【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】 作:丹羽にわか
レヴォルテ一味の変身するボーイッシュロリ魔族を仲間に加えようか悩んだけど多頭飼育はやめといたほうが良さそうだからやめた
先住猫が機嫌悪くなるけんな
勇者ヒンメルの
死から30年後
北部高原
ルーフェン地方
神技のレヴォルテを筆頭とした魔族達の襲撃を退けたフリーレン一行は、傷が癒えるのを待つ為、共闘したゲナウとメトーデの一級魔法使い2名を加えて廃墟と化した村に滞在する事になった。
「フリーレン様、枝を集めてきました」
「辺りに魔物などの気配もありませんね。念の為結界や罠を仕掛けてありますが」
大きな負傷のなかったフェルンとメトーデの二人には周辺の索敵ついでに焚き火用の枝を集めに行ってもらい、レヴォルテとの戦闘で重傷を負ったシュタルクとゲナウの護衛としてフリーレンが残っていた。
「ただ、枝が昨晩の雨で湿っていて……良かったのですか?」
「ああ、それなら大丈夫だよ。私にはこれがあるからね」
眉根を下げながらのメトーデの問いにフリーレンはにんまりと笑みを浮かべた。
その平らな胸に抱えているのは一見何の変哲のない素焼きの壺のようだが、それが魔力を帯びていることから魔道具である事が分かる。
「魔道具、ですか?」
「『生枝を乾燥させる魔法』が使える魔道具だよ。ここに枝を入れて少し待てばカラカラに出来るんだ。よく燃えるよ」
そう言いながらフリーレンはメトーデ達が置いた枝を魔道具に入れていく。
「それは……とても便利ですね。フリーレンさんが作られたのですか?」
「いいや。依頼の報酬で貰ったんだよ。ほら、一級試験でクラウって魔法使いがいたよね? 試験の前にシュタルクが彼女から依頼を受けてその時に貰った」
「……クラウさん、ですか」
魔道具オタクな一面のあるフリーレンがウットリしながら枝を乾燥させている壺の表面を撫でる一方で、メトーデは『クラウ』の名を聞いて表情を曇らせる。
「……クラウ様に何かあったのですか?」
その様子が気にかかったフェルンが訊ねると、それに答えたのはメトーデではなくゲナウだった。
「クラウ四級魔法使いは存在しない」
「え……?」
目を見開くフェルン。
「お、おい、それってどういう事だよゲナウ」
そして、大怪我をしたはずなのに愛用の斧をブンブン素振りをしていたシュタルクも、かつて共に依頼をこなした相手のまさかの話題に手を止める。
「ゲナウさん」
「こいつらは知るべきだろう。特に一級のフェルン、そして最後の大魔法使いであるフリーレンはな。違うか?」
「……」
メトーデは咎めるような視線をゲナウに向けるが、彼の言葉に何も言えず瞑目する。
「まず、これから話すことは協会内でもゼーリエ様、そして弟子である私達一級魔法使い、後は事務方の極一部しか知らない。口外すれば、どうなるかは分かるな? シュタルク、聞きたくないなら防音結界を用意するからその中で目を閉じていろ」
ゲナウの淡々とした、けれど重々しい警告に対してフリーレンは平然と、フェルン、シュタルクは緊張に汗を滲ませながらもその場を動かない。
三者の意思を確認した彼は口を開く。
「そうだな……まず、クラウ。あいつはある魔族の分身体だった」
「「「!?」」」
「最初から魔族だったのか、それともどこかですり代わったのかは分からないが、一級試験の三次試験、ゼーリエ様と対峙するまで誰にも気付かれず残った。目的は協会の内情を探るためか、特権を得る為か、我々への警告か、そのどれもだろうな。ゼンゼと私が処分したが、表向きは違法な魔道具の所持による指名手配という事になっている」
「処分って……それに、魔族の分身?」
「クラウ様が……そんな……」
フリーレン達は絶句した。
クラウとは何度も顔を合わせ、会話をし、時に戦い、共闘した相手だ。
『コミュ障だけど優秀な魔法使い』というのが共通認識で、魔族だと感じるような言動も印象も無かった。
千年以上の時を生き、その間魔族を欺き続け討ち滅ぼしてきた葬送のフリーレンが。人類最強の魔法使いゼーリエの魔力偽装に気付いたフェルンが、ゲナウ達一級魔法使いの誰もが、気付かなかった。
