【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】   作:丹羽にわか

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祝★退院

環境が悪くて寝不足気味で思ったより書き溜め出来てないけどある分は放出するでガンス

今回は平穏なフリーレン達サイド




嵐の前の

 

 

 

 黄金郷のマハトとの初めての邂逅を終えたフリーレンらは小屋に戻り、エーデルが読み取りデンケンに譲渡した、およそ100年分のマハトの記憶の解析を行なった。

 

 

「フリーレン、助かった。お前のおかげでマハトの記憶を解析することが出来た」

「……」

「フリーレン様?」

「やけにぼーっとしてるな」

「……記憶を更に細かい解析にかけてるんだよ。魔力リソースの殆どを使うから、全体の処理能力が落ちてるんだ」

 

 

 呆けた様子のフリーレンはフェルンにもたれかかる。

 すると、小屋の扉を開けてゼンゼとユーベルが入ってくる。

 帰路の途中で二人は別れ、周辺の索敵を行っていた。

 

 

「周りを見てきたよ。魔族や魔物はおろか動物すら見当たらない」

「黄金郷って雰囲気とかが不気味だからねー。野生の勘で避けてるのかな……っと、フリーレンどしたの? 風邪?」

 

 

 フリーレンの様子に首を傾げたユーベルに、デンケンが状況を説明する。

 

 

「ふーん。で、その詳細な解析とやらは何のためにやってるの?」

「……600年前、私はマハトに負けて片腕を黄金にされた。そして、それを100年かけて解呪した。その時の経験と、詳細に解析した記憶を合わせれば、万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)の解除魔法と防護魔法が出来る筈だよ」

「なんと……」

 

 

 フリーレンの言葉を聞いたデンケンは驚きに目を見開く。

 

 あのマハトの魔法を、万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)という最強の呪いへの対抗策を用意するとフリーレンは言ったのだ。

 

 デンケンは『特権』によって呪い返しの魔法(ミスティルジーラ)を得た。それはマハトへの髪一本にも満たない勝ち筋を掴む為。

 

 それが突然、目の前に撚り合わせた綱が垂れてきたようにデンケンは感じた。

 

 

「このままなんにも無ければフリーレンが万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)を解析して無効化、私達でマハトを袋叩きにしておしまい、ってこと?」

「……マハトは強い。そう簡単にはいかないだろうけどね」

「戦士としても相当だぜ、あいつ」

「他の魔族が援軍に現れるなどは無いのでしょうか?」

「フェルン、マハトは結界によって外界との連絡は不可能だ。それに、魔族共に同族を助けるなんて思考があるとは思えない……が。デンケン、マハトに配下はいるのかい?」

 

 

 ユーベルの疑問にゼンゼがデンケンに向けて問いかける。

 

 

「儂の知る限りでは、居ない。それに、マハトが封印されてから、外部で結界の破壊や管理者の襲撃を魔族が試みたという記録もない」

「ぼっちなんだねー、マハトって」

「……まあ、魔族の中ではやや浮いた存在だったようだからな。平穏を望み、人類との共存を試み、人に仕えた異端。黄金と化す前のヴァイゼを魔王軍残党が襲撃した際、それを躊躇いなく掃討したのがマハトだ」

「そのマハトの目的は『悪意』や『罪悪感』といった、魔族に無い感情を知る事。ヴァイゼの破滅をほぼ前提として。ヴァイゼ領主はまるで共犯者だ」

「義父は分かっていたさ。報いを受ける覚悟もしていた。そういう人だ。黄金郷が元通りになれば、自ら裁きを受けるだろう」

 

 

 ゼンゼの棘がある言葉にデンケンは迷い無く答える。

 

 

「それで、これからどうするの?」

「拠点を近くの集落に移す。今の場所は大人数での滞在には不向きだからな」

 

 

 結界の管理者用の小屋には一人が最低限生活できる程度の設備しかない。当然の結論だった。

 

 

「あとは儂らでローテーションを組んでフリーレンの護衛と周辺の警戒を行う。解析と開発が終わり次第、仕掛けることになる」

「フリーレン、期間の見通しは立っているのかい?」

 

 

 ゼンゼが訊ねると、フリーレンは暫し瞑目する。

 

 

「……二ヶ月はかかるかな」

「まじかよ」

「フリーレン様は相変わらず時間の使い方が贅沢ですね」

 

 

 シュタルクとフェルンはその期間を長いと捉えたが、デンケンは違った。

 

 

