【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】 作:丹羽にわか
過去編? 筆が乗ったら書きます書きます
ドキドキ! 同棲開始!
勇者ヒンメルの
死から29年後
北部高原
ハイト地方
一級魔法使い試験でゼーリエとかいうバトルジャンキークソ強ロリババアエルフと邂逅してから暫し。
探査妨害魔法は機能していたけれど、それでも居場所を逆探知され捕捉されている可能性を考慮した俺は、荷物をまとめてスタコラサッサと拠点を離れていた。
そして、その行き先は──。
「くふっ、ふふふふっ、お姉様を私のお家に招くのは大体80年ぶりかしら」
なんかテンション高くない? そしてくるりと回ったり指先を合わせるポーズしたりいちいち仕草があざと可愛いなチクショウ。
ここはソリテールが幾つか所有している人里離れた
前拠点を放棄して暫く行く当てのないゆるキャン旅に出ると言ったら、家に来ないかと誘われたからそれに乗った形だ。
俺と居る間は殺しは控えて人間として振る舞うよう強くお願いしたら受け入れてくれたし、常に魔法で周囲からの認識弄ってるし魔力も抑えてるからバレたりコロコロされるリスクは少ないハズ。ゼーリエ以外になら。
あのエルフ、魔力は全力のフリーレンと変わらないくらいで量的には俺以下、魔力制限特有の揺らぎも無かったけど確実に、絶対に制限してるしな。メタ的に考えて。
いや、ゼンゼちゃん達一級魔法使いやデンケン爺さんにだってまともに戦ったらまず勝てる気しないけど。怖くてブルっちゃうよ。
というか、有史以来ほぼすべての人類の魔法を知ってるとか何歳ですか貴女。それがフリーレンと同等の魔力しか無いって嘘だろ常識的に考えて。魔法の研究やら何やらで時間取られてると仮定するにしてもさ。
あれ、格下の相手になら最初は能力を抑えて戦って手傷を負ったら歓ぶタイプだろうな。
それで「愉しい、愉しいなあ闘争というのは! この痛み! 血の滾り! 気の昂り! そう思わないか!」って興奮してギア上げてく、RPGで時々ある負けイベントのバトルジャンキー系敵キャラ。
あれなら魔王なんていつでも殺せたし魔族の絶滅なんて簡単だっただろうに……そんなに戦いが好きなのか。おー怖、くわばらくわばら。
……でも、あれからそれなりに時間経ったけど特に何も無いんだよな。探査妨害で居場所はちゃんと誤魔化せたのか泳がされてるのか見逃してくれたのか。あの殺意からして見逃したは無いか……鬱だ。
ゼーリエには通用しなかったけど、俺の『うつしみの魔法』はかつて『水鏡の悪魔』を研究&解析して開発、発展させてきた魔法だ。
見た目が精巧だし持たせる魔法や能力も調整可能、単独行動も遠隔操作も情報の同期も出来る。『まやかしの魔法』と組み合わせれば見た目とかも変えられるし、まともな戸籍管理システムなんて存在しないこの世界、少し手間を掛ければ『四級魔法使いのクラウ』とか架空の人物を用意する事だって出来る。
けれど、分身は一体までしか維持出来ないし、俺からスゥッと分離するようにしか出せないから移動の手間がかかるし足がつく可能性がある。
そして維持してる間は必要な魔力の分、本体である俺の魔力量を常に削るし、パスが繋がっている時は逆探知のリスクがあったりと、色々デメリットがある。
ヒンメル達との遭遇時は封印させながら魔力抜いて回収してたし、クラウ程度なら微々たる物だけど。
リスクは魔法を強大なものにする。
水鏡の悪魔は本体の性能を削りに削り、出現範囲や複製対象の限定とかの制限によって、見た目とコミュ力以外は完璧な複製体を複数作れるようになった訳だ。
フィールドワークと称して各地をウロウロしてたソリテール曰く、北側諸国国境の結界と警備が強化されているらしい。
気まぐれに南に行こうとしたら前に結界を解析した時に作った対抗魔法では通過できず、新たに解析を始めようとしたら一級魔法使いが現れ交戦。しかも即座に増援が複数人やって来て流石に分が悪いと判断し撤退したとのこと。
んー、増援はもしかするとラオフェンさんかな? あの高速移動魔法、かなり有用だし。
あとこの子には『微笑みの魔女』っていう異名がついたとか。
それで「これまで頑張って無名でいたから少し残念だけれど、これでお姉様とお揃いね」じゃないよ。嫌だよそんなお揃い。
うーん、やっぱり南に行くのは無理そうだなあ。原作崩壊的にも状況的にも。
この感じだと帝国国境の国防結界も修正されてるか? 前に国境を警備してる魔導特務隊の目を掻い潜りながらコソコソ頑張って解析して行き来できるようにしたのに。
つまり、北部高原から北側諸国にかけての地域に実質閉じ込められた訳だ。詰みでは?
