【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】 作:丹羽にわか
ゼンゼ&ユーベルVSクラウのユーベル離脱辺りまでと、ナーリン視点になります
サブタイトル、ネタが思い付かないの。面白みがないねえ……
クラウとの戦闘は困難を極めた。
本来、ゼンゼは近接戦、それも対戦士に特化した戦い方が出来る稀有な魔法使いだ。
ユーベルも、その
その両者の連携も、黄金郷に来る前の討伐任務での共闘の経験から問題無い。
たとえ相手が将軍クラスの魔族であっても十分に通用する戦力だった。
だが、髪を断ち切る事に特化した魔道具の双剣を振るうクラウ一人を仕留めきれない。むしろ、前衛を務めるユーベルが一方的に傷を負っていく。
「傷だらけですね。痛いですよね。苦しいですよね。ユーベルさん」
「お陰様でねー。加減してくれてもいいんだよ?」
「ご冗談を。私だってギリギリなんですから」
笑うクラウには言葉に反して余裕があった。
「いやー、しかしほんとキッツいね、あの双剣。今のクラウは戦士として間違いなく一流だし。うーん、ここにシュタルクが居ればなあ」
ユーベルの放つ
巨岩を断ち切る大剣のような一撃も、鋼を貫く槍のような一撃も、どれもが熱したナイフをバターに当てたように容易く斬り裂かれてしまう。
ゼンゼの強みである手数を活かして一瞬足を止めさせる事は出来るが、未だ有効打は与えられていない。
(ほんと、どうしようかな。フェルン達はソリテール相手に思ったより持ち堪えてるけど勝てはしないだろうし、こっちは手詰まりだし)
「……あの剣さえどうにかなれば」
ゼンゼがボソリと呟く。
それは事実だった。クラウの動きは一流の戦士のもので剣術体術を織り交ぜこちらの攻撃をいなして反撃してくるが、それはあの魔道具の双剣があってこそ。あれがただの剣であれば、決着は既についているだろう。
相手をしている二人もそれは理解していた。
「君の魔法でアレを斬れないか」
「私の
杖を振るいその軌跡に魔法が奔る。しかし、鋏を模した剣によってあっさりと防がれた。刃毀れ一つない。
「ほらね。ま、剣としては微妙、安物のステーキナイフみたいな切れ味だけどさ」
ユーベルは自身の首に出来た傷に触れ、指についた血をペロリと舐める。
死を覚悟した一撃だったが、それが自分の命を奪うことはなかった。
手加減? 違う。
概念兵装。クラウの両手にあるそれは、あくまで髪を断つことに特化した魔道具。
「髪の切断に特化した故の弊害ですね。それ以外はあまり斬れないんです」
くるり、と手の中で剣を弄びながらクラウが言う。研究成果の粗を突かれた学者のような困った顔で。
「ふぅん、それって随分な欠陥じゃない? 今の状況みたいに、決定打に欠けるよね」
「概念兵装は未だ研究中、発展途上。この戦闘はあくまで検証です」
揺さぶりをかけるも動揺は見られない。この状況も想定済みという事をクラウは示す。
「それに、この二振りに並の刀剣の斬れ味があったら、お二人は既に殺されていますよ?」
「君のご主人様は性格が悪いね。
「魔族ですから」
「で、大丈夫? ゼンゼさん」
「……ああ」
「しおらしくなっちゃって。髪も随分傷んじゃってるし、見てらんないよ?」
返事は静かだった。
ゼンゼの髪は幾度も切られた影響か、毛先の長さにバラつきが見られた。消耗故か色艶も悪い。
ユーベルはゼンゼの髪が好きだ。綺麗で、何より『切り甲斐』がありそうだから。
クラウに対して特に思う所は無かった。それが人間だろうが魔族の分身だろうが、敵なら斬るだけ。ただ、今は少しだけ腹が立っていた。
「……コレは、
目を伏せながらゼンゼは呟いた。その内容に(おや?)とユーベルは思いながら首肯する。
「そうだね。大魔族の分身で、私達に立ち塞がる敵だよ」
「ええ。私は魔族でも人間でもありませんが……ただ、あなた方──人類の敵です」
魔族の分身。自分は『そうあれ』と生み出されたモノだとクラウも同意を示した。
それを聞いてゼンゼは瞼を開く。
「私は、平穏が好きだ。何事もなく、安らかに眠れる夜が好きだ」
ゼンゼが『特権』で大魔法使いゼーリエに願ったのは『ぐっすり眠れる魔法』。
「一級試験の後、お前を始末したあの日の夜、私は眠れなかった。それから何匹も魔族を殺した。ただ『違う』という思いだけが募った。マハトに訊ねた。『理由があれば人を殺さないのか』と。否定してほしかった。ああ、認めよう。未だに私は、4級魔法使いのクラウという、人見知りで臆病で抜けたところのある友人の面影が拭えていない」
それは例え、人を殺め、後悔と罪悪感に苛まれ苦痛に満ちた闇夜であっても、眠ることの出来る魔法。
「分身だとしても、その魂は人間で、ナーリンによって囚われて使役されているのでは、と考えた事もある」
「甘ったるい、夢見がちな考えですね」
「自分でもそう思うよ」
ゼンゼの瞳に燃えるような闘志は無い。
「私は一級魔法使いのゼンゼ。大魔法使いゼーリエ様の弟子。狡智の大魔ナーリンとその一派。人類の脅威だ。看過できない。私個人の感傷など、捨て置こう」
光り輝くような勇気も無い。
「後悔や懊悩は後で幾らでも出来る。だから、お前はここで殺す。また私の前に姿を現したのなら殺す。何度だって殺す」
言葉に反して、肌を刺すような殺気すら無い。
「これが私の覚悟だ」
例えるなら、氷天の宵闇の中で流れた涙を凍てつかせ生み出された氷のような、昏く冷たい意志。
「……覚悟? それは強がり、或いは現実逃避じゃないです?」
「否定はしない。でも今はそうするしかない。目の前の
感情を排し、ただ目の前の敵を処理することのみにゼンゼはリソースをつぎ込む。
「……それはそれは、ご立派ですね」
その様子を見て、クラウは微かに表情を歪めた。
「──さて、流石にフェルン達が心配だね。どうしたものか」
戦闘が再開する。
ゼンゼは無感情に攻め立てながらも思考を回す。今のままではソリテールと対峙している二人は死ぬだろう。最低どちらか一人が援護に向かう必要がある。
かといって、目の前のクラウを残された一人だけで足止め、或いは討伐出来るかは『否』。
ゼンゼが残れば魔法の相性で押し切られ、ユーベルが残れば近接戦の技量で押し切られる。
「いつの間にか随分引き離された。相変わらず目に痛い景色だね、この黄金は」
戦場は普通の森から黄金へと変えられた森へと移っていた。
踏めば押しのけ潰れるような草木が不壊の黄金となったそこら一帯は、迂闊に茂みになど飛び込もう物なら瞬く間に傷を負い血達磨になるだろう。
「そうだねぇ……あ痛っ、落ち葉や雑草までカッチコチなのは勘弁して欲しいよ」
回避のさなか、小さな黄金の落葉をうっかり踏んだユーベルが痛みにぼやきながらそれを蹴って退かした。
(退かした?)
その光景を援護しながら見ていたゼンゼに一つの記憶が呼び起こされる。
(そうだ。フェルン達が黄金になった動物や植物を集めていた。集められた。つまり、これらのうち一部は移動できる。そして、あの剣は──)
「──ユーベル、30秒ほど離れる」
「ん、りょーかい」
二人は小声でやり取りをすると、ゼンゼが髪を伸ばして森の中へと消えて行った。その方向にはソリテール達の魔力反応がある。
「ゼンゼさんがフェルンさん達の援護に向かうんですね。戦力としては妥当な判断でしょう」
クラウはそう言うとタンッと軽やかに踏み込んで距離を詰める。
「クラウはさ、ナーリンに作り出された人格なんだって?」
「ええ、そうですよ」
ユーベルにとってクラウの使う双剣はただ斬れ味の悪い金属の塊でしかない。
だが、卓越した技量から繰り出される圧倒的な手数をユーベル一人で捌くのは困難だった。会話をしながらも杖を振るい、防御魔法で防ぐが、浅くも痛々しい傷が増えていく。
「ぐっ、それってさ、どんな気持ち?」
「気持ち? よく分かりません。私はあくまで人間の思考や行動のパターンを収集しシミュレートし最適化、心の働きを模倣し、そして、与えられた
「へぇ。まさに心にも無いって事か」
「それはどういう──ッ! この魔力はッ」
クラウは
「32秒。少し遅いよ」
「"ほど"だと言ったよ」
森の中から高速で飛んできたゼンゼが髪を振るう。それに合わせてクラウも剣を振るうが──。
「──ッ!? 刃が、通らな」
髪は断ち切れず、クラウは吹っ飛ばされた。
「ぐっ──」
空中で姿勢を制御し、倒れること無くクラウはすぐに剣を構え相手を見据える。
そして気付いた。
「──ああ、そういうカラクリですか」
ゼンゼの亜麻色の髪。そこに無数の『黄金』が絡め取られている事に。
「不壊の黄金と化した落ち葉や枯れ枝を大量に髪の毛で絡め取って、即席の盾にしているんですね。ははっ、そういえば、ちっぽけな金貨を拾える程の繊細な操作が可能ですものね」
「反省しよう。戦闘能力が周囲の環境に左右されてはいけないと私はこの魔法を使っているけれど、そのせいで周囲の環境を利用するという意識が疎かになっていた」
流石にこの量は重いが、とゼンゼは漏らす。
「ユーベル。ここはもういい。先にフェルン達のところに向かってくれ」
「そう?」
「ああ」
「わかったよ。じゃあねクラウ。バイバイ」
「……はい。さようなら、ユーベルさん」
ユーベルは離脱した。弱々しいがフェルンとシュタルクの魔力反応は残っている。
クラウは特に何かする素振りも見せず、ゼンゼに対して双剣を構えたままだ。
「随分あっさり行かせるじゃないか」
「今のゼンゼさんから意識を逸らせばその瞬間おしまいですから。はあ……まさか、こんな形で対策されるなんて」
「お前に勝ち目はない。諦めて死んでくれ」
「あはっ、私は分身ですよ? 死なんて、無いんです」
「……そうだったね。なら、心置きなく殺せるよ」
「命乞いくらいはさせて下さいね?」
「頭の片隅には入れておこう」
『面白い事を思い付いたの』
『人類の叡智の結晶、有り難く使わせてもらいましょう?』
あーーーーーあーーーーーやっちまったなあ!!!!!
ソリテールが提案した結界の拡張と改変による金網デスマッチな環境作りに協力しちゃったよ!!!!!
で、でも、仕方のない事なんだ。
だって、"フリーレン世界の魔族"だったら断る方がおかしい状況だった。
フリーレンが解析中のため戦力にならない現状、結界は掌握していて魔力量も総合的な戦力も此方が優勢。相手は魔法使いが殆どで援軍の見込みもない。その状況で、魔法に対しては真摯で高いプライドを持つ魔族が退くなんて
いつぞやか遭遇したアウラもそうだったけど、魔族には何でか魔法使い相手には正々堂々戦いを挑む謎習性がある。メタ的には魔族が迂遠な方法でフリーレン達を攻撃して来ない
これでフリーレン達や避難民が死んだりしたら俺の所為だよな……考えたら吐き気が。うっ、我慢だ我慢。
ああもう頼むから早くフリーレン起きてくれ! そしたら撤退の理由になるのに!!
──よし、落ち着け俺。改めて使い魔を通して各地の確認をしよう。
うん。想定通り、クラウはゼンゼとユーベル相手に戦闘を優勢に進められても致命打は与えられてないな。あの双剣、斬れ味が落ちるのは想定通りだ。本来、ゼンゼを殺さず足止めする為の武装だからな。
最初、ソリテールの指示で潜伏&奇襲を仕掛けた時は肝が冷えたけど、勘か何かでユーベルが対処出来たから良かった。最悪、身体の制御権奪って妨害しようと思ってたけど、それやると俺がフリーレン達を殺す気が無いってソリテールに勘付かれるか、後で意図とかを訊かれるだろうし。
ユーベルの拘束魔法、元はヴィアベルとかいうちょいワルな見た目の男が使っていた
だから、マハトへの対抗も併せて"視界の外にあるマハトの黄金である"という認識にすり替える事で発動を防いでいる。
俺の
某完全催眠みたいな事は、見た目を他人にしても仕草や魔力、死臭は変わらないから手練れ相手には意味がないんだよな。
認識操作も、五感を操るとかじゃなくて第六感というか無意識下の認識への干渉だから、他の感覚との齟齬を自覚される事は防げない。
後は、俺個人に対しては、身体そのものを一時的に作り変える変身効果もある──これは本当の奥の手だ。
前にアウラに見せちゃったけど、今はソリテールしか知らない。
──時折考えることがある。
俺の魔法なら、今すぐにでも全てを偽って人間として暮らすことが出来るじゃないかと。
別に魔族という存在が忘れ去られるのを待つまでもなく、平穏な日々を過ごせる筈じゃないかと。
それこそ、いつかの過去みたいにエルフとして魔道具屋でもやるとか。
でも、選べなかった。
もし、魔族であることがバレたら? 恐怖され、攻撃され追い出されるならまだ良い。
万が一、受け入れられ、『人と魔族は共存出来る』なんて前例になってしまったら?
俺みたいなのが受け入れられるなんて自惚れだろうけど、仮に、その誤った認識が広まってしまったら?
……傷ついた子供の魔族を善意で受け入れたが故に、一夜にして滅んだ村を知っている。アニメの中じゃない。この世界で、この目の前でだ。
例えばグラナト領。断頭台のアウラ達相手に"和睦"という選択肢を選んでしまう程に、この世界の殆どの人々は
いや、頭で理解していても、心が、情が受け入れない。それが人間だ。
似たような姿をして、言葉を話す魔族が相手なんだから、当たり前だ。
だから、俺はあくまで"
少なくとも、物語が終わり、エルフが滅び、魔族が歴史から消えるまでは。
マハト? メタ的にここで退場でしょ。仮に生き延びてもゼーリエかフリーレンに始末されると思うし。
……まあ、人里で暮らしてて、ふらりと現れた野生の強者に看破されて「魔族死すべし慈悲はない」「アバー!!」ってなるのが怖いってのもあるけど。
それに、
──いかんいかん、思考が逸れた。
マハトとデンケンの爺さんの戦いは、何か凄い(小並感)。
なんであのマハトとタイマンの魔法戦で押され気味とはいえまともに戦えてるんだ。
発動の予兆がほぼ無い
うーん、ドラマチックだ。一番心配だったのはここだけど、これはジャイアントキリングあるか?
そしてソリテール対シュタルク&フェルンのコンビ。これは最初からそんなに心配はしてなかった。ソリテールの『お話』は長い。格下かつ興味深い相手なら尚更で、手加減して甚振りながら
──つまり、負けフラグだ。
ほら、シュタルクを拘束してまでなんか話してる。うわ、フェルンの顔がやばい。悪趣味だし悪癖だなあこれは。
それに、人間を殺さないようにするという言いつけはまだ撤回してないし、平気……なはず。クラウにさせた奇襲は殺意が高かった気がするけど……平気だよな?
お? ユーベルが合流した。
クラウは……あー成る程。そう対抗してくるかあ。粘ってるけどこりゃ負け確だな。放置して良さそうだ。
さて、ソリテールの方はどうな──っ!?
読了謝謝茄子!
長くなりそうなのでカット。次こそソリテール戦終わらせて、フリーレン対ナーリンに入りたいところ
ナーリンはコミュ障だけど人の輪の片隅には居たいタイプの陰キャ。めんどくさいなコイツ。
ゼンゼは黄金のミノムシ戦法。あの金貨コロコロはフラグだったのだ(偶然)
ナーリンのまやかしの魔法はざっくり言えば劣化版鏡◯水月プラス変身効果有。始解を見せなきゃいけないアレより効果対象が広く条件が緩い。
変身については基準点は魔族の姿。ほぼ完全に人間になる事も可能。ただ、魔族である事を忘れない為に多用はしない。ヒンメル達と遭遇した時に使わなかった理由?
ナーリンは戦闘で死ぬより、村とかで買い物してる時に通り魔に刺されたり事故に巻き込まれたりで死ぬ確率の方が高いと思う
毎度感想妄想幻覚ここすきお気に入り評価等ありがと茄子! 今後とも宜しくオナシャス!!
原作の漫画orアニメは履修した?
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両方履修済み
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ミリしら