「いや、早すぎるくらいだ。儂は解析だけで三年は掛けるつもりで居た。それに、ディーアゴルゼの解除なんて想像もしていなかった」

「二ヶ月かあ。ま、たまにはのんびりするのもいいかな」

「……そうだね。レルネン達には悪いけど、ゆっくりさせて貰おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 拠点を集落の空き家に移し、魔物蔓延る北部高原とは思えないような穏やかな日々が始まった。

 

 

「黄金の葉っぱ、黄金の枯れ枝、黄金の樹の実、黄金の栗鼠、黄金の小鳥……好事家などに高く売れそうなのはやはり樹の実や動物でしょうか。花も採取したかったですが茎が折れませんでしたし、狼など大きな動物は持ち運びが難しいので諦めるしか無いですね」

 

 

 フェルンはマハトとの話し合いの帰りに黄金と化したモノを色々と拾っており、今はそれらを並べて吟味していた。

 

 

「うわぁ……わざわざ鞄まで用意して持って帰ろうとしてる」

 

 

 ドン引きするシュタルク。

 

 

「何ですかシュタルク様その反応は。私たちの旅で資金難に陥った事が何回あったか……備えは必要ですよね? ね?」

「うう圧が凄い……フリーレン……」

「……魔導書がもっと買えるね。楽しみ」

「乗り気だよこの人……」

「あ、フリーレン様。これらの呪いは解除しないで下さいね」

「うん」

 

 

 息の揃った師弟のやり取りに、シュタルクはギシリと椅子を鳴らす。

 

 

「……なあ、せめて動物はやめとこうぜ? 俺は、なんか嫌だ」

「で、ですが……」

 

 

 その真剣な眼差しと声にフェルンは言い淀んだ。

 

 

「そもそも、これまで金が足りなくなったのって殆どフリーレンが魔導書とか魔道具とかに無駄遣いしたからだろ?」

「──はっ!?」

「……あっ」

「そこをさ、俺とフェルンで財布の紐をしっかり締める。これでいいだろ」

「そう、ですね」

 

 

 シュタルクの穏やかな笑顔と言葉にフェルンは頷く。

 

 

「動物は、戻しておきましょう」

「……ぁ……ぁ……」

「フリーレン、悪いけど、そういう事だから。無駄遣いには気を付けような」

「わァ……ぁ……」

「泣くほど!?」

「フリーレン様、解析はちゃんとしてて下さいね」

「……弟子が冷たい」

 

 

 三日三晩程ではないが、フリーレンは暫く泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、デンケン、ゼンゼ、ユーベルは拠点の一室に集まっていた。

 

 

「用ってなにかな、ゼンゼさん」

「ユーベル、確か君はヴィアベル一級魔法使いの拘束魔法を使えるようになっていたな。条件は確か……共感すること、だったか」

 

 

 それは見た者を拘束する魔法(ソルガニール)。一級魔法使い試験にて、ユーベルがヴィアベルとの対話の末に共感し、使用できるようになった魔法。視界に対象の全身を収めるという条件はあるが、非常に強力な拘束魔法だ。

 

 

「うん。そうだけど、どうしたの藪から棒に」

「デンケン、どうかな」

「儂は構わん。フリーレンの事は信頼しているが、万一もある。使える手札が増えるのならそれに越した事はない」

 

 

 ユーベルはそこでゼンゼの求める事を理解した。

 

 

「えーと? 話の流れ的に何か魔法を習得しろってこと?」

「そうだ。デンケンが“特権“で得たのは『呪い返しの魔法(ミスティルジーラ)』という、呪いへの絶対的な耐性を持つ神代の魔法だ。この魔法がマハトの万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)に有効なのはゼーリエ様自身がかつて証明している」

 

 

 その説明を聞いてユーベルは微妙な表情をした。珍しい表情の変化だった。

 

 

「あー、んー……特権の魔法かあ。たぶん無理だと思うよ?」

「理由は?」

「だって、その魔法を作ったのってデンケンじゃないでしょ? 魔法ってさ、その人の人生とか人間性が大きく関わってると思うんだ。で、私は話したりして共感できればその魔法が使えるし、出来なければ使えないんだよね」

「ふむ……」

 

 

 共感すれば理論やら術式の理解やらをすっ飛ばして相手の魔法を使えるという時点で、ゼンゼやデンケンからすれば意味不明なのだが、ユーベルの中にも一応は理屈が存在するようだった。

 

 

「まあ一応魔法は見せてもらって、後は何でそれを選んだのか聞かせてもらおうかな。もしかしたら使える様になるかもしれないし……たぶん、おそらく」

「望み薄、か。どうする、デンケン」

「いや、微かな可能性があるなら試してみよう」

 

 

 そしてデンケンは呪い返しの魔法(ミスティルジーラ)を使ってみせ、特権でそれを得るまでに至った考えなどを話した。

 

 しかし、ユーベルは首を横に振った。

 

 

「……駄目だね。理由には共感できた。マハトに対抗するのにこの魔法は必要だ。それは間違いない。デンケンがこのヴァイゼへかける想いも理解できた。……うーん、特権で貰った魔法って事を知らずにいれば使えたかも知れない、かな? 私って感覚派だから」

 

 

 ユーベルは冗談めかして言う。

 

 

「頭部に強い衝撃を与えて記憶を飛ばしてみようか」

 

 

 ゼンゼは真顔で髪を握り拳の形に変形させた。

 

 

「なら、そのクソ長い髪をサッパリさせてあげるよ? カットの腕には自信があるからね」

 

 

 ユーベルもペロリと唇を舐めて杖を構える。

 

 

「やめんか」

 

 

 デンケンは頭痛を感じながらも二人を制止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、穏やかな日々が続き、そろそろ二ヶ月が経とうというある日。

 

 横になり続けるのは身体に悪いと、フリーレン達が連れだって集落の食堂へと足を運ぶ途中だった。

 

 突然、平穏は砕け散った。

 

 

 

「──?! 何だ、この強大な魔力は」

「……大魔族、だね。この魔力、覚えがある」

「それが2つ、か。嫌な予感がするが、聞いておこうかの」

 

 

 空が落ちて来たと錯覚するような圧力に戦慄するゼンゼ。

 フリーレンは肌を撫ぜる感覚に眉をひそめ、デンケンは咄嗟に取り出した杖を手に、魔力反応のする方向──黄金郷の方を見ながら訊ねる。

 

 

「狡智の大魔ナーリンに、微笑みの魔女ソリテールだよ」

 

 

 フリーレンは淡々と、何の色もない声音で言った。感情の発露すら、解析のためのリソースに注ぎ込んでいるからだ。

 

 

「ッ、ナーリン……ですか」

「ソリテールもかよ」

「へぇ、面白くなってきたね」

 

 

 フェルンとシュタルクは因縁の相手とも呼べる大魔族の名に表情を険しくし、ユーベルは来たる波乱の予感に一人愉しげに笑う。

 

 

「デンケン、まだ万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)の解析は終わらない。フリーレンを住民と一緒に避難させるべきだ」

「そうだな。フリーレン、解析に全力を注いでくれ。時間との勝負になる」

「分かった。フェルン、シュタルク、私は何もできなくなるから運んで……ね」

「えっあっ、よっと、急には危ないっての、まったく」

「馬車をお借りしたいところですね」

「まずは避難を呼びかけねばならん。帝国を目指すか。あそこなら儂の顔も利く」

 

 

 素早く判断し、フリーレンがふらっとその場に倒れそうになるのをシュタルクが支える。

 ここは北部高原、黄金郷に最も近い集落。住民の危機意識はしっかりしており、多少混乱はあったが避難は進んだ。

 

 

「──黄金郷付近で反応が消え、いや……内部に入ったのか? なのに結界は破壊されていない。どういうことだ?」

 

 

 魔力探知で警戒していたゼンゼが困惑の声を上げた。

 

 

「いつからか分からないが、結界を解析されていたな。記憶の中のソリテールは人類の研究をしていたようだが、魔法も対象か。ナーリンも同様かもしれんな。先入観に囚われて可能性を考慮していなかった。しかし、破壊していないのは……」

「そりゃ、マハトを外に出さない為でしょ。魔族に仲間意識なんて無いんだし、もしかして始末しに来たとか? んー、でもタイミングが変だよね。私達が居るのは気付いてるだろうし、乱入の可能性とかがあって都合が悪い筈だ。なんなら何も行動を起こさないでこっちに任せる方が楽なのに」

 

 

 推測される魔族の思惑と今の行動のズレ。そこにデンケンとユーベルは違和感を覚えるが、それを考えている余裕は無い。

 

 

「理由の考察は後にしよう。大魔族同士で潰し合うなら構わんが、最悪なのは協力してこちらを攻撃してくる事だ。儂らはフリーレンと避難民の護衛、そして、万が一の時の足止めに徹するぞ」

 

 

 デンケンはそう言い、杖の石突を石畳にカツンと当てた。

 

 

「気を引き締めてかかれ」

 

 

 

 

 




フンガー
読了謝謝茄子

次回はナーリン達サイド
大魔族三者面談はさらにその次かなぁ
黄金郷編完結まであと5話くらい? たぶん増える

原作の最新話を読んだけど嬉しいねえ

感想評価お気に入りここすき宜しくやで
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