ぼうけんはおわってしまった!
「私一人なら難しいけれど、お姉様と二人なら魔導特務隊でも一級魔法使いでも何とでもなるでしょう?」
俺を戦力にカウントするのはやめなさい。ムリだって。
「それで、お姉様。マハトの件については、やっぱり静観?」
またその話か。
若干げんなりした気持ちになりながらも、前の拠点で育てていた花が残した種を新しく作った花壇に蒔き、『花の成長を促進させる魔法』で花を咲かせる。うん、綺麗だしいい匂いだ。少し気分が晴れる。
七崩賢『黄金郷』のマハト。
人との共存を目指して人を知る為に人に仕えた。けれど仕えた領主も治めていた街もすべてを黄金に変え、一級魔法使い達によって封印された大魔族……らしい。
どう考えても物語のキーになる敵キャラ、『人間を知る為に旅をする』フリーレンとその仲間達の相手だろう。
ってか黄金の都市『黄金郷』って与太話じゃなかったのね。
俺の魔法ならマハト相手に相性が良いから討伐に力を貸して欲しいって……いや……そもそも戦闘を選択肢に入れるのをやめなさい。昔から言っているでしょ。君子危うきに近寄らず。最強の護身は逃げることだって。
でも、ソリテールが「魔王、そしてマハト。彼らが抱いた人魔共存なんて思想の行き着く先にあるのは、私達魔族の破滅でしょう」なんていつになく真剣な様子で話してくるのは意外だったけど、それなら尚更フリーレン達がどうにかしてくれるさ。
だから手出しは無用、俺は行かないと言っているんだけど、それでもソリテールは時折こうやって話を持ち出してくる。
マハトに対しての殺意が高すぎる。何、仲悪いの? セクハラでもされたんか?
そういや、デンケン爺さんの故郷がその『黄金郷』城塞都市ヴァイゼなんだっけ。
複製体フリーレン戦で対長命種戦の伏線あったし、墓参り云々もクラウとかに話してたし、これって参戦フラグよな。
あの人の性格的に無駄死にはしない。何か策があって泥臭く足掻く筈。そういう『人間の底力』がテーマの章になるのかも知れないな。知らんけど。
「……お姉様もシュラハトも、未来に何を見ているの?」
……え? シュラハト?
──またずいぶん懐かしい名前が出たな。
シュラハトなあ。フリーレン世界だと知って暫く経った後に知らん魔族と一緒に一度だけ会いに来て少し話して「お前はそのまま在るといい。達者でな、ナーリン」って言われたきりだし。
魔族の未来の為に引きこもってろって事なんだろうか。
南の勇者とやらと相討ちになったらしいから真意はもうわからないけどな。
そんなシュラハトの魔法は未来予知、らしい。それが本当なら平行世界の観測とも解釈できる埒外の魔法だ。そんなヤツが何を考えてたのかなんて分からんけれども。
でも、俺の場合は。
「ソリテール。魔族はこの先、千年後の未来に生き残っていると思うか」
咲き誇る花々に目を向けながら、お姉様は私に問いかける。その花は彼女が何世代にも渡って育てたもので、花弁の数や色合い、気候や病気への耐性など様々な調整、『品種改良』を行っているらしい。
「……シュラハトは千年後の魔族の為に」
「言い方を変えよう。『今のまま』の魔族が千年後もこの大陸に生息しているか?」
「……」
咄嗟に答えることは出来なかった。
人類の進歩は目覚ましい。魔法も、それ以外も。私は、いつか人類に殺されているでしょうね。他の魔族……リヴァーレやマハト、トートだって。お姉様はしれっと生き残るかしら。
「いつか、『魔族』は再び歴史から姿を消すだろう。それが其方の研究テーマの一つである進化の結果なのか、人類の手で絶滅するのか、それとも他の何か、それこそ女神の御業か何かなのかは解らないが」
お姉様は指先で花を撫でる。
「此方は臆病者で卑怯者だ。死にたくない。苦痛は嫌だ。闘争は苦手だ。故に人目を避け、隠れ逃げ続けている。だからこそ、夢がある」
「夢……?」
お姉様からそんな言葉を聞くのは初めてだった。千年前、一緒に旅をしていた時だってそんな話は無かった。
彼女は立ち上がり、天を仰ぐ。手のひらを太陽にかざす。彼女に流れる血潮は何色だろうか。
「肌を、瞳を、角を、人類と異なるこの姿を晒して、陽の光の下を堂々と闊歩する。鍛錬し、研究し、花を愛で、田畑を耕し、汗を流し、糧を得て、本を読み、微睡む。何者にも害されず、そんな『平穏』を過ごす事。それが夢だ」
……成程。それは、確かに『夢』ね。
私達は人食いの獣。そして人類は獲物だけれど、同時に狩人でもある。
葬送のフリーレン、彼女はその筆頭だ。
「相互理解による人魔共存は不可能だ。人類と魔族は姿こそ似ていても起源も心も感性も全く異なる種族なのだから。理解してどうなる? 何も無い。より効率よく互いの死体が積み上がるだけだ」
ああ、魔族は塵に還るだけか。
魔王、そしてマハト。彼らが目指した
「だが、理解などせずとも共生は出来る。出来た筈だ。そも、人類すら互いを真に理解し合って生きてなどいない。ルールを作り、仮面を被り、お行儀よく踊っているに過ぎない」
ルール。社会規範や法律といったそれ。個人主義の魔族が持ち得ない概念。
「魔族は人殺しの本能と習性に従うだけでなく、人類を観察し、考察し、構築し、実行し、修正する。この高い知性を活かすべきだった。人類に対する理解も納得も不要だ。学習し模倣し擬態する。それだけで平穏が手に入った」
「しかし、もう手遅れだ。魔族は人類を殺しすぎた。人類は魔族の脅威を知りすぎた」
「故に、魔族は消えなければならない。人類の歴史から、人々の記憶から」
「その彼方に、平穏があると此方は確信している」
これがお姉様の真意なんだろう。
ああ、なんて魔族らしいのか。これほど人間を理解し尽くしていても尚、魔族という種ではなく、ナーリンという個の事しか考えていない。
「お姉様は、やっぱり魔族なのね」
「クハッ、今更だな」
「それで、人間のことが好きなんでしょう?」
「好き、か……何故そう考えた?」
「興味が湧く。知りたいと思う。これは『好意』だわ」
「……」
「もし、最後に私とお姉様が残ったら、貴女は私を殺すのかしら?」
「……どうだろうな」
「私、お姉様になら殺されてもいいわ。ほんとうよ」
「何故だ?」
「だって、お姉様は優しいもの。きっと私のことを忘れない。そうしたら私はお姉様の中で生き続けるんでしょう? それはとっても、しあわせな事だと思うわ」
「……そうか」
その時、魔族の本能は生きたい、死にたくないと叫ぶのだろうけど、私の意志はそれをねじ伏せる。
お姉様はどんな表情で、どんな言葉をかけてくれるのかしら。
「でも、お姉様。魔族が歴史から消えるのは難しいんじゃないかしら」
「何故そう思う?」
「エルフ。あの種族に寿命なんて概念はあってないようなものよ。魔族の脅威と存在はいつまでも受け継がれてしまう」
1000年前にエルフの集落は滅ぼしたけれど、フリーレンを始めとしてこの世界に生き残りは複数いる。彼らが語り継ぎ記し残す限り、魔族は消えない。
そう疑問を口にすると、お姉様は「ああ、そんな事か」と言って目を細める。
「簡単な話だ、ソリテール。エルフは人間に排斥され殺されるか、自然と絶滅するしか道が無い、最早終わった種族だ」
「人間の時代なんだよ。これからは」
読了謝謝茄子!
黄金郷編、原作が美しすぎるからそれに負けないよう頑張るやで!
感想評価お気に入りここすきクレメンス
あと、skebでリク受け付けてるのでTwitterからどぞー