【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】 作:丹羽にわか
口調違うかもしれん
あとちょっとシリアス? 独自解釈も
赦して亭赦して
勇者ヒンメルの
死まで49年
北側諸国
とある山中
原作開始を前にフリーレンの行動範囲を避けるために北に向かっている道中、思わぬ出会いが待ち受けていた。
「久しぶりねお姉様。勇者達に封印されたって聞いていたけど……元気そうで良かったわ」
げぇっ! ソリテール!?
俺の内心はまさしく関羽を目にした曹操の如し。なんならジャーンジャーンジャーンと銅鑼の音が聞こえた気すらした。
青い髪と額の角が特徴的な彼女の名前はソリテール。一応俺とは旧知の魔族だ。
出逢いは今から千年ほど前。
異世界転生していたらしい俺の自我がはっきり目覚めた後、ここが葬送のフリーレンの世界だと気付かないままに各地を放浪していた時代まで遡る。
『子供の死体……? いや、よく見ると角持ち……魔族の子供、か。やっぱり俺達魔族は人間と敵対してる?』
『……ぅ、ぁぅ、た、たす、け』
『いや、考察は後だ。治療しないと』
人間の剣士にやられたのか傷付き倒れていた所を助け、その傷が癒えてからは共に旅をした。
『久々の新鮮な肉なのに、どうして襲わないの?』
『……あれは人間だ、ソリテール』
『?? そうね。すこし硬そうだけど身体は大きいし食べごたえがありそう。ね、お姉様』
魔族と人類は敵対している。なんてもんじゃなかった。魔族にとって人間は獲物で、人間を欺き喰らうことが本能に染み付いている。
ダーク目な本格ファンタジー世界かなと思いつつも、ソリテールとの日々のやり取りの中で感じる価値観や感性の違いにもしや、と嫌な考えが頭を過り始めた時だった。
『こんな所に魔族の軍勢? 将軍、玉座のバザルト……ッ!?』
『お姉様、皆はエルフの集落を襲うみたい。私達はどうす……?』
『そうか、やっぱりここは葬送の……っ』
『お姉様?』
玉座のバザルト。葬送のフリーレンという作品において、主人公であるエルフの魔法使い、フリーレンの故郷を滅ぼした魔族の一人。
俺は戸惑うソリテールを連れて逃げた。人類の天敵が魔族なら、この先に居るフリーレンとやって来るフランメは魔族の天敵だ。二度目の死を迎えるなんて嫌だった。
この子の手を引いたのは『情が湧いた』からだろう。それは俺が人の心を持つゆえに彼女に、魔族に抱いてしまった、抱いてはいけない感情なのに。
『人を知れ、ソリテール。彼奴等の強さを、勇気を、愛を、友情を、愚かさを、恐ろしさを。でなければ、死ぬぞ』
そしてソリテールには人間の強さを、恐ろしさを教えた。俺が人の心を持っていることを隠すために随分と迂遠な伝え方になったけれど、それでも、人と敵対しないことの利を説いた。
『お姉様! 見て! 私、一人で人間の戦士を殺せたの! これでお姉様も安心できるでしょ?』
けれど、ソリテールは何処までも魔族でしかなかった。俺のせいで人間への理解と興味を歪に深めた異端ではあるけれど。
……殺すべきだったんだろう。人類の為に。ソリテールを、魔族を。
でも、出来なかった。
やっぱり、『情』だ。もし、人の心がなかったら、あっさり殺せただろうに。
『お姉様、どこに行くの? お姉様っ』
俺は出奔した。雛鳥のように後をついてこようとするソリテールに『其方の夢を追え』と言い残して。
前回会ったのはあの森に籠もる前、200年ほど昔だろうか。長命種の魔族だから服装以外で見た目に大きな差異は無い。
「其方も壮健のようだな、ソリテール」
「ふふっ、そうでしょう? 健康には適度な食事と運動が大切だって、昔お姉様が教えてくれたもの」
食事と運動……ね。ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!! とでも言うべきか。言えないけど。
ソリテールは自分と袂を分かった魔族であり、今ではただ魔力がデカいだけで戦闘力ハリボテな俺とは比べ物にならない魔族有数の実力者。
苦手な相手だ。
圧倒的な暴力を持っているのが一つ。
価値観も感性も異なる魔族であることが一つ。
美少女な容姿と優しげなお姉さんムーブが陰キャ引き籠もりコミュ障な俺にキツイのが一つ。
そして何より。
「そうだ、前に南方から来ていた商人が珍しい物を持っていたのだけれど……少し、お話していかない?」
ソリテールが、魔族が、俺に対して『親しみ』の感情を持っているような素振りで接してくるからだ。
「これは南方諸国で飲まれている、コーヒーという嗜好品なの。人間には覚醒や利尿を促す作用があるわ」
ソリテールが説明しつつテーブルに置いたソーサーに乗る白磁のカップに注がれた黒い液体。前世でも度々飲んでいたそれの香りに懐かしさを覚えながらゆっくりと口をつけ、あまりの苦さに俺は渋面になった。
「苦すぎる。ソリテール、豆の分量を誤っていないか」
思わず訊ねる。両手でカップを持ちふーふーと息を吹きかけながら可愛らしい動作でコーヒーを飲むソリテールはしかし、眉一つ動かすことが無い。
「そう? よく分からないけれど、お姉様がそう云うのなら、そうなのでしょうね」
首を傾げ笑みを浮かべながらの言葉。彼女から向けられているのは信頼、なんだろうか。
魔族の言葉の成り立ちは人を欺くための鳴き声だが、同時に言葉は同族間のコミュニケーションの手段でもある。けれど、魔族同士に親愛やら友情やら、そういった感情があるのか。