「……精神魔法による認識操作、それもゼーリエ様の精神防御を突破しかねない程の代物がかけられた、な。ゼンゼが切り飛ばした腕も、刎ねた首も、その死体も、血の一滴すら残さず全て塵になって消えたよ。この目で見た」
「……成る程。これは口外出来ないね。もし広まれば人間社会が崩壊する可能性すらある情報だ。あの場にいたゼーリエ以外の魔法使いが看破出来ない精神魔法、それに分身……たちが悪い」
眉をひそめながらのフリーレンの発言にゲナウは頷く。
「ああ。加えてオイサーストの滞在中や過去の足取りを追っても殺人や食人の痕跡は無いし、死臭もしない。意思疎通も徹底して『人間』だった。もし、そんな魔族の存在が明らかになってみろ。疑心暗鬼になるだけでなく、和解がどうこうと騒ぎ出す連中も出てくる」
「……相互理解だ何だと言って魔族を引き入れて毎度自滅してる筈なのに、いつの時代もどこにでも存在してるのはほんと、何なんだろね」
魔族が歴史に現れた千年前ならいざ知らず、魔族の脅威や生態が民謡や書物などの形で広く周知された現在においてもなお、魔族を懐に入れ殺される人間は絶えない。その現状にフリーレンは呆れ混じりの息を吐く。
「人間そんなものだ。姿が似て、言葉が通じると思ってしまえば、分かり合えると錯覚する。魔族ってのは、人を殺すためにあの形に進化した存在なのにな」
「……」
ゲナウは淡白に言い、フリーレンが黙々と焚き火の用意を進める。
薪に火がつきパチパチと音が鳴り始めた時、シュタルクがポツリと溢した。
「……俺、クラウと一緒に依頼をこなしてよ、いいやつだなって思ったんだ。夜の見張りだって交代でやった。あいつ、料理も上手かったぜ。魔法の師匠の事とか、姉弟子がいるって話なんかも楽しそうにしてた。戦闘で危ないところを助けてもらった事もあった。それが魔族だったなんて、いきなり言われてもよ……っ」
「シュタルク様……」
「……前も言ったけど、魔族は人喰いの獣だよ。知性はあるけれど、その習性も感性も私達人類とは異なる、決して相容れないモノだ。それは歴史が証明している。あらゆる行動の裏には『人を殺す。人を喰らう』という目的しかない。紡ぐ言葉は人を欺くためのものだ」
「分かってるよ。分かってる。この村も、俺の故郷も、グラナト領も、『そう』だったんだ。分かってんだよ……」
シュタルクは顔を俯かせ膝を抱える。背中を預けた相手が魔族だったことにショックを受けている様子だった。
「それで、誰の分身だったのかは分かってるの? 何となく予想はつくけど」
「……ナーリン。狡智の大魔だ。フリーレン、お前にとっては因縁のある相手だったな」
「ヴォーボの事は、まあ一級魔法使いなら知ってて当然か。そうだね、私達はあいつを仕留め損ねた。断頭台のアウラは何か秘密を知っていたみたいだけど、それはソリテールに始末された。ゼーリエは表舞台に出てくるのを待って叩き潰すつもりみたいだけど、私達は旅をしながら魔族同士のつながりや痕跡を辿っている。それがまさか、一級試験に分身を紛れ込ませてたなんてね」
「偶然、なのでしょうか。これまで殆ど影も形も無かったナーリンが、こう何度も行く先々で痕跡を残しているのは」
フェルンの疑問にフリーレンは「どうだろう」と顎に手を当てる。
「私のことを根に持って何か策を巡らせているのかもしれないし、各地に打った何かの布石を偶然私達が掘り起こしているのかもしれない。ヒンメルが死んでから各地で魔族の活動が活発になったしね。前者なら好都合かな……まあ何にせよ、これまで通り旅をするだけだよ」
「それは……そうですね」
「ゼーリエ様はナーリンがオイサーストよりも北部に居ると言っていました。逆探知は妨害されそこまでしか分からなかったとも」
「……成る程。ゼーリエの魔法を妨害するなんて、やっぱりナーリンは私よりも遥かに格上の魔法使いだ。ぞっとしない」
「フリーレンさんよりも、ですか」
「技量も魔力も、ね。まったく、何年生きてきたのか」
零落の王墓の壁画の事を踏まえれば、自分よりも永い時を生きていると予想できる。
無謀だろうか。蛮勇だろうか。
フリーレンはヒンメル達のことを思い浮かべ、笑みをこぼす。
今更の話だ。歩みを止める理由にはならない。
「ああそうだ。その魔道具はクラウから渡された物らしいな。なら、調査の為に回収させてもらうぞ」
「え゛」
変な声と共に壺を抱えて後ずさりゲナウから距離を取るフリーレン。
「すみません、フリーレンさん。ちゃんと対価はお渡ししますので」
「うえぇ」
いつの間にか背後に回り込んだメトーデが後ろから抱き締めるようにして彼女をそっと抑え込む。
「……フェルン」
「仕方ありませんよ。旅は少し不便になりますけど」
縋るような目で弟子を見るも首を振られる。
「……ナーリン倒したらまず魔道具奪おう」
フリーレンはそう決意し、泣く泣く壺を手放したのだった。
勇者ヒンメルの
死から30年後
北部高原
ヒルシュ地方
「この度は危ない所を助けて頂き本当に、本当にありがとうございました」
「いいえ。間に合って良かった。怪我は…無さそうね」
深々と頭を下げる中肉中背の男に対して、長い薄桃色の髪を靡かせながら少女は柔和な笑顔を返した。
鬱蒼とした森の中、周囲には魔力の塵へと還りつつある魔物の死骸がいくつも転がっている。
男はこの近くの集落を拠点に活動する薬師であり、薬草の採取に出かけた帰り道で魔物の群れに襲われて逃げ、そこに通り掛かった少女が魔法で撃退した……というのが今の状況だった。
薬師自身は女神様の魔法の使い手であり、護衛の冒険者も居たが魔物の数が多く分断されてしまった。
命の危機、緊張状態から脱した彼はその事を思い出し、ハッと顔を上げる。
「わ、私の仲間が何処かで戦っている筈なんです! 厚かましいですが、どうかお力をお借りできないでしょうかっ?!」
薬師の必死の懇願に少女は一瞬きょとんとした表情になると、彼から視線を外し遠くを見る。その先にあるのは青々とした木々だけだが、遥か先まで見通しているような眼差しに彼は息を呑んだ。
「あの……?」
「あ、ごめんなさい。それなら大丈夫よ。もう片付いたみたいだから」
「えっ、あれ、魔物が……」
彼は魔力探知すると魔物の反応が消えている事に気付いた。洗練された魔力を放つ存在にも。
「おね…私の相方が貴方の仲間の方に向かっていたの。とっても強い人だから、みんな命は無事だと思うわ」
「な、成る程……貴女と、そのお仲間はもしや一級魔法使いなのでしょうか?」
強力な北部高原の魔物を歯牙にもかけず一蹴する魔法使い。そんな芸当ができる存在は多くない。故に口にした疑問だが、少女はふるふると首を横に振る。
「いいえ。私達は帝国から来た冒険者なの」
「成る程、帝国から……」
帝国。
かつて大陸を支配した統一帝国の末裔。戦乱の時代、魔王軍の支配地域の中にあってなお独立を保った強国。
北部高原の通行には一級魔法使いの資格が必要だが、それは大陸魔法協会の影響力の強い北側諸国側からの話。昔からの在住者やノルム商会の商隊や騎士団、魔法協会とは犬猿の仲である帝国側からの越境者等には適用されない。
勿論、かといって強力な魔物や魔族が跋扈する危険地帯である北部高原に誰も彼もが足を踏み入れるなんて事は出来ないし、普通はしないのだが。
自分の娘程度の年齢に見える少女が、相当腕の立つ魔法使いである事は先程の戦闘で証明されている。
帝国は魔法先進国、人は見かけによらないものだと薬師は納得する。
パンッと音が鳴った。彼の意識は浮上し、少女が小さな手を合わせている事に気付く。手を打ち鳴らしたようだ。
「さ、私達もあっちに移動しましょう? もし怪我人がいたら貴方の力が必要になるわ」
「あっ、そうですね! 急ぎましょう!」
二人は移動を開始した。
「ああ、そうだ。よければ、貴女のお名前をお聞かせ頂けないでしょうか」
早足で進む薬師の言葉に、少女は答える。
「リティアよ。宜しくね?」
読了謝謝茄子!
シュタルク曇っちゃった……フェルン、君ならきっと晴らせるって信じてるよ……
リティア……オヌシナニモノ
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