思わせる赤い瞳が爛々と輝き私達を──中でも自らを封印せしめた魔法使いである私を捉えている。人外であることを際立たせる青い肌の上からダボついた黒いローブを羽織り、紫の髪はフードからこぼれ風に揺れていた。

 

 

「エルフの魔法使い……フリーレンと言ったか。卑劣な小細工頼りの其方は魔法使いの風上にも置けん。が、よく編み込まれた封印魔法だ。此方(こなた)でも解除に一〇〇年はかかるかもしれん」

「どうも、とでも言えばいいのかな」

 

 

 尊大な態度。そして魔族らしい価値観で私を評価しながら冷静に自らにかけられた封印魔法を分析している。封印されつつあるというのに。

 

 

「ほんと……魔族は揃いも揃って馬鹿ばかりだ。こっちが魔法使いだと分かるや否や態々偽装を解いて姿も魔力も現す。その中でもナーリン、お前は際立って馬鹿だった」

 

 

 私は魔族──ナーリンをこき下ろす。ヒンメル、アイゼン、ハイターの三人が内心でギョッとするかもしれない程度には辛辣に。

 

 

「こっちが格下だと思ってペラペラ舌を回して、封印されて。口の利けない魔物の方が幾分か利口だ」

 

 

 私は苛立っていた。封印に成功したのはナーリンの驕りに付け込んだからだ。魔力を偽った私を大した事のない魔法使いと判断した所は作戦通り。

 けれど、ヒンメル達を雑魚と決めつけ「勝負にならないな」「殺す前に話に付き合え」と碌に戦う素振りを見せずペラペラペラペラと不快な鳴き声を喚き散らした。

 正直、殺してやりたかったけどこいつの放つ魔力は私の全力を超えている。話をしながら細心の注意を払って封印魔法を張り巡らせたのは最適解だった筈。

 

 

「まったくもってその通り。耳が痛い」

 

 

 ナーリンは特に気にした様子もなく肩をすくめるだけだった。

 

 

「しかし、しかしだフリーレン。魔族とはそういうもの(・・・・・・)だろう?」

「そうだね、お前たち魔族はそういうものだ。人の言葉を真似する獣。そして、その中でも特級の間抜けがお前だよ、ナーリン」

「クハッ、酷い言われようだ」

 

 

 話をしている間に石化は胸のあたりまで進んでいた。ナーリンは「ふっ」と息を吐くと視線を私から外す。

 その向かう先は、ヒンメル達だ。

 

 

「次の目覚めの時、其処の青髪と眼鏡は寿命で死んでいる。ドワーフは衰え、前線には立てないだろう」

「何が言いたいの」

「……何、ひと眠りすれば心置きなく其方と一対一で戦える。なら、この封印も悪くないと思ってな。次は魔法使い同士、正々堂々、雌雄を決しようではないか」

 

 

 魔族は最後に私をじっと見つめ、嗤う。

 

 

「なぁ、フリーレン」

 

 

 そして、封印された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 風が吹き抜け木々を揺する。立ち込めていた霧が晴れてから漸くフリーレン達は動き出した。

 

 

「魔力反応、無し。封印完了だね」

 

 

 そう言って杖を下ろすフリーレン。ヒンメルたちは大きく息を吐き各々構えを解く。

 

 

「まるで生きた心地がしなかったよ。ほら、脇も背中も汗でぐっしょりだ。魔王以来だね、こんなに緊張したのは」

「まさか、魔王を討伐して王都に帰還する途中で立ち寄った村のすぐ近くにこんな大魔族が居るだなんて、予想外もいいところでした」

「そうだな。魔王が死んだ事や俺達の事を知らなかったようだが、もしこいつが暴れていたらどれだけ被害が出たか」

 

 

 三人はそう言ってから黙り込むと、ぐりんと顔をフリーレンの方に向けた。

 

 

「……それにしてもフリーレン、さっきは肝が冷えたぞ」

「ほんとほんと」

「まったくです」

 

 

 封印の効果で碌に魔法は使えなくなっていたとは言え格上の魔族相手に対しての痛烈な罵倒。激昂して悪足掻きでもされたらと気が気でなかった三人はジト目だった。

 

 

「ごめん」

 

 

 怒りに身を任せての迂闊な行動だった事を自覚していたフリーレンは顔をしょぼくれさせて謝る。

 

 すると「でも」とヒンメルが表情を生暖かくニヤニヤと擬音が似合うモノに切り替え、スススッとフリーレンに近寄る。

 

 

「……なに?」

「僕達が侮られた事にあそこまで腹を立てるだなんてね。いやー、いいモノが見れたよ」

「うっさい」

 

 

 プイと顔を背けるフリーレン。照れているのか怒っているのか、顔は見えず表情は窺えない。ヒンメルは柔和な笑みを浮かべるとポンと手のひらを小さな頭に置いた。

 

 

「ありがとう、フリーレン。僕達のために怒ってくれて」

「……頭撫でるな」

 

 

 そして、ヒンメルら勇者一行は王都への帰路につくためにその場を後にした。

 

 後に残されたのは、封印され石像と化した一匹の間抜けな魔族のみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ボコッ。

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッ、ペッ、ペッ。うへぇ、口の中ジャリジャリする」

 

 

 土の中から這い出し、身体についた土を払い落とす。ゆっくり風呂にでも入りたい所だけどフリーレン達に見つかり封印された、ということになっている以上、報告でもされればここに調査隊が派遣される可能性がある。すぐにでも発たないといけない。

 

 

『たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp』

 

 

 ここ百年ほど隠れ潜んでいた森にフリーレン達がやってきたと知った時は酷く動揺し取り乱した。命乞いなんて通用する相手じゃないし、自分なんかが武力で太刀打ち出来る訳もない。他の魔族にナメられないために魔力は鍛えたけど、そもそも実戦経験なんて動物や魔物程度の素人であるからして。

 

 

「……どうにかやり過ごせたけどホント死ぬかと思った。まさか魔王討伐の帰り道とぶつかるなんて、運がない」

 

 

 独り言が多いのはボッチの性だ。こちとら千年近くボッチの魔族だぞ。前世だって陰キャ童貞社畜だし。あー、数十年ぶりの木漏れ日が辛い。引き籠もりたい。

 

 

「この後は魔法収集とか言ってあちこち旅するんだよな、確か」

 

 

 そしてヒンメルを看取り、人を知るための旅を始める。原作開始まで半世紀程だろうか。うーん、それまでは北部には来てないかも知れない……聖剣がある村に行くのが80年ぶりとか言ってたし。暫く身を隠すなら北か?

 

 

「うん、北に行くか。なるべく人の居ない所に。今回フリーレン達が来たのは、なんか森の周りに村が出来ててそこに寄ったかららしいし」

 

 

 方針を決めた所で視界に飛び込んでくるのは自分と同じ姿をした石像だ。気配を遮断して地中に潜り、分身を替え玉にして封印させる作戦は上手く行った。

 まあ、どうも村が出来たのは森への侵入者への対処を任せてた分身のせいらしいけど。

 

 

「森の精霊様ってなんだよ。そりゃヒト相手には穏便に対応するようプログラムしてたけどさ、それで噂が広まって人が集まって村ができて一行が来るとかアホか」

 

 

 ぺしん、と石になった分身を手のひらで叩く。見た目はただの精巧な石像だけど破壊も移動も不可能。時間経過で封印が綻ぶのを待つしか無い高度な魔法だ。アニメでクヴァールに対して使用していたものと同様か、より洗練されているかもしれない。

 しかし、改めて見ると見た目ダウナーだけど不遜な感じ出てて結構な強キャラ感あるな。それに美少女だし原作にいたら結構な人気出るのでは? うーん、油断と慢心であっさり封印されたしアウラみたいなネタキャラになりそうだけど。

 

 

「たぶんヒンメルが定期的に封印を確認しに来るだろうし、これはこのままにしとけばデコイになる筈。原作始まってフリーレンが来たら……まあ、その時には少し驚いて貰おうかね」

 

 ニヤリ、と悪い笑みが浮かぶのを自覚する。陰キャは面と向かって文句言ったりするのは無理な分、根に持つからな。

 

 

「もう二度と会うことは無いだろうが……フリーレン。其方の旅路に幸あらん事を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりねお姉様。勇者達に封印されたって聞いていたけど……元気そうで良かったわ」

 

 

 げぇっ! ソリテール!?

 

 

 

 




主人公の見た目は世界樹の迷宮のネク子アナザーカラーでイメージして下さい

感想評価クレメンス
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