心が読めず、魔族の感性を持たない俺には分からない。
「砂糖やミルクはあるか?」
「砂糖は貰ったものが台所にあるけれど、ミルクは腐ってしまったから捨てたわ」
「少し使うぞ。其方はどうする?」
「じゃあ、お願いしようかしら」
席を立ちカップを受け取る。
たぶん、この家はソリテールの実験場のひとつなんだろう。テーマは『人間の日常生活』だろうか。棚の食器の中にホコリを被った他より一回り大きい男物の食器があったが、今ここには彼女一人。
この辺りは冬が厳しい。運悪く遭難した男を招き入れ研究対象として共同生活しつつ……という感じだろう。その末路は、痛み無く逝けただろうか。
元男として、せめて多少はいい思いが出来たことを祈って内心手を合わせる。
そして、コーヒーに砂糖をたっぷり入れて混ぜ合わせ、リビングに戻ってお互いの前にコップを置く。席につき早速一口……うん、さっきよりも断然飲みやすくなった。ミルクがあれば尚良かったんだけどなあ。
「これは……甘い、のね」
「久しいか?」
「そうね、前に居た子が料理好きで色々作ってくれたけど、実験が終わって食べちゃったから」
食べちゃった()かあ。南無。
魔族にも味覚はある。経口摂取で栄養を得ている以上、そこは人間と変わらない。けれど、強い酸味や苦味に対して人間が進化の過程で残った本能で『苦い=身体に毒=不味い』と感じる一方で、魔族は内臓系の差異からかそういう反応はあまり無く『苦い』は『苦い』でしかない。
俺はその辺りも例外らしく、脂肪と糖と塩と旨味たっぷりな食事は美味しく感じるし激苦コーヒーには顔をしかめる。転生したばかりの時は獣の肉を食べて強烈な獣臭さに吐いたりもした。
「ねえお姉様。勇者達はどうだった?」
思考に耽っているとソリテールが身を乗り出して訊いてくる。相変わらず耳が早い。部下を持っている訳では無いだろうし、時折人里に降りているんだろう。
「どう、か」
フリーレンの魔力偽装はもちろん、他の面々についてあまり詳しい情報を教えるのもな。
「強かった。あのままやり合えば此方は殺されていたかもしれん。魔王を倒したというのも頷ける。もっとも、次は無いが」
次があったら死ぬからね。絶対に。
時間稼ぎの為とは言えフリーレン怒らせすぎたわ。チビるかと思った。
「邪魔をしたな、ソリテール」
コーヒーを飲み終えるとお姉様は出ていった。暫く北の僻地で研究をしながら過ごすらしい。
それならここでゆっくりしていけばいいのに、と言ったけれど、一人が性に合ってると断られてしまった。
「いってらっしゃい、お姉様」
人間は見送る時にこう言う事が多い。番だと接吻を交わすこともある。私とお姉様は魔族だから当てはまらないけれど。
お姉様は変装魔法で角を隠し目と肌の色を変え人間の女の子の姿になり、魔力はそれなりの魔法使い程度まで抑えている。魔力を完全に隠してしまうと、無力なのに一人で旅しているのはおかしい、と他の人間に違和感を持たれるからだと言う。やっぱり、人間をよく識っている。
小さくなっていく背中。私はいつの間にか彼女の背丈を追い越していた。何百年前だったろう。
お姉様──ナーリンという魔族は私にとって、人間で言うところの『恩人』だ。
子供のころ、人間の村を襲い返り討ちにあい死にかけていた所を助けられた。一緒にあちこち旅をして、色々な事を教えてもらった。
『人を知れ、ソリテール。彼奴等の強さを、勇気を、愛を、友情を、愚かさを、恐ろしさを。でなければ、死ぬぞ』
永い時間、人間の研究をして過ごした今の私よりも、あの時のお姉様の方が遥かに人を識っている。どれだけ生きてきたのか、どんな出会いがあったのか、訊いてみた事はあるけれどいつもはぐらかされてしまった。
「でも、そうだ。アレには答えてくれた」
『魔族と人間の共存について? ……ふむ、急な質問だな。ソリテールはどう思う。不可能? ……クハッ、此方も同感だ。魔族とは、そういうものだよ』
そして、それだけ人間を識り理解している彼女は、共存なんて不可能だと嗤った。
この答えを聞いた時、私は多分『安心』したんだと思う。
「それにしても『次は無い』かあ」
お姉様は慎重な魔族だ。臆病と言ってもいい。勇者一行に負けてから逃げ隠れた断頭台のアウラよりも遥かに。
昔から戦いを選択することはまず無かった。リスクを許容せずに妥協する。『インガオウホー』という言葉を時々口にしていた。
けれど、勇者達には散々貶されたので意趣返しの置き土産を残してきたらしい。流石に頭にきたのかも知れない。
「もし、お姉様が本気で戦うのなら是非観察したいわね。そんな機会、私が殺されるまでにあるか分からないもの」
読了謝謝茄子!!
主人公は単行本未読のアニメ勢なのでマハトやソリテールを知らない。魔族に対してはフリーレンが語った『感情がない害虫、人を欺く獣』という認識が強い。でも絆されてる。
作者自身は一応調べたけどよく分かってない。
今のところ『人間への共感性皆無で殺害癖持ちサイコパス』くらいの解釈でいる。味覚も独自解釈。怒らないで下さいお願いしますなんでもしまむら!
あとネタが無い
感想評価お気に入りクレメンス
高評価もありがとナス!!(敬称略